著者
向後 麻里 斉藤 有深 柏原 由佳 小市 佳代子 市川 幾重 堀地 直也 今井 俊道 足立 満 村山 純一郎 木内 祐二
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.973-981, 2004-12-01
被引用文献数
1 2

日本における肺癌罹患者数は増加傾向にあり, 男性では悪性腫瘍の中で死亡原因の1位となっている. 非小細胞肺癌(non-small-cell lung cancer:NSCLC)は早期診断, 早期切除が原則となってくるが, 進行性肺癌や小細胞肺癌(small-cell lung cancer:SCLC)に対しては外科的切除の適応は少なく, 強力な化学療法や放射線療法が実施されるものの, 5年生存率は1%未満である. 近年, 肺癌の化学療法は, cisplatin(CDDP)と他剤との併用療法が主流でありSCLCではetoposide(VP-16), irinotecan hydrochloride(CPT-11), NSCLCではvinorelbin tartarate(VNR), gemcitabin hydrochloride(GEM)などと併用されている. こうした併用化学療法を安全かつ効率的に実施するためのクリニカル, パス(パス)を用いることは有用と考えられるが, 国内ではいまだ十分には活用されていない. パスとは, 病棟でのチーム医療の「質」と「効率」を同時に保障するために考え出されたマネージメントツールであり, パス導入により, 医療の標準化, チーム医療の推進, 情報の共有などの効果が期待される.
著者
鵜飼 正敏 横谷 明徳 藤井 健太郎 斉藤 祐児 福田 義博 島田 紘行 住谷 亮介 安廣 哲 深尾 太志 南 寛威
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

DNAの放射線損傷と損傷を回避するための細胞系の自発的修復とを熱力学的緩和過程の観点から統一的に研究するための分光法の開拓を目的として、既存の液体分子線・シンクロトロン放射光電子分光法を発展させるとともに、新規に、光励起とは相補的な高速電子線エネルギー損失分光システムを開発した。また、光励起と電子エネルギー損失に後続して誘起される分子の非定常状態とその反応を時間発展的に観測するための分光学的研究法を開発した。
著者
近藤 克則 吉井 清子 末盛 慶 竹田 徳則 村田 千代栄 遠藤 秀紀 尾島 俊之 平井 寛 斉藤 嘉孝 中出 美代 松田 亮三 相田 潤
出版者
日本福祉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は,介護予防に向けて,心理的因子や社会経済的因子の影響を明らかにする社会疫学の重要性を検討することである.(1)理論研究では,多くの文献をもとに社会疫学の重要性を検討した.(2)大規模調査(回収数39,765,回収率60.8%)を実施した.(3)横断分析では,健診や医療受診,うつなどと,社会経済的因子の関連が見られること,(4)コホート(追跡)研究では,社会経済的因子が,認知症発症や要介護認定,死亡の予測因子であることを明らかにした.本研究により,社会疫学研究が,介護予防においても重要であることを明らかにした.
著者
伊牟田 敏充 本間 靖夫 〓見 誠良 池上 和夫 波形 昭一 渋谷 隆一 斉藤 寿彦
出版者
法政大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1986

1.『昭和財政史資料』など未公刊資料を収集し, 分析して, 研究成果の一部として次のような諸点が得られた. なお, 利用予定であった史料の一部(賀屋文書)の公開が遅れたため, 最終的取りまとめには時日を要する予定.2.第2次大戦下の金融構造は, 昭和初年や戦後高度成長期のそれとは異質であり, 公債消化と軍需金融を二本の柱とした資金統制計画に基く「割当型」の金融構造であった. リスクの大きい軍需金融のため興銀・戦時金融金庫が媒介機関となり, 普銀・生保等の資金が「迂回」的に利用された.3.資金調整から金融統制へと大蔵省による「上から」の統制は深まったが, それを支えたのは金融機関間の協調的行動(金利協定, 国債保有, 共同融資, 社債シンジケート団の拡大)であった. 時局共同融資団は典型例.4.日銀は伝統的中央銀行とは異質のものとなった. 兌換停止された日銀券は1941年に管理通貨となった. 日銀は国債を無制限に引受け, 国債管理機関となったほか, 商業金融主義を放棄して産業金融調節者となった.5.大戦下に銀行合同が徹底して推進され, 都市二流銀行・農工銀行・地方信託が消滅した. 地方では一県一行がほぼ完成, 貯蓄銀行が消滅した. 銀行規模の拡大・店舗網の整理・資産の整理によって経営が「合理化」され, 資金コストが低下し, 国債消化・低金利実現につながった.6.軍需企業との直接的関係の薄い金融機関(地銀・貯銀・生保・勧銀・産組中金など)は資金に余裕が生れ(戦時的資金偏在), その資金は国債消化に誘導されたほか, 金融債消化により迂回的に軍需企業へ流された.7.太平洋戦争は米英との為替取引を不可能とし, 1932年以降の為替管理は変更を余儀なくされ, 正金銀行の機能が弱化した. 円系通貨圏内決済のみ残ったが, 日銀・台銀・鮮銀・南方開発金庫・外資金庫等の特殊金融機関の連帯的行動で円系通貨を支えた.
著者
金 金 八重樫 朋祥 澤田 建 斉藤 隼人 後藤 由希 中嶋 侑佳 澤井 健 橋爪 力
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第103回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.101, 2010 (Released:2010-08-25)

