著者
中川 晃 山口 哲生 高尾 匡 天野 裕子
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.12, pp.1361-1366, 1995-12-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20

当院における小柴胡湯・インターフェロン-αによる薬剤性肺臓炎の症例は5例であった. 全例基礎疾患にC型慢性肝炎またはC型肝硬変を有していた. 使用薬剤はインターフェロン-α単剤1例, 小柴胡湯単剤2例, 両者の併用2例であった. このうち3例では気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中のリンパ球増多を認めた. インターフェロン-α単剤による1例では, BALF中の好中球増多を認めた. 薬剤によるリンパ球刺激試験 (DLST) は末梢血で4例, BALFで3例施行し全例で陽性であった. 当院の慢性肝炎・肝硬変患者における, 小柴胡湯・インターフェロン-αによる薬剤性肺臓炎の発症頻度を調査したところ, インターフェロン-α単剤投与群では0.5%, 小柴胡湯単剤投与群では0.7%, 両者の併用投与群では4.0%であった. 小柴胡湯とインターフェロン-αとの併用により, 薬剤性肺臓炎の発症頻度が高まる傾向が認められた.
著者
池田 洋一郎 山口 哲生 山田 嘉仁 篠原 翼 河野 千代子 青柳 哲史 天野 裕子 鬼島 正典 黒瀬 信行 宮本 和人
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
サルコイドーシス/肉芽腫性疾患 (ISSN:13450565)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.65-69, 2004-10-01 (Released:2010-08-06)
参考文献数
9

小径線維ニューロパチー (small fiber neuropathy, 以下SFN) を認めたサルコイドーシス (以下サ症) の2症例を経験した. 71歳と67歳の女性が当院に紹介され, 2症例とも手足のシビレなどの症状を呈していた. 神経学的所見として, 両側上下肢遠位部に対称性の温痛覚低下を認めたが, 触覚, 関節位置覚, 振動覚は正常であった. 両者に発汗の低下と便秘がみられた. 神経伝導速度と針筋電図検査では異常は認められず, これらの所見は小径線維ニューロパチーに合致していた. 生検皮膚組織の末梢神経のPGP9.5とP75による免疫染色により, 皮膚組織の末梢神経軸索密度が正常と比して有意に減少し軸索障害が有意に増加していることが確認されSFNと確定診断した. 症例1は, ジクロフェナクや塩酸メキシレチンによって, 症例2は, 塩酸アミトリプチリンの投与で症状は軽減された. 従来, サ症の末梢神経病変は脳神経麻痺と多発単神経炎で代表されるとされていたが, この2症例の経験から, これまで考えられていたよりもSFNの合併の頻度は高いことが推測される. サ症にともなう多彩な神経障害の診断において, 神経伝導速度と皮膚生検はその中からSFNを鑑別する有意義な検査方法といえる.
著者
山口 哲生
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2021-04-01

植物の根と土からなるシステム(土壌)を,一種の複合材料と捉える.根の分岐ネットワーク構造を系統的に変化させ,土壌の強度を評価するモデル実験を行い,強度を配する諸因子を明らかにすることで,根による土壌の強靭化機構を解明する.また,分岐構造と強度との関係を記述する数理モデルを構築する.さらに,得られた知見をもとにして,簡単に地中に挿入でき土壌を強化できる,分岐をもつアンカー(固定用金具)や,分岐をもつ繊維の配合による樹脂複合材料の開発にも取り組む.本研究により,「根に学ぶ複合材料の強靭化」という新たな分野の創出を目指す.
著者
服部 伴之 山口 哲央 間嶋 俊雄 寺嶋 和夫 吉田 豊信
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.68-73, 1999
被引用文献数
3

Hot cluster epitaxy (HCE) is a novel high-rate epitaxial growth mechanism discovered in the study of the plasma flash evaporation method. In HCE, the main deposition species are thermally activated, nanometer-scale clusters (hot clusters), which have unique characteristics such as high internal energy and high sticking probability even at high substrate temperature. Actually, with HCE, deposition of YBa<SUB>2</SUB>Cu<SUB>3</SUB>O<SUB>7&minus;<I>x</I></SUB> epitaxial films at a growth rate of 16 nm/s on the SrTiO<SUB>3</SUB> substrate has been achieved. However, films thicker than 2 &mu;m could not be obtained so far. In this paper, we discuss the &ldquo;charge-up&rdquo; effect of clusters and insulating substrates in a plasma environment as a retarding factor for film growth. Probe measurements and the biasing deposition clarified the charge-up of clusters were charged up during deposition. It was found that more than 60% of the clusters were negatively charged. By using conductive substrates of Nb doped SrTiO<SUB>3</SUB>, or changing Ar composition in Ar-O<SUB>2</SUB> plasma, we could deposit monolayer-smooth epitaxial YBa<SUB>2</SUB>Cu<SUB>3</SUB>O<SUB>7&minus;<I>x</I></SUB> films thicker than 3 &mu;m, with excellent properties; the full width less than 0.14&deg; at half maximum of the X-ray rocking curve of the (005) peak, and the superconducting transition temperature of 92 K. These results suggest the future role of HCE in epitaxial thick film deposition.
著者
土井 正男 奥薗 透 山上 達也 山口 哲生
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

