著者
豊田 真吾 立石 明広 熊谷 哲也 菅野 皓文 山本 祥太 千葉 泰良 森 鑑二 瀧 琢有
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
脳神経血管内治療 (ISSN:18824072)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.285-288, 2014

要旨: 【目的】今回我々は,脳血管内治療における3D ワークステーションの微細な術中操作を目的として,ワイヤレスマウスを活用したため報告する.【症例】2013 年8 月から2014 年6 月までの脳血管内治療連続70 例を対象とした.3Dワークステーション専用コンピュータにワイヤレスマウスレシーバーを接続,ワイヤレスマウスを用いてテーブルサイドで3D ワークステーションの術中操作を行った.本法により,テーブルサイドでも操作室のコンソールと同様に,3D ワークステーションの微細な術中操作が可能であった.【結論】本法は,脳血管内治療を効率的に行う一助となると考えられた.
著者
土沢 一実 渡辺 孝章 渡辺 一郎 山本 和子 新井 高 中村 治郎
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.1120-1130, 1986-12-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
41
被引用文献数
7 2

スクラッビング法による歯ブラシについて, 第1報として毛の直径と毛の先端形態の違いがブラッシング圧とプラーク除去効果にどの様な影響を与えるかを検討した。歯ブラシの直径 (0.18mm, 0.25mm, 0.33mm) と毛の先端形態 (ラウンドカット, ストレートカット) の異なる合計6種類の歯ブラシを試作した。被験者12名にブラッシングを行わせ, 前後のプラークのスコアーを測定し, プラ本論文の要旨は, 第28回春期歯周病学会総会 (1985年6月6日) において発表した。ーク除去率を算出した。ブラッシング圧は渡辺のブラッシング圧測定装置を用い計測した。その結果, 毛の直径が太くなるほどプラーク除去率もブラッシング圧も有意に高くなった (P<0.01) 。ラウンドカットの方がストレートカットに比べ, ブラッシング圧は高い傾向を示した (P<0.01) 。プラーク除去率は, ラウンドカットの方が高くなる傾向を示した。
著者
山本 未陶 八木 稔 筒井 昭仁 中村 譲治 松岡 奈保子 埴岡 隆
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.410-416, 2015-10-30 (Released:2018-04-13)
参考文献数
34

本研究の目的は3歳から5歳までの間に発生した乳歯のう蝕の予測に関連する要因をコホート研究にて明らかにすることである.対象は2004年に福岡県内7施設の保育所・幼稚園に通う満3歳児185名とし,3歳時に保護者へ実施した自記式質問紙調査結果および3歳時と5歳時の定期歯科健康診断結果が確認できた151名(男児78名,女児73名)を解析対象とした.乳歯う蝕有病者数は3歳時が53名(35.1%),5歳時には84名(55.6%)に増加した.2年間に新たな乳歯う蝕が発生した者は75名(49.7%)であった.乳歯う蝕経験歯数(dft)の増加の有無と,質問紙調査項目および3歳時のdftの有無それぞれとの間で二変量のχ^2検定を行い,p<0.2であった項目を説明変数として,う蝕有病状況に応じた次に示す二通りの多変量ロジスティック回帰分析を行った.まず,全員を対象とする多変量解析モデルでは説明変数として3歳時にdftあり(odds比10.7,95%CI 4.54〜25.48,p<0.001)のみが選択された.つぎに,3歳時の非う蝕有病者98名(64.9%)を対象とするモデルでは説明変数として歯磨剤の使用なし(odds比2.7,95%CI 1.10〜6.76,p=0.030)のみが選択された.3〜5歳の乳歯う蝕発生には3歳時点でのう蝕経験の有無が影響しており,3歳までの乳歯う蝕予防が重要である.本研究でみられた歯磨剤によるう蝕予防効果は,配合されているフッ化物によるものと思われた.よって,3歳以降の乳歯う蝕有病率の増加抑制には3歳以前からのフッ化物配合歯磨剤の使用が有効と考えた.
著者
辰巳 寛 佐藤 正之 前島 伸一郎 山本 正彦 波多野 和夫
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.243-252, 2017-09-30 (Released:2018-10-01)
参考文献数
108

19 世紀フランスの外科医 Paul Broca (1824 ~1880) による Leborgne とLelong の臨床神経病理学的報告は, 今日の「失語症学aphasiology」あるいは「言語の神経心理学 neuropsychology of language」の誕生に大きく貢献した。前頭回の一つ (おそらく第三) , une circonvolution frontale (probablement la troisième) を「構音言語の座 le siège de langage articulé」として推究した Broca は, その領域の部分的損傷により惹起する特異な話し言葉の喪失 perte de la parole をaphémie と名付けた。 Broca の aphémie は, Armand Trousseau (1801 ~1867) によるaphasie/aphasia (失語症) への呼称変更を経て, Carl Wernicke (1848 ~1905) による感覚失語sensorische Aphasie, および伝導失語 Leitungsaphsie の記載, その後の Ludwig Lichtheim (1845 ~1928) の失語図式 Wernicke-Lichtheimʼs AphasieScheme (1884) による古典的失語論の萌芽とともに, 当初 Broca が提唱した言語病理像とは些か様相の異なる「皮質性運動失語 kortikale motorische Aphasie」として位置付けられ, 以後広く認知されるに至った。 Broca の独創的研究から派生した失語学的問題の幾つかは, 現代に至っても決定的解答は得られておらず, 失語症研究の最重要テーマとして存在し続けている。
著者
山本 文子 Yamamoto Ayako ヤマモト アヤコ
出版者
大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室
雑誌
年報人間科学 (ISSN:02865149)
巻号頁・発行日
no.30, pp.119-135, 2009

