著者
平田 彰 常田 聡
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

有機塩素化合物は脱油脂やドライクリーニングなどさまざまな分野で使用されているが,発ガン性や催奇性があるため,土壌中から地下水に浸透した場合,飲料水として使うことは不可能である。地下水については光触媒反応を利用して有機塩素化合物の分解が試みられているが,地下水中に含まれているミネラル分がヒドロキシラジカルのスカベンジャーとして作用するため,効率が上がらない。本研究では,有機塩素化合物ガスを脱イオン水へ移動させ,紫外線(UV)ランプを備えた気泡塔型UVリアクター内で分解する手法を提案した。この手法における最大のメリットは,リアクター内の有機塩素化合物がUVランプからの光子や,気液界面ならびにバルク液相でのヒドロキシラジカルと反応できるため,高速かつ副生成物の少ない分解処理が可能になる点である。本研究では,上記リアクター内における物質移動および有機塩素化合物ガス分解の速度論的解析を行い,装置設計や操作条件の最適化を行った。その結果,テトラクロロエチレン(PCE)を対象汚染物質とした場合,PCE/過酸化水素の化学量論比がPCE分解速度に大きく影響を与えることがわかった。また,PCE分解の初期段階で塩素原子がはずれて塩化物イオンが生成し,これらの蓄積がPCE分解速度に影響を与えることもわかった。次に,各種センサーを備えた気泡塔型紫外線リアクターの作製を行い,空隙率分布の影響を確認するために,UVランプの近傍に局所的に気泡が集中するような多孔質板,およびUVランプの周りに均一に気泡が生成するようなリングタイプの散気板を用いて実験を行った。その結果,まず,UVランプ近傍の空隙率の分布を特殊な導電率プローブを用いてオンラインでモニタリングすることに成功した。また,空隙率の分布が反射・散乱などの効果により光の吸収に影響を与えることを明らかにした。
著者
常田 聡 平田 彰
出版者
早稲田大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

食品産業は生物系由来の原料が多いため,有機物の循環,すなわちバイオサイクルという観点から,食品産業排水中の成分は原料生産へフィードバックすることが可能である。しかしながらバイオサイクルという流れから見たときに,どのような排水処理がエミッション低減に有効かはっきりとしていない。そこで,このバイオサイクルに出入りする物質およびエネルギーを定量的に把握し,排水処理方式がこれらの値に及ぼす影響を数値化することによって,ゼロエミッションをめざした排水処理プロセスの構築を検討することが本研究の目的である。まず,ワイン製造プロセスについて原料,廃棄物および排水処理に関するアンケート取材を行った。その結果,ワイン製造プロセスについて,炭素重量基準での詳細な物質フローを求めることができた。次に,バイオサイクルに出入りする物質およびエネルギーを定量的に評価するため,独自のフローシートを提案し,微生物増殖速度式や化学量論式に基づいた評価式を作成した。そして,嫌気処理および好気処理を行った場合に発生する汚泥量などのエミッションを定量的に把握し,さらに汚泥を廃棄物と混ぜて堆肥化した場合やメタン回収した場合のエネルギー収支を算出した。今回収集したワイン製造排水に関するデータを用いて試算を行った結果,発生/使用堆肥量の関係から,汚泥を堆肥化して原料生産へ用いることは量的に可能であることが分かり,バイオサイクルが機能する可能性を示唆することができた。また,汚泥や廃棄物を堆肥化することによって削減できる化学肥料の量およびその生産に要するエネルギーを見積もった結果,バイオサイクルに投入されるエネルギーをかなりの割合で節約できることがわかった。一方,嫌気処理によって節約できるエネルギーおよび回収できるエネルギーはこの10分の1程度であることもわかった。
著者
常田 聡 平田 彰
出版者
早稲田大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
2000

