著者
山田 裕子 前島 伸一郎 片田 真紀 阿部 泰昌 爲季 周平
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.244-250, 2007-09-30 (Released:2008-10-01)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

脳梗塞による右大脳半球損傷で失語症を伴わない口腔顔面失行を呈した症例を報告した。症例は64 歳の右手利きの男性で,左手利きの家族性素因はなかった。神経学的には顔面を含む左片麻痺と左半身の感覚障害を認めた。神経心理学的には,口腔顔面失行,左半側空間無視,注意障害,構成障害を認めた。失語症や観念失行,観念運動失行はなかった。頭部MRI では右中大脳動脈領域の広汎な梗塞巣が認められた。本症例の言語機能は左半球優位に,口腔顔面の随意運動に関する機能は右半球優位に側性化されている可能性が示唆された。一般的に口腔顔面失行は失語症に伴うことが多く,発語に関する半球に密接に関連すると考えられているが,言語と口腔顔面の随意運動に関する神経機構は互いに独立して存在しうるものであると考えられた。また失行の中でも口腔顔面と上肢の行為の神経機構は異なる半球間に側性化されていると考えられた。
著者
金 惠英 藤野 陽三 勝地 弘 SIRINGORINGO Dionysius Manly 山田 均 大越 秀治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.107-120, 2021 (Released:2021-02-20)
参考文献数
31
被引用文献数
1

本研究は,まず,Large Eddy Simulation (LES)により橋桁上にある車両の周辺流を再現し,車両に対する空気力を求め,次に,その空気力を用いた車両の動力学的安定解析から横転,横滑り,ヨーイング現象の発生限界風速を求めている.その結果,1)車両周りの流れ場は,橋桁の端部から剥離するせん断流の影響を強く受け,車両の車線位置により流れ場が大きく変わり,そのため車両に作用する空気力特性も大きく異なる.次に,2)5質点7自由度の車両モデルに,得られた空気力を作用させ,横転,横滑り,ヨーイングの不安定モードの発生限界風速を求め,3)3つのうち,ヨーイングが支配的な不安定モードであり,限界風速は風上側車線に位置するときが最も低く,風下側車線に位置が変わるにつれ高くなることが分かった.

1 0 0 0 OA 諸国奇譚集

著者
山田貞夫 著
出版者
弘報館
巻号頁・発行日
1909
著者
氏野 智也 小島 梨沙 山田 俊幸 田中 将史 中山 尋量
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

目的:血清アミロイドA(SAA)は肝臓で合成される全長104残基からなるタンパク質である。生体内でアミロイド線維を形成し、アミロイドーシスの原因となることが知られている。マウスでは、SAA分子のカルバモイル化が、細胞培養系においてアミロイド線維形成を促進すると報告されている。本研究では、ヒトSAAのカルバモイル化が構造特性やアミロイド線維形成に及ぼす影響を検討する。方法:構造特性に及ぼす影響を調べるため、二次構造及びその熱安定性を円二色性分散計により評価した。また、リポソームと混合することによって、脂質結合に伴う二次構造の変化を調べた。アミロイド線維形成に及ぼす影響を調べるため、チオフラビンTを用いた蛍光測定を行うとともに凝集体の形態を電子顕微鏡により観察した。さらに、SAA分子で最もアミロイド線維形成に関与すると考えられているN末端領域に相当するSAA(1-27)ペプチドを用いて、N末端アミノ基のカルバモイル化の影響を調べた。結果:低温では安定性に違いが認められたものの、生理的温度では脂質への結合の有無に関わらず二次構造にほとんど変化が認められなかった。蛍光測定ではどちらもチオフラビンTの蛍光を示しているにも関わらず、二次構造や凝集体の形態に違いが認められた。SAA(1-27)ペプチドのN末端アミノ基のみのカルバモイル化でも、全長タンパク質と同様の傾向を示したことから、N末端アミノ基のカルバモイル化がアミロイド線維の形成過程や形成される線維の構造や形態に違いをもたらすことが示唆された。考察:SAA分子、とりわけN末端アミノ基のカルバモイル化は生体内での構造には影響しないが、SAA由来のアミロイドーシスの発症に影響する可能性があることが示唆された。今後は、酸化など生体内で起こりうる他の化学修飾がSAAの構造や機能に及ぼす影響をさらに検討する。
著者
永井 富裕子 青井 裕美 國見 聡子 河村 彩 山田 敦子 小泉 朱里 山口 貴史 須賀 新 糸賀 知子 西岡 暢子
出版者
日本産科婦人科内視鏡学会
雑誌
日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 (ISSN:18849938)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.525-528, 2013 (Released:2014-06-16)
参考文献数
11