固体基板上の高分子溶液の乾燥過程における薄膜形成のメカニズムおよび乾燥後の薄膜形状の予測・制御に関する実験および理論・シミュレーションによる研究を行い、以下の成果を得た。蒸発速度に対する弾性効果を考慮し、乾燥時に溶液の表面にできるゲル状の皮膜の形成条件を明らかにした。薄膜形状の初期条件依存性および気相中の蒸気の影響を明らかにした。薄膜形状の制御に関するいくつかの方法を提案した。
著者
土井 正男 森田 裕史 住野 豊 山口 哲生
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

固体基板に粘着させたゴムや粘着剤などの高分子物質を剥がそうとすると、高分子と基板の接触面の境界(接触線)近傍には、キャビティやフィブリルなどのμmオーダのメソスケール構造が表れる。本研究では、高分子の粘着や摩擦において見られるこれらのメソスケール構造を実験的に調べ、構造の変化と粘着・摩擦特性の関係を幾つかの例について明らかにした。特に、粘着性ゴムの接触線運動のモデルを得た。また、基板上をすべるゴムの中の歪みの空間分布を求める方法を提案し、地震現象との関連を議論した。
著者
山口 哲由
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

ラダーク管区は,インドの北西部のジャンムー・カシミール州に属する。集中豪雨被害は2010年の8月にラダーク管区の中心地であるレー県で発生した。政府発表では死者265人,うち132人が現地住人であったとされる。最も大きな被害を受けたのが県中心部に近いチョクラムサル新興区であり,43人の死者数を数えた。チョクラムサル新興区は,ラダック中心部を流れるインダス川に注ぐサブー川の扇状地に位置しており,上流には伝統的な村落であるサブー村,インダス川との合流点付近にはチョクラムサル村が位置している。 集中豪雨が発生した8月5日,チョクラムサル新興区では,午後7時過ぎから小雨と雷が続き,11時過ぎから突如として猛烈な豪雨となり,15分ほどで土石流がチョクラムサル新興区を襲った。扇状地より上流に位置するサブー村でも河川沿いの家屋などが崩壊し,7人の死者があった。土石流はチョクラムサル新興区を直撃し,サブー川両側に密集していた家屋が押し流された。土石流の岩石は扇状地中心部に堆積したため,扇端部に位置するチョクラムサル村まで到達したのは砂礫や小石のみであり,人命や家屋への被害は比較的少なかった。 ラダーク管区は極度の乾燥地であり,それ故に伝統的な村落は扇状地より上部に位置して支流からの灌漑をおこなうか,あるいは扇状地の末端に位置してインダス川の水を利用して灌漑農業を実践してきた。扇状地中心部は灌漑用水が得られないためほとんど利用されない空白地であった。一般的に扇状地は浸食による土砂が堆積する地形であり,土石流発生時の危険性はこれまでも指摘されてきた。サブー村やチョクラムサル村の立地は,災害対策としても合理的であったといえる。 しかしながら1950年代以降は,地域の中心部に近いサブー川扇状地は便利で平坦な空白地として,カシミール紛争に伴う国境軍の駐屯地や,チベット動乱で流入した難民キャンプなどの大型施設がされた。また,都市化の進展に伴って学校や公共施設,これらの施設関係者の住居が建設されることで,サブー川扇状地は発展してきたのである。このように地域の環境と切り離され,近年のラダック地域の社会状況の変化とともに開発されてきた扇状地で暮らす人びとが大きな被害を受けたのが今回の集中豪雨であり,山地社会における社会変化と密接に関わっていた災害であったと考えられる。
著者
山口 哲郎 仙波 卓弥
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.73, no.732, pp.2394-2400, 2007-08-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

A high-speed microfabrication technique using a focused laser beam was developed. A conventional CAD/CAM system was used, and the beam was scanned mechanically by attaching both optical mirror arrays and a focal lens to the column of an ultraprecision machining center. The measured groove width and pocket depth obtained by grooving and pocket machining were used as the tool diameter and the axial depth of cut, respectively. Glasslike carbon with a laser beam absorptivity of over 80% and a hardness of 650 MHv was employed as a workpiece. It was verified through a machining test that pseudo-3-dimensional concave prisms can be fabricated by digging square pockets with different square sizes but the same pocket depth in the negative Z direction. Shifting the laser's focal point away from the work surface can decrease the depth of the square pocket, so that high-speed roughing by adjusting the focal point on to the work surface and highspeed finishing by shifting the focal point away from the work surface can be conducted.
著者
山口 哲生 伊藤 正人
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.185-196, 2002-03-30 (Released:2017-06-28)