【目的】本研究は,日長や温度変化が反芻家畜の成長ホルモン分泌(GH)に及ぼす影響を明らかにするために,ヤギを人工気象室内で飼養し,日長や温度を変化させた時のGH分泌の変化を調べた。 【方法】成熟雌シバヤギを室温20°Cに設定した人工気象室内で,8時間明,16時間暗(8L-16D), 12時間明,12時間暗(12L-12D)及び16時間明,8時間暗(16L-8D)の人工照明下で飼養した。また12L-12Dの一定照明下で室温を25°C又は5°Cに設定した人工気象室内でもヤギを飼養した。それぞれの条件下で飼養したヤギの頸静脈内にカテーテルを留置し,15分間隔で4時間採血して血中GH濃度の変化を調べた。また各期に成長ホルモン放出ホルモン(GHRH: 0.25 µg/kg b.w.)を頸静脈内投与してGHの放出反応も調べた。GHパルスの解析はEllisら方法に従った。 【結果】(1) 照明を変化させた時,GHのパルス頻度には有意な変化は見られなかった。パルスの振幅は8L-16D区に比べ12L-12D区と16L-8D区では高くなる傾向が見られた。平均GH濃度は8L-16D区に比べ12L-12D区と16L-8D区は有意に高かった(P<0.05)。(2)温度を変化させた時,パルス頻度と平均GH濃度には有意な変化は見られなかった。GHパルスの振幅は25°C区に比べ5°C区の方が高い傾向にあった。 (3) GHRH投与実験においては,16L-8D区は8L-16D区に比べGH放出反応が高まる傾向が見られた。温度変化による差は見られなかった。 本研究の結果は,ヤギのGH分泌は温度変化より,日長変化により修飾されることを示唆する。
著者
長浜 克志 山田 拓己 一柳 暢孝 酒井 康之 鎌田 成芳 福田 博志 谷沢 晶子 渡辺 徹 斉藤 博 堀内 晋 町田 竜也
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-6, 2002-01