Atypical polypoid adenomyoma (APAM) is an endometrial tumor that arises from the uterine corpus or cervix in premenopausal woman. Although APAM is pathologically benign, it should be distinguished from atypical endometrial hyperplasia and complex invasive endometrial adenocarcinoma (G1) because these conditions are similar and often coexist. We report a patient with APAM treated with hysteroscopic transcervical resection (TCR). The 28-year-old nullipara patient had hypermenorrhea for 1 year and genital bleeding for 3 months. Ultrasound and MRI revealed a 27 mm×12 mm tumor in the uterine cavity, which was considered to be an endometrial polyp or submucosal myoma. TCR was performed after GnRHa administration for 3 months. Pathological diagnosis showed APAM. Dilatation and curettage was performed 1 month after surgery, showing several residual atypical glands of APAM. The patient was followed every 3 months, and no recurrence of APAM has been detected for 1.5 years. Although clinical management of APAM has not been established, TCR is a reliable procedure for conservative treatment under careful follow-up.
著者
兼子 唯 中澤 佳奈子 大月 友 伊藤 大輔 巣山 晴菜 伊藤 理紗 山田 和夫 吉田 栄司 貝谷 久宣 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.43-54, 2015-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、社交不安障害(SAD)を、全般型(GSAD)と非全般型(NGSAD)のみでなく、自覚された生理的覚醒の高低で分類し、社交不安症状、注意バイアスの違いを検討することであった。SAD者16名と健常者6名を対象に質問紙調査と修正ドット・プローブ課題を実施した。課題では、自動的/統制的処理段階における否定的評価、肯定的評価、生理的覚醒に対する注意バイアスを測定した。分散分析の結果、GSAD・NGSAD・健常者の比較、自覚している生理的覚醒の高・低・健常者の比較では有意な差は示されなかった。しかし注意バイアス得点を0と比較した結果、NGSAD群は自動的処理段階で肯定的評価に対して、自覚された生理的覚醒の高いSAD群は統制的処理段階で生理的覚醒に対して、注意バイアスが大きいことが示された。この結果から、SADの状態像を検討する必要性とそれぞれに有効な介入方法について考察された。
著者
山田 光胤
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.505-518, 1996-01-20

医療は専ら西洋医学を修めた医師によって行うこととし, 漢方を学んでも医師の資格は与えないという明治政府の処置によって, 明治16年 (1883) 以降漢方医学を学ぶ者は次第に絶え, 我が国の伝統医学・医療は絶滅に瀕した。 これは, 日本人の特に当時の政府人の西洋崇拝, 伝統蔑視の思想が強く関与しているものと思われた。 このような風潮は, 現在でも引き継がれていると考えられる。 しかし, 幕末から明治にかけて, 日本漢方を西洋医学と対比するに, 外科手術の面は別として, 内科的治療のレベルは, むしろ日本漢方が優れていた。 この具体的な症例を, 浅田宗伯は著書『橘窓書影』の中に記録している。 そのような時流の中で, 東洋医学を学んで医師となった和田啓十郎は, 漢方医学の有用性・重要性を唱えて, 明治43年 (1910), 『医界之鉄椎』を著した。 この書は実に, 漢方医学復興の一粒の種子となった。 金沢医専出身の医師・湯本求眞は, この書によって啓発され, 和田門下となって生涯を漢方医学の究明と, それによっての患者の治療に尽し, 昭和2年, 『皇漢医学』3巻を著した。 この書は, 西洋医学の知見を混えて, 傷寒諭, 金匱要略の解釈を中心にした, 漢方最初の現代語による解説書である。 湯本の『皇漢医学』は, その後の我が国に於ける漢方医学の復興に, 大きな影響を及ぼしたのみでなく, 中国に於ても, その伝統医学の温存にカを与えたといわれる。 ともあれ昭和年代初頭では, ごく僅かな生き残りの漢方医と数名の医師によって, 漢方医学が伝承されていたが, やがて, 漢方復興の機運が, 次第に醸成され, 種々な運動が起こった。 昭和11年 (1936), 当時新進の漢方医学研究者が志を同じくし, 漢方医学復興を目指してその講習会を開催した。 偕行学苑と名付けられたが, 翌年より拓大漢方講座と名を改めた。 この漢方講座は, 昭和19年 (1944) 迄8回, 毎回約3ヵ月乃至4ヵ月間ずつ開催され, 第2次大戦後の昭和24年 (1949) に, 第9回紅陵大学漢方講座として15日間開催された。 通算9回, 700名以上の有志が聴講し, 中からはその後, 漢方医学界の柱石となる人物も輩出した (筆者も, 戦後の第9回講座を, 医学生の身分で聴講した)。 第2次大戦前の昭和16年, 南山堂より『漢方診療の実際』という書が発行された。 この書は, 従来の「証」に随って治療する漢方の本質から一歩踏み出して, 現代医学的病名に対して, 使用した経験のある漢方処方を列挙して解説している。 当時とすれば画期的な漢方医学の解説書であった。 そして, 第2次大戦後, 昭和29年 (1954) に改訂版が発行された。 さらに昭和44年 (1969) に発行された『漢方診療医典』(南山堂)は, 漢方診療の実際を大改訂した書である。 これらの書を通じて解説された, 現代医学病名に対応して用いられる漢方処方の延長が, 現在の日本で, 大量に使用されている漢方製剤の応用なのである。 これらの書が, 現代日本漢方に及ぼした影響は多大なものがある。 その『漢方診療の実際』初版は, 大塚敬節, 矢数道明, 木村長久, 清水藤太郎の共著となっている。 これらの著者達こそ, 拓大漢方講座講師団の中核であって, その後の漢方復興運動を成し遂げた人達である。 それらの人達の系譜こそはまた, 現代日本漢方の正統でもある。 即ち大塚敬節は, 湯本求眞門下の古方派の学統を継ぎ, 木村長久は, 明治の大家・浅田宗伯の直門・木村伯昭の嗣子で折衷派の学統を継ぎ, 矢数道明は, 大正時代に活躍した漢方医・森道伯の流れを汲む後世派・一貫堂の後裔であった。(敬称略)
著者
山田 恒久
出版者
独協大学法学会
雑誌
獨協法学 = Dokkyo Law Review (ISSN:03899942)
巻号頁・発行日
no.98, pp.巻頭3p, 2015-12
著者
山田 博 杉野 信孝 井本 廣麿 今田 吉紀
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州歯科学会雑誌 (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1-8, 1980-05-25 (Released:2017-12-22)

