著者
西川 明美 吉田 浩子
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.72-78, 2017 (Released:2017-09-15)
参考文献数
16

本研究の目的は,産後1カ月の母親の母乳育児不安とそれに関連する諸要因を心身健康科学の視点から分析し,母乳育児不安の低減につながる知見を得ることであり,産後1カ月の母親196人を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した(回収率100%有効回答183人有効回答率93.4%).有効回答者183人を分析したところ,57.9%(106人)に「母乳育児不安」が見られ,関連要因として,出産経験,仕事復帰予定,出産準備教室参加経験,退院時・1カ月時の栄養方法,睡眠の状況,育児に対する楽しさの実感の有無が挙げられた.さらに,母乳不足ぎみ,乳頭・乳房痛,赤ちゃんの飲み方,乳頭保護器の使用が不安の直接要因であった.これらのことから,育児経験のない初産婦が出産直後から退院時までの短期間で新生児に対する育児技術を習得することは困難な可能性が示唆された.
著者
杉田 収 中川 泉 飯吉 令枝 斎藤 智子 小林 恵子 佐々木 美佐子 室岡 耕次 坂本 ちか子 杉田 靖子 曽田 耕一 濁川 明男
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
看護研究交流センター年報
巻号頁・発行日
vol.17, pp.6-13, 2006-07

化学物質過敏症(CS)発症者の発症原因になった化学物質と,発症者が反応する空気中化学物質との関連性を,空気中の化学物質56項目を分析することで検証した.その結果,発症原因化学物質と思われる一般名テブコナゾール,化学名a-[2-(4-クロロフェニル)エチルトa-(1,1-ジメチルエチルト1H-1,2,4-トリアゾールートエタノールにはヒドロキシル基(-OH)と塩素(C1)が存在した.一方発症者が「入れる建物」と「入れない建物」のそれぞれの空気中化学物質の分析比較から,発症者が反応する空気中の化学物質は,ヒドロキシル基を有するブタノールと塩素を有するトリクロロエチレンであることが推定された.上越市立小学校全児童12,045名のCSに関連する症状について,無記名アンケートによる実態調査を行った.回収数は10,348名分(回収率85.9%)であった.CS診断基準では主症状5項目,副症状9項目,さらに眼球運動や化学物質の微量負荷試験などの検査が取り入れられているが,ここでは一般市民向けアンケート用であることから「検査」を省略し,診断基準に準じた症状の13項目について,それぞれ「大いにある」「ある」「少しある」「全くない」の選択肢で調査した.各項目について「大いにある」「ある」を「症状あり」とした場合は,主症状2項目・副症状4項目以上,及び主症状1項目・副症状6項目以上の児童は21名(0.2%)であった.一方「少しある」を加えて「症状あり」とした場合は618名(6.0%)であった.
著者
皆川 明子
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.363-371, 2015-03
著者
枝川 明敬
出版者
日本地域学会
雑誌
地域学研究 (ISSN:02876256)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.355-370, 2016

<p>The reconstruction of local communities, including how to deal with problems of depopulation, has always been a major political issue in Japan. In order to tackle this issue, the government embarked on a "regional revitalization" project. The "Grand Design of National Spatial Development towards 2050," the core of Japan's national planning efforts, and the cultural strategy "Plan for the Revival of an Energetic Japan through Culture and Art" make it necessary to "foster an attachment toward the local community and make the best of the lifestyle and culture of the community, which are supported by tradition and creativity." Amid globalization in various areas and for regional revitalization and reconstruction, regional cultural activities can improve the creativity and energy of local communities and such regional cultural activities can become the source of regional revitalization.</p><p> I have studied folk cultural properties that have taken root in local communities almost every year since 2010, and previously discussed the situations of their conservation and extinction. During this process, I examined spontaneous development, in which folk cultural assets lead to regional identity and industrial and cultural resources unique to each region lead to citizen-driven development of local communities. This research is an extension of these surveys, and involves a nationwide sampling survey of high quality amateur and professional activities that have been subsidized by the Agency for Cultural Affairs and arts/culture development funds, carried out in 2014. The 190 amateur activities and 216 professional activities were compared in relation to migration and financial situations of local governments. As a result, I revealed that local governments that face depopulation or financial difficulties promote cultural activities more avidly. In 23 prefectures, which account for two thirds of the prefectures with a population of approximately 3 million, local cultural activities were initiated by the prefectural government. However, the national government's new subsidy through the "Communities, Sages & Jobs" policy, started from fiscal year 2016 to revitalize local communities, is expected to be ill-fitting for the actual conditions of the communities and not become a subsidy for cultural activities, because subsidies are small and include evaluation taxes that are unsuitable for cultural activities.</p><p>JEL Classification:H54, R51, R53, Z11</p>
著者
大野 民生 石川 明 山縣 高宏 並河 鷹夫 富田 武
出版者
Japanese Association for Laboratory Animal Science
雑誌
Experimental Animals (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.123-129, 1992-04-01 (Released:2010-08-25)
参考文献数
8
被引用文献数
9 9

