著者
早川 裕美子 寺部 恭子 小野 真知子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
no.30, pp.p11-20, 1984-03

小学校の家庭科,中学校の技術・家庭の教科書に記されている調理実習の調理品を対象に食塩濃度および食塩量を調べた.1.全調理品の食塩濃度は,小学校で最低0.8%(粉ふきいもA_1),最高2.0%(野菜入りいりたまごA_2)であった.改訂前,改訂後ともに1.1〜1.2%の範囲にある調理品が多かった.中学校では,最低0.1%(フルーツジュースB_1),最高3.0%(即席づけB_1)であった.改訂前は1.1〜1.2%,改訂後は0.7〜0.8%の範囲にある調理品が多かった.2.食塩量は,小学校で最低0.4g(青菜の油いためA_<1・2>),最高3.5g(サンドイッチA_1)であった.改訂前0.1〜0.5 g, 改訂後0.6〜1.0gの範囲にある調理品が多かった.中学校では,最低0.1g(フルーツジュースB_1,ピーマンのソテーB_2),最高5.8g(スパゲッティ・ナポリタンB_2,カレーライスB_1)であった.改訂前は1.1〜1.5g,改訂後は0.1〜0.5 gの範囲にある調理品が多かった.食塩量が3.0g以上の高い調理品は,小学校で1種類,中学校で8種類あった.これらは,食塩摂取量が1人1日10g以下の献立を作成する場合,組み合わせ方にかなりの工夫を要する.3.調理種類別の食塩濃度において,改訂後の値が高くなったのは,めん料理(0.7%→1.1%),汁物(0.9%→1.0%)であり,改訂後の値が低くなったのは,魚料理(1.8%→1.3%),パン料理(1.7%→1.5%)などであった.また,調理種類別の食塩量では,改訂後の値が高くなったのは,めん料理(3.0g→4.2g),卵料理(0.7g→1.1g)などであり,改訂後の値が低くなったのは,パン料理(3.2 g→2.6g),野菜料理(1.7 g→0.9g)などであった.4.食味テストの塩味の結果は,小学校において塩からいと感じた調理品は全体の75%,ちょうど良いものは10%,塩味が薄いと感じたものは15%であった.中学校では,塩からいと感じた調理品は全体の55%,ちょうど良いものが25%,塩味が薄いと感じたものは20%であった.全体的にみて,塩からいと感じる調理品が多く,食塩濃度の高い調理品は塩からいと感じた.また,改訂前と改訂後の食味テストの結果にあまり差はみられなかった.5. 塩味以外の食味テストの結果は,うま味の項目でおいしいと感じる調理品は小学校で50%,中学校では54%であった.外観が良い調理品は小学校で64%,中学校では60%であり,テクスチュアが良い調理品は小学校で41%,中学校で52%,分量がちょうど良い調理品は小学校で50%,中学校では35%であった.6.小・中学校の教科書の調理教材は,全般的にみて,食塩濃度は改訂の前後間に大きな差がみられなかった.食塩量は,僅かに減少している.
著者
中根 洋治 奥田 昌男 可児 幸彦 早川 清 松井 保
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.182-194, 2011
被引用文献数
1

本研究の事例に取り上げた矢作川流域のほとんどが花崗岩地帯であり,沖積平野の広範囲に砂が堆積している.近年,住宅や工場・道路などへの利用が多い旧河道や後背湿地では,地震時に堆積砂が液状化し,豪雨時に低湿地が浸水する被害を受けやすい.本研究では,矢作川の旧河道や後背湿地の生成過程と現状を歴史的文献・資料,地盤調査・工事資料,現地踏査などにより把握すると共に,浸水や液状化による災害に対する危険性を検討した.その結果,河床低下により矢作川本川の越水の危険性は減少傾向にあるが,支川の内水排除対策が今後の重要課題であり,また本川や各支川の旧河道及び低湿地における浸水や液状化に対する危険箇所が数多くあることを具体的に明らかにした.さらに,開発に伴う災害危険区域の増加傾向と共に遊水地の必要性も指摘した.
著者
笠茂 修平 片見 順 早川 智
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.41-46, 2019-02-01 (Released:2019-03-30)
参考文献数
16

Optical microscopes are indispensable for modern medical practice and biomedical research. Though the basic design of modern microscopes was developed over 100 years ago, their optical quality has not been examined by modern physicians. In this study, we compared the optical functions of antique German microscopes with those of modern microscopes, using various samples including HE stained frog tissues, Gram-stained peripheral blood cultures and test slides of permanent silica preparations. Of great interest, the objective lenses of old microscope showed good resolution and contrast that were almost comparable to modern ones. However, the narrow field of view and the lack of lighting units were major disadvantages of these antique microscopes. In conclusion, the optical qualities of the late 19th and early 20th century microscopes were sufficient to support the great discoveries by hunters of microorganisms and great pathologists.
著者
早川 崇 片岡 俊一 宮腰 淳一 佐藤 俊明 横田 治彦
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
no.650, 2010-04

