著者
都築 (早川) 和代 磯田 憲生 梁瀬 度子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.537-544, 1991

気温と着衣が運動時の人体に及ぼす影響を明らかにするために, 相対湿度50%, 気流0.2m/sec以下とし, 着衣を裸体 (ビキニタイプの水着着用), 半袖Tシャツ・短パン着用, 長袖・長ズボン着用の3種類とし, 気温条件を裸体20~30℃, 半袖20~27.5℃, 長袖15~25℃に設定した環境下で, 被験者に30分間の安静および自転車エルゴメーターによる40分間, 0.5kp, 50rpmの軽い運動を負荷する実験を行い, 次の点を明らかにした.<BR>(1) 平均皮膚温は, 気温が高くなるほど, 着衣が増えるほど高くなる.体重減少量は安静時は気温や着衣にかかわらず, ほぼ同じであるが, 運動時では安静時よりも多く, 半袖で多くなる傾向が認められた.<BR>(2) 温冷感申告は, 気温が高くなるほど, 着衣が増えるほど暑い側申告となる.温熱的中性申告は安静時では, 裸体気温26℃, 半袖24.5℃, 長袖21.5℃で得られ, 運動時では裸体21.5℃, 半袖20.5℃, 長袖18.5℃で得られた.<BR>(3) 着衣量について, 文献からの算出を試みた.衣服表面温度, 皮膚温などの実測値から算出する着衣量と温熱的中性気温との関係が他の着衣量算出式との関係に比べて, clo値の定義式に近い傾きになった.スポーツウエアなどのゆとり量が多い衣服や運動時についての着衣量の算出には, 詳細な検討が必要であると考えられる.
著者
早川 真悠
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.140, 2009

超インフレーション下のジンバブエにおいて、通貨「ジンバブエドル(以下、 ZWD)」は、日々その価値を失う、銀行から現金をおろせない、お釣りがない、「使い物にならない、役に立たないカネ」である。ZWDをめぐる交換方法や扱われ方は、通常考えられる近代貨幣交換や扱いとは異なった様相を呈する。 使い物にならないはずの貨幣の使われ方について、事例をもとにジンバブエにおける特殊な通貨のあり方について考察する。
著者
早川 和樹 野口 律奈 前原 大輝 松田 桃香 庭池 知里 本柳 圭亮 山口 圭太 小山 徹 伊村 智 大西 伽枝
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【背景】南極での食事は以下のような特殊性を持つ。①南極到着後食糧の補給はなく、一度持ち込んだ食糧のみで食生活を維持する。②保存性・貯蔵性に乏しい食品(野菜・果物など)は、食せない時期(越冬後半)がある。③メニューは調理隊員が決定し、個人による選択の余地はない。④ゴミ減量化、排水制限等の制約がある。⑤南極生活での数少ない楽しみの1つであり、隊員同士の紐帯の源である。こうした特殊性は、災害時の食事と共通点が多い。南極調理隊員による食糧の選択と配分、食べられない食品の代替メニュー等は、災害用備蓄や災害時の食事に活用できると思われる。さらに、隔離・閉鎖された空間である南極での食事が、隊員にとってどのような存在か、調理隊員は何を心がけているのかを知ることは、災害時の食事を単なる栄養補給ではなく、被災者に寄り添う食として捉える上で重要であると考える。</p><p>【目的】本研究の目的は、南極越冬隊の食事の特徴を明らかにし、災害食への応用を検討することである。本発表では、南極での献立の特徴について報告する。</p><p>【方法】第1次隊(1956-58年)から第60次隊(2018-20年)までの日本南極地域観測隊報告書を対象とし、献立に関する記載を記述的に分析した。</p><p>【結果】朝食はバイキング、昼食は短時間で食べられる麺類か丼もの、夕食は定食スタイルであった。お菓子は、持参した分が最後までなくならないよう、調理隊員が管理して配分していた。BARが定期的に開かれ、お酒が自由に飲めるようになっていた。さらに、曜日感覚を維持するために毎週金曜日はカレーとする、季節感感覚を維持するために日本の季節に合わせた特別食を実施する(7月に流しそうめん等)などの工夫がされていた。</p>
著者
鈴木 哲也 織田 展輔 内田 光春 早川 巖 高橋 英和
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.165-170, 2002
参考文献数
20
被引用文献数
4