行動異常変異形質がスンクスの実験室系統において発見された。行動異常個体は左右両方向への旋回行動と水平方向の首振り行動を特徴としており, 少なくとも生後10日齢において, 明確に判別できた。これら異常個体は生涯, 安定的かつ継続的に異常行動を示した。交配実験により, この行動異常形質は常染色体性の単一遺伝子座の劣性遣伝子により支配され, 浸透度は完全であることが判明した。さらに家系解析により, この遺伝子は沖縄県宜野湾市で捕獲した1匹の野性雄個体に由来することが判明した。そこで, この行動異常形質を「Waltzing」と命名し, 遺伝子記号wzを提唱した。Waltzing個体は旋回行動や首振り行動のほかに, 尾を持って持ち上げると体を頻繁にくねらせたり, 水中で頭部をまったく水面上に維持できない行動を示す。それ故, 一連の異常行動は平衡感覚器の異常と関係があると予想された。しかし, 行動異常個体は, 妊娠期間・産仔数・離乳率および体重についてほぼ正常であり, 毎世代30匹以上から成る閉鎖集団 (WZライン) として育成されている。
著者
前川 明弘 畑中 重光 三島 直生 湯浅 幸久
出版者
コンクリート工学
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.24-32, 2008

ポーラスコンクリートはその内部に連続空隙を有し, 植生ブロック, 透水性舗装など様々な分野での利用価値が高く, 新たな用途開発が積極的に行われている材料である。しかしながら, これまでのポーラスコンクリートに関する研究では, 使用する粗骨材粒子径が2.5~20mm程度の範囲であり, 得られる空隙径にも限界があった。そこで著者らは, ポーラスコンクリートの適用範囲を大幅に拡大させることを目的として, 骨材粒径を小粒径から大粒径 (骨材粒径範囲 : 0.6~400mm) まで変化させたポーラスコンクリートの製造方法や各種特性について検討した。本稿では, 粒径400mm程度のコンクリートがらを使用した大粒径ポーラスコンクリ。トの製造と, 魚礁ブロックとしての適用性について紹介する。
著者
衛藤 久美 中西 明美 藤倉 純子 松下 佳代 田中 久子 香川 明夫 武見 ゆかり
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.252-266, 2019-05-15 (Released:2019-06-11)
参考文献数
17

