著者
荒牧 憲隆 山本 健太郎 平 瑞樹 林 泰弘 根上 武仁
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.309-322, 2014 (Released:2014-09-30)
参考文献数
28

宮崎県と鹿児島県の県境,霧島山中央部に位置する新燃岳において,2011年1月19日から始まった52年ぶりの噴火は,新燃岳火口から南東方向に大量の火山灰を降らせた。発生した火山灰の量は,4,000万~8,000万tと推定されており,宮崎県南部周辺の広範囲で降灰が確認されている。この突発的な火山災害により,斜面等に降り積もった火山灰堆積地盤での降雨や火山性地震による安定問題や処分された火山灰のリサイクル方法が重要な課題となってくる。本研究は,上記のことを鑑み,新燃岳より噴出した火山灰を用いて,新燃岳火山灰質土の物理・力学性質を実験的に検討し明らかにすることを目的としている。その結果として,噴火直後の火山灰質土の物理・力学特性は,砂質土と概ね類似した傾向を示し,リサイクル材として有用な材料であることが示された。しかし,火山灰質土特有の性質も包含しており,凍結融解の繰返しにより火山灰質土が細粒化していくことが認められ,物理的な風化の影響により材料特性が経時的に変化していくことが予想される結果となった。
著者
山本 大介 土井 美和子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.43-50, 2008-01-15
参考文献数
6
被引用文献数
1

本報告では,2007年7月に開催された,RoboCup世界大会サッカーシミュレーションリーグの参加報告を行う.まず,RoboCup世界大会の概要を紹介する.特に,サッカーシミュレーションについて詳しく紹介する.その中で,筆者が参加した2DリーグとPVリーグについて報告する.最後に,参加報告のまとめを行う.
著者
山本 太郎 関良 明 高橋 克巳
雑誌
研究報告コンシューマ・デバイス&システム(CDS)
巻号頁・発行日
vol.2012-CDS-5, no.19, pp.1-8, 2012-10-10

我々は,情報工学と社会科学の学際的アプローチにより,インターネットを利用する際の 「安心」 に関する研究を行っている.その一環として,不安を制御することによる安心の獲得を実現するための現実的なソリューションを検討するにあたり, 23 種類の実在ネットワークサービスの各利用者を対象として,各サービスにおける不安に関する Web アンケート調査を 2011 年に実施した.本論文では,そのうちソーシャルゲームサイト・複数参加型オンラインゲーム各 2 種について,それぞれ不安を感じるサービス利用者各 78~120 名が,どのような不安を,どのような理由で感じ,どのような解決策を望んでいるのか等について,調査結果を提示するとともに,得られた知見と考察について言及する.
著者
山本 和也 薄井 宏行 浅見 泰司
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.688-695, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
11
被引用文献数
1

今日では、高齢者の生活の質を維持するため、高齢者の歩行距離を軽減してモビリティを確保することが重要な課題の一つとなっている。公共交通機関の利用に伴う歩行距離を軽減する施策の一つとして、路線バスのフリー乗降制の導入が挙げられる。本研究では、フリー乗降制が導入されているバス路線における利用者の総所要時間を求めるモデルを構築した。また、都市部を走行する横浜市青葉区のみたけ台線に対してモデルを適用し、利用者の総所要時間を最小化するフリー乗降区間の配置を求めた。モデルの適用結果から、時間帯ごとにフリー乗降区間の配置を変えることで、総所要時間と総歩行時間を共に短縮できることが明らかになった。
著者
山本 忠 漆間 貴史 幸本 重男 山田 和俊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.4, pp.760-763, 1989-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
18
被引用文献数
1

A new method for the preparation of (Z)-4-alkylidenebutenolides is described. Coupling reaction of acetylenic stannanes with enol triflates of β-keto esters gave the corres ponding (Z)-2-alken-4-ynoates which were hydrolyzed and then subjected to cyclization in the presence of HgO to give moderate yields of (Z)-4-alkylidenebutenolides.
著者
土居 大夢 加藤 恒夫 山本 誠一
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.23-24, 2019-02-28