本研究の目的は光重合型レジンが上顎全部床義歯の基礎床用レジンとして有用であるか,常温重合型基礎床用レジンと比較し,検討することである.市販の光重合型基礎床用レジン3種類と常温重合型基礎床用レジン2種類を用い,曲げ特性,ヌープ硬さ,寸法変化率,フィラー含有量および模型への適合性を測定した.光重合型レジンの曲げ特性とヌープ硬さは各製品間で異なり,さらに厚さの違いが性質に影響する製品も認められた.光重合型レジンのヌープ硬さと曲げ特性,特に弾性係数は常温重合型レジンより有意に大きかった.光重合型レジンの浮き上がり量は常温重合型より模型中央部で有意に大きかった.以上の結果から,光重合型レジンは適合性については常温重合型レジンよりやや劣るものの,十分な機械的特性を有し,かつ操作性に優れていることから,上顎全部床義歯の基礎床として有用であることが示唆された.
著者
小林 牧人 黑栁 仁志 大友 明香 早川 洋一
出版者
公益財団法人 平岡環境科学研究所
雑誌
自然環境科学研究 (ISSN:09167595)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.7-13, 2019 (Released:2020-01-07)
参考文献数
18

Construction of artificial river and lake banks changes the aquatic environment, and these changes are known to cause decreases of aquatic plants in shallow waters. We conducted experiments to examine the involvement of aquatic plants in spawning behavior of goldfish, Carassius auratus, and cruicuan carp, Carassius buergeri subsp.2. The spawning behavior was induced by injecting prostaglandin F2α into females. Pairs of male and female goldfish or crucian carp were placed in experimental tanks with or without aquatic plants made of acrylic yarn. Both goldfish and crucian carp spawned actively onto the aquatic plants whereas the behavior significantly decreased without the aquatic plants. The present experiments demonstrate that aquatic plants are essential as spawning substrates for performance of spawning behavior of these species. It is critical for conservation of fish species that use aquatic plants as spawning substrates to maintain aquatic plants on river and lake banks.
著者
西山 要一 植田 直見 桐野 文良 野尻 忠 早川 泰弘 今津 節生 東野 治之 関根 俊一 望月 規史 成瀬 正和
出版者
奈良大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

携帯型蛍光X線分析装置、据付型蛍光X線分析装置、X線回折装置、X線透過撮影装置など多種の分析器機・調査機器を活用して真鍮製考古資料・美術工芸品の成分分析等を行った。三重・大宝院所蔵大般若経八巻(紺紙金字経)の詳細な科学分析、および平安~江戸時代の紺紙金字経・同断簡の分析などによって、経典写経における真鍮泥使用の広がりを把握し、その宗教的・技術的・経済的な意味を歴史上に位置付けることを試みた。また古代~中世の京都・平安京跡、岩手・平泉遺跡、近世の奈良・奈良町遺跡、和歌山城跡などの出土銅合金・真鍮資料・鋳造資料を悉皆的に科学分析し、各遺跡・各時代における真鍮製品の実態を把握した。美術工芸資料調査では、長谷寺・九鈷鈴(中国・元時代)、當麻寺・螺鈿玳瑁螺鈿唐草合子(朝鮮・高麗時代)の将来品の分析を行い真鍮が使われていることを確認した。この種の日本製真鍮製品が見当たらないことから、真鍮の利用に日本と両国の間では様相を異にすると考えられる。近世には日本絵画の彩色に真鍮泥が使われる諸例を明らかにしつつあり、江戸時代以降の広範な真鍮利用の実態が判明しつつある。史料学調査では、日本・韓国の真鍮関連の古記録の探索の中で、新たに朝鮮の「三国史記」に真鍮関連の記載を見いだし、その真鍮史上の位置付けを試みている。さらに、韓国の真鍮資料を同国の分析科学者の協力を得て科学分析データおよび記録データの収集を行った。紀元前より真鍮製品(ローマコインなど)が存在するヨーロッパの諸例のデータも研究協力者の助力を得て収集し、日本の真鍮製品との共通性と差異、西アジアに発するとされる真鍮の起源とその伝来の道(ブラスロード)と歴史の一端を垣間見ることができた。これらの研究成果は、昨年度報告と同様に2019年度研究成果(冊子)にまとめ、日本文化財科学会大会(2020年7月)などで公表の予定である。
著者
早川 文代 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.197-207, 2000-03-15
参考文献数
8
被引用文献数
13 14