目的 埼玉県坂戸市が2006年より女子栄養大学と協働して取り組んできた,坂戸市全小・中学校における「坂戸食育プログラム」(以下,食育プログラム)の評価を行い,これまでの成果と今後の課題を明らかにすることを目的とした。方法 本プログラムの対象は,小学5年生から中学2年生の全児童生徒である。本研究では,2006年度から2014年度に実施された児童生徒および教師対象の調査データを用い,経過評価および影響評価を行った。食育プログラムの授業実施状況および学習者の反応を把握するための調査(調査A),食育プログラム実施者のプログラムに対する反応として,小・中学校教員の食育プログラムへの関わりによる変化を確認するための調査(調査B)のデータを用いて経過評価を行った。4年間の児童生徒の学習効果を確認するための追跡調査(調査C),各学年の児童生徒の学習効果を確認するための前後比較調査(調査D),4年間の食育プログラム学習後の生徒の状況を把握するプログラム終了後調査(調査E)のデータを用いて影響評価を行った。活動内容 小学校の4年目ならびに中学校の2年目に教員が回答した授業実施状況について,授業が指導案通り「実施できた」クラスが7割以上,教材を「すべて使用した」クラスが8割以上,学習内容を児童生徒たちが「ほぼ理解できた」クラスも5割以上だった。小学校教員ならびに中学校男性教員は,研修会参加や授業実施経験がある者において「食育への関心が高くなった」と回答した者の割合が高かった。児童生徒の学習効果について,4年間の食育プログラムの学習効果はみられなかったが,各学年の食育プログラム学習前後に,具体目標②「健康を考え,バランスの良い食事をとろう」に関する食態度が改善した。終了後調査より,4年度すべて9割以上の中学2年生生徒が,食育プログラムを「学習してよかった」と回答した。結論 食育プログラムは,継続的に実施され,教員の食育への関心を高めることに役立っていると示唆された。児童生徒は,授業に多く含まれる目標「健康を考え,バランスの良い食事をとる」ことに関する食態度で有意な変化がみられた。今後は,学習内容の改善や,継続的な食育プログラムの実施体制の推進の他,学校を拠点とし,児童生徒の家族等他世代へも波及するような食育の検討が必要である。
著者
鈴木 琢也 井口 圭一 木下 琢也 石川 明洋
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.3Pin101, 2018

<p>建築物の安全性を支える構造に関する技術の理解には,高度な専門的技術・知識を必要とする。そのため,一般の人々から理解されにくいものとなっている。しかし,技術者が構造解析の結果や意味をよりわかりやすく伝えることができれば,一般の人々はより正しく「安全」を理解し,今以上に「安心」を得ることができると考えられる。「いかにわかりやすく伝えるか」は,建築技術者にとって重要な課題といえる。 本報では,新たにタッチで出来る構造最適化アプリケーションの対戦版を提案し,そこで利用する対戦コンピューターの戦略ロジックを決定するために実施した,各種最適化手法の適用性検討結果を報告する。</p>
著者
市川 尚斉 武藤 周 篠崎 一雄 松井 南 中澤 美紀 近藤 陽一 石川 明苗 川島 美香 飯泉 治子 長谷川 由果子 関 原明 藤田 美紀
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.428, 2007

優性突然変異を引き起こすミューテーションは、遺伝子ファミリーを形成する遺伝子群のゲノム的機能解析など、遺伝子破壊型のタギング法では表現型が現れない遺伝子の機能解析に欠かせないテクニックである。我々は総合的な遺伝子の機能付加を目指して、約1万種の独立シロイヌナズナ完全長cDNAからなる標準化cDNAライブラリーをアグロバクテリアのバイナリーベクター上で作成した後、このバクテリアライブラリーをシロイヌナズナに花感染させることでシステマティックに形質付与を起こさせる方法として、Fox Hunting Systemを開発した。T1世代の植物を15,000ライン以上観察したところ、可視変異の起きた1,487ラインを単離した。そのうち本葉でうす緑色の変異を起こした115ラインに関して次世代植物の観察を行ったところ、59ライン(51%)が優性もしくは半優性にT1表現系を再現した。cDNAの再導入によって表現型が再現したラインの1つは、ペールグリーンの性質の他に花芽形成が早まり、徒長成長も示すことが判明した。遺伝子配列を解析したところ、このcDNAは未知の遺伝子で分泌たんぱく質様の構造を持つ95アミノ酸配列の小型のたんぱく質をコードしていることがわかった。この新規機能遺伝子を例にしてFOX-hunting systemの有効性を議論する。
著者
海瀬 俊治 菅野 久美子 安達 清子 阿部 雅子 服部 修作 丹治 義勝 富田 健 柵木 智男 松川 明
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.67-70, 1993-10-20 (Released:2012-08-27)
参考文献数
13

