著者
実積 麻美 大谷 愛佳 山崎 愛沙 山下 恵 和田 亜弓 谷脇 文子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.542-550, 2008-01

本研究は実母からの出産体験の伝承(実母が経験した妊娠・出産・育児の体験や,その体験によって感じた思いを実母自身の言葉で表現し,娘に語り伝えること)に対する妊婦の意味づけを明らかにすることを目的とした。妊娠中期・後期の初産婦6名に半構成的面接法によりデータを収集し,質的帰納的に分析を行った。その結果,実母からの出産体験の伝承に対する妊婦の意味づけとして,次の5つの特徴,『母への親密性を強める』『親になる偉大さを感じる』『親準備性に向かう』『次世代への伝承の必要性を感じる』『自己成長のきっかけとなる』が見出された。そして,実母の出産体験の伝承が妊婦の自律性の育成を培い,母性意識の発達を促し,主体的な親になる準備性を支えていることが明らかとなった。本研究における看護への示唆として,伝承により意味づけられた妊婦の主体性をより促進する援助の重要性が見出された。伝承を看護の中に位置づけることで,妊婦の主体性を促進し,妊婦が目指す出産体験を尊重するような援助につなげていく必要がある。
著者
桐谷 佳惠 上田 太規 織田 万波 越山 豪 山崎 一矢 赤瀬 達三
出版者
一般社団法人 日本女性科学者の会
雑誌
日本女性科学者の会学術誌 (ISSN:13494449)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.59-66, 2008 (Released:2011-10-06)
参考文献数
7

本研究は、首都高速道路案内標識デザイン提案の一環で行われたフルスケールでのフォント視認性測定実験である。使用フォントは新ゴMとVialogLT Mで、「永環」、「Cerija」、「B08」の文字列を対象にした。和文の文字高は、500、450、400、350、300mm、アルファベットと英数は400、350、300、250、200mmの5段階に変化させた。距離は、「おそらくこうであろう」と思ったところ(視認性判断)と、「確実に文字が読めた」ところ(認知度判断)の2カ所を測定した。結果として、視認性判断の距離は認知度判断の距離より、どの条件でも有意に大きくなったが、約半数の実験参加者が、視認性判断では間違った文字列を報告した。また、和文500mmと450mmでは、どちらの判断距離も有意な差が出なかった。アルファベットは和文より視認距離が大きく、和文の約70%の文字高で和文と同程度の視認・認知距離を得られることがわかった。さらに、視認性測定の意味など、方法論上の問題も議論された。
著者
磯部 征尊 山崎 貞登
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.86-93, 2015 (Released:2015-06-30)
参考文献数
24

This is a study concerning the current state of the educational subjects of “Science, Technology, Engineering and Mathematics” from the view of Design and Technology by conducting a field survey. The results are summarized as follows:(1) Design and Technology in the National Curriculum 2014 is stressed to enhance coordination with the educational subjects of “Science, Technology, Engineering and Mathematics (STEM)” after a hearing investigation by Professor Stables, who works in the Design and Technology Department of Goldsmiths College in London University.(2) The National STEM Centre places great emphasis on developing subject matters through cooperation between STEM-related subjects and Design and Technology, and expanding the range of specialists as teachers by familiarizing them with such subjects to advance their continuing professional development.(3) The strategic groups of STEM, such as the Royal Academy of Engineering, worked to make Design and Technology part of the National Curriculum 2014 after a hearing investigation by Mr. Green, who is the chief executive of the Design and Technology Association (DATA).
著者
加藤 京里 菱沼 典子 田上 恭子 加藤木 真史 細野 恵子 田中 美智子 留畑 寿美江 丸山 朱美 酒井 礼子 井垣 通人 塚本 紀子 野月 千春 加藤 祥子 山崎 好美
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.28-37, 2012-08-20 (Released:2016-07-08)
参考文献数
38
被引用文献数
2

