著者
昆 慶明 平田 岳史 小宮 剛 安間 了 丸山 茂徳
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2008年度日本地球化学会第55回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.300, 2008 (Released:2008-09-06)

『生命』、『海』、『プレートテクトニクス』と並んで、『花崗岩質大陸地殻』の存在は地球を特徴付ける要素であり、その生成プロセスを明らかにすることは地球史を解明する上で非常に重要である。 本研究では、LA-MC-ICPMSを用いてタイタオ半島花崗岩から分離したジルコンの局所Hf同位体比測定を行った。その結果ジルコンの177Hf/176Hfは、現在沈み込む海洋地殻の値と誤差範囲で一致し、およそ0Maのモデル年代が得られた。このモデル年代は花崗岩マグマの原岩がマントルから分離した年代を反映することから、タイタオ半島花崗岩マグマの原岩は古いモデル年代を持つ下部地殻ではなく、沈み込む海洋地殻であることが確かめられた。
著者
味香 修 堀内 知一 岩井 一 平田 雄志 真田 秀夫
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学 (ISSN:03759253)
巻号頁・発行日
vol.32, no.10, pp.954-962, 1968-10-05 (Released:2010-10-07)

化学機械メーカーは, エンジニアリング会社, 単一機器メーカー, コンストラクター (建設会社) の三種に大別できる。現在, 化学工業の広い分野に対応するために専門化が非常に進みつつあるが, 一方コストダウンのため装置がintegrationしつつある。この専門化とintegradonとをいかに両立させるかということが, 工業プラントを経済的に有利に建設する鍵になっている。技術資料を収集し消化して, 経済的なプラントの設計を目的とするエンジニアリング会社で化工出身者に必要なことは, 基本としては, 安全, 経済, 運転を考えた設計能力を有することである。最近, 経済性を要求されることが多くなって来たので, 設計の手法としてコンピューターが頻繁に利用されており, また, コンピューター制御の方式も徐々に取入れられつつある。一方, 工場全体のintegrationになると, 電気, 土木, 建築の分野の人によってプロジェクトシステムがとられるが, プラントを経済的に使い易いものとするために中心となるのは, 化工出身者である。
著者
佐藤 章 今井 良二 中溝 喜博 平田 正
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.765-770, 1979-03-25 (Released:2008-03-31)
被引用文献数
2 5

Guanine and xanthine nucleoside derivatives (3, 4 and 6) bearing nitrosourea functional groups were synthesized from guanine nucleoside ureas (2) obtained by the reaction of 2'-deoxy-2'-aminoguanosine (1) with isocyanates and their antitumor activity against sarcoma-180 solid tumor and leukemia L-1210 were determined. Among the compounds tested, 2'-deoxy-2'-[3-(2-chloroethyl)-3-nitrosoureido]-xanthosine (4b) found to have the most potent activity. Moreover, very slight decrease in white blood cells of mice bearing sarcoma-180 solid tumor was observed after administration of 4b.
著者
本田 春彦 仙道 美佳子 高橋 絵理 平田 ちあき 植木 章三
出版者
東北文化学園大学
雑誌
保健福祉学研究 (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.51-61, 2005-03-31
被引用文献数
2

本研究は,身体機能と抑うつとの間にどのような関連があるのかを明らかにするために,宮城県S町に在住する75歳以上の在宅高齢者281人を対象に,面接調査と体力測定を実施した.握力,10M最速歩行時間,UP&GO,開眼片足立,長座位体前屈の体力測定項目や老健式活動能力指標の得点といった身体機能と老年うつ病スケール(Geriatric Depression Scale)の得点に着目し,分析をおこなった結果,抑うつ症状と関連している身体機能は歩行機能であり,また生活機能の低い群は高い群に比べうつ傾向が高いことが明かとなった.また,身体機能の状態を良好に保つことが抑うつ傾向を予防することにつながると考えられた.
著者
平田 昌弘 Hirata Masahiro
出版者
京都大学ヒマラヤ研究会
雑誌
ヒマラヤ学誌
巻号頁・発行日
no.11, pp.61-77, 2010