バスや電車など振動環境下でスマートフォンを操作する際,タップした座標が意 図した位置から大きくずれることがある.このタップ位置ずれを,スマートフォ ンの加速度センサから取得した加速度信号に対する線形予測分析と,無相関化し た加速度信号の重回帰分析により補正する方式を提案する.路線バス車内で10名 の実験協力者から収集した加速度信号とタップ位置のデータより個人毎に線形予 測分析と重回帰分析を行った結果,タッチスクリーン上の2軸それぞれのタップ 位置ずれについて,真値と推定値との相関係数0.40を得,補正により位置ずれの 平均平方二乗誤差を1.92mmから1.44mmに25%削減した.
著者
佐野 主一 立川 博邦 木之瀬 正 相野田 隆雄 宮崎 吉規 山本 安幸 池田 昌弘 赤羽 賢浩 藤野 雅之 鈴木 宏
出版者
山梨医科大学医学会
雑誌
山梨医科大学雑誌 = 山梨医科大学雑誌 (ISSN:09120025)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.125-130, 1988

症例は58歳男性,海外渡航歴なし。右側腹部痛,発熱を主訴に昭和60年10月当科入院。入院時検査所見では WBC 28300,CRP 6(+),梅毒反応陽性,HBs抗体陽性であった。US,CTで,肝右葉に径7cmと4cmの中心部壊死を思わせる局在性病変を認め,肝膿瘍と診断。ドレナージ施行。膿汁の鏡検でEntamoeba histolyticaを確認。内視鏡検査にて腸管病変は確認し得なかったが,糞便の鏡検でも同様の原虫を認めた。このため metronidazole 1500mgを18日間,tinidazole 2000mgを11日間投与した結果自覚症状は消失し,白血球数も正常化し,CT上膿瘍腔の縮小化も認めた。現在は再発なく外来通院中である。近年アメーバ性肝膿瘍は男性同性愛者に多発すると報告されているが,本例では確認し得なかった。
著者
山本 隆太
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

I. システム思考と地理教育 地理学習にシステム思考(あるいはシステム論、システムアプローチなど呼称は様々)を導入するという考え方は、1992年の地理教育国際憲章をきっかけとして、世界各国に共通する地理教育的価値観の一つとして認識されている。とくにESD(Education for Sustainable Development)でもシステム思考が重視されていることを受けて、最近では日本やフィンランドの地理カリキュラムの構想にシステムという言葉が登場してきている。こうした地理教育におけるシステム思考については、ルツェルン大学のRempflerらがドイツ語圏で展開している地理システムコンピテンシー研究が国際的にも先駆的な取り組みとして知られている。Armin Rempflerらは地理システムコンピテンシー研究開発プロジェクトを2011年から立ち上げ、システムについての概念的、地理教育的、コンピテンシー開発論的な観点からそれぞれ検討を行っている。   II. 地理学におけるシステム概念の議論不全と社会生態学 プロジェクトの初期段階では、地理学におけるシステム概念の検討が進められた。ドイツでは自然地理学と人文地理学の乖離すなわち総合的な地理学の在り方が、2000年頃のミュンヘン大学地理学部統合問題をきっかけとして大きな議論を呼んだ。これまでの地誌学や景観論、地生態学がこうした総合的な役割を担ってきたという主張があるが、実際には地理学が求める自然地理学と人文地理学を統合するための理論が欠けており、あらためて両地理学領域の乖離を埋め、総合的地理学を具体化するためには、システム論を用いた社会環境研究が必要であるという見方が共有された。そこで、Rempflerらはこの社会環境研究と同等のアプローチを採用している社会生態学を参照し、そこからシステムにまつわる諸概念を借用した(開放性、オートポイエーシス、モデル化、複雑系、非線形、ダイナミズム、創発、境界、自己組織化臨界、限定的予測と調整)。これらシステムにまつわる諸概念を元に、地理システム思考の理論的フレームワークを構築した。   III. 教育理論によるコンピテンシーモデル開発 1)      次元階層モデルの構築 社会生態学から見出されたシステム諸概念のフレームワークは、規範教育理論に基づいて次元階層モデルとして再構築された。システムの諸概念を学習することによって身につけられるコンピテンシーが4つの次元として位置づけられるとともに、その学習プロセスを示唆する3段階が示された。さらに、具体的な教材開発にあたってはこのモデルでは複雑すぎるため、教育的削減によって次元数が4から3に削減されるなど、簡素版の次元階層モデルが構築された。 2)      コンピテンシーモデルの実証研究 次元階層モデルがコンピテンシーモデルとして有効であるかを検証するために、実証試験用問題が作成された。試験問題はパイロット試験(サンプル数=954)の結果をフィードバックするかたちで改善され、結果的には17類型(テーマ)、全147問が完成した。これを用いた本試験(サンプル数=1926)の結果、コンピテンシーの次元数はさらに削減され、「システムの組織と挙動」、「システムに適応した行動をとる意志」からなる2次元のモデルが開発された。   IV. システム思考を用いた教材の検討 2次元コンピテンシーモデルに基づいて開発された教材「ソマリアの海賊」は、コンセプトマップ作成、ジグソー学習、限定合理性に基づいた解決策考案などの観点が含まれた学習で単元構成されている。複雑な課題の解決を学習する場合はシステム思考が有効であることが示唆された。
著者
磯前 順一 小倉 慈司 苅田 真司 吉田 一彦 鍾 以江 Pradhan Gouranga 久保田 浩 山本 昭宏 寺戸 淳子 岩谷 彩子 小田 龍哉 藤本 憲正 上村 静
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

