著者
坂本 薫 岩城 啓子 岸田 恵津 池田 ひろ 入江 一恵 平田 由美子 三崎 勝 太田 初子 岡本 佳子 安藤 孝雄 口羽 章子 金谷 昭子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.399-406, 2001-11-20
被引用文献数
1

今後の炊飯方法や炊飯意義を探る研究の一環として,無菌包装米飯に焦点を当て,無菌包装米の利用状況や意識などに関するアンケート調査と代表的な3社の製品に対する食味評価を行なった。アンケート調査では,持ち帰り米飯に対する回答と比較し、以下の結果を得た。1.無菌包装米飯を知っている者は77.2%,そのうち,使用したことがある者は50.8%であった。中高年男性群に無菌包装米飯を知らない者が多い傾向が見られ,若年女性群との間に有意差(p<0.05)が認められた。2.無菌包装米飯と持ち帰り米飯を利用する理由は,両者とも「すぐ食べられるから」を挙げていたのに加え,無菌包装米飯には「保存できるから」が特徴的な理由として挙げられていた。無菌包装米飯の利用後の感想は,「満足」と「まあまあ」をあわせると84.4%となり,8割以上の者がほぼ満足していると考えられた。3.無菌包装米飯を今後利用したいか否かに対しては,「積極的に利用したい」あるいは「ときに利用したい」とした者は40.1%,「できれば利用したくない」は53.9%であった。利用したくない理由としては,「ご飯は家で炊くべきだから」,「おいしくないから」が多かった。4.3社の製品の食味評価は,普段食べている米飯とほとんど差がないと評価された製品もあったが,製品により評価に著しい差が見られた。また,香りに対する評価が,総合評価に影響を及ぼしている可能性が示された。5.テクスチャーについては,B,C社製品はコシヒカリに比較的近いかたさと付着性を示す結果となった。以上,白飯の無菌包装米飯は,製品によりテクスチャーや食味評価に差があり,香りが総合評価に影響を及ぼす要因であると示唆された。よい評価を得た製品は,普段食べている米飯と食味上遜色はなく,常温保存できるという特徴から,今後さらに需要が伸びる可能性があるものと思われる。
著者
平田 祐子
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.39-49, 2011-03

中世ヨーロッパから生じた「礼儀」という概念は宗教間の差別化を意味するものから生じ、時代の流れとともに変化して社会状況や人間関係を構築するために自意識を表現するものへと進展していった。日本でも「礼儀、行儀作法、マナー」は中世・近世・近代と歴史的に展開する過程において文明社会を確立するもののひとつとして在してきたのであるが、身分の差別化や普遍性を追求したのち、現代社会におけるマナーは形式だけのものとなり、対人関係におけるストラテジーと化してきたのである。現代人のマナーの捉え方を秘書検定試験から探求し、西洋との融合化について考察したものである。
著者
高原 秀行 石橋 重喜 石沢 鈴子 平田 泰興 小勝負 信建 恒次 秀起
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.800-806, 2001-09-01
被引用文献数
16 4

高速大容量光モジュールへの適用を目指した次世代フィルムキャリヤ実装技術として, 光導波路フィルム表面に電気配線を設けた光・電気複合フィルム(OEフィルム)上に, はんだバンプでLSIや光デバイスを実装するOE-COF(Optoelectronic Chip on Film)実装技術を提案し, その実現性を検討した.0.85μm帯, 250μmピッチの10チャネルVCSELを, OEフィルムに36個の40μm径80%Au-Snはんだバンプを用いてフリップチップ実装し, OEフィルムに形成した45度ミラーを介して光導波路と結合する基本構造を対象として, 機械的強度の高いVCSELとOEフィルム間のフリップチップ実装, 及びVCSELとOEフィルム間の低損失光結合構造について検討した.その結果, 低熱膨張材料と両面に積層した低熱膨張性OEフィルム(11×10^<-6>/℃)を開発し, 良好な光導波路特性のままで熱膨張係数を従来の1/6に低減させることにより, 機械的強度の高いフリップチップ実装を実現した.更に, VCSELとOEフィルムとの間げきをシリコーン樹脂で充てんして反射戻り光を抑制することにより, 結合損が0.4dBと小さいOE-COF実装を実現した.
著者
松村 勝弘 川越 恭二 井澤 裕司 平田 純一 富田 知嗣 澤邉 紀生 村山 嘉彦 荒川 宜三 豊原 紀彦 荒井 正治 八村 廣三郎
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