人間ドックにおける梅毒血清反応生物学的偽陽性(BFP)例について検討した。1989年度から1991年度までの3年間に当所人間ドックで受診した14,337名中26名(0.18%)にBFPが認められた。BFP例の検査成績や質問表を検討したところ,習慣性流産や血小板減少などより4例が抗リン脂質抗体症候群と考えられた。BFP例に遭遇した場合のこのような症候群の存在についても考慮すべきと思われた。
著者
大塚 栄子 若林 利明 田中 正治 田中 俊樹 押柄 和幸 長谷川 明 池原 森男
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.318-324, 1981-02-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
25
被引用文献数
7 14

2'-and 3'-O-(o-Nitrobenzyl) derivatives of uridine, cytidine, adenosine and guanosine were synthesized by treatment of uridine, N-benzoylcytidine, N-benzoyladenosine and N-isobutyrylguanosine, respectively, with o-nitrophenyldiazomethane followed by isolation and deblocking. 3'-O-(o-Nitrobenzyl) guanosine is a novel compound. By using N-acylated nucleosides, separation of the 2'-and 3'-substituted isomers on silica gel became feasible and these compounds were useful intermediates for the synthesis of oligoribonucleotides. Some physical properties of these compounds were studied by ultraviolet, nuclear magnetic resonance, circular dichroism and the 2'-substituted isomers were found to have more stacked structures than the 3'-isomers.
著者
市川 貴大 市川 明日香
出版者
Japanese Institute of Landscape Architecture
雑誌
ランドスケープ研究(オンライン論文集) (ISSN:1883261X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.12-17, 2013 (Released:2013-04-06)
参考文献数
48

Forest leaf litter collections and composting have been carried out as maintenance activities in Satoyama, Japan. The purpose of this study is to clarify the degree of trampled forest leaf litter and changing of chemical characteristic and microbial activity differences between trampled and not trampled forest leaf litter in Satoyama. Microbial activity (Absorbance at 490nm = A490) of composting forest leaf litter rose to below the composting after one year regardless trampled and not trampled. Trampled forest leaf litter had no effect on the changing of the chemical and biological characteristics of composting beyond a limit of period (about 6 month). In the composting first stage, forest litter collections have been compressed because of trampling, resulting in confirming an increase of content weight and microbial activity. The carbon mineralization and huminification was promoted by means of trampling forest leaf litter. Hence, trampled forest leaf litter was an effective contribution toward composting during the first stage.
著者
柳澤 千香子 押見 雅義 鈴木 昭広 齋藤 康人 礒部 美与 高橋 光美 洲川 明久
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.G0439, 2007

