著者
望月 照彦
出版者
多摩大学経営情報学部
雑誌
経営・情報研究 多摩大学研究紀要 = Tama University Journal of Management and Information Sciences (ISSN:13429507)
巻号頁・発行日
no.1, pp.45-63, 1997-03-01

多摩大学は1990年(平成元年)に開校した。その開校時から、多摩大学はベンチャー型企業家を生み出す教育を進めていかなければならない運命にあった。なぜなら、開校に寄与した中心の二人、すなわち野田一夫学長は日本における「経営学」の開祖の一人であったし、中村秀一郎学部長は "ベンチャービジネス"という概念と言葉を日本国中に広めたまさにその人であったからである。無論この二人だけではなしに、多摩大学の建学に馳せ参じた教授陣のほとんどが多かれ少なかれベンチャーやアントレプレナーという言葉に関係する研究者であり、また実際に社会でそういった仕事に携わっていた人々であったからでもある。 時代もまた、日本の産業社会を支えるのは古い形の巨大な企業ではなく、新しい哲学と新しい企業家精神を持った中小企業の担い手でなくてはならない、という思いを強めている。バブル型の経済が破綻して、今までの高度成長の論理が通用しなくなると当然新たな小さくても活力のあるベンチャー型企業家が求められるのである。 経営学部を持つ大学は、多摩大学のようにその創設者の精神の息吹のなかに、ベンチャーやアントレプレナーへの志向がなくても、彼らを生み出すための教育を時代が求めるようになってきたのである。今や大学における "ベンチャー教育"は、社会ニーズとなっている。しかし、残念なことに日本の経営学部を持つ多くの大学では、これまでにベンチャー教育の講座もカリキュラムも持っていなかったし、当然その経験も存在しなかったのである。従って、まず最初にしなければならなかったことは、大学自体がベンチャーの精神を持つことであった。大学全体として、チャレンジすることができなかったとしたら、その志しを持つ少数の先生であってもベンチャー教育に取り組む必要があるのではないか。 アメリカのサンノゼのシリコンバレーを生み出した1つの苗床は、スタンフォード大学であるといわれているが、この大学でも組織的なベンチャー教育が行われていたのではなく、1930年代電子工学の先生だったターマン教授が二人の教え子ヒューレットとパッカードを支援したことからベンチャー企業集積が始まったという話は有名である。今でもコンピュータ業界では冠たる地位を確保しているこのヒュートレット・パッカード社は車庫からスタートアップしたものであるが、私はそれをもじって〈ガレージ・インダストリィからカレッジ・インダストリィへ〉と呼んでいる。 そのカレッジ・インダストリィへの挑戦が、この論文の主題となるものである。ささやかな試みであるが、日本のベンチャー教育の一つのモデルになれば、と念じている。そしてそれが大きな流れとなって、多摩大学が存在する多摩エリアが日本におけるシリコンバレーのような地域に発展することを、私は究極の望みとしているのである。
著者
望月 佑哉 目黒 亜依 福岡 亜友 宮下 智人 Worarad Kanjana 井上 栄一
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.463-468, 2021 (Released:2021-12-31)
参考文献数
19

ブルーベリー果実の出荷期間を延長することを目的とし,まず,房取り収穫が可能な新系統HoSp-S65G-13の貯蔵特性を既存品種と比較した.次いで,収穫方法の違いが収穫後の果実品質に及ぼす影響について房取り収穫と個別収穫した果実を貯蔵して調査した.その結果,HoSp-S65G-13はハイブッシュブルーベリーの ‘Chandler’ およびラビットアイブルーベリーの ‘Tifblue’ と同等の貯蔵性を持つことが明らかになった.房取り収穫した果実の重量減少率は個別収穫のそれと比較し,貯蔵後2週目から有意に低かった.一方で,Brix値および酸度には収穫方法間で有意差はみられなかった.さらに,房取り収穫は貯蔵期間中の果実の腐敗発生を抑制した.貯蔵5か月後の果実を用いて官能試験を行ったところ,房取り収穫した果実は輸入生果と比較して同等であった.一方で,個別収穫した果実の評価は輸入生果と比較して有意に低かった.従って,ブルーベリー果実の房取り収穫は果実の重量減少および腐敗発生を抑制したことから,房取り収穫したブルーベリーを長期貯蔵することで出荷期間を延長できる可能性があることが示唆された.