Hautmann型膀胱再建術中,癌死・他因死・追跡不能を除く20例(男16例・女4例,29~73歳)を対象に,術後の回腸新膀胱の蓄尿・排尿状態を尿流動態検査(UDS)とアンケート調査により解析した.排尿回数は夜間に2回以上起床し排尿している例が19例中8例と高率であった.また,尿失禁は19例中昼間2例,就寝後12例にみられたが昼間は尿パッド平均2枚,夜間は1枚で対処可能であった.排尿時間は18例中9例が1分以内に排尿を終えたが3例では3分以上を要した.排尿状態については18例中満足8例,不満3例であった.USDを施行できたのは11例で観察期間は平均34.2±21.9ヵ月であった.残尿量は27.8±28.2ml,新膀胱最大容量は395.2±96.8mlで膀胱内圧は充分に低値であった.排尿時,外尿道括約筋筋電図で明らかな電位増強を11例中10例と高率に認めたWe analyzed the functional and urodynamic characteristics in 19 patients with ileal neobladder by the Hautmann procedure. A questionnaire survey by mail was performed for functional information of neobladder. Seventeen of the 19 patients (89.5%) could voluntarily void via the urethra and the others needed clean intermittent self catheterization (CIC) because of their significant residual volume. Eight of the 19 patients (42.1%) micturated at least two times at night. Two of the 19 patients (10.5%) were incontinent in the day time and 12 (63.2%) in the night time. They needed 2 pads in the day time and one pad at night on average. Eight out of 18 patients (44.4%) were satisfied with their micturition state. A urodynamic study showed the neobladder to be a low-pressure reservoir with a mean capacity of 395.2 +/- 96.8 ml. The mean residual volume of the patients without CIC was 27.8 +/- 28.2 ml. In 10 out of 11 patients high frequency and high amplitude spikes were seen by the perineal electromyogram in the voiding phase.
著者
斉藤 明 末木 文美士 高橋 孝信 土田 龍太郎 丸井 浩 下田 正弘 渡辺 章悟 石井 公成
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、H15年5月に開催された第48回ICES(国際東方学者会議、東方学会主催)におけるシンポジウム(「大乗仏教、その起源と実態-近年の論争と最新の研究成果から」)を皮切りに、総計10名の研究分担者がそれぞれの分担テーマに取り組み、これまでに12回の研究会、8回の講演会、印度学仏教学会等の国内学会、IAHR(国際宗教学宗教史学会)、ICANAS(国際アジア北アフリカ研究会議)、IABS(国際仏教学会)、ICES(国際東方学者会議)他の国際学会等を通して研究発表を重ね、'ここに研究成果をとりまとめるに至った。また、研究成果の一部は、H18年度の第51回ICESにおいて「大乗仏教、その虚像と実像-経典から論書へ」と題するシンポジウムにおいて公開した。本シンポジウムでの発表内容の一部は、H20年に刊行されるActa Asiatica,The Institute of Eastern Cultureの特集号(vol.96,"What is Mahayana Buddhism")に掲載予定である。本研究により、在家者による参拝という信仰形態をふまえ、新たなブッダ観・菩薩観のもとに経典運動として-既存の諸部派の中から-スタートした大乗仏教運動は、時期的には仏像の誕生とも呼応して、起源後から次第に影響力を増し、3世紀以降には最初期の経典をもとに多くの論書(大乗戒の思想を含む)を成立させるに至ったという大乗仏教の起源と実態に関する経緯の一端が明らかとなった。大乗仏教徒(mahayanika,mahayanayayin)とは、こうして成立した『般若経』『華厳経』『法華経』『阿弥陀経』等の大乗経典をも仏説として受け入れる出家、在家双方の支持者であり、これらの経典はいずれもそれぞれを支持するグループ(菩薩集団)独自のブッダ観あるいは菩薩観を、宗教文学にふさわしい物語性とともに、空や智慧、仏身論や菩薩の階梯などを論じる論書としての性格を帯びながら表明している。本研究では、これらの詳細を各研究分担者がそれぞれの専門を通して解明するという貴重な研究成果を得ることに成功した。本研究成果報告書は、いずれもこの研究期間内に研究代表者、研究分担者、および上記ICES,IAHRにおけるシンポジウムへの招聴研究者がもたらした研究成果の一端である。
著者
加藤 敏洋 平田 富夫 斉藤 豊文 吉瀬 謙二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.1750-1757, 1995-12-25
被引用文献数
11

本論文では,サイズがN×Nの2値画像のユークリッド距離変換をO(N^2)時間で実行するアルゴリズムを与える.距離変換とは,入力として与えられた2値画像の各画素についてそこから最も近い0画素への距離を求める処理で,ディジタル画像処理における基本的な処理である.このアルゴリズムは,4近傍距離や8近傍距離などユークリッド距離以外の他の距離についてもアルゴリズム中の距離関数を置き換えるだけで距離変換が実行でき,その意味で一般的な距離変換アルゴリズムとなっている.また,p(1≦p≦N)台のプロセッサを用意すればO(N^2/p)時間の並列アルゴリズムが得られ,これまでの並列アルゴリズムより効率が良い.
著者
木村 博 寺岡 文雄 斉藤 隆裕
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.205-208, 1985-05-25

重合過程の加熱重合レジンと常温重合レジンの内部に生じる応力について検討し, さらに重合後のレジンを120℃まで加熱後, 室温まで冷却したときのレジン内部に生じる応力についても検討した.重合終了後はレジン内部に圧縮応力が生じ, 加熱重合レジンが176kgf/cm^2で最も少なく, 常温重合レジンを50℃で重合したときは251kgf/cm^2で, 23℃で重合したときは338kgf/cm^2であった.重合後のレジンを加熱すると, 加熱重合レジンは約120℃で内部応力は0となり, 常温重合レジンは約60℃で応力は0になった.
著者
武田 紀久子 大久保 みたみ 高崎 禎子 唐沢 恵子 石川 尚子 大関 政康 大竹 美登利 川端 博子 斉藤 浩子 林 隆子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.3-13, 1992-01-15
被引用文献数
3