The food intake of agro-pastoralists was surveyed in the hilly high altitude of Ladakh,northern India tounderstand the characteristics of those subsistence,to discuss their adaptation strategy to high altitudecircumstances and to reconsider the pastoralism theory through the case study of transhumance. The characteristicsof their food intake are 1) the daily food intake is composed by 5 times such us morning tea,breakfast,lunch,evening tea and dinner,2) they don't take any meat in normal daily life, 3) necessary nutrients are mostly suppliedby taking beans,fresh and dry vegetables,milk products and cereals,4) cereals contribute mostly to the nutrientintake,5) the intake of purchased wheat and rice become bigger than self-supplied barley,6) the milk products usedas butter salty tea and sweet milk tea has been important traditional food resources to supply fat to their intake,7)beans are important to supply protein to their intake especially in winter and spring,8) they basically use hot spicesto add strong taste to dishes. The adaptation strategy of Ladakh agro-pastoralists into high altitude circumstances issummarized from the point of food intake as 1) they could extend their life space into high altitude by utilizingcereals,cow-yak crossbred,and beans which are cultivatable in high altitude and 2) they chose not to eat meat,butto take directly cereals,vegetables,milk products to increase food efficiency maximally for sustaining a certainpopulation in such limited land area for food production as hilly high circumstances. It was considered that Ladakhagro-pastoralists put high intention into "modesty" to coexistence with more peoples in high altitude circumstances.栄養学的視点から、移牧民の生業構造の特徴を把握し、高地環境への適応戦略を考察し、移牧という事例を通した牧畜論を再考するために、インド北部のラダーク山岳地帯において移牧民世帯と定住世帯について現地調査をおこなった。食料摂取の特徴は、1)起床後直ぐの目覚めのお茶、朝食、昼食、夕方のお茶、晩食のl日5回の食事で組み立てられていること、2) 日常の食において肉は摂取されていないこと、3)肉を摂取せず、豆類、新鮮・乾燥野菜と乳製品を多用し、穀物類を摂取することにより、必要な大部分の栄養素はまかなわれていること、4)食料摂取における穀物類の貢献度は食材の中では最大であること、5) 自給する大麦よりも購入した小麦・米の方が摂取量は多くなっていること、6) 塩バター茶や甘乳茶を頻飲するために脂肪摂取において乳製品は伝統的に重要な食材となっていたこと、7) 特に冬・春において豆類の存在はタンパク質供給源としては重要であること、8) 味付けに強烈な風味を添えるスパイスを多用していること、とまとめることができる。そして、栄養摂取の視座からラダーク移牧民の高地環境への適応を分析すると、l) 穀物類、ヤク交雑種、そして、高地でも栽培可能な豆類を巧みに利用し、また、2) 限られた土地面積という山岳環境で、ある一定の人口を扶養するために肉を摂取せず、食材の利用効率を最大限に高めるために穀物類、野菜、乳製品とを摂取する戦略をとっていると、その特徴をまとめることができる。ラダークの人びとは、肉という贅沢品を食うという貪欲性よりも、より多くの人びとと共存せんがために穀物類、野菜、乳製品を食うという「謙虚性」で生きているのである。
著者
柳田 寿一 平田 茂留
出版者
日本古生物学会
雑誌
Transactions and proceedings of the Palaeontological Society of Japan. New series (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
no.74, pp.89-111, 1969-06-30

西南日本外帯の愛媛県上浮穴郡柳谷村中久保付近の石灰岩より産出した腕足類を検討し, 11属14種を識別しえた。これら腕足類化石群の構成要素の多くは, 中国の下部ペルム系太原統および船山統の腕足類化石群のそれらと密接な関係をもち, またテチス地域の各地や南米西部の下部ペルム系産腕足類化石群中にも共通種ないし近縁種を見出しうる。さらにこの腕足類化石群に密接に伴われる4種のフズリナ化石が, いづれも九州矢山岳石灰岩のPseudoschwagerina minatoi帯石灰岩およびこれに対比される各地の下部ペルム系石灰岩を特徴づける種であることから, 腕足類化石群の時代が後期サクマール世であることが明確となった。
著者
松元 弘巳 薗田 徳幸 岡林 巧 持原 稔 平田 登基男 斉藤 利一郎
出版者
鹿児島工業高等専門学校
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1989