We estimated the fault of the 1924 Tanzawa earthquake (<i>M</i>j7.3), which was the largest aftershock of the 1923 Kanto earthquake (<i>M</i>s8.2). We could successfully reproduce the observed waveforms in central of Tokyo based on the estimated fault model. This is very important to investigate the characteristics of ground motions by M7 events occurring in the Tokyo Metropolitan area because we only have a few observed waveforms of such events in central Tokyo. Finally, we calculated ground motions around Tokyo metropolitan area by the estimated fault model. The simulated ground motions do not exceed the design spectra around the area but in west of Kanagawa Pref.
著者
早川 洋行
出版者
日本社会学理論学会
雑誌
現代社会学理論研究 (ISSN:18817467)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.28-40, 2015 (Released:2020-03-09)

今日、実証データを示すことは、学問の世界のみならず世間一般でも重要視されている。しかし、実証すること自体が価値を帯びたり、データが捏造される事件も起きている。本稿はそうした現状を踏まえて、社会学史における実証研究に関する議論を整理し、社会学研究(社会学者)と「実証すること」の関係について考察したものである。 コントは、社会学は形而上学的段階から実証的段階に進化すべきだと考えていた。その際、重視されるのは何より「観察」だった。J. S. ミルはコントの主張に対して、概念が客観的世界から遊離してしまう点と、眼に見えない心理的なものの観察方法が示されていない点を批判した。またドイツ実証主義論争において、アドルノは、内容に対する方法の優位、方法の多様性による社会の全体性の解体、イデオロギー化を指摘するとともに、哲学の復権を主張し、一方、ポパーは、主観による観察の構築を指摘して、批判的合理主義を主張した。 以上4人の議論を見田宗介が用いた言葉を再定義して整理すれば、「引出されたデータ」に固執する問題、「引出されたデータ」「見出されたデータ」「未知のデータ」の関係の問題、「引出されたデータ」の恣意性の問題に整理できる。結論として、社会学者は「見出されたデータ」の世界に身を置きつつ、「引出されたデータ」と「未知のデータ」に関心を保ち続けることが大切であると主張する。
著者
浅井 しほり 恒松 雄太 高西 潤 礒谷 智輝 早川 一郎 坂倉 彰 渡辺 賢二
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

【目的】担子菌は他の生物種と異なるユニークな二次代謝産物を生産する。しかしそれらの生合成機構・遺伝子についての知見は未だ十分でない。我々は担子菌の「休眠型」生合成遺伝子を利活用すべく、ウシグソヒトヨタケCoprinopsis cinerea由来グローバルレギュレーター遺伝子CclaeAを破壊し、二次代謝系の撹乱化を通じて新規化合物coprinoferrin (CPF)の獲得に成功した1。CPFはC. cinereaの菌糸成長・子実体形成を促進するシデロフォアである。その生合成酵素Cpf1(非リボソーム性ペプチド合成酵素)を含む遺伝子クラスターは多数の担子菌類で高度に保存されていたことから、CPFは単なる二次代謝産物というよりもむしろ担子菌類における普遍的な生理活性分子と考えられた。そこで本研究では、CPF生合成の分子機構解明を目指して研究を行った。【方法・結果・考察】cpf1に隣接するcpf2 (ornithine N-monooxygenase)の遺伝子破壊株を取得したところ、CPF産生が消失し、子実体形成不全の表現系を示した。一方で本破壊株にN5-hydroxy-L-ornithine (hOrn)を添加した培養条件にて上記表現型は野生株と同等ほどに復元した。以上からCpf2はhOrnを生成すると予想し、リコンビナント酵素を用いた試験にて上記を実証した。続いてCpf1による三量化反応について、想定される基質hOrnおよびN5-hexanoyl-N5-hydroxy-L-ornithine (1)を用いて活性試験を行ったところ、Cpf1は1のみを基質として受け入れ、対応する三量化化合物 (2)を与えた。現在、CPFの末端アミド構造構築機構についても新たな知見が蓄積されつつあり、本発表にて併せて報告する。1) Tsunematsu, Y. et al. Org. Lett. 2019, 21, 7582.
著者
中川 泰代 大澤 真由美 早川 美幸 山口 直彦
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.299, 2007