ビルマにはナッと呼ばれる精霊や神に対する信仰があるとされている。しかし、実際のビルマの人びとの多くは、ナッの実在に対しているかいないかわからないと考えたり(不確定性)、存在しないと考えたりしている(非実在性)。本論文では、ナッの実在に対して不確定、あるいは非実在の立場をとる語りをもとに、従来のナッ信仰の人類学的研究(スパイロの心理学的アプローチ、ナッシュの社会的機能によるアプローチ、田村の象徴論的アプローチ)が想定してきたナッ信仰と、実際のビルマにおけるナッの実在に対する多くの人びとの否定的認識には隔たりがあることを指摘する。この隔たりは、他者の信念の記述可能性を論じた浜本によるコミュニケーション空間という概念から説明できる。浜本によれば、人類学者が他者の慣行Sについて「彼らはSを信じている」と記述するとき、その話者のコミュニケーション空間において、Sが真とみなされないと想定していることを意味する。反対に他者の慣行Pが話者のコミュニケーション空間において真とみなされるとき「彼らはPを知っている」と記述される。精霊の実在の不確定性や非実在性は、「彼らは~を信じている」とは表わされてこなかった、つまり、精霊の実在を信じる人だけが問題化され、そうでない人(精霊の実在を不安定、非実在とする人)が問題化されなかったのは、「信じる」という語に込められていた人類学者の側の認識によると説明できる。
著者
米丸 亮 カラガン 徳代 黒石 正子 荒幡 篤 宮崎 聡 山本 誠
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.220, 2009

新幹線運転士の停止位置ミスが睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome : SAS)に起因したことが判明したことを契機に,我が国においても社会的問題が次々と明らかとなり,SAS が注目されるようになった。本研究では職場作業の安全管理上SAS に関心の高い某事業場の従業員183名に対してアプノモニターにてスクリーニングを実施した。事業場の産業医の指示にて実施したアプノモニターのデータを,当院の医療連携室を経由して生理検査室にて分析した。被検者183名中アプノモニターによる無呼吸/低呼吸指数(Apnea/Hypopnea Index : AHI)が5以上15未満を示す要指導者が28名(15%)存在した。AHIが40以上を示す者はいなかったが,15以上40未満を示す者が18名(10%)認められ,当院においてPolysomunography(PSG)検査を実施した。PSG によるAHI が10以上の者が10人認められ,SAS と診断された。SAS の有病率は5.5%(10/183)であった。また,AHI が20を超える者5名については,CPAP を導入した。至適CPAP 圧はマニュアルタイトレーションにより決定し,平均7.9cmH2O であった。CPAP 導入によりAHI は平均27.8から平均3.7に低下し,AHI の減少率は87%であった。CPAP導入患者については,定期的外来管理を継続しており,日中帯での眠気を認めていない。必要に応じ在宅での状況をメモリーチップに記憶させ,当院にてその後AHI の経過観察に利用している。事業場の健康管理センターと地域連携を構築し,症状が乏しい従業員に対して効率の良いSASの診断,CPAP 治療の導入により,地域の健康増進に貢献できると考えられた。
著者
山本 和美 中井 吉英
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.147-152, 2021 (Released:2021-03-01)
参考文献数
4

慢性疼痛患者に対して, 身体を活用するマインドフルネスアプローチを実施した事例を紹介した. マインドフルネス瞑想により, 痛み感覚に受容的な注意を向けて観察する心の姿勢が育まれ, 痛み感覚への注意の固着や破局的な認知が緩和されて痛みに対する自己効力感が高まった. 痛みとの関わり方を模索しながら, 生活習慣の改善, 自己の性格・行動傾向や症状発現の背景への気づきに至った過程を内受容感覚の視点も交えて考察した.
著者
山本 吉道 中山 正広 岩井 健浩
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
no.21, pp.39-44, 2005
被引用文献数
1

The great earthquake of M9 was generated in the North Sumatra offing at 7: 58 on December 26th, 2004, and the serious tsunami calamity was produced in every coast of Indian Ocean. We report on the damage survey that we carried out from January 9th to 12th in Thai western coast where typical tsunami damage was produced.<BR>(1) The tsunami height of Khoa Lak coast was about 9m on the sea level, and almost all walls and pillars of buildings within 30m of coastal line were toppled. The flood region had reached to lkm or more inland.<BR>(2) The tsunami height of Patong beach was about 6m on the sea level, and almost all walls and pillars of buildings within 30m of coastal line were not toppled but the flood depth was about 2m.<BR>(3) The tsunami height of Phi Phi island is 6-7m on the sea level at the north side and 3.5-5m on the sea level at the south side.
著者
山本 憲子 中塚 えりか 白井 恒雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.8, pp.1226-1230, 1983-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
7
被引用文献数
2

大気中のアンモニア定量法として,インドフェノール吸光光度法をとりあげ,分析感度および再現性の向上を目的として,最適諸条件を決めた。とくに,発色液の最適pHについて検討を行ない,リン酸緩衝液を用いてpH10.5~11.7に調節することにより,感度および精度ともすぐれたものとなり,大気中アンモニアの測定に適用が可能となった。また,発色温度を通常の室温から40~50℃に上げることにより,発色時間は90分間から30分間となり,分析操作も迅速化された。大気捕集法としてインピンジャー法について検討を加え,大気中濃度レベル(1.0~15.0ppb)においても,インピンジャー2本を用いれば再現性のよい90%以上の捕集効率が得られることが確認された。本法により,横浜市において20箇月間測定をつづけた。アンモニア濃度は夏期には10ppb以上となり,一方,冬期には1~2ppbとほぼ一定した低い値を示した。すなわち,季節によるアンモニア濃度の変動は気温の変化とほぼ同様の動きを示し,このことからもアンモニアはおもに土壌から発生していると思われる。