著者
木村 昌弘 斉藤 和己 上田 修功
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. ICS, [知能と複雑系] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.85, pp.155-162, 2004-08-04
参考文献数
12

Web上で日々流通する大量の情報に基づいて,米国同時多発テロのようなある種の例外的な社会現象を検出する問題を考察する.本稿では特に,あるカテゴリーに属する文書群の時系列データに基づいて,その中でアウトブレークしたトピック(ホットトピック)と,その存在期間を抽出する手法を提案する.社会ニュースの実データおよび,国際ニュースの実データを用いた実験により,提案法の有効性を検証する.
著者
杉山 純多 斉藤 成也
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

1980年代に登場した分子系統進化学の新しい波は、これまで形態学中心の保守的な立場を堅持してきた菌類分類学にも波及し、1990年代初頭より菌類の分類・系統進化の研究は、新しい局面に入った。すなわち、菌類分子系統分類学と呼ぶ新しい研究分野が登場した。そのような背景を踏まえて、本研究は当初次の諸点を明らかにすることにあった。1.分子進化学的手法を用いて、高等菌類系統論の鍵を握るタフリナ目(Taphrinales)菌類の系統進化的関係を明らかにする。2.担子菌酵母・アナモルフ酵母の超微形態学的、細胞学的研究を行い、それらの形質の系統進化学的指標としての評価を行う。3.分子と形態の両形質の多面的解析から、高等菌類における系統進化の現代的構図を提示し、分類体系再構築の手がかりを探る。4.分子系統樹作成法の開発。その結果、次のような特筆すべき研究成果が得られた。1.18S rDNA 塩基配列の比較解析から、タフリナ目菌類などの系統進化的関係を明らかにして、子嚢菌類中の新主要系統群として“Archiascomycetes(古生子嚢菌類")を提案した。2.分子と形態の両形質の解析から、85年にもわたり子嚢菌類と堅く信じられてきたMixia osmundae(=Taphrina osmundae)は、担子菌類のサビキン菌類系統群に位置づけられることを明らかにした。3.担子菌類における担子菌類系酵母の系統関係を明らかにした。4.高等菌類は単系統であるが、下等菌類のツボカビ類と接合菌類は多系統であることを提示し、さらに複数の系統で鞭毛の消失が起こったことを示唆した。5.植物寄生菌類Protomyces属菌種の18S rRNA遺伝子中にグループIイントロンを発見し、当該遺伝子の異種生物間における水平移動を強く示唆した。6.分子系統樹作成法について、最尤法を用いた分子系統樹作成への並列配列論理プログラムの応用を検討し、論理プログラム言語の一つであるKL1を適用して開発した。
著者
斉藤 宏
出版者
東京都立新宿山吹高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

研究目的サンゴは栄養分の多くを共生している褐虫藻から供給されることから、褐虫藻の状態を可視化できれば、サンゴの健康状態をモニタリングできると考えた,陸域植生ではクロロフィルが赤色域の光を吸収し、近赤外域の光を反射する性質を用いて、正規化植生指標で解析しモニタリングができる。しかし、水中では、長波長の光は吸収のため遠距離からの観測は困難である。そこで、水中で近距離からの反射を捉える方法として、水中での青色域の減衰が赤色域より少ないこと、光合成は青色域も利用されている性質を活用して開発を行った。市販のデジタルカメラを活用することで安価なコストでモニタリングできるうえ、白化にいたる段階を数値化できるため、いままでの目視による主観的なモニタリングに対して客観的データを収集することができる。このシステムを用い、サンゴの期間経過での変化と、目視では確認できない変化が起こっているかを調べた。研究方法市販のナイトショット機能(近赤外域の感度が高い機能)を持つデジタルカメラに青と近赤外光を切り分けるフイルターをつけてそれぞれ撮影し、2つのサンゴの画像から画素演算したNDCI画像(画像用サンゴ用正規化植生指標)から、サンゴの健康度をシュードカラー表示で可視化すると共に、一定の範囲のNDCI画素のデジタル値の平均値を比較することで健康度の推移を調べた。研究成果この手法により、7月、8月、10月、1月と石垣島白保リーフにおいて観測を続けた結果、白化と通常の状態の間で目視では確認できない段階を可視化し、期間変化を数値化し、高温ストレスや低温ストレスの影響を明らかにすることができた。また、10月のときは台風通過の翌日の観測になったが、キクメイシの画像解析では、流れ上流側の健康度が低く、流れと反対側は高いことが分かり、1月にもう一度同じキクメイシを測定したところ、通常の状態のように、全体に健康度の高い部分が広がっていた。このことから、上流側に砂や泥が流れてきてその泥ストレスによる健康度変化と思われるデータも収集でき、大きな成果をあげた。

1 0 0 0 IR DNA鑑定の威力

著者
水上 創 吉田 将亜 斉藤 修
出版者
旭川医科大学
雑誌
旭川医科大学研究フォーラム (ISSN:13460102)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.5-11, 2000-12