4 0 0 0 OA 仏教大辞典

著者
望月信亨 等編
出版者
武揚堂
巻号頁・発行日
vol.第3巻, 1916
著者
望月 要 佐藤 方哉
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.42-54, 2003-04-20

本稿は行動分析学の立場から"パーソナリティ"の概念的分析と実証的研究の展望を試みたものである。従来、人間の個体差を示すパーソナリティ"という概念は、個体の内部にあって、その人間の行動を決定する仮説構成体と考えられてきた。この定義は現在でも広く用いられているが、言うまでもなく、行動の内的原因を排除する行動分析学からは容認できない。しかし、"パーソナリティ"について行動分析学の立場から新たな定義を与えることは不可能ではない。本橋ではパーソナリティ"に対して「特定個人の行動レパートリーの総体」という定義を、まだパーソナリティ特性"に対して「個人において安定している共通の制御変数によって制御されるレスポンデントおよびオペラントのクラス」という行動分析学的な定義を提案し、これに基づいてパーソナリティ特性"の概念的分析を行なうとともに、行動分析学的立場から行なわれた幾つかの実証的研究について展望を試みた。行動分析学は行動を制御する主要な制御変数の探求を完了しつつあり、今後は、制御変数間の相互作用の分析に力を注ぐべき段階にさしかかっている。制御変数の相互作用を解明するとき、同一環境下で発生する行動の個体差は研究の重要な糸口となり、その意味においても行動分析学における個体差研究の意義は大きい。
著者
田切 美智雄 森本 麻希 望月 涼子 横須賀 歩 DUNKLEY Daniel J. 足立 達朗
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.2, pp.245-256, 2010-04-25
参考文献数
29
被引用文献数
8 20

Hitachi metamorphic rocks located in the southern part of the Abukuma Mountains, Northeast Japan, distinctively contain meta-volcanic rocks and meta/sheared granitoids. The igneous ages of meta-granite and meta-porphyry from the Hitachi metamorphic rocks were determined by the SHRIMP zircon method. In this paper, we describe occurrence, petrography, and petrochemical characteristics of these studied rocks. Meta-porphyry, with an igneous age of 506 Ma, intrudes into the meta-volcanic rocks of the Akazawa Formation of the Hitachi metamorphic rocks and has a micrographic texture and a spherulitic texture of an igneous origin. Previous studies have already reported an igneous age of 491 Ma for meta/sheared granitoids using the SHRIMP zircon method. Cambrian meta/sheared granitoid samples occur widely as a granitic body in the northeastern part of the Hitachi metamorphic rocks. (A) Meta-granite of the same age (498 Ma) as the sample used for the above dating is found as boulders in meta-conglomerates. The meta-conglomerate, which is found in the Daioin Formation of the Hitachi metamorphic rocks, lies unconformably on a Cambrian meta-granite body. Both meta-volcanic rocks and meta/sheared granitoids have chemical characteristics commonly associated with island arc volcanism. As such, the Akazawa Formation is likely to have originated in the Cambrian era, although we have no SHRIMP age for meta-volcanic rocks of the Akazawa Formation.
著者
菅野 直之 藤井 健志 川本 亜紀 望月 小枝加 伊藤 聖 吉沼 直人
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.385-389, 2013

目的:歯周病は歯周病細菌により引き起こされる炎症性疾患であり,発症により唾液中の酸化ストレスマーカーが上昇,治療により減少することから,活性酸素が関与する疾患の一つと考えられている.本研究では,軽度から中等度の歯周病を有するボランティアを対象に,ユビキノール(還元型コエンザイムQ10)の摂取が歯周組織の臨床症状,口臭,唾液の抗酸化能に及ぼす効果を検討することを目的とした.材料と方法:被験者を2群に割り付け,実験群には還元型コエンザイムQ10(50mg)を含むサプリメントを,対照群にはプラセボを毎食後摂取させ,4,8週後に口腔内診査,口臭検査および唾液の採取を行った.成績:投与前後での臨床症状では,実験群でプラークの付着程度およびプロービング時の出血点の割合,対照群でプロービング時の出血点の割合に有意な低下が認められた.抗酸化能は,実験群ではやや増加したが,対照群では有意な低下がみられた.口臭の評価では,実験群で低下する傾向がみられた.結論:本結果から,還元型コエンザイムQ10の服用は歯周病による口腔内の症状改善に有用である可能性が示唆された.
著者
米田 圭佑 望月 祐洋 西尾 信彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.260-272, 2015-01-15

