著者
斉藤 雅也 高橋 達 宿谷 昌則
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.63, no.505, pp.51-58, 1998
被引用文献数
2 7

This paper describes a method to calculate exergy and entropy balances of a leaf with an emphasis on photosynthesis and secretion. The purpose of investigating such balances is to have a better understanding of the exergy-entropy process of a leaf, which is a fundamental member of trees as a shading device with evaporative cooling capability for passive cooling of a building, together with the exergy-entropy process of various building environmental control systems such as lighting, cooling, and heating systems. We have derived the exergy balance equations for a leaf, taking into consideration not only the dispersion of energy due to the absorption of solar radiation and heat transfer, but also the dispersion of carbon dioxides, water vapor, and oxygen. Example calculation showed the following: exergy consumption within the leaf is 94% of the supplied exergy, which is the sum of the exergies of solar radiation, effective sky longwave radiation, and water; a half of the rest, namely 3%, is stored within the glucose, and the other is discharged with water vapor into the environment of the leaf and then consumed totally until the water vapor reaches the environment.
著者
志賀 徹 斉藤 高弘 芋生 憲司 中島 教博
出版者
宇都宮大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

本研究は環境ガス組成を変化させるCA貯蔵条件下での各種生鮮農産物の呼吸特性及び品質判定因子の変化を測定し、農産物の生理的特性及び品質変化を明らかにするとともに、最適CA貯蔵条件を検討したものである。1.生シイタケは酸素濃度を減少させるか、二酸化炭素濃度を増加させることにより著しく呼吸速度が減少した。環境ガス制御が生シイタケ生体中のpHの減少を抑制することが測定され、低い(酸性が高い)領域で活性を増すPPO活性の抑制効果が確認された。加えて酸素濃度を下げることによりL-アスコルビン酸含量が高く維持された。これらを総合的に評価して、20%の二酸化炭素濃度における10%または5%の酸素濃度のCA貯蔵条件が他の処理条件より生シイタケの品質保持に効果があると判断された。2.イチゴは高い二酸化炭素濃度に対して比較的大きな許容性を持ち、二酸化炭素濃度が高いほど呼吸速度が低下した。二酸化炭素を増加させることは、イチゴ果実の果肉部の硬度の減少を抑制し、果皮色の退化を防止する効果となって現れ、かつL-アスコルビン酸含量の貯蔵中における減少を抑制した。カビの発生に対する防止からも20%の二酸化炭素濃度は効果的であった。アスパラガスは、酸素濃度の減少が二酸化濃度の増加より以上に呼吸速度の減少に与える効果が顕著であった。10%の酸素濃度下では二酸化炭素が高くなるほどアスパラガスの貯蔵中の伸長量が低く抑えられら。また低酸素濃度では硬さの保持効果が見られた。CA貯蔵条件下では空気中におけるよりクロロフィル濃度の減少が抑制され、果皮色が良好に保持された。糖含量はCA貯蔵条件下で20日後まで低下が抑制された。各種農産物の呼吸の温度に対する依存性はアレニスの式及びゴアの式によく適合し、温度により呼吸速度は指数関数的に増加した。また農産物のQ_<10>(温度10°C上昇時の呼吸速度の増加割合)は低温域で高い値を示し、温度が高くなるにつれ小さくなった。アスパラガス、ブドウ及びイチゴの呼吸速度は他の品目に比べ酸素濃度変化への依存性が高く、特徴ある挙動を示した。
著者
穂坂 衛 斉藤 剛 小林 弘忠
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.263-264, 1992-09-28