第3報では,高齢者の食生活に関する分析を行った.現在70歳の高齢者は,結婚年齢である20代に第二次世界大戦を迎え,子育て期には戦中戦後の食糧難による耐乏生活を経験し,働き盛りの30代には戦後の急激な生活の変化に遭遇したというまさに波乱に富んだ人生を生
著者
瀬古 弘 加藤 輝之 斉藤 和雄 吉崎 正憲 楠 研一 真木 雅之 「つくば域降雨観測実験」グループ
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.929-948, 1999-08-25
被引用文献数
7

台風9426号(Orchid)が日本列島に接近した1994年9月29日に、関東平野にほぼ停滞するバンド状降雨帯が見られ10時間以上持続した。つくばにおける特別高層観測、2台のドップラーレーダーおよびルーチン観測のデータを用いて、この降雨帯を解析した。この降雨帯はニンジン形の雲域を持ち、バックビルディング型の特徴を持っていた。南北に延びた降雨帝はマルチセル型の構造をしていて、その中のセルは降雨帯の南端で繰り返し発生し, 西側に広がりながら北に移動した。水平分解能2kmの気象研究所非静水圧メソスケールモデルを用いて、数値実験を行った。メソ前線は実際の位置の約100km南東に形成されたが、バックビルディング型の特徴を持つニンジン型の形状のほぼ停滞する降雨帯が再現され、3時間以上持続した。セルが北西に移動すると共に降雨帯の東側で降水が強化されて、ニンジン形が形成されていた。降雨帯の形成メカニズムを調べるためにまわりの場と雲物理過程を変えて感度実験を行った。その結果、中層風の風上側からの高相当温位の気塊の供給と風の鉛直シアが重要であることがわかった。
著者
塩川 和夫 小川 忠彦 西野 正徳 大塚 雄一 湯元 清文 斉藤 昭則
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

・平成13年7月に全天カメラ1式をアレシボ観測点(プエルトリコ)に持ち込み、アレシボにある大型レーダーと全天カメラによるTIDの同時観測を約2週間行った。この観測から、真夜中の赤道付近の電離層からやってくる1000kmスケールの大規模波動構造、200kmスケールの中規模伝搬性電離圏擾乱のそれぞれにっいて、レーダー・カメラ同時観測に成功した。・平成13年10月に、日本の磁気共役点にあたるオーストラリアのダーウィンに、上記のカメラを設置し、定常観測を開始した。同年10-11月にかけて、赤道域で発生したプラズマバブルが、日本の鹿児島県佐多観測点とダーウィンで同時に観測された。詳細な解析から、この構造が日本とオーストラリアでちょうど鏡像の関係になっていることが見出され、赤道プラズマバブルの構造が、南北の磁力管をつないだ非常に大規模な構造であることがわかってきた。・信楽・陸別で大気光イメージに観測された中規模伝搬性電離圏擾乱(MSTID)を統計的に解析し、その伝搬特性の季節変化、緯度変化を初めて明らかにした。さらに、DMSP衛星との同時観測例を詳しく調べることにより、MSTIDの波状構造に伴って電離層中に分極電場が生じていることを世界で初めて示した。・平成14年8月9日に鹿児島県佐多岬とオーストラリアのダーウィンで、MSTIDの大気光イメージング観測に初めて成功した。その結果、MSTIDが磁気赤道をはさんで南北半球でちょうど対称の形をしており、南北半球で1対1に対応することがわかった。この事実は、MSTIDが電離層の分極電場の構造を持っており、その電場が磁力線を通じて南北に投影されていること、を示している。さらに平成15年5月21日から6月7日に第3回FRONTキャンペーン観測を行い、オーストラリア中央部のRenner Springs(滋賀県信楽町の磁気共役点)に新たに1台の大気光全天カメラを設置したほか、国内外計7カ所で全天カメラによる伝搬性電離圏擾乱の総合観測を行った。この観測から、中規模伝搬性電離圏擾乱が、非常に良い南北共役性をもち、南半球と北半球で対称な構造を保ちつつ伝搬していることがわかった。
著者
高星 英明 斉藤 準 石尾 俊二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, no.15, pp.9-14, 2002-02-15

最大6k0eの磁場中においてMFMを用い面内磁気記録媒体の磁気クラスターの観察を行った.磁気クラスターは印加磁場の増加に伴い磁極集中型→磁気vortex→"⊂"型構造の3段階の消滅過程を辿った.また,磁気クラスターの変化に不均一性が見られる箇所や場所によって再現性のあるMFMコントラストを確認した.これらは局所的な磁気特性の不均一や媒体表面形状によるものであると考えることができる.これらと磁気クラスターとの相関を明らかにすることは今後の媒体ノイズの起源の解析に重要である.
著者
田中 良明 斉藤 勉 藤井 元彰 斉藤 友也 前林 俊也
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