(研究・教育システム)われわれは,立命館大学において.経済・経営・理工の学部横断的な研究・教育システムづくりの一環として,ファイナンス・インスティテュートを設置し,一昨年来その研究教育システムの開発に取り組んできた。これは,現代企業に突きつけられている複雑な課題を文理総合型の新たな仕組みの中で,その解決策を発見できないかと考えたからである。このような取り組みは,学際的な研究教育の仕組み作りを必要とした。(データ・ベース)そこで,ファイナンス分野での研究・教育をすすめるために,現存のマクロ・データ,株価データ,企業財務データなどのデータを総合的に分析するための研究・教育用ソフトウェアを,バックグラウンドを異にする研究者の協力共同のもとで,開発した。と同時に,別途資金により日経クイック社の協力を得て新たなデータ・ダウンロードのためのもう一つの仕組みも完成させ,これも併用している。これらは学生初学者用ウェッブ・ページ版と中級上級用バッチ処理版およびアクセス対応版の三本立てでデータベースへのアクセスをする仕組みを完成させるとともに日経クイック版とあわせ,これらの研究・教育の両面からの利用を進めてきた。それぞれ一長一短がある。今後もこれらの改善すすめる予定である。ここで最大の問題は,環境その他日進月歩でできあがったものがすぐに陳腐化してしまうことである。そこで,科研以外の資金も活用しつつ,かつ日経クイック,大和SBをはじめとする資金力のある外部機関との共同の取り組みでこれに対応しようとしている。(教育プログラム)教育プログラムとしては,2000年度開講の『金融市場分析実習』の内容となるものを共同して研究し,これを教育に活用したが,なお改善の余地があると考え,現在さらに改善しテキストにしようとしている。その第一の内容は,証券アナリスト資格要件の一つとして,財務分析,の学習が課されており,これを含んで,実際のアナリスト業務を行うにあたっての素養としての企業分析の実習を内容とする。第二は,ファイナンシャル・エコノミクスに基づいた金融市場分析を内容とする。これについては,別途大和SBが開発したPoet-SBを活用した教育を進めてきている。これらについても一定その成果を別途冊子にまとめた。(研究プログラム)現在,まずはこれまでの研究を基礎に,前者を内容とするテキスト作りを進めている。これと並行して,日本の金融システムと企業財務戦略に関する研究を深めるという作業を行っている。成果の刊行はすでに終えたものの他,なお継続中のものもあるが,これまでの成果をさしあたり別途冊子にまとめた。
著者
平田 和明 長岡 朋人 澤田 純明 星野 敬吾 水嶋 崇一郎 米田 穣
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

赤星直忠博士を中心とする横須賀考古学会は,1967~1968年に神奈川県三浦市所在の雨崎洞穴遺跡(弥生~古墳期)において発掘調査を行った。本研究で出土人骨の整理を行なった結果,非焼骨について,大腿骨がもっとも残存する部位であり,その最小個体数は19体であった。死亡年齢や性別の構成を見ると,本人骨群には少なくとも成人男性3体,成人女性1体,性別不明成人11体,未成人5体の20体が含まれた。焼成人骨について,各部位の出土点数に基づく個体数の算定と焼成状況の復元を試みた。人骨は少なくとも33体からなり,主体は成人であるものの,未成人骨が複数確認された。
著者
浜中 雅俊 平田 圭二 東条 敏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.21, pp.1-7, 2014-08-18