出版社版
著者
斉藤裕樹 中村 陽一 戸辺 義人
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.334-346, 2011-02-15

センサネットワーク技術の発展,GNSS(Global Navigation Satellite System)機能を備えた小型デバイスの普及により,位置情報サービス(Location-based Service,LBS)の利用分野が拡大している.LBSでは実世界の膨大な情報を扱うため,分散環境上に実現される必要があるとともに,位置依存情報を管理するための枠組みが必要となる.本論文では,位置依存情報に適したオーバレイネットワークの構成手法GeoSkipを提案する.GeoSkipは,2次元の平面上のピア間を角度分割と隣接ピアへのリンクを行うことにより論理ネットワークを構成する.さらに,Skip Graphを2次元に拡張した階層構造を与えることにより,各ピアはより遠方のピアへのリンクを持つことができる.これらにより,2次元の情報を効率的に検索することができる特徴を有する.また,シミュレーションによる評価を行い,経路表の大きさと検索コストがO(log N)に抑えられることを確認した.Mobile devices equipped with Global Navigation Satellite System (GNSS) functionality and the advance of technology for sensor networks have enabled Location-Based Services (LBS). The location-based services deal with real-world information which is collected from mobile devices and sensors. Due to the large amount of collected data, we should manage such data in distributed architectures. This paper proposes a scalable overlay network architecture, called GeoSkip. GeoSkip extends one-dimensional Skip Graphs to two-dimensional content space in order to achieve efficient data processing for location-based contents. As a result, we are able to reduce cost to search for two-dimensional information to O(log N). The benefit of GeoSkip is validated by simulations.
著者
大森 康正 斉藤 奬 松井 繁巳
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.191-193, 1960

本年(1960)6月中旬頃, 新潟市山ノ下地区に黒い小さなハエが非常に多く発生しているという情報が同市東保健所に入つた.その後, 本種は一時下火になつたかのように見えたが, 梅雨の明けた7月中旬頃から山ノ下地区から約1kmはなれた市内沼垂の貯木場付近一帯に再び大発生し, 近くの民家に侵入して住民を悩し始めた.本種は同定の結果, Drosophila virilisクロショウジョウバエと判明した.新潟市内のショウジョウバエについては筆者らの一人斉藤が1957年に調査しているが, 今回の発生は当時の採集量に比べて問題にならぬくらいの大発生である.筆者らは今回の異常発生について発生源その他を調査し, 併せて殺虫剤散布も試みたので, その成績を紹介したい.
著者
斉藤 健二 宮武 修
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.76, pp.41-50, 2000-01-25
参考文献数
11

棒状架橋樹脂を充てんした潜熱蓄熱槽に,負荷側との接点として熱交換器を組み合わせたときの放熱特性に関するシミュレーションを行った.蓄熱槽初期温度,熱交換器負荷側入口温度,熱媒体質量流量,蓄熱槽高さ,熱媒体熱容量流量比および熱交換器移動単位数を変化させ,蓄熱槽内の熱媒体温度分布と熱交換器出入口温度の経時変化を算出した.また,蓄熱槽側の熱媒体質量流量を可変制御して熱交換器負荷側出口温度を一定値に制御する場合についても同様の考察を加えた.
著者
武田 正倫 斉藤 寛 窪寺 恒己 松浦 啓一 町田 昌昭 A.AZIZ W.W.KASTORO M.KASIM Moosa 松隈 明彦
出版者
国立科学博物館
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

平成4年度においては、平成4年11〜12月および平成5年1〜2月にアンボン島において、現地研究者の協力を得て、魚類・棘皮動物、軟体動物、魚類寄生虫、甲殻類の調査を行った。各動物群とも、多数の標本を採集して国立科学博物館へ持ち帰った。平成5年度においてはロンボク島各地を主調査地とし、補助的にスラウェシ島メナドにおいても調査を行った。調査方法は前年度と同様で、磯採集やキューバダイビングによって採集を行った。したがって、調査は主として潮間帯から水深20〜30mに達する珊瑚礁域で行われたが、その他、砂あるいは砂泥地においても各種動物を調査、採集した。魚類はおよそ2000点の標本を得、また、棘皮動物の標本はヒトデとクモヒトデ類を主として千数百点に上るが、すでに同定が行われたアンボン島産のクモヒトデ類は9科25種であった。軟体動物はロンボク島において多板類14種、大型腹足類約170種、二枚貝類約60種が採集された。このうち多板類は12種が日本南西部に分布する種と同種か、極めて近縁な種であり、その中の2種は新種と考えられる。また、頭足類は3科5種に同定された。甲殻類の標本数はおよそ1000点に達するが、造礁サンゴと共生する種の多くは琉球列島にも分布するものである。分類と分布だけでなく、生態に関しても特に興味深いのは、ウミシダ類やナマコ類と共生するカニ類で、数種の新種が確認された。魚類寄生虫に関しては、市場で新鮮な魚類を購入し、鰓や消化管に寄生する単生虫・二生虫・条虫・線虫、鉤頭虫・甲殻類を取出し、圧平標本や液浸標本として固定保存した。多くのものは沖縄と共通すると思われるが、ボラやボウズコンニャクの食道や腸から得た旋尾線虫や二生虫類に新種が発見された。すでに論文として、あるいは口頭で発表したものもあるが、分類学的研究が終了したものから順次国立科学博物館研究報告、動物分類学会誌あるいはそれぞれの動物群を対象とした専門誌に報告する予定である。
著者
斉藤 奨 大森 康正 松井 繁己 小松原 忠知
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.229-232, 1962