桜島は活発な火山活動を続け、火山灰は周辺地域の生活環境や生産活動に大きな影響を与えている。この火山灰の処理については、各自治体は苦慮しているのが現状である。本研究は、この無用の廃物として処理に因っている火山灰を材料面に有効的に利用することを目的とするものであり、その研究成果の概要は次のとおりである。1、火山灰中の水に可溶性フッ素イオン、塩化物イオンおよび硫酸イオンなどの陰イオンを浮選法により分離除去した。除去率はF^ー:89%,Cl^ー:87%,SO^<2ー>_4:60%を示した。2.コンクリ-ト中の鉄筋の電位差を測定し、腐食状況と電位差との相関を検索した。その結果、腐食の経時変化とともに電位の変動が認められた。3.火山灰は海砂に比べ、比重が大きく、摩耗抵抗性もよい性質を有している。したがって、コンクリ-ト用細骨材として用いた場合、高強度コンクリ-トおよび摩耗特性を求める構造物への利用が十分可能である。4.火山灰の陶磁器素地への利用は、火山灰60〜70%、粘土30〜40%を配合することにより、従来の黒薩摩焼の焼成温度より160℃も低い温度で焼成することができ、省エネルギ-化が画られた。また、陶磁器釉薬への利用は、火山灰325メッシュ通過粒分を単独で用い、良好な釉薬が得られた。5.火山灰80%、粘土20%の配合割合の50mm×50mm×5mmのテストピ-スを作り、焼成温度1160℃で、1〜2時間焼成することにより、陶磁器質タイルを試作することができた。これは日本工業規格の試験法に適合し実用化できることがわかった。
著者
平田 晶子
出版者
東京外国語大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究は、東北タイおよびラオス両国に居住するラオ族に歌い継がれてきた謡い手とラオ族の民族楽器である笙の伴奏から構成されるモーラム芸と呼ばれる地域芸能を対象とした芸能研究である。1.グローバル化に直面する東北タイおよびラオスにみるモーラム芸(ラオスではラム歌謡)と、その芸能実践者たちの越境横断的な移動現象を文化的、政治的、経済的、歴史的コンテクストから理解することを目的としている。2.2年間のフィールド・ワークで収集した民間治療儀礼、祖先供養儀礼、精霊供養祭の記録を文字化することに専念し、録画・録音した音声資料を利用して、宗教実践(仏教・アニミズム)の場で歌い継がれるラム歌謡から、多民族から成る調査村の宗教的世界観を民族誌として書き上げる。上記の目的と照合させ、以下の通り、平成24年度に実施した研究成果の3点を報告する。(1)ラオス人民民主共和国での長期調査(平成21年4月~平成23年3月)で収集したデータを用いて、平成24年度は国内の学会・研究会でこれまでの研究成果をまとめて発表し、投稿論文に仕上げ、日本タイ学会の学会誌に投稿した。成果物としての投稿論文は、「The Representation of Ethnicity as a Resource-An Understanding of Luk Thung Molam and Traditional Molam Music in Northeastern Thailand in a Globalization Epoch-」(2013年2月受理、4月下旬再提出後、委員会から受理済)で『年報タイ研究』第13号に掲載されることになっている。(2)映像、音声資料等を文字化する作業に徹し、芸能公演や宗教儀礼で用いられる歌のテキストをディクテーションし、不明な語彙の意味を確認した。(1年目と同様)(3)博士論文の構成を完成させて、執筆を進めた。
著者
平田 幹夫 Hirata Mikio
出版者
琉球大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
琉球大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466038)
巻号頁・発行日
no.12, pp.15-26, 2005

本研究は、幼稚園から絵と作文を一度もかいたことがない小3男児に対して、Coと担任が連携しシングルセッションでカウンセリングを行った事例の経過報告と考察を目的としている。担任とシングル・セッション・カウンセリングの介入シナリオの検討を行い、以下のようなカウンセリングを行った。1.給食の様子を写真撮影に来た大学の先生という場面を設定を行った。2.笑顔で語りかけ、笑いを共有した。3.他の子どもより優れているところをみんなの前で誉めた。4.学級の仲間をカウンセリングの援助者に位置づけた。5.描画場面においては、描画に対する自己効力感を高めるために「他の人よりも感じる力があり、それを表現するすごい能力を持っている」と何度も伝えることを行った。その結果、絵を描けるようになり、短文ではあるが作文も書けるようになった。また、小3男児の描画について考察を行った。