食品産業から排出される排水や廃棄物は生物由来の易分解性有機物中心である.そのため,有機物の循環,すなわちバイオサイクルという点から見て,これらの排出物は原料生産へフィードバックすることが可能である.廃棄物の処理および再生に関しては,現在さまざまな方法が開発・使用されているが,食品産業におけるバイオサイクルという流れから見た時に,どの方法がエミッション低減に有効であるかは,はっきりとしていない.本研究では原料生産と製品製造を一連のプロセスと考え,このバイオサイクルに出入りする物質およびエネルギーを定量的に把握し,その中でのゼロエミッション化をめざすことを目的とした.本研究では具体的な対象産業としてワイン醸造産業を選んだ.まずブドウ(生果)から作るワインの製造プロセスにターゲットを絞り,アンケート調査を行うことによって物質収支のフロー解析を行った.20,000kgのブドウから17,280Lのワインが生産される過程で,梗,果実・種,澱等約3,900kgの固形廃棄物,100tの排水が出ることがわかった。また,排水の処理工程(活性汚泥法)において発生する余剰汚泥量は,乾燥重量として68.6kgであることがわかった.次に原料および各廃棄物・排水について重量および元素分析(C,N,P)を行い,製造プロセス内における元素ごとのフロー解析を行った.元素によって動きが異なるものの,固形廃棄物(ブドウ梗・ブドウ粕)としての排出が大きな割合を占めることがわかった.特に窒素とリンに関しては,バイオサイクルへのインプットが主に肥料からであることを踏まえればこれらを有効的に農地還元させることがバイオサイクルを機能させる上で重要であるといえる.これらは含水率が低く,C/N比が高いので,先に述べた余剰汚泥のコンポスト化を行う際の調整剤となりうることが示唆された.
著者
常田 聡 日比谷 和明 久保田 昇 平田 彰
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究は小規模畜産農家でも導入できる小型で高効率な有機物・窒素除去システムの確立を目指し,単一槽内において窒素除去が可能なメンブレンエアレーション型バイオフィルムリアクタ(MABR)を開発し,その評価を行ったものである。1.生物膜内溶存酸素(DO)濃度分布解析先端径数μmのDO微小電極を作製し,生物膜内のDO濃度分布を測定した結果,生物膜厚みが大きいものは嫌気部位が存在することを明らかにした。この結果は生物膜厚みおよび酸素の供給速度を制御することにより,生物膜内に局所的に異なる反応場を創生することが可能で,単一槽内もしくは単一生物膜内において硝化・脱窒同時反応が起こせることを示唆している。2.MABRコンセプトの実現と処理能評価易分解性である生活模擬排水を用いて連続運転による有機物・窒素の同時除去試験を行い,MABRのコンセプトを実現できるかどうかを評価した。運転開始後50日目以降,有機炭素および窒素の除去率はともに90%以上を達成し,コンセプト通り単一槽内にて有機物・窒素を逐次的に除去することに成功した。3.MABRの畜産系排水への適用とその評価生活模擬排水への知見を応用し,MABRの畜産系排水への適用性について検討した。約1年間の長期運転で有機炭素および窒素成分の平均除去率96%,83%を得た。また,メンブレン表面積当たりの窒素除去速度は4.48g-N/(m^2・day)であり,生物膜内で高効率に窒素除去が行われていることを示した。生物膜内のDO濃度および微生物生態分布を解析した結果,生物膜内で好気・嫌気部位が存在し,その環境に応じた微生物群が生息していることを確認した。また,硝酸を経由しない亜硝酸型脱窒が主な窒素除去経路であることが推察された。以上より,MABRを用いることにより,窒素成分の比率が高い畜産系排水においても単一槽で高効率に窒素を除去できることが示唆された。
著者
平田 彰 新船 幸二 桜井 誠人 常田 聡
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究では、単結晶育成時における温度差と濃度差に起因するマランゴニ対流の相互干渉機構を厳密に解明し,それに基づいたマランゴニ対流の抑制・促進等の制御手法を確立し,単結晶の高品質化手法を確立することを目的として研究を行っている。本年度は、前年度に引き続き,半導体単結晶育成の一つである水平ブリッジマン法によりInSb結晶成長実験を行い,初期融液濃度を変化させることにより温度差および濃度差マランゴニ対流が同方向に作用する系(促進系)と,互いに逆方向に作用する系(抑制系)の融液自由界面上の界面流速を測定した。その結果,抑制系においては,自由界面流れの方向が、融液から結晶方向(温度差マランゴニ対流による)及び結晶から融液方向(濃度差マランゴニ対流による)が同時に存在し,流動の淀み点(2方向の流れが衝突する点)が存在する場合があることが明らかになった。これは,同時に行った数値シュミュレーションからも同様の結果が得られた。さらに抑制系に関しては,航空機を利用した微小重力場においても実験を実施した。その際,放物飛行中の到達重力レベルを変化させ,自然対流が融液自由界面流れに及ぼす影響を観察した。その結果,本実験系においては,自然対流は表面流速にはほとんど影響を及ぼさないことが明らかになった。以上の結果から,結晶成長時の融液側移動現象が,自然対流よりも,結晶成長時の偏析現象に伴う濃度差マランゴニ対流に強く影響を受けることが明らかになった。
著者
富田 健市 斎藤 未夏 平田 完
出版者
専門図書館協議会
雑誌
専門図書館 (ISSN:03850188)
巻号頁・発行日
no.228, pp.45-49, 2008-03