目的 植物にはポリフェノール化合物が広く存在しているが、この化合物は酵素的酸化で、褐色色素へと変化すると共に、その抗酸化性は大きな影響を受ける。この酸化酵素は熱によって容易に失活することはよく知られている。抗酸化性の評価を、DPPH還元力測定の他に、リノール酸に対する抗酸化性をも測定したので報告する。方法 _丸1_試料はリンゴ、ごぼうなど7種類を使用。みじん切りしたものを2本の100ml三角フラスコに5gづつ精秤した後、1本は電子レンジで1分間処理し加熱区(H)、他の1本はそのまま1時間常温放置し、生区(L)とした。これらに40%エタノールを加え抽出液を得た。抽出液の_丸2_DPPH還元力測定、_丸3_過酸化物価はロダン鉄法にて測定し、その値が3.0に達するに要する日数を誘導期間とした。_丸4_リノール酸に対する抗酸化性は含水系(pH7.0)で測定し、50℃の恒温器中にて保存実験を行った。結果 _丸1_紅玉など4種のリンゴ(皮)のH区の全フェノール量は286~226mg/100gの範囲内であったが、L区のそれは204~118mg/100gと少なかった。一方、抗酸化性をみると紅玉のH区の効力は著しく強いが、他の3種のH区の抗酸化性は大変弱い。さらに、L区の効力がH区に比較して大きく減少するのは紅玉のみであった。_丸2_産地の異なるごぼう3種のH区の全フェノール量は宮崎:402mg、北海道:250mg、及び中国:134mg/100gであった。一方、L区のそれは186mg、126mg、及び96mg/100gへと減少した。H区とL区の抗酸化性を比較すると、宮崎産と北海道産はその誘導期間が減少したが、中国産は殆ど変化しなかった。
著者
早川 達 A D
出版者
日経BP社
雑誌
日経ドラッグインフォメーションpremium
巻号頁・発行日
no.175, pp.PE17-24, 2012-05

北海道薬科大学薬物治療学分野教授。POS(Problem Oriented System)に基づく薬歴管理の第一人者。著書に『POS薬歴がすぐ書ける「薬歴スキルアップ」虎の巻』基本疾患篇、慢性疾患篇、専門疾患篇など。 今回は、のぞみ薬局須田町店に来局した48歳の男性、小山浩典さん(仮名)の薬歴をオーディットしました。小山さんは糖尿病と診断され、初めて薬を飲むことになりました。
著者
早川 達
出版者
日経BP社
雑誌
日経ドラッグインフォメーションpremium
巻号頁・発行日
no.145, pp.PE16-23, 2009-11

今回はハーモニー薬局西小学校前店に来局する54歳の男性、国分正二さん(仮名)の薬歴を基に、薬歴添削と症例検討会(オーディット)をしました。国分さんは高血圧で、処方薬は1剤のみ。経過中に薬の変更はありません。薬剤師‐患者間の関係は良好のようで、比較的多くの情報が得られています。この患者情報を生かして、どのようにケアをしていくのかが問われるところです。
著者
早川 元基 徳丸 正孝
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.550-555, 2020-02-15 (Released:2020-02-15)
参考文献数
9

本研究では,コミュニケーションロボットが自身の気質と集団内の他のメンバーの性格を基に個性を形成するためのモデルを提案する.提案モデルは,自身の気質を考慮しつつ,Q学習を用いて集団内での振る舞い方を学習する.シミュレーションは,提案モデルと擬似ユーザが1対1でインタラクションを行うという想定で行った.シミュレーションの結果から,提案モデルが自身の気質と他者の性格の違いから異なる個性を形成していることが明らかになった.
著者
早川孝太郎著
出版者
未來社
巻号頁・発行日
2000
著者
庵 功雄 イ ヨンスク 松下 達彦 豊田 哲也 宮部 真由美 早川 杏子 田中 牧郎 ビアルケ 千咲 志賀 玲子 志村 ゆかり
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

令和元年度は、日本の公立中学校でのフィールドワークを通した教材開発の成果として、外国につながる生徒のための日本語総合教科書(初級版、初中級版)を刊行し、その概要と具体的なアプローチについて、口頭発表を行った。JSL児童生徒のための漢字シラバス開発に資するべく、中学校教科書コーパスから漢字の音訓使用率を算出し、文理教科書における漢字情報の使用傾向の対照分析を行い、論文による成果報告を行った。また、非漢字圏のJSL児童生徒あるいは成人日本語学習者の効果的な漢字字形学習方法を探るために、彼/彼女らの漢字字形認知の様相を明らかにする目的で、漢字の構造と構成要素を軸に初見漢字の再認実験と漢字要素分解調査を行い、口頭発表によって報告を行った。ろう児に対する日本語教育の実践を続ける一方、日本語と日本手話の対照研究を続け、口頭発表で報告した。日本語学習教材の自動生成方法について検討し、言語処理分野の機械学習モデル「Word2Vec」を用いた類義語を用いて、日本語能力テストの多肢選択問題を構築する手法を検討する一方、学術共通語彙知識の発達やその読解力との関係についての横断的調査を行った。さらに、学習者の語彙力測定のためにWebブラウザから語彙情報を収集するフレームワークを提案し、学習者が登録した語彙から関連語彙を「Word2Vec」を用いて推定し、日本語学習教材の自動構築に役立てる仕組みを検討した。「やさしい日本語」の理念の拡張について考究するとともに、講演、新聞や雑誌への寄稿などを通して、「やさしい日本語」の理念の地域社会への普及に努めた。