本研究の目的は,4週間の排便記録を通して排便パターンの実態を調査し,排便状態の判断基準を検討することである.20歳以上の男女に4週間にわたり排便ごとに便形 (水様便,泥状便,普通便,硬便),排便量 (母指頭大,手拳大以上と,その中間) について排便記録をつけてもらった. 排便記録は便宜的標本抽出にて224名より回収した.データに不備があるものと疾患による影響が考えられる5名の記録はのぞき,男性50名,女性169名の計219名 (平均年齢38±14歳) を分析対象とした.排便パターンはあらかじめ基準をおかず排便状況が似ているもので分類し,排便日数,回数,便形,排便量から帰納的に各基準を抽出して「問題なし (n=147) 」「便秘 (n=51) 」「下痢 (n=13) 」「下痢と便秘 (n=8) 」と命名した.薬剤の服用者27名をのぞいた192名での分析においては,「便秘」の排便日数は平均3.5日/週であり,同時に便形や排便量も考慮して便秘かどうかが判断されていた.「下痢」は日数や量よりも泥状便,水様便があることが基準になると考えられた.性別では女性が,年齢では「20歳代」に便秘の傾向が認められた.
著者
山崎 和哉 平山 拓弥 加納 光樹
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.41-47, 2019 (Released:2020-03-20)
参考文献数
31

北アメリカ原産のチャネルキャットフィッシュ(Ictalurus punctatus)は,日本の河川や湖沼で地域漁業に甚大な被害をもたらしている。本種の稚魚の季節的出現と生息場所利用を明らかにするため,2016年5月から11月の夜間に霞ヶ浦の沿岸帯で小型地曳網による定量採集を行った。複数のじゃかごで作られた離岸堤の付近で,5月から10月にかけて本種の稚魚計417個体(体長16~97 mm)が採集され,その出現盛期は8月であった。体長組成のモードは7月から9月にかけて24~36 mm から60~64 mm へと大きくなり,離岸堤付近に滞在し成長する傾向がみられた。稚魚の個体数密度は,ヨシ帯(底質は砂泥質)よりも離岸堤付近(砂質)で明らかに高かった。稚魚が離岸堤付近に蝟集する理由として,隠れ家としてじゃかごを使っている可能性や,砂底によって特徴づけられる緩やかな流れを生息場所として選択している可能性が考えられた。
著者
福田 雅幸 高橋 哲 高野 裕史 永井 宏和 山崎 嘉幸
出版者
東北大学歯学会
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.52-55, 1998-06

野生動物の襲撃は, 時として致命的である。われわれは, 致命的な熊の襲撃を受けた患者の治療を経験したので報告する。患者は, 69歳, 男1生で野生の熊に遭遇し, 刺創および咬創を受け, 当院救急部に担送された。直ちに, 処置が施され, 一命をとりとめることができた。現在, 最終の手術から, 1年6か月が経過したが, 経過は良好である。
著者
北川 陽一郎 吉川 周作 獺越 君代 山崎 秀夫
出版者
日本花粉学会
雑誌
日本花粉学会会誌 (ISSN:03871851)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.15-24, 2009-06-30
被引用文献数
2

大阪城内堀から採取された近現代の堆積物試料を用いて高解像度の花粉分析を行った.堆積物中の花粉群集は大阪城周辺および大阪の山地や低地の植生を反映している.また,堆積物中の花粉量は大阪城周辺の花粉飛散量を反映している.代表的な花粉出現率と花粉量に基づいてUA-1からUA-4の4花粉帯を設定した.UA-1(江戸時代末期)は山地には低密度のマツ林が分布していた.また,低地にはムクノキーエノキ群集が分布し,花粉飛散量は少なかった.UA-2(1880年代から1940年代)はマツ林が拡大し,その結果,マツ属の花粉飛散量が増加した.UA-3(1950年代から1960年代)は山地ではマツ林が減少し,大規模なスギやヒノキの植林が行われた.その結果,マツ属の花粉飛散量が減少した.UA-4(1970年代から1990年代)はスギやヒノキの人工林が成長した.加えて,大阪城の開発が行われ,内堀周辺にニレ,ケヤキの植樹が行われた.その結果,スギ,ヒノキタイプ,ニレ属-ケヤキ属花粉の飛散量が増加した.
著者
山崎 眞
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.730, pp.98-105, 2010-10
著者
安岡 孝一 クリスティアン ウィッテルン 守岡 知彦 池田 巧 山崎 直樹 二階堂 善弘 鈴木 慎吾 師 茂樹
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 : 人文科学とコンピュータ(CH) = IPSJ SIG Technical Report (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.20, pp.1-8, 2018-01-28