SCPJ stands for "Society Copyright Policies in Japan"; a database provides a list of Japaneseacademic societies' copyright conditions. It is necessary to confirm the copyright policy ofthe journals and treat copyright of the papers appropriately in order to upload the paperspublished in scholarly journals to IRs. Then, in 2006, University of Tsukuba, Kobe University,Chiba University started SCPJ project funded by National Institute of Informatics, then builtand opened SCPJ database, showing the status of permission to upload the papers of theacademic society in Japan to IRs. In this paper, first, we describe outline of SCPJ project anddatabase. Next, we report usage of SCPJ, suggest the value, and consider the situation ofpermission to upload the papers to IR of Japanese journals via data analysis of SCPJ. Finallywe suggest some ideas as future direction.
著者
鈴木 直樹 平田 竹男
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.305-310, 2012 (Released:2012-11-16)
参考文献数
8
被引用文献数
1

In this research we aimed to find out the effect of professional baseball teams on the attendance of J. League clubs.    We conducted a regression analysis of the dates of attendance. The dependent variable was the number of spectators per game. In the selection of independent variables, we added 2 baseball variables ( “Baseball game” and “Baseball team franchise” ) to the variables used in existing literature and extracting 16 independent variables.     As a result of regression analysis we found that “Baseball game” had a negative effect on attendance of J. League clubs, and “Baseball team franchise” did not have an effect on it.
著者
牛首 文隆 成宮 周 吉田 進昭 平田 雅一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

8種類のプロスタノイド受容体遺伝子のエクソン内にネオマイシン耐性遺伝子を組み込んだターゲティング・ベクターをそれぞれ129ola由来胚性幹細胞(ES細胞)に導入し、相同細換えを起こした。C57BL/6マウスの胚にES細胞を注入後、擬妊娠したICRマウスの子宮に戻してキメラマウスを作出した。キメラマウスをC57BL/6マウスと交配し、F1マウスを得た。組換えalleleをもつF1ヘテロ接合体同士を交配し、F2ホモ接合体を得た。結果、8種類の各プロスタノイド受容体欠損マウスが得られた。また、遺伝的背景を均一にする目的で、各プロスタノイド受容体欠損マウスをC57BL/6マウスに繰り返し交配する戻し交配を行った。現在、一部のプロスタノイド受容体欠場マウスで房し交配が完了し、他のものは継続中である。また、balb/cやDBA1マウスなどへの戻し交配も予定している。IP欠損マウスの解析により、PGI_2は心血管系での抗血栓作用以外に炎症反応の場での血管透過性の亢進や疼痛の伝達等非常に重要な役割を持つことが示された。FP欠損マウスの解析では、分娩時にPGF_<2α>がまず黄体退縮を引き起こし、これが血中プロゲステロン濃度を低下させ、続いて子宮でのオキシトシン受容体の発現を誘導するという一連の機構が解明された。EP4受容体欠場マウスの解析により、PGE_2はEP4受容体を介して出生直後の動脈管の閉鎖に重安な役割を果たすことが示された。以上、本研究によりプロスタノイド受容体欠損マウスの作成がなされ、その解析を通してプロスタノイドの重要な生理・病態生理的役割の一端が解明された。今後、これらの結果が各プロスタノイドの示す多彩な作用を選択的に制御する薬物の開発とその適用の指標に資することが期待される。
著者
平田 研二
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