本稿では,タイムスパン木の部分木一致率に基づいた楽曲間の類似度について述べる.従来,音楽理論 GTTM に基づく分析によって求まるタイムスパン木に基づく楽曲間類似度が定義されていたが,条件が厳密であるために多くの楽曲間で全く類似性を示さなかった.そこで本研究では,類似度判定基準を緩和し,タイムスパン木が部分的に一致する場合,その一致率で類似度を表すことを試みる.In this report, we propose a melodic similarity based on matching rate of time-span subtrees. We previously proposed a melodic similarity based on time-span tree based on the music theory GTTM, however almost all the pairs of melodies are not similar, because the definition of the similarity is too strict. Therefore, we attempt to express a melodic similarity by using matching rate of time-span subtrees for weaken the condition for calculating the similarity.
著者
五島 政一 小林 辰至 熊野 善介 下野 洋 品川 明 平田 大二 岡本 弥彦 三宅 征夫 鳩貝 太郎 立田 慶裕 田代 直幸 笹尾 幸夫 清原 清一 日置 光久 加納 誠 藤岡 達也 田口 公則 小川 義和 市川 智史
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

子どもが主体的に学び、科学を好きになる教育実践プログラムを多数開発した。そして、その教育システムを開発するために、指導者である教の資質・能力を育成する生涯学習プログラムのモデルを開発した。
著者
洞口 俊博 平田 龍幸
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series E, Physical sciences & engineering (ISSN:03878511)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.13-24, 1992

The Be stars in the young open cluster NGC663 were observed photometrically in 1989 and 1990 to study the evolutionary status of Be stars. The V magnitudes and colors of B-V are U-B presented and compared with the observations in previous papers
著者
中根 偕夫 平田 尚史 瀬谷 浩一郎
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.893-898, 1990-11-01
被引用文献数
15

ここでは定在波音場中での高気圧グロー放電の諸特性の変化をみた。すなわち、(1)高気圧グロー放電の発生する電圧の範囲、(2)高気圧グロー放電の発光部の形状、(3)電流波形への音の影響、(4)V-I特性、(5)放電の発生と消滅する電圧の履歴的な現象に関して検討した。実験方法として、針(+)対平板(-)電極を定在波音場中の粒子速度分布の腹に位置させ、音の強さと電源の電圧を変化して実験した。その結果、音を大にすることによって(1)高気圧グロー放電はスパークへと変化し、(2)放電の発光部が扇子を開いたような形状へと広がり、(3)電流波形にパルスの発生が見られ、(4)電極間電圧の上昇、(5)発生と消滅する電圧の履歴現象などに音の影響があることが分かった。
著者
斎藤 靖二 平田 大二 笠間 友博 新井田 秀一 山下 浩之 石浜 佐栄子
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

箱根火山の構成岩石を築城に使った例をもとに、地域の自然史資源が歴史に深く関わっていることを、総合的に学べる融合プログラムを開発し、博物館における生涯学習への有効活用が検討された。学校教育では理科と社会に区別される異なる分野を互いに関連させ、子どもたちにとって機会が減っている野外観察を体験させながら、自然現象と歴史的事件を同時に学ぶ新しい博物館活動が示された。
著者
平田 彰 常田 聡
出版者
早稲田大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

写真関連産業での現像液や定着液の使用状況・使用工程を調査し,排出の削減・防止策を提出することを目的として研究を行った。本年度は特に定着廃液を取り上げ,その物質フローの解析と再生技術の評価を行った。また,写真廃液の生物処理を実際に行い,写真廃液中に含まれる成分の生分解性を明らかにした。定着液の再生の際に必要となるのが(A)脱銀,(B)界面活性剤等の除去,(C)ハロゲン除去,(D)成分調整である。このうち,(A)および(C)の工程が必要なのは,銀,ハロゲンの残存によって定着速度が遅くなるからである。また,(B)は(C)のハロゲン除去を妨害するためである。各工程での必要技術は以下の通りであることがわかった。(A)廃液の再生に適している脱銀方法は,添加物や溶出物がない電解法である。電解法により脱銀を行うときは,電位の制御により硫化銀の生成を抑え,陰極室と陽極室をイオン交換膜等で分離して硫黄の生成を抑制する必要がある。(B)界面活性剤,現像主薬酸化物等は活性炭吸着あるいは膜分離法により除去することが望ましい。(C)硬膜剤として含まれるアルミニウムイオン(3価)や,ハロゲン化銀溶解剤として含まれるチオ硫酸イオン(2価)は保持し,ハロゲンイオンのみを除去するために1価選択性イオン交換膜を用いて電気透析を行う。(D)最後に成分の調整をする際,pHや各々の成分には最適な値が存在する。さらに,混合培養系で長期馴養した微生物群を用いて,写真廃液を生物分解した結果,1,000ppm程度のTOC成分が残存した。写真廃液を生物処理のみで完全無害化するためには,難生分解性の有機化合物(EDTAなど)を分解する特殊な細菌が必要であることが示唆された。
著者
平田 彰 XINGーRU Zhon 桜井 誠人 常田 聡 早川 泰弘 熊川 征司 ZHONG Xing-Ru ZHONG XingーR XIE Xie 岡野 泰則
出版者
早稲田大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