西洋近代に由来する人権思想の世界的な普及にもかかわらず、当の西洋においても、あるいは日本などの他のさまざまな地域においても、差別(人種差別だけでなく、いじめや戦争、 テロまでを含む)が依然としてなくならないのは、なぜだろうか。本研究では、これまで「聖なるもの」と「俗なるもの」の二分法で説明されてきた「宗教」と「社会」とのありかたの理解を、日本宗教史と世界諸地域の比較宗教史との学問の蓄積からあらたに問いなおし、現代社会における公共性の問題と結びつけて検討する。そのことで、公共空間における差別と聖化の仕組みがあきらかになり、より具体的な公共性のあり方についての議論が可能になることが期待される。
著者
辻本 広紀 平木 修一 木下 学 愛甲 聡 小野 聡 山本 順司 長谷 和生
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.711-715, 2009-07-30 (Released:2009-09-08)
参考文献数
19

sepsisに派生する免疫抑制状態は,時に重篤な多臓器障害を併発するため,それらの病態形成メカニズムの解明やそれに基づいた対策が重要である。そこでsepsisに続発する免疫抑制状態に関して,制御性T細胞(以下,Treg)の役割に着目して,最近の文献および著者らの検討結果を概説した。TregはCD4+CD25+Foxp3+などの特徴を有し,ほかのT細胞の増殖・活性化を強力に抑制すると考えられている。sepsis患者や腹膜炎マウスの末梢血では,Tregの割合が著明に増加しており,この増加がsepsisにおける免疫抑制状態に深く関与しているものと考えられる。抗IL-10抗体や抗TGF-β抗体投与は,腹膜炎マウスで認められるTregの増加を阻害することができ,さらに抗TGF-β抗体投与により予後が改善した。sepsisに派生する重篤な免疫抑制状態に対して免疫学的特徴,特にTregに着目したimmunomodulation therapyは,今後sepsisの救命率向上に向けた新たな治療法となりうるものと考えられる。
著者
森園 哲也 山田 陽滋 山本 貴久 梅谷 陽二
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.69, no.679, pp.705-712, 2003-03-25

There are many tasks in which cumbersome protective suits or large mass of objects to be manipulated obstruct "intuitive" skills such as picking up and grasping. Workers engaged in such tasks are distressed for inefficiency or early fatigue. However, the efficiency or fatigue will be improved if they can perform their intuitive skills even in those tasks by wearing an intelligent machine. Based on this idea, we proposed the concept of the wearable robot "SkilMate". This paper proposes a new type of mechanism named "wearable HEXA" as a prototype shoulder joint of the SkilMate. This mechanism is designed wearable and to give no constraint caused by geometrical factors for a wearer, so that movements of his/her shoulder necessary for the intuitive skills are not impeded and interfered. Detail of the mechanism and its design process are described, and evaluation for an experimental mechanism manufactured along the design process is demonstrated.