我々は南米インカ人骨と思われる頭蓋骨1コ, 下顎骨5コについて調査した.その結果を要約すると次のごとくである.1. 頭蓋骨の計測結果によると, 頭長幅示数では短頭型, 頭長高示数では高頭型であった.またコルマン氏上顔示数では中上顔型, 眼窩は高眼窩型, 鼻は広鼻型, 口蓋は広口蓋型であった.2. 後頭部においてはインカ骨ならびに多くの縫合骨が認められ, 骨全般の縫合状態はきわめて緩かであった.3. 頭蓋骨に残存している6本の歯はやや大きく, 咬耗も少なく, 且つ智歯はまだ萌出していない.従って, 頭蓋骨は20才前後の若年者ではないかと思われる.4. 5コの下顎骨はいずれもがっしりした構造をしており, 特に下顎枝の発達がよく, 咀嚼筋の停止部は強い粗面を呈していた.また, 下顎切痕示数値は低い数値を示し, 切痕が浅いことが認められた.5. 歯は現代人にくらべやや大きく, 特に智歯が大きく, 退化的形態はあまり認められなかった.また歯の咬耗は, No.1, 2, 3が最も強く, いずれも40才代前後の熟年者だと考えられる.No.4は咬耗が少なく, 智歯も未萌出で, 20才前のものと考えられる.No.5は30才代以上の熟年者ではないかと思われる.
著者
山田 稔
出版者
The Society of Fiber Science and Technology, Japan
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.P315-P322, 1989-07-10 (Released:2008-11-28)
参考文献数
6
著者
小林 重人 山田 広明
出版者
地域活性学会
雑誌
地域活性研究 (ISSN:21850623)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-10, 2015-03

本稿の目的は、非常設型カフェの利用者の地域愛着を高めることで、利用者の地域に対する協力意向を形成する過程が効果的に機能するカフェの経験と利用者の属性を明らかにすることである。そのため、非常設型カフェの利用者に対してアンケート調査を実施した。分析結果から、地域外に居住する利用者の協力意向の形成には、地域の魅力となるメニューの提供と知らない他者とのコミュニケーションが寄与することを示した。また、これらの二要素に対する肯定的評価と地域愛着には有意な相関があることを示した。以上の結果から、地域愛着が中立である利用者の協力意向の形成には、カフェにおいて二要素を経験させることが効果的であると結論付ける。
著者
山田 佳弘
出版者
身体運動文化学会
雑誌
身体運動文化研究 (ISSN:13404393)
巻号頁・発行日
vol.14.15, no.1, pp.47-59, 2009-09-30 (Released:2022-03-31)
参考文献数
15