IATEXによる印刷原稿をその出力とする知的デスクワーク支援システムの機能と支援方式について述べる.本システムの原型は,IATEX利用援助システムであるが,その後の進展はその枠を越えたものになった.本システムは,原稿清書印刷のためにだけにIATEXを利用するのではなく,思考援助と整理,論理的な文書作成,さらに高品質な図や表の作成,ファイリング,手紙書式整え等,われわれが日常行なっているデスクワーク全般に利用できるように作られている.始めのシステムでは原稿をIATEX出力にすることに主眼を置き,図の取扱いは基本的な機能のみであった.高品質な説明図は高品質な文書に必然的に伴うべきものであるが,IATEXのこの部分の取扱いは極めて初等的で実用になり得なかった.IATEXの優れたところはテキストにおける文字の多様性と美しさ,バランスのとれた配置であるから,図の中においてもこれを利用することを考えた.著者らはそのため,既に軽験上得られた種々のアイディアを試みると共に,その後入手して使用可能になった公開ソフトウエアうち,われわれの目的に有効に利用できるものを積極的に取込んだ.本稿では始めに本システムの機能を簡略に示し,後半では説明図作成のための機能を取扱う.
著者
海野 徹也 長澤 和也 小路 淳 斉藤 英俊
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

放流事業によって漁獲量が著しく回復した広島湾のクロダイについて、産卵場、卵分布、稚魚の分布、成長、食性などの初期生態を解明した。クロダイの主産卵場は広島湾の湾口部に形成され、産卵は夜間であり、卵は幅広い水深に分布した。卵密度と稚魚の日周輪解析より、産卵ピークは5月下旬から6月中旬であり、着底は7月上旬から中旬にピークを迎えることがわかった。稚魚の主食はヨコエビ類、カイアシ類、であったが、生息環境に応じ柔軟性を示していた。
著者
八木 厚志 都田 艶子 長渕 裕 毛利 政行 斉藤 誠慈 大中 幸三郎
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

準線形放物型編微分方程式の安定性を調べる問題を,適当な関数空間における時間変数についての準線形常微分方程式の安定性を調べる問題と定式化し,次にこの常微分方程式に定常解が存在したとしてそのまわりで方程式を線形化してそれに放物型抽象方程式の理論を適用することにより定常解の漸近安定性結果を示した.すなわち,関数空間において解析半群の生成作用素A(u)を係数作用素とし,u=u(t)を未知関数とする準線形常微分方程式du/dt+Au(u)u=f(u),0<t<∞,を考え,それの一つの定常解A(u_0)u_0=f(u_0)を考えた.次に,方程式をu_0のまわりで線形化dv/dt+A(u_0)v+A(u_0)(v,u_0)-f_u(u_0)v=g(t),0<t<∞,し,このときに現れる線形化作用素A_0=A(u_0)+A_u(u_0)(・,u_0)-f_u(u_0)に着目してこの作用素がスペクトル条件{λ∈C;Reλ【greater than or equal】8}⊃σ(A_0),δ>0,をみたせば線形化方程式の基本解V(t,s),0【less than or equal】s【less than or equal】t<∞,は指数関数を用いて評価できることを示した.さらに,公式v(t)=V(t,0)v_0+∫_0^tV(t,s)g(s)dsを用いてu_0の近傍からでる解はすべて時間t→∞と共にu_0に漸近することを示した,併せてその差は時間と共に指数関数的に減衰することも示した.本研究の以上の成果により,準線形放物型方程式に対する定常解の安定性問題はその定常解の線形化作用素がスペクトル条件をみたすかどうかを調べる問題に帰着されることが一般的な枠組みの中で示されたことになる.本研究結果の応用に際しては,具体的な方程式に対してスペクトル条件がいつ成り立つかを調べる問題が生ずる.これを確かめるための一般的な判定条件は,本研究では得ることができなかった.そこで,いくつかの例について数値的にこれを確かめる試みを行い計算データを集めた.このデータから,便利な判定条件を探すのが今後の課題である.
著者
斉藤 功 小林 元夫 金井 鐘秀
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