第116回人文科学とコンピュータ研究発表会古典中国語(漢文) の解析手法として,Universal Dependencies の古典中国語への適用に挑戦した.言語横断的な依存構造記述であるUniversal Dependencies は,ニューラルネットを用いた言語解析ツール(特にSyntaxNet) 等に採用されていることから,係り受け解析への応用が容易だと考えられる.しかしながら,古典中国語の文法構造は,Universal Dependencies とは必ずしも相性が良くなく,いくつかの点で齟齬が生じている.この点を含め,現時点での古典中国語Universal Dependencies の検討状況を,他言語UniversalDependencies との比較も含め,大まかに報告する.
著者
小島 政滋 山崎 勝男 宮田 洋
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.61-70, 1992

本研究は, 入眠期における脳波, 眼球運動, 行動指標, 主観的睡眠体験を測定し, これらの時間特性及び各指標間の対応関係を検討した.被験者には言語刺激 (羊が1匹-700匹) を提示し, 内容 (羊の数) を記憶させながらボタン押しを行わせて昼間睡眠を取らせた.覚醒後に記憶していた羊の数を再生させた.本研究では, 被験者が初めて再生を失敗した時点を主観的睡眠体験の発生時点とした.α%, SEM<SUB>s</SUB>出現数, 運動反応率及び反応時間を測定し分析の対象とした.その結果, α%と運動反応率の間に正の相関, 運動反応率と反応時間, およびα%と反応時間の間に負の相関が認められた.また, α%と運動反応率は主観的睡眠体験の発生後に顕著な低下を示した.これらの結果は, 入眠期における脳波と行動指標が主観的睡眠体験と強く相関しながら変動することを示している.
著者
山崎 瑞紀 高木 彩 池田 謙一 堀井 秀之
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.77-86, 2008

The present study examined the determinants of public trust in railroad companies. The constructs studied were as follows: trust in companies, familiarity toward companies, recognition of company values, perceived frequency of traffic accidents, perceived involuntary risk, perceived function as watchdogs of other institutions, and perception of safety measures. We conducted a survey in the Tokyo Metropolitan area and obtained answers from 1,081 respondents. The postulated model was tested using structural equation modeling procedures. The results indicated that the proposed model fits the data very well. It was shown that perceived function as watchdogs, perception of safety measures, recognition of company values, and familiarity had direct effects on trust.
著者
山崎 由美子 中山 和美 久保田 隆子 寺田 眞廣
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.405-413, 2005-01
被引用文献数
2

【目的】看護系女子学生の喫煙状況や身体症状などの実態を調査し, 効果的な喫煙防止対策を模索することを目的とする。【研究方法】対象は神奈川県内の看護系大学1年生と短大2, 3年生の320人で, 2003年2〜3月に質問紙調査を実施した。倫理的配慮のもとに同意が得られた264人からの回答を集計, 解析した。【結果】現在喫煙している人を喫煙群, 今まで喫煙したことがない入を非喫煙群, 1ヵ月以上禁煙している人を禁煙群と分類した結果, 喫煙群39人(14.8%), 非喫煙群203人(76.9%), 禁煙群22人(8.3%)であり, 短大生の喫煙率, 禁煙率は大学生に比べ有意に高かった。また, 喫煙群では家族, 特に母親の喫煙率が他の群に比べ有意に高く, 「痰が絡む」「咳が出やすい」「食事がおいしくない時がある」「寝起きが悪い」という身体症状も有意に高かった。FTND(Fagerstrom Test for Nicotine Dependence)によるニコチン依存度評価では, 5人が重度依存に該当した。【考察】喫煙状況は学年や学歴による違いが示唆された。また, 将来母になる可能性のある学生に情報提供することと家族を交えた禁煙教育の必要性が示唆された。ニコチン重度依存者に対しては, 適切な治療を開始するための情報提供とサポート体制を整える必要がある。