次世代の分散型エネルギー需要・供給ネットワークにおける供給家, 需要家を自身の利得確保を追求するエージェントと捉える. また, 社会としての公共の利得確保を目指す独立した行政機関に対応するユーティリーを想定する. 本研究では, ユーティリティーによる価格 (税金/補助金) の提示とエージェントの分散意思決定の相互作用により, エネルギー需要・供給ネットワークの最適な運転状態への誘導を可能とする. また提案する運用方策を太陽光発電システムにおける電圧変動抑制問題, 配電系統における電圧変動の抑制問題, 電気自動車の分散型充電管理といった実際的な課題への適用し, 有効性を検証する.
著者
平田 公一 佐藤 昇志 鳥越 俊彦 古畑 智久 大村 東生 亀嶋 秀和 木村 康利 九冨 五郎
出版者
札幌医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

消化器領域あるいは乳腺領域の超進行切除不能癌あるいは再発癌に対し、サバイビン2Bペプチドを用いた癌ペプチド療法を8例に実施した。6例に明らかな免疫学的反応を認め、臨床効果についてはrecist基準では6例にSD、2例にPDであった。尚、注射局所反応を除くと、有害事象についてはグレードIの発熱以外に面倒なものを認めなかった。したがって全例でプロトコル上の臨床研究は可能であった。一方、従来よりMHCクラスI発現が無いか極めて低い癌細胞のあることが知られており、それらについては、発現亢進のためにHDAC阻害剤の投与の有用性が動物実験的研究において知られていた。そこで適応症例については、ワクチン療法前にHDAC阻害剤の経口投与を試みた。登録症例研究計画期間終了直前に生じたことにより、現在、進行中であり、今後の分析対象とする。研究については安全に実施できたと言えるが、登録症例数の円滑な増加がみられないことが課題として残った。
著者
平田 将士 宮川 崇
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.256-260, 2004-09-30

Agrias aedonは南米北西部(コロンビア・ベネズエラ)から中米メキシコ南部まで分布する.原名亜種を含め2亜種に分類され,南米北西部に原名亜種,コスタリカからメキシコ南部にかけて亜種rodriguezi(模式産地は中米グアテマラ)が分布する.前者は大型(♂前翅長41.8mm),前翅赤紋はアーチ型に発達し,外縁に達する.前後翅ともに青紋の発達は良くない.後者はやや小型で(♂前翅長40.1mm),前翅赤紋は縮小しアーチ型とならず,発達した青紋によってその周囲を囲まれる.後翅の青紋は外縁部まで大きく発達する.南米北西部からは,コロンビアを中心にschultei,salvini,petitoensis,denheziといったいくつかの型が記載され,それらの中にはときに亜種として扱われるものもあるが,コスタリカ以北の個体群の斑紋は安定しているようで,rodrigueziの元に記載された型やrodrigueziに近縁として記載された亜種はなかった.筆者らは亜種rodorigueziの分布圏に近接するコスタリカ北西部より本種を得たが,その斑紋はrodrigueziとも原名亜種とも異なるので,新亜種Agrias aedon toyodaiとして記載した.本新亜種は亜種rodrigueziとほぼ同大.裏面も酷似しているが,前翅赤紋は原名亜種グループと同様にアーチ型に発達し,これに伴ってrodrigueziに見られる青紋は後角部に向けて幅狭くなる.後翅はrodriguezi同様に発達した青紋を有する.コスタリカにおいて本種は中央山脈のカリブ海側標高約600-1,200mに極めて局地的に亜種rodrigueziが産することが知られている.本新亜種の産地はそれらの既知産地とは異なり,太平洋側標高約300m地点である.なお,亜種名toyodaiは日本におけるコスタリカ名誉領事を勤められ,日本とコスタリカの友好関係に大きな貢献をされた豊田章一郎氏に献名されたものである.
著者
小元 敬男 文字 信貴 平田 尚美 梶川 正弘 竹内 利雄 吉野 正敏
出版者
大阪府立大学
雑誌
自然災害特別研究
巻号頁・発行日
1985