食感覚の擬音語・擬態語が,どのような食物のどのような特性を表現しているのかを明らかにすることを目的に,調査,解析を行ったところ,以下の結果を得た.<br>(1) 各用語が示す食味要因(外観,匂い,味,温度,音,テクスチャー)が明らかになった.<br>(2) これらの用語は,テクスチャーを表現するものが多く,また,音を表現する用語は,同時にテクスチャーも表現していることが明らかになった.さらに,テクスチャーと味,テクスチャーと外観のように,全く質の異なる2つの要因を表現する用語もみられた.<br>(3) 食感覚の擬音語・擬態語は,一部の例外を除くと,「脆性」と「弾性」の2軸からなる平面に布置された.<br>(4) 食感覚の擬音語・擬態語と食物との関係が明らかになった.
著者
渡辺 祐子 早川 潔 植野 洋志
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.107, pp.107_61-107_69, 2009-06-30 (Released:2011-12-09)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

乳酸菌による茶葉中でのγ-アミノ酪酸(GABA)の生産を目的に,新たにGABA生産性の高い菌を検索すると共に,乳酸菌の茶葉中での生育条件とGABA生産及び緑茶カテキンの変化について検討した。その結果,GABA生産性の高い乳酸菌L.brevis L12を得ることができた。さらに,L. brevis L12を10%茶懸濁液中で25°C,4日間培養することにより,ギャバロン茶とほぼ同量のGABAを含む新しい茶を作ることが可能になった。しかし,乳酸菌の生育向上の為グルコースを添加した場合,GABAは生成しなかった。GABAの豊富な茶葉生産時,茶葉中のグルタミン酸から理論変換量以上のGABAが得られた。原因として,茶葉中のグルタミン酸のアミド誘導体がグルタミン酸を経てGABAとなっている可能性が示唆された。
著者
諸井 克英 早川 沙耶 板垣 美穂 MOROI Katsuhide HAYAKAWA Saya ITAGAKI Miho
出版者
京都
雑誌
同志社女子大学生活科学 = DWCLA human life and science (ISSN:13451391)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.13-24, 2015-02-20

The present study examined the factor structure of paranormal beliefs of female undergraduates. The Paranormal Beliefs Scale was developed by authors. We developed a new scale composed of seventy-six items by refining scale items used by previous studies. The Paranormal Beliefs Scale, the Big Five Scales (Wada, 1996), and the Trait Feelings of Unreality Scale (Sunaga, 1996) were administered to female undergraduates (N=392). By factor analysis (principal factor method with promax rotations), for the Paranormal Belief Scale, five factors were extracted : belief in augury, belief in unidentified objects, belief in good or bad luck, positive attitude toward science, and negative attitude toward science. According to a series of regression analyses (stepwise method), paranormal beliefs were significantly determined by big five and feelings of unreality. The significance of research in paranormal beliefs was discusssed from the point of view of youth and religion.
著者
早川 達 A B
出版者
日経BP社
雑誌
日経ドラッグインフォメーションpremium
巻号頁・発行日
no.181, pp.PE17-24, 2012-11

北海道薬科大学薬物治療学分野教授。POS(Problem Oriented System)に基づく薬歴管理の第一人者。著書に『POS薬歴がすぐ書ける「薬歴スキルアップ」虎の巻』基本疾患篇、慢性疾患篇、専門疾患篇など。 今回は、友愛薬局勝田台店に来局した74歳男性、花岡二郎さん(仮名)の薬歴をオーディットしました。
著者
松永 佳世子 矢崎 喜朔 上田 宏 早川 律子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.269-275, 1979 (Released:2010-06-04)
参考文献数
11

口唇にのみ乾燥落屑及び暗紫色の色素沈着をきたした37才主婦例につき, 使用化粧品, タール色素, 1-phenyhzo-2-naphthol, 使用口紅の各成分, 使用可能な化粧品を選定するためのパッチテストなど, 計5回にわたるパッチテストを施行した。原因としてR-219の不純物である1-phenylazo-2-naphtholであることを確認した。又, 使用口紅, 同製品に使用されたR-219及び1-phenylazo-2-naphtholのパッチテスト部位を2週後に生検し, 著明な真皮上層の小円形細胞の浸潤, 基底層の液状変性, 及びincontinentia pigmenti histologicaを認めた。以上より本症例を使用口紅に含有されたR-219の不純物である1-phenylazo-2-naphtholによる黒皮症型の色素沈着例であると考えた。