著者
山田 静之 木越 英夫
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.13-21, 1995-01-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
22

Synthetic studies on the bracken ultimate carcinogen (3) and its artificial analogues (32, 33) are described. The synthesis of (-) -ptaquilosin (2) the aglycon of a potent carcinogen ptaquiloside (1) from bracken and its (+) - enantiomer (ent- 2) was achieved starting with (+) -dimenthyl (1R, 2R) -cyclopentane-1, 2-dicarboxylate. Dehydration of ptaquilosin (2) under weakly basic conditions led to the ultimate carcinogen (3). DNA cleaving activities of both enantiomers (3) were compared, the one (3) derived from natural (-) -ptaquilosin (2) being more efficient. Reactivities of the ultimate carcinogen (3) toward DNA are described. DNA was shown to be alkylated at the particular sites of purine bases and to undergo cleavage. The molecular mechanism of DNA cleavage with the ultimate carcinogen (3) was disclosed using deoxytetranucleotide d (GTAC) as a model DNA substrate.
著者
中響 子 米満 文哉 山田 祐樹
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
pp.36.5, (Released:2017-09-20)
参考文献数
16

Facial attractiveness is influenced by various personal and environmental factors. The present study investigated whether the gender environment surrounding observers affected facial attractiveness judgments. Students at single-gender (58 females) and mixed-gender (59 males and 46 females) universities participated in the experiment. Each of 15 male or female faces was morphed, respectively, with a female or male averaged face derived from the other 14 female and male faces, resulting in feminized and masculinized faces. Observers were simultaneously presented with one masculinized and one feminized morphed face and asked to judge which was more attractive. The results showed that students at a women's university judged feminized male faces as significantly more attractive than did students in a coeducational university. The present findings suggest that adaptation to female faces in a single-gender environment increases the processing fluency of female faces, therefore inducing higher preference.
著者
神楽岡 澄 大森 正子 高尾 良子 山田 万里 室井 雅子 長嶺 路子 深澤 啓治 永井 恵 和田 雅子 星野 斉之 吉山 崇 前田 秀雄 石川 信克
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.611-620, 2008-08-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
27
被引用文献数
1

〔目的〕結核対策事業の展開を軸にDOTS事業成績を評価し,都市結核対策のあり方を検討する。〔方法〕ハイリスク者結核検診の受診率と患者発見率の推移を検証した。DOTS拡大の前後で,治療成績を比較するとともに,再治療率と薬剤耐性率の推移を検討した。〔結果〕新宿区の結核罹患率(2006年)は人口10万対425までに低下したが,全国の罹患率と比較すると依然2倍以上の高さである。日本語学校検診およびホームレス検診からの患者発見率はともに有意に低下していた。治療成績のうち脱落率は,DOTS実施前には17.9%(1998~99年)と高かったが,65%(2002~04年)に減少した。再治療率は2000~06年にかけて23.0%から7.8%へ,年平均17.2%の減少(p<0.001)を示した。多剤耐性率は2000~02年から2003~06年にかけて1.6%から0.2%(p=0.042)へ,その他の耐性率は12.0%から9.7%(p=0.298)へ低下した。〔考察〕ハイリスク者結核検診による患者の早期発見・早期治療に加えて,地域の関係者と連携を図りながらライフスタイルに合った様々な服薬の支援方法を開発し,患者自身が選択できるDOTS方式を推進した。その結果,脱落率,再発率の低下につながったと考えられる。耐性率の低下の要因については,感染ルートの検証も含めてさらに検討する必要があろう。
著者
矢内 純太 岡田 達朗 山田 秀和
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.673-680, 2012-12-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
19
被引用文献数
4