本年度は、降ひょうと突風の実態の把握及び基礎研究に必要なデータを得る目的で、分担者のほゞ全員が群馬県で観測を行った。6月前半には、レーダー観測、突風観測、ひょう粒の分析の実験を実施、7月15日〜8月15日の期間には上記の他に高層気象観測、気圧分布観測、短期間ではあるがドプラーソーダによる観測を行った。更ル、5月15日〜8月15日の期間、記録計による100地点での降ひょう観測を行うなど、北関東夏季の積乱雲対象としてかつてない充実した研究観測を実施したのであるが、昨夏は群馬県における雷雨は異常に少なく予期したほどのデータは得られなかった。しかし、この観測期間中に観測本部のある群馬県農業総合試験場にひょうが降り、また地元の協力者から分析用の大きなひょう粒が提供されるなど、ひょうの基礎研究に役立つ資料が得られた。更に同地域における下層大気の昇温が積乱雲発達に及ぼす影響の研究に必要なデータも得られた。例年より少なかったが、上記期間中に発生したひょう害及び突風(災)害の現地調査も行った。その他の分担研究課題の成果として、ひょう害の変遷に関する研究では、関東甲信地域のひょう害は1950年頃までは5月下旬を中心とするピークが一つあっただけであるが、その後7月下旬を中心とするピークが現れ顕著になりつつあることなど幾つかの新らたな気候学的事実が明らかにされた。また、防ひょうネットの研究では、千葉県の実験地に激しい降ひょうがあり、実際の場合について、種々の網目のネットの被害防止効果を測定できた。無被害地の実験データと併せて、防ひょうネットの最適網目は10mmであることが確められた。激しい雷雨の常習地域で長期にわたって連続観測を行ったにも拘ず、異常年に当ってしまい、充分データを得ることができなかった。この種の研究は根気よく続ける必要がある。
著者
長谷川 信美 西脇 亜也 平田 昌彦 井戸田 幸子 飛佐 学 山本 直之 多炭 雅博 木村 李花子 宋 仁徳 李 国梅 SCHNYDER HANS 福田 明 楊 家華 郭 志宏 李 暁琴 張 涵 李 海珠 孫 軍 宋 維茹 ガマ デチン NAQASH J&K Rashid Y KUMAR Ravi AUERSWALD Karl SCHÄUFELE Rudi WENZEL Richard 梶谷 祐介 小田原 峻吾 平川 澄美 松嶺 仁宏 佐野 仁香 長谷川 岳子 坂本 信介 樫村 敦 石井 康之 森田 哲夫
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

中国とインドにおいて、放牧方式の違いが高山草原生態系へ及ぼす影響について調査を行った。東チベット高原では、暖季放牧地が寒季放牧地よりも植物種数が多く、種数密度と地上部現存量は低かった。土壌成分は、2012年と2004年間に差はなかった。牧畜経営では、ヤクが財産から収入源への位置づけに移行する動きが見られた。また、クチグロナキウサギの生息密度と植生との関係について調査した。インドの遊牧民調査では、伝統的な放牧地利用方法により植生が保全されていることが示された。衛星画像解析では、植生は日射、気温、積雪日数等に左右され、経年的な劣化も示された。ヤク尾毛の同位体元素組成は地域と放牧方式等で異なった。