新潟県で採集されたショウジョウバエは2科5属23種であり, そのうち新潟市では2科4属18種が得られた.主な3種, カオジロショウジョウバエ, オオショウジョウバエおよびキハダショウジョウバエの季節的消長をみると, いずれも7月中旬に山を形成したほかオオショウジョウバエは10月下旬に, キハダショウジョウバエは11月上旬に再び山を形成する双峰型の消長を示した.その他の種はほとんど秋季に主として採集された.なおクロショウジョウバエの異常発生が1960年と1961年の2カ年にわたり梅雨明けにみられた.
著者
佐竹 正夫 大東 一郎 東田 啓作 柳瀬 明彦 斉藤 崇 松八重 一代
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本年度は最終年度であるので、各自の研究成果の公開とこの課題に関心を持っている若手研究者との交流を目的として、以下のような活動を行った。1. 公開シンポジウム平成20年9月16日(東北大学)発表者東田啓作"The Determinants of International Trade in Recyclable Materials and the Effects on Welfare-Theory and Evidence-"斉藤崇「国際資源循環と国内廃棄物処理・リサイクル制度」中谷隼*「使用済ペットボトルの国内リサイクルと日中間リサイクルの比較分析」*東京大学工学研究科助教2. 研究会平成21年2月2日(明治大学)この課題に関心を有している若手研究者*を招いて、特に理論の面での研究会を開催した。*栗田郁真(京都大学大学院生)、赤石秀之(法政大学大学院生)、南部和音(明治大学非常勤講師)、菊地徹(神戸大学准教授)、山重芳子(成城大学准教授)3. 成果発表会平成21年3月13日(東北大学)新熊隆嘉関西大学教授を招いて、公開の研究会を中に入れて、最終の成果報告会を開いた。研究成果は5月に報告書を発刊する予定である。4. 研究会、シンポジウムなどへの参加この課題はまだ結論が出るような問題ではないので、引き続き他の研究機関が開催する研究会などに積極的に参加すると同時に自治体や企業への聴き取りを行った。参加したシンポジウムは次のようなものである。・廃棄物処理等科研費研究班主催「PETボトルのリサイクル効果に関する公開セミナー」・国立環境研究所研究会主催「適正な国際資源循環を構築するための枠組みについて」・廃棄物学会主催「資源確保競争下での国際資源循環のあり方を考える」
著者
斉藤 和雄 Lecong Thanh 武田 喬男
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.65-90, 1994 (Released:2006-10-20)
参考文献数
25
被引用文献数
7 7

紀伊半島、尾鷲付近での降雨の集中に対する地形効果をみるため、3次元山岳地形を越える流れの場を非静水圧ドライモデルを用いて調べ、観測された降雨量分布との比較を行った。 北東~南西方向に長軸を持つ楕円で単純化した地形に対する数値実験では、南東の一般風が弱い場合、山岳風上側下層の上昇流域は、斜面上と海上に2つのピークが見られた。海上のピークは、ブロッキングによる2次的な上昇流で、山岳前面最下層の逆風を伴っていた。それぞれのピークは一般風が小さいほど風上側に生ずるが、一般風が強く (あるいは安定度が小さく) ブロッキングが生じない場合は、海上の2次的な上昇流は見られない。紀伊半島地形の特徴的な湾曲は、南東風時のブロッキングの効果を高める働きを持つ。 1985年の紀伊半島での降水事例を解析し、尾鷲では潮岬に比べ雨量が多い事と大雨は東南東~南の下層風向時に生じている事を確かめた。紀伊半島の現実地形を用いた数値実験では、東~南のいずれの風向時にも尾鷲付近と紀伊半島南部に下層の上昇流域が見られ、榊原・武田 (1973) で示された紀伊半島の年平均降水量分布の極大地点と良い一致が見られた。ブロッキングにともなう海上の2次的な上昇流は南西~西の風向時には生じなかった。 大雨時に観測された一般場を用いた数値実験でも同様な傾向が見られ、シミュレーションで得られた下層の上昇流域は観測された降水分布に概ね良く対応していた。また、いくつかのケースでは、尾鷲の北東で観測された地上の降水域に対応する場所に山岳波による風下側中層の上昇流域がシミュレートされた。 実験結果は、実際の降雨分布と一般風の大きさの関係-弱風時の海岸域と強風時の内陸域-に対応している。また、弱風時にしばしば見られる紀伊半島風上側海上での対流性降雨バンドの発達に、紀伊半島の地形のブロッキングによる下層の水平収束が影響している事を示唆している。