【目的】当センターは、高度専門医療を中心に対応しており318病床を有する。2004年に感染症対策委員会の下に実行的な組織として、Infection Control Teamが医師・看護師・各部門のコメディカル・事務職員により編成された。職業感染・針刺し事故・教育および研修・抗生剤の適正使用・院内感染の監視等に関する活動を行っている。重要な活動の一つに多職種を対象とした感染管理教育があげられる。教育活動として全職員を対象とした院内研修会の他、各部門においても研修を行い啓蒙に努めている。今回リハビリ部門において標準予防策に基づき衛生的手洗い方法の研修を行った。その後、手洗いの教育効果の実態把握と意識調査について評価を行った。【方法】対象はリハビリ部門の職員7名(リハ医・PT)。事前に衛生的手洗い方法について6ヶ月前にビデオ資料を用いて指導を行っていた。実技の評価として、手洗いミスは蛍光塗料とブラックライトを組み合わせた機械(Glitter Bug)を用いて3段階の評価を行った。行動・意識の評価として、手洗い方法の基本動作・手順については16項目(波多江ら2000)、日常業務において手洗いが必要と思われる場面の施行は15項目(掛谷ら2004から抜粋)について、それぞれ最近1ヶ月の実施率についてアンケートを行った。【結果】1.手洗いミスの評価は、A判定(爪の付け根等を残してほとんど落ちている)0名・B判定(手首、指の間等一部に残っている)4名・C判定(全体に残っている)3名であった。2.手洗い方法の基本動作・手順については、ほぼ実施していると答えた割合が80%以上の項目は、ゴミ箱にふれずにペーパータオルを捨てる・半袖の着用・爪のカット・水はねに注意する・洗面台に手を触れないの5項目のみであった。また0%だったのは、水道水は2~3秒流してから手を洗う項目であり、他にも実施していないと答えたものが8項目あった。3.日常業務において手洗いが必要と思われる場面での手洗いは、ほぼ実施していると答えた割合が80%以上の項目は排泄介助後・トイレをすませた後の2項目のみであった。また実施していないと答えたものが12項目あった。【考察】院内感染対策において、手洗いは最も基本的であり重要である。今回の結果より、衛生的手洗い方法について指導を行っているにも関わらず6ヶ月後には正しく行えていなかった。指導方法が知識の伝達だけで実技を取り入れていなかったため、習得できていなかった可能性もあるが、教育効果の継続は難しいことが明らかだった。医療従事者の手指からの交差感染のリスクを減少させるためには、他に速乾性擦式手指消毒薬併用を積極的にすすめる必要がある。手洗いに対する基本動作や意識についても認識が低く、必要性についての理解や意識の改善を促す必要があった。手洗い行動を習慣化させ、知識や技術を習得できるよう繰り返しの再教育の実施は必要と思われた。<BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR>
著者
杉田 収 中川 泉 濁川 明男 曽田 耕一 室岡 耕次 坂本 ちか子
出版者
室内環境
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.137-145, 2007
被引用文献数
1 3

上越市立小学校の全児童(6才~12才)12,045名を対象に, 化学物質過敏症(Multiple Chemical Sensitivity:MCS)様症状を示す児童数を調べるアンケート調査を実施した。またMCSとの関連性が注目されている花粉症, アレルギー,「特に嫌いな臭い」を持つ児童数も合わせて調査した。調査票の回収数は10,348名分(回収率85.9%)であった。調査票で尋ねたMCS様症状は, 厚生省長期慢性疾患総合研究事業アレルギー研究班によるMCSの診断基準に記載された症状を, 児童の保護者が回答しやすい症状表記に改変して尋ねた。その結果MCS様症状を示す児童数は979名で回答児童の9.5%であった。また花粉症は19.3%, 花粉症を含むアレルギーは47.6%, 「特に嫌いな臭い」を持つ児童は32.7%であった。<BR>MCSはアレルギーとは異なると考えられているが, MCS様症状を示す児童でアレルギーを持つ児童は63.7%であった。一方MCS様症状を示さない児童でアレルギーを持つ児童は46.3%で両児童群に有意の差があった。同様にMCS様症状を示す児童は「特に嫌いな臭い」を60.5%が持ち, その症状を示さない児童は30.6%であり, 同じく有意の差があった。MCS様症状を示す児童, アレルギーを持つ児童, 及び「特に嫌いな臭い」を持つ児童の割合は, いずれも高学年になるほど上昇していたことから, 小学校児童の高学年ほど化学物質に敏感になっていると考えられた。
著者
立川 明
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A, 教育研究 (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.1-26, 2006-03

定説では,19世紀の半ば以降に登場するランド・グラント・カレジは,1828年のイエィル・レポートが定式化した古典的カレジにとって替ったといわれる.本論では,こうした定説に疑義を差し挟み,定説とは反対にランド・グラント・カレジの構想はイエィル・レポートの主張の延長線上にあり,後者の提案の具体化でさえある,と主張する.イエィル卒のジョナサン・ボールドウィン・ターナーは1851年,科学と文芸の諸原理こそ優れた教育の基礎であるとの原則を応用して「産業大学論」を公表した.産業大学を中心として,ワシントンの中央研究所と産業諸階級とを結ぶ教育体系を提唱したターナーは,宗教に基づくかつての「公共性」に替えて,知の共和国に基づく新しい「公共性」を高等教育に打ち立てたのである.