矯正治療における歯の移動に際しては、機械的外力に対して歯根膜線維芽細胞が多様な生物化学的応答を示すことが報告され、それに引き続いて生ずる破骨細胞および骨芽細胞による骨の吸収・形成に何らかの影響を及ぼしていると考えられている。本研究では、in vitroの実験系を用いて培養したヒト歯根膜線維芽細胞(HPLF)にメカニカルストレスを加え、そ培養上清が骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1細胞)にどのような影響を与えているかについて検討した。HPLFは、13-16歳の患者の小臼歯から採取した継代8-12の培養細胞を、また骨芽細胞様細胞としては、継代17-19のMC3T3-E1細胞をそれぞれ実験に用いた。メカニカルストレスは、コンフルエントになったHPLFの細胞層上にカバースリップを置き、その上にガラス製円筒をのせ1.0g/cm^2で加圧した。HPLFをそれぞれ1, 3, 6, 12, 24時間加圧した後、conditionedmediumを採取し、stressed conditionedmedium (S-CM)とした。一方、加圧実験と同様の条件で培養して加圧を行わずに採取したHPLFのconditionedmediumをnon-stressed conditionedmedium (NS-CM)とし、さらに細胞培養していないmediumをcontrol medium (CM)とした。S-CM, NS-CM, CMをそれぞれ6well dish上でコンフルエントになったMC3T3-E1細胞に添加し、24時間インキュベーションを行った後、ALPase活性およびcAMP産生量を測定した。その結果、S-CMによってMC3T3-E1細胞のALPase活性とcAMP産生量とは、NS-CM, CMを添加した場合と比較して時間依存的に有意に上昇した。このことから、S-CMはMC3T3-E1細胞の細胞分化能ならびに細胞応答性を上昇させていることが明らかとなった。また、Indomethacinを添加することで、S-CMによるMC3T3-E1細胞のALPase活性が有意に抑制されたことから、S-CMによるMC3T3-E1細胞のALPase活性の上昇にはプロスタグランディンが関与していることが示唆された。
著者
斉藤 崇 長谷川 仁志 鬼平 聡 阿部 豊彦
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

1)ラットintermediate conductance型Ca-activated K channel(lmK)の構造配列決定と機能解析:BKチャネルとともに内皮依存性血管過分極因子の標的分子とされるlmKチャネルの心血管病態における発現修飾を検討するため、種々の心血管病態モデルの作成が容易な実験動物であるラットのlmKチャネルのcloningを行った(GenBankへ登録:AF149250)。本遺伝子のcoding regionは1278塩基対で、翻訳蛋白産物は425アミノ酸からなり、ヒトおよびマウスと塩基配列で88%、95%、アミノ酸配列で各々ほぼ98%の相同性を示した。6個の膜貫通部位を有し、S5とS6間には本チャネルの特異的阻害物質とされるcharybdotoxin感受性aspartate residueが、またcarboxy-terminal側には細胞内Ca sensorの役割を担うcalmodulin-binding domainおよびtyrosin phosphorylation consensus sequenceがあり、またpromotor領域にはNFkB、heat shock protein、AP2などでregulationされる部位が存在した。これらの事実から本チャネルの発現調節とその活性化が細胞増殖刺激と密接に関連することが確実となった。さらに、本遺伝子をHEK細胞に発現させ、その細胞電気生理学的特性を解析し、本チャネルは細胞内Ca濃度上昇により活性化され、charybdotoxinにより抑制されるなど、これまで生理学的に予測されていたlmKの特性が再現された。2)心血管病態におけるKCaチャネル発現の変化:ラット心筋梗塞モデルを用いて、KCaチャネルの分子種5種類(BK、lmK、SK1、SK2、SK3)のmessenger RNAの発現をRT-PCR法、RNase Protection Assay法により経時的に追跡し、BKおよびlmKの発現は梗塞後1〜3日をピークとする初期増強と7日以降再度upregulationを示す後期増強相からなる2峰性ピークを形成することを見いだした。また、in situ hybridizationおよびラットlmKに対する特異抗体を用いた免疫組織染色の結果、lmKはmRNAレベルのみならず、翻訳蛋白発現のレベルでもその発現が亢進することが確認された。さらに組織内局在について検討すると、lmKは対照時には主として血管内皮細胞および血管平滑筋に局在するが、梗塞心では単核白血球、繊維芽細胞などの浸潤細胞にも著明な発現が見られ、初期上昇相はこれら細胞浸潤により特徴づけられる炎症反応に、後期上昇相は梗塞巣内の血管リモデリングに一致することが明らかとなった。この所見は、これまで生理学的、薬理学的に示されてきた病態での過分極-弛緩連関の代償性増強現象をKCa発現修飾の面から説明するはじめての所見と考えられる。また、以上のlmK発現の増強は、アンギオテンシンllのl型受容体拮抗薬の投与によりほぼ完全に抑制されることなどが明らかとなり、lmK発現調節の細胞内情報伝達系にMEK/ERK系の関与が示唆された。さらに、NO生合成長期抑制モデルにおいても同様なlmK発現の増強を見いだしており、lmKは心血管病態時における血管リモデリングの共通なkey moleculeである可能性が高まってきた。これらの成果は、平成13年3月31日よりアメリカ合衆国フロリダ州オーランドで開催されるExperimental Biology 2001におけるアメリカ生理学会主催の血管系カリウムチャネルに関するシンポジウムにおいて招待講演として発表するとともに、Journal of Clinical and Experimental Pharmacology and Physiologyに公表予定である。
著者
阿部 豊彦 鬼平 聡 斉藤 崇 三浦 傅
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