日本の農耕地土壌の元素組成を明らかにし,その土壌型・土地利用・地域との関係を調べるために,日本全国から採取した水田あるいは畑の表層土壌計180点について,20元素の全濃度を分析した.すなわち,微粉砕試料を硝酸・フッ化水素酸・過塩素酸で湿式分解後,溶液のAl, Fe, Ca, Mg, Ti, P, Mn, Ba, V, Sr, Zn, Cu, NiをICP-AESで,K, Naを原子吸光法でそれぞれ定量した.全Se濃度は,試料の硝酸・過塩素酸分解液を2,3-ジアミノナフタレンと反応させた後シクロヘキサンで抽出し,HPLCで定量することにより求めた.全C, N濃度は乾式燃焼法で測定し,Si, O濃度は計算により求めた.主要10元素は,中央値で504g-O kg^<-1>, 291g-Si kg^<-1>, 76.6g-Al kg^<-1>, 36.8g-Fe kg^<-1>, 24.8g-C kg^<-1>, 15.0g-K kg^<-1>, 14.3g-Na kg^<-1>, 11.9g-Ca kg^<-1>, 8.78g-Mg kg^<-1>, 3.82g-Ti kg^<-1>となり,全体の98.7%を占めた.他の10元素の中央値は,2.15g-N kg^<-1>, 1.43g-P kg^<-1>, 705mg-Mn kg^<-1>, 394mg-Ba kg^<-1>, 140mg-V kg^<-1>, 125mg-Sr kg^<-1>, 90.5mg-Zn kg^<-1>, 24.5mg-Cu kg^<-1>, 14.3mg-Ni kg^<-1>, 0.42mg-Se kg^<-1>であった.この値は,日本の農耕地土壌の元素組成の代表値とみなされた.土壌型別では,黒ボク土でAl, Fe, C, N濃度が比較的高く,沖積土でSi, K, Ba濃度が比較的高いこと,また赤黄色土でCa, Mg, Na濃度が極めて低いことが示された.土地利用別では,畑土壌の方が水田土壌よりもAl, Fe, C, Ca, Mg, Ti, N, P, Mn, V, Se度が有意に高くSi, K, Ba濃度が有意に低かった.ここで,ほぼ同一地点で採取された25組の水田・畑土壌についてはどの元素濃度も有意差はなかったため,上記の違いは管理よりも土壌型の違いによるものと判断された.地域別では,元素組成データに基づくクラスター分析により,1)沖縄2)北海道・東北・関東・中国・九州,3)北陸-中部・近畿・四国の3グループに分かれることが示された.以上の知見は,持続的な食料生産や環境保全の推進のための基礎情報として重要であると結論された.
著者
細川 敏幸 山田 邦雅 宮本 淳
出版者
北海道大学高等教育推進機構
雑誌
高等教育ジャーナル : 高等教育と生涯学習 (ISSN:13419374)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.69-73, 2018-05

Japanese universities are recommended to introduce an assessment policy to certify the quality of education. The policy should have a checklist that shows the methods used to assess the degree of achievement of the diploma policy. We describe an example of the checklist in detail in this paper. It shows the important role of a survey of the students, including a questionnaire for alumni. It is important in this assessment that the survey uses common questionnaire items. It also should report the results of the assessment and ideas for educational reform. This will be the last step to create a PDCA cycle in our education system.
著者
山田 周治 忽那 一代
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.27-35, 1998-08

京都大学附属図書館では、平成8年度から世界へ向けて情報発信を目指した電子図書館システム(京都大学エンサイクロペディア)を計画し、平成10年3月より正式公開した。このシステムの主要な機能の1つである新しいデータベースとして、附属図書館の所蔵する貴重資料の画像テータを含んだマルチメディアデータベースがある。このデータベースの作成を電子図書館の公開に先行して平成8年度科学研究費で実施した経緯を報告する。併せて画像データ作成テスト結果の概要を報告する。
著者
所 雄章 香川 知晶 西村 哲一 佐々木 周 村上 勝三 山田 弘明 持田 辰郎
出版者
中央大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

デカルトの『省察』のラテン語原典(「Meditationes de Prima Philosophia」)のー共同作業によるー包括的な研究、それがわれわれの目的であって、過去二回(昭和58ー60年度と昭和63年度と)の実験を承け、今回は「第五省察」(昨年度)と「第六省察」(本年度)とをその対象とした。彼のこの形而上学的主著についてわれわれは、(イ)字句の釈義を踏まえたテクストの正当的な読み方の探求、(ロ)それら二つの「省察」に含まれる本来的に哲学的な諸問題の問題論的究明、という二つの作業とを軸として、即テクスト的な研究を遂行した。先ず、「テクストの読み」という点について言えば、この作業は主として研究代表者が担当したが、その際、語句の釈義と併せて、『省察』の古典的な(duc du Luynesの)仏訳本は固よりのこと、近時公刊の英訳書や仏訳書における原テクストの(言うならば、新しい)読み方をも参照し、かつまた古版本ー1642年の初版本や1642年の二版本ーと現行のAdamーTannery版とのテクスト的異同も視野のうちに置いた。次に、「哲学的な諸問題の究明」という点について言うと、「第五省察」と「第六省察」とにおいては、「神存在の存在論的証明」と「デカルトの循環」と「<物心の実在的な区別>によるデカルト的<二元論>」と「<物心分離>的アスペクトと<物心結合>的アスペクトとのデカルト的<二元性論>」とが最も重要な問題であるが、それら四つを主要な対象とする究明の作業は、担当の研究分担者がその問題に係わる今日の代表的なデカルト史家幾人かの解釈を要約したリポ-トを元にして全員で討議し、全員のいわば最大公約数的なーあるいはむしろ、最小公倍数的なー見解を集約するという、そういう仕方で推進された。以上の二点を軸とする研究成果の委細は、テクストの即テクスト的な研究というわれわれの研究の性格上、「実験報告書」の閲読に俟つ。
著者
山田 晋也 大竹 正剛 大場 孝裕 山口 亮 大橋 正孝
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物と社会 (ISSN:24240877)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-5, 2013-12-20 (Released:2017-06-16)