本研究では,中国回収衛星を利用した微小重力場において,In_<1-x>Ga_xSb化合物半導体の単結晶成長実験を行い,結晶溶解・成長過程における拡散及び界面律速過程や面方位依存性を明らかにし,In_<1-x>Ga_xSb化合物半導体のみならず,各種化合物半導体単結晶の高品質化への知見を得ることを目的としている。本年度は1996年10月に実施した宇宙実験の試料及び地上対照実験試料を切断し,切断面におけるGaSb溶解領域及びIn_<1-x>Ga_xSb成長領域を電子線マイクロプローブ分析法(EPMA)により測定した。その結果,宇宙試料は長さ方向に平行に溶解し,地上試料は重力方向に末広がりに溶解していた。これは,地上試料では,比重の大きいInSbが重力方向に移動し,より多くのGaSbを溶解したものと考えられる。また,数値シミュレーションを実施した結果,実験結果と同様の結果が得られた。さらに,面方位依存性に着目してみると,両試料とも(lll)A面より(lll)B面の方がInSbに溶解し易いことが明らかになった。反対に,成長領域は,B面よりもA面の方が大きいことが明らかになった。なお本年度は,研究討論等を行うため,5月及び8月に延べ3名(早大:平田,村上,桜井)が中国に出張した。また,研究成果の発表のために,8月には中国,10月にはイタリアへ延べ2名(早大:桜井)が出張した。12月には2名(静大:早川,早大:桜井)が本研究の総括討論をするために,訪中した。
著者
平田 彰 木下 敦寛 村上 義彦 常田 聡 新船 幸二
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

融液成長法によって育成される半導体単結晶の高品質化手法の開発・確立を目的として,融液内のマランゴニ対流現象を解明するため,次の研究を行った.まず,温度差に起因する界面張力差に基づく駆動力の増大に伴い,液柱内のマランゴニ対流が二次元層流から三次元層流を経て三次元振動流へと遷移することを明らかにし,その機構を詳細に解析した.具体的には,微小液柱実験装置を用いた地上及び微小重力実験により,微小重力場では,地上で観察された超安定領域が消滅することを明らかにした.また,マランゴニ対流に起因する液柱内の温度振動状態が,定常層流,周期的伸縮振動,周期的回転振動,準周期的振動,そしてカオス振動のいずれかに分類できることを明らかにし,温度振動状態を表すモデル式を提出した.このモデル式は実験結果とよく一致しており,このモデル式より,各振動状態の特徴を明確に表すことができた.また,これらの遷移プロセスは液柱の形状・体積や重力レベルなどに依存することを明らかにした.また,非定常数値計算コードを開発し,落下塔実験で生ずる1GからμGへの重力のステップ変化に伴う固液界面上の熱流束を解析した.得られた数値解析結果は,実験結果と良好な一致を示し,熱移動現象を充分に良く説明することができた.さらに詳細に検討した結果,液柱長さを代表長さとした無次元座標,流動の駆動力を表すマランゴニ数,流体熱物性を表すプラントル数を導入することにより,固液界面上の熱流束分布を統一的に評価し得る事を明らかにした.また,宇宙環境においても存在する残存重力が融液の不安定化に及ぼす影響を検討するために,拡散係数測定法のひとつであるLong Capillary法を模擬した数値計算も行い,融液内の対流発生と残存重力の関係を明らかにした.以上の成果は,融液内のマランゴニ対流現象の微細機構を明らかにしたものであり,融液成長法による育成単結晶の高品質化ための操作条件決定などに有益なものと考える.