本稿では、単位価格、需要曲線、価格弾力性といった行動経済学の基礎的な概念が、喫煙・飲酒・薬物摂取行動を理解する上でいかに有効であるかを述べる。また、消費者行動に影響を及ぼす経済学的要因として価格、代替性、所得、遅延による価値割引を取り上げ、こうした要因が喫煙・飲酒・薬物摂取行動にどのように影響するかを明らかにする。現在までに、行動経済学的概念が依存症治療へ応用可能であることが多くの研究より示されているが、行動経済学的な枠組みでは、薬物摂取行動以外の他行動の強化により、薬物摂取行動を減少させることができる。こうした治療を行う際は、問題行動を強化している強化子と代替強化子との機能的等価性、望ましい強化子に対する補完強化子の有無を考慮する必要がある。行動経済学的研究は、また、薬物摂取に関する社会政策にも有効な方法を提言することができる。
著者
中島 善人 山口 哲
出版者
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Geological Survey of Japan
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.93-103, 2004
被引用文献数
14

等方的で不均一な多孔質媒体の空隙構造パラメータ(屈曲度と空隙率)を3次元マッピングする機能をもつ Mathematica プログラムを作成した.そのプログラム,DMAP.m は,パッケージタイプのプログラムで,Mathematica バージョン4あるいはそれ以降で動作する.DMAP.m は,X線CTや核磁気共鳴イメージングで取得した,多孔質堆積物や岩石等の3次元画像を読み込む.読み込んだ画像はサブシステムに細分化され,各サブシステムの空隙にランダムに散布された非吸着性のランダムウォーカーが酔歩(単純立方格子上の lattice walk)で系外に漏れ出ていくという,いわゆる out-diffusion シミュレーションを行う.系外に漏れたウォーカーの積算値の時間変動データをもちいて屈曲度を計算し,酔歩の出発点をランダムに選ぶ過程で空隙の画素にヒットした確率として空隙率を計算した(モンテカルロ積分).このプログラムのデモンストレーションとして,ランダムパッキングした砂質堆積物のCT画像を用いて,屈曲度と空隙率のサブシステムサイズ依存性を計算した.なお,このプログラムは,http://staff.aist.go.jp/nakashima.yoshito/progeng.htmで無料ダウンロードできる.
著者
水谷 文雄 長尾 啓一 山口 哲生 吉田 康秀 山口 豊 渡辺 昌平
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.171-178, 1985-04-30
被引用文献数
9

全国病理剖検輯報により若年者肺癌の動向をさぐり, 自験例他験例1141例より若年者肺癌48例(4.2%)を抽出し, 臨床的検討を加えた.男26例, 女22例で, 組織型は腺癌が39例(81%)であった.非喫煙者は半数以上を占め, 喫煙との関連性は乏しかった.発病より専門医受診までの遅れ, 結核との誤診等が, 受診・診断・治療の遅れとなった.若年者の中間生存期間は10ヶ月であり, 非若年者との間には生存期間に有意差は認められなかった.
著者
石河 利之 内藤 正俊 浅山 勲 山口 哲 秋吉 祐一郎 藤澤 基之 神戸 太一 安部 龍暢 白水 圭 舌間 崇士
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.5-9, 2003-03-25

The purpose of the present study is to report the mid-term results of modified Sugioka transtrochanteric valgus ostetomy (TVO) for the treatment of secondary osteoarthritis. The lateral displacement of the greater trochanter was simultaneously performed. Fourteen TVOs were performed in 14 patients with unilateral osteoarthritis of the hip from 1993. We assessed 8 hips in 8 patients in this study. The mean age of the patients at the time of surgery was 46.4 years (41 to 55 years). The average follow-up was 3.9 years (2.4-7.2years). The patients were evaluated for radiographic changes of the joint space, roof osteophyte, weight bearing surface of acetabulum, AHI, abductor lever arm, capital drop, bone cyst in the acetabulum or femoral head as well as clinical results using JOA score. The mean JOA score improved from 57.4 to 76.3. The widening of joint space, lengthening of weight bearing surface of acetabulum were seen in seven hips. The length of the abductor lever arm after surgery was not proportional to the JOA score at the latest follow-up. In one patient, total hip arthroplasty was required after 2.2 years. This procedure is considered useful for the treatment of osteoarthritis in dysplastic hips.