We evaluated the stress in deer that were captured using corrals, foot snare traps, grand hunt, and sharp shooting by determining the cortisol and creatine kinase levels. The means of the cortisol levels were 2.5±1.3μg/dL, 11.3±5.3μg/dL, 2.1±2.5μg/dL, and 0.4±0.1μg/dL for deer captured using corrals, foot snare traps, grand hunt, and sharp shooting, respectively. The means of the creatine kinase levels for deer captured using corrals, foot snare traps, grand hunt, and sharp shooting were 93.5±129.1×10^3U/L, 253.6±303.3×10^3U/L, 46.6±70.1×10^3U/L, and 2.6±2.0×10^3U/L, respectively. The means of the cortisol levels of the deer captured using corral, grand hunt, and sharp shooting were significantly lower than that of the deer captured using foot snare traps (p<0.01). The mean of the creatine kinase levels of deer captured using corrals was significantly higher than that of the deer captured using sharp shooting (p<0.01), but was equal to that of the deer captured using foot snare traps and grand hunt.
著者
鈴木 悠平 山崎 勇一 橋爪 洋明 大山 達也 堀口 昇男 佐藤 賢 柿崎 暁 山田 正信
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.108-114, 2015-01-05 (Released:2015-01-05)
参考文献数
20

症例は70歳,女性.末梢の冷感,痺れに対してサプリメント(金時しょうが®)の内服を開始.内服2カ月後より上腹部違和感,食欲低下,褐色尿などの症状が出現.内服中止するも改善せず,中止12日後に当院紹介受診.黄疸,肝機能障害を認め入院.精査の結果,金時しょうが®による薬物性肝障害と診断.保存的治療により改善,第25病日退院となった.退院前に施行した肝生検では薬物性肝障害に矛盾しない組織所見であった.
著者
山田 明義 小林 久泰
出版者
日本森林学会
雑誌
森林科学 (ISSN:09171908)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.41-42, 2008
参考文献数
16
著者
田中 邦煕 新谷 洋二 山田 清臣
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.255-262, 2000-05-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
7

本報文は筆者らが検討をつづけてきた「城郭石垣の安定性判定手法」に関して, 現時点で最も実用性が高いと考えられる手法をその手順・注意事項・問題点などについて具体的に例示・解説したものである. この手法は地盤工学方面で広く用いられている「円弧すべり法」と「もたれ擁壁設計法」とを準用するものであり, 老旧石垣を現代土木工法を併用して修復復元するときに, 工法選定・改良範囲・目標強度などを比較検討することも可能であり有用性が高い.
著者
山崎 彬 山本 和弘 山田 明文
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.369-375, 1995-05-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
25

餅の劣化は製造後の熱的環境に大きく依存することが知られている.これは熱により,餅の中の水の存在状態が変化し,復元性が喪失されるものと考えられる.本研究は餅の熱による劣化度を,温度と導電率との関係により数値化しようとしたものである.製造直後の餅から60℃, 1時間の熱処理の繰り返しにより,劣化度の異なる4種類の餅のサンプルを作成し,0℃以下で凍結させながら導電率を測定した.その結果,水分が41.5-44.0%の場合,凍結により導電率の急減する温度点が離水による劣化の程度と密接に関係し,餅の劣化を示す指標となることを確認した.また,離水状態の確認のために行なったDSC, DTA,および酸に対する溶解度もこの傾向を裏付けるものであった.さらに,無添加で製造された種々の餅について食味テストで判断した結果,3回の熱履歴を受けたサンプルが品質限界と考えられ,このサンプルの導電率の急減開始温度点は,-6.0±0.5℃であった.