The students in the class are primarily beginners of Kyudo. The method of implementing time limitation has been used mainly with these students. Recently, some of the students could not improve their techniques. For beginners, one of the reasons for difficulty or lack of improvement is due to the difficulty in making the “Kai" form, which is the maximum drawn position of a bow. To make the “Kai" a strong physique is needed. “Kai" is the form when the shooter is standing before shooting an arrow. The resistance of the bow becomes greatest in “Kai". One of the reasons for Kyudo's difficulty is that the resistance of the bow is a big load for the body. Kyudo requires muscle sense. Beginners cannot readily learn this sense. Learning this skill is particularly difficult because there is a limitation on the number of classes at university.Due to these time constraints, coaching methods were developed for these beginning students to teach them all at once a number of skills. “Yatsuka-Himo" was adopted as the teaching method for classes. “Yatsuka" is the reasonable length that each person pulls a bow at “Kai". Beginners can learn “Kai" with these materials and expect immobilization. “Yatsuka-Himo" utilizes a hemp string and makes rings to the build of the user's physique. The student uses a “Yatsuka-Himo" rings with both thumbs. The student practices the shooting method and enlarges the rings of the string with both thumbs. The completion of the “Kai" form was made with the rings of the string stretched with both arms. The beginner can learn the form from an initial stage by using “Yatsuka-Himo". It was noticed students who had used “Yatsuka-Himo" tended to have a more complete, balanced form than students who did not use it. Based on the questionnaire given to students it was found that there was value in having student use “Yatsuka-Himo."
著者
小堀 正雄 高橋 厳太郎 岡本 健一郎 増田 豊 細山田 明義
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.563-567, 1987-08-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
6

濃厚赤血球液を使用する場合, 稀釈する溶液として一般に生理食塩水が用いられる.しかし, 大量輸血の場合には稀釈液による電解質の負荷が増す.そのため, 稀釈液に電解質を含まない糖質を使用した場合の赤血球の溶血度および溶液中のカリウム値の変化を測定した.20歳代男性からCPD液用採血バックに採血し, 採血当日血, 保存1週間目, 3週間目の3群に分けた.実験に先立ち, 血漿成分の影響をとり除き, 赤血球の抵抗性を調べるため洗浄赤血球液を作成した.添加する溶液は生理食塩水をコントロールとし, 10%マルトース液, 5%キシリトール液, 5%, 10%グルコース液とした.10%グルコース液以外は血液との浸透圧比は1である.これらの溶液を洗浄赤血球液と同量加え, 室温で2, 6, 24時間放置し, 各溶液の遊離ヘモグロビン値, カリウム値を測定した.その結果, 10%マルトース液, 5%キシリトール液は保存期間, 放置時間をとわず, 遊離ヘモグロビン値, カリウム値は生理食塩水とほぼ同様の傾向を示した.しかし, 5%グルコース液では, 血液の保存期間をとわず, 2時間後にはすでに高度な溶血を示した.一方, 10%グルコース液は比較的溶血が少なく, 溶質の赤血球内への流入により添加溶液の低張化がある程度抑えられたことが示唆された.また, キシリトール液, グルコース液でpHの異った溶液を作成し, 遊離ヘモグロビン値の差を測定した.その結果, 溶液中のpH5~9の範囲内では, 血液の溶血度には何ら影響がないことが示唆された.
著者
吉村 耕治 山田 有子
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3+, pp.204, 2020-05-01 (Released:2021-09-06)
参考文献数
2

新しい色名は,いつの時代でも創られている.21世紀の日本車の新色名に,「グロリアスグレーメタリックモリブデン鸞鳳(らんぽう)」や「デミュアーブルーマイカメタリックモリブデン瑞雲(ずいうん)」がある.これらは最高級車センチュリーの色名で,その塗装には日本の伝統工芸の漆塗りを参考に,層を重ね,研ぎと磨きを加えることで奥深い艶や輝きが追求されている.そして,敢えてカタカナと漢字を併用することによって,高級感が表出されている.その他にも,「シリーンブルーマイカ摩周(ましゅう)」や「ブラッキッシュレッドマイカ飛鳥」などもある.四季や時の移り変わりによる景色の変化が,車のボディカラーにも表現されており,トヨタのジャパンカラーセレクションパッケージ(12色)には,「紅,仄(ホノカ),茜色,天空(ソラ),群青,紺碧(アオ),白夜(ビャクヤ),翡翠(ヒスイ),常磐色(トキワイロ),胡桃(クルミ),黒曜,白光」が用いられている.21世紀になってから,「白夜,白光,夜霞」なども車のボディカラーとして採用され,「エモーショナルレッド」や「アティチュードブラックマイカ」のような感情を表出する色名が増加している.