これまで冠動脈の短時間閉塞・再灌流後に心臓交感神経に一過性機能障害を生じ、これにはadenosineなど虚血性代謝因子が重要であること、神経成長因子(NGF)や副腎皮質ホルモンが保護作用を有することを報告してきた。中枢神経系においてはtumor necrosis factor-α(TNF-α)の神経保護作用が報告されているが、心臓交感神経においては不明であり、本研究ではこの点に関して検討をおこなった。成犬を麻酔、開胸、両側迷走神経を切断、propranorolを投与。suction-cup式のDoppler probe装着により左前下降枝(LAD)と回旋枝の冠動脈血流速度を測定し、両側胸部交感神経を電気刺激時の交感神経性冠動脈収縮反応を冠動脈抵抗の変化率(%ΔCVR)を算出することにより評価した。LAD内に生食(対照群1、n=5)ないし抗TNF-α250pg/kg/min(TNF-α群、n=6)を投与下に15分同枝閉塞・再灌流を行った。また、生食(対照群2、n=5)ないしTNF-α抗体60nl/kg/min(抗TNF-α抗体群,n=6)を投与下に7分同枝閉塞・再灌流を施行した。再灌流前後のSS及びNE時%ΔCVRの推移を評価した。1) 対照群1ではLADの15分閉塞・再灌流後、同枝の%ΔCVRが有意に減弱したが、TNF-α群では保持された。2) 対照群2ではLADの7分閉塞・再灌流前後に%ΔCVRの変化を認めなかったが、抗TNF-α抗体群では有意に低下した。各群ともNEに対する%ΔCVRは不変だった。3) 左室壁長変化率(%SL)は15分冠閉塞中、両群とも同等に低下したが、再灌流後、TNF-α群で速やかな回復を示した。また、7分冠閉塞にて低下した%SLは対照群2に比し、抗TNF-α抗体群で遷延した。以上より、TNF-αは虚血性の心臓交感神経および心筋の機能障害に対して保護作用を有することが示された。
著者
猫田 泰敏 斉藤 恵美子 村田 加奈子 入江 慎治 原 正一郎
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、公衆衛生看護学の立場から、保健師養成課程の教育内容である疫学および保健統計学のミニマム・エッセンシャルズ(案)、すなわち、保健師学生が卒業時に最低限、身につけておくべき内容(案)を提案することである。また、これらの内容の習得に効果的で実践的な教育方法について、一部実践結果も含め、関連資料の提示を行った。