1 0 0 0 OA 採炭

著者
伊木 正二 服部 三郎 田島 一幸 神野 哲一 広部 亮一郎 肥田野 親男 安達 六郎 神谷 国輝 平塚 欣蔵 宮崎 義一 紫雲 千鶴雄 大渡 介一郎 石本 強 小島 鴻次郎 佐藤 喜輔 野上 辰之助 山口 哲二 久保 正明 原 俊郎 白水 護 稲永 守 永江 光夫 徳原 光信 御厨 美年 坪田 督之助 斎藤 義博 渡辺 尚三
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
日本鉱業会誌 (ISSN:03694194)
巻号頁・発行日
vol.74, no.843, pp.585-640, 1958-09-25 (Released:2011-07-13)
参考文献数
10

As in about ten years the new mining machines and technics were imported, the mining method in Japan were changed remarkably.Natural condition of coal seam in Japan (1956)Working depth (Average) 334.7m(Maximum) 836mAverage thickness of seam 1.71mAverage thickness of coal 1.31mOutput from coal face 48.281Mill. t.About 65% of output is worked by longwall method. About 36% of output is gotten by blasting, and 36% by coal picks in coal face, but coal cutters are used pretly well. Hobels are used in Emukae, Takashima, Kogayama and Mitsubishi-Bibai. 55% of output is conveyed Panzer conveyor at coal face.Hydraulic stowing is carried out at Onoura and pneumatic stowing is used at Yamano, Akabira and Sakito coal mines. Slicing method for thick seam is carried out at Hojo and Takashima coal mines.We must decrease the number of coal faces in one pit and increase the output per one coal face, and use the practical working time effectively.
著者
福井 貴巳 横尾 直樹 吉田 隆浩 田中 千弘 東 久弥 白子 隆志 北角 泰人 岡本 清尚 加藤 達史 山口 哲哉
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.68-72, 2001-01-01
被引用文献数
6

敗血症性ショックを合併した超高齢者の虚血性大腸壊死症例に対して, 結腸大量切除術を施工し救命しえたので報告する.症例は102歳の女性.主訴は嘔吐と腹痛, 来院時, すでに敗血症性ショック状態にあり, 絞扼性イレウスの術前診断のもと, 全身麻酔下に緊急開腹術を施工した.結腸肝彎曲部より下行結腸まで広範な結腸壊死を認めたため, 上行結腸からS状結腸まで広範囲結腸切除術を施工した.病理学的検索にて, 虚血性大腸壊死と判明した.脱水, ショック, 高齢, 過大侵襲手術などの危険因子のため, 術後早期は極めて不安定な循環動態, 呼吸状態を呈したが, 無事救命しえた.この好結果は, 術直後からの血液浄化療法(PMX~【○!R】)の実施や, S-Gカテーテル留置による綿密なモニタリングのもと, 十分な循環血液量の維持を主眼とした全身管理によりもたらされたものと考えられた.
著者
山口 哲央 足立 昌司 溝上 智英子 城田 晶子 米田 昌代 岩倉 研二 二階堂 任
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.661-666, 2013 (Released:2013-04-24)
参考文献数
16

【目的】ビタミン群の欠乏は認知機能障害の原因となることがある。認知機能障害をともなう低栄養が疑われた患者においてニコチン酸濃度を中心に種々の栄養指標を測定して、解析を行った。【対象と方法】平成21年6月から平成23年8月まで当院を受診した患者55名を対象とした。調査項目は、年齢、性別、身長、体重、BMI、血清総蛋白濃度、血清アルブミン濃度、白血球数、リンパ球数、血清ビタミンB1濃度、血清ビタミンB12濃度、血清ニコチン酸濃度、飲酒歴の有無などであった。【結果】ニコチン酸濃度は、低栄養患者のアルブミン濃度、総蛋白濃度、小野寺の予後栄養指数と相関関係を示したが (p<0.05) 、他のビタミン濃度はそれらと相関関係を示さなかった。【結論】ニコチン酸欠乏はペラグラ脳症で知られる認知症類似の症状をきたすことが知られている。認知機能障害をともなう低栄養患者のなかに、欠乏症が潜在している可能性が示唆された。低栄養患者に対してビタミンを投与する際はニコチン酸の併用が必要と考えられた。
著者
伊藤 正人 佐伯 大輔 山口 哲生
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ハトを対象に、遅延割引、社会割引、社会的ジレンマ場面における共有選択を測定し、価値割引率や選択率の間の相関関係を調べた。その結果、遅延割引率と、社会割引率や共有選択率との間に有意な相関は見られなかった。また、社会割引率と、チキンゲーム・サクラあり・ランダム条件で得られた共有選択率の間には、有意な負の相関が見られた。これらの結果は、衝動性-利己性の関係がハトとヒトにおいて異なる可能性を示している。