難治性悪性腫瘍に対する放射線治療において、進行固形癌や再発癌は通常の放射線照射単独では十分な治療効果が得られない場合が多い。そこで、三次元原体照射による優れた線量分布と、放射線増感作用を有する温熱療法併用することにより、局所一次効果と臨床症状に改善が得られるかを検討した。対象は平成15年1月以降の4年間に温熱併用放射線化学療法を行った消化器系の癌腫25例(男/女=18/7、平均年齢59.4歳)で、内訳は、膵癌8例、胆嚢癌2例、胆管癌4例、小腸腫瘍2例、S状結腸癌2例、直腸癌7例で、現症別では局所進行・手術不能12例、術後再発12例、その他1例である。放射線治療は可能な限り三次元原体照射、多門照射を適用し通常分割で50〜60Gy、温熱療法はRF波誘電加温装置(Thermotron-RF8)を用い、病巣部41℃、30分以上で週1回、計4回以上を目標に実施した。化学療法は膵癌にはGEM(800-1000mg)、結腸・直腸癌には5-FU/LV、UFT、TS-1もしくはFOLFOXを適用した。結果は、治療内容について予定の70%以上実施できた症例を完遂例とすると、完遂率は68%(17/25)で、臓器別では膵癌(7/8)、結腸・直腸癌(7/9)で完遂率が高かった。画像診断や臨床症状による治療効果は、著効7例、有効12例、無効6例であり、臓器別の奏効率は膵癌(6/8)、結腸・直腸癌(8/9)で高く、胆道癌(4/6)、十二指腸・小腸癌(1/2)では相対的に低かった。完遂率別の治療効果は完遂例で著効6、有効10、無効1(奏効率94%)、非完遂例で著効1、有効2、無効6(奏効率38%)であり、完遂例の方が奏効率が高かった。臨床的に疼痛の軽減、異常分泌物の排泄減少など、QOL(生活の質)の向上が得られる例が多かった。有害事象として、2例に急性胃潰瘍がみられたものの、局所の疼痛、熱感などは軽微であった。以上、本法により奏効率の向上と一次効果持続期間の延長ならびに患者のQOLに改善がみられ、難治性腫瘍に対して有効な治療法であることが明らかとなった。
著者
星 和彦 星合 昊 斉藤 晃 桃野 耕太郎 京野 広一 対木 章 鈴木 雅洲
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.2300-2304, 1983-12-01
被引用文献数
2

体外受精・胚移植時に採取されたヒト卵子を成熱度の高いと思われる順に卵子の外観と付着している卵丘細胞の状態から5型に分類した(GradeI〜V)。この卵子のGradeと体外受精における受精蜆初期発生状態との関連性を検討して以下のような成績を得た.胚移植時2〜8細胞期と正常に発育した卵子の割合は,GradeI〜IIの卵子では76%で,III〜Vの場合の22%に比べ明らかに高率であり,われわれの作成した分類法は成熟度をよく反映していた.GradeI〜II卵子の採取率は自然LHサージ後約26時間で64%,HCG注射後約36時間では88%であり,採卵時期として上記の設定時問は適切と思われた。また得られた卵子のGradeと卵胞直径・卵胞液量との間に相関はなかった。
著者
山尾 泰 斉藤 茂樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.76, no.11, pp.453-461, 1993-11-25
被引用文献数
17

ディジタル移動通信用の低消費電力モノリシック直交変調器を800MHz帯および140MHz帯で実現した.超小形携帯電話機への適用を考慮し,消費電力を著しく低減すると共に,調整箇所を無くしかつ外付部品の不要な完全1チップ構成として設計を行った.このため,回路構成においていくつかの提案を行った.まず定位相差形90度合成器による全体構成を提案し,回路規模およびチップ面積を大幅に削減すると共に,位相調整を無調整化した.次に変調特性の鍵を握るダブルバランスミキサ(DBM)には,アナログスイッチ形DBMを800MHz帯用に採用し,半導体製造プロセスにおける素子バラツキの影響を受けずに高精度の変調波を得ている.更に電流利用効率の高いブートストラップ形バッファ増幅器を出力段用に考案した.試作した800MHz(GzAS)および140MHz帯(Si)直交変調ICは,π/4シフトQPSK変調器として優れた性能を有することが確認された.その消費電流はそれぞれ65mWおよび32.5mWであり,従来に比べ大幅な低消費電力化を達成した.