スマートフォンの搭載デバイス群から得たデータ解析による趣味嗜好抽出やコンテキスト認識の研究がさかんである.気圧センサは標高に関係する情報を取得でき,低消費電力でありながら行動認識に利用できるセンサとして期待されている.本論文ではユーザの状態を屋内状態と屋外状態に大別し,それぞれの状態において気圧センサを用いた行動認識手法を提案する.屋内状態では気圧変化量に着目した滞在階層推定を,屋外状態では軌道上移動の気圧推移に着目した現在地推定を行う.評価実験より,1度に+18階の階層移動の場合であっても正常に階層推定できていることを確認した.軌道上移動における現在地推定では,推定結果の75%においてGPS測位による位置情報との誤差が0.5km未満で推定できたことを確認した.A variety of studies have been conducted on context recognition as well as hobby and preference extraction by analyzing the data obtained from the sensors in a smartphone. As a smartphone component, a barometer is expected to be useful for activity recognition because of its low power consumption. In this work, we propose an activity recognition method of classifying a user's state into indoor and outdoor states and using a barometer at each state. In the proposed method, the floor of a building on which a user is located is estimated by determining atmospheric pressure variations sensed in the indoor state, and the user's location is estimated by determining atmospheric pressure variations according to the user movement along a track in the outdoor state. We confirmed that it is possible to closely estimate the current floor-level of the building in the case of user movement among eighteen floors at a time. On the other hand, we confirmed that in 75% of the results of the user's location estimation, the difference between the estimated location information and GPS location information is less than 0.5km.
著者
長谷川 洋一 坂巻 弘之 山崎 学 岩月 進 生出 泉太郎 北田 光一 大箸 義章 須田 晃治 望月 正隆
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.134, no.2, pp.277-291, 2014-02-01 (Released:2014-02-01)
参考文献数
8
被引用文献数
2 5

The first crop of pharmacists graduating from 6-year programs in pharmaceutical l education arrived in April 2012, and it will be important to incorporate new factors when predicting future trends in supply and demand for pharmacists. If we project supply given an exam pass rate of 75%, the supply of pharmacists will increase for the next 10 years or so if the number of exam takers is about 10000, and no decrease in the total number of pharmacists is expected until 2035. At pharmacies, a high degree of demand for the services of pharmacists can be expected to result from increases in the number of elderly patients and the number of patients receiving prescriptions, together with expanded accommodation of home health care, if the proportion of prescriptions that are actually filled up to 70%. At hospitals, demand has been projected to increase over the short term, owing to such factors as the trend toward having a resident pharmacist in each ward, advances in team medicine, and the spread of outpatient chemotherapy. Given the rising enrollment quotas for schools of pharmacy, and if the current supply and demand for pharmacists are maintained, we cannot rule out the possibility that pharmacists will come to be in excess supply within a 10-year horizon if the number of unemployed continues to decrease and the employment rate continues to improve along with changes in economic conditions and the consciousness of graduates of the 6-year programs.
著者
望月 進
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.21-25, 1985
被引用文献数
1

ベイト(腐肉)トラップを用いて,ルリエンマムシ成虫の季節消長,夏期における肉設置後の飛来経過を調査した。<br>1) 成虫は5月から10月まで継続して飛来し,夏期に飛来個体数は最大となった。成虫はおよそ7日間平均気温19&deg;C以上で飛来し,雨により飛翔活動は妨げられた。<br>2) 7月下旬の調査では,成虫の飛来個体数は肉を設置してから4日後に最大となった。<br>3) これは,ハエ類の幼虫が成熟して終齢になる時期に,ルリエンマムシ成虫の飛来が一致しているためである。<br>4) ルリエンマムシの幼虫期は,腐肉で発生するハエ類の羽化までの日数と同じかあるいは短かかった。<br>5) このように,ルリエンマムシの生活史は,ハエの生活史に同調していた。
著者
清水 晶平 望月 翔太 伊豫部 勉 山本 麻希
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
巻号頁・発行日
pp.107, 2013 (Released:2014-02-14)

イノシシ (Sus scrofa)は他の大型哺乳類と比較すると,足が体重と比べて短い.そのため,雪が深いと活動が困難となり,積雪 30cm以上の日が 70日を超える北陸~東北地方には生息できないと考えられていた.しかし,積雪量が 4mを超える 新潟県十日町市では,1995年頃からイノシシの生息痕が報告されている.新潟県では 1978年にはイノシシの生息は確認されなかったが,2003年に生息が確認され,2004年度は 20頭だった捕獲頭数が,2011年度には 791頭まで急増した.そこで本研究では,新潟県で定着しつつあるイノシシの分布に積雪が与える影響を評価し,今後の分布域拡大における積雪の影響について考察した. 本研究では,国土数値情報のデータと,LANDSATから作成した独自の土地被覆図を使用して分析を行った.捕獲頭数は,水稲共済損害評価に係る獣害申告データ(NOSAI)を使用した.ハンターマップの 5kmメッシュごとに,広葉樹林,針葉樹林,水田,畑地,鳥獣保護区,都市域,河川(各々の項目が占めるメッシュ内の面積),積雪量等の地形情報を GISアプリケーションを利用して抽出した.メッシュ内の捕獲頭数を従属変数とし,イノシシの行動に影響を及ぼすと予想される環境要因を独立変数として選択し,ポアソン分布を仮定した一般化線形モデルを作成した. その結果,捕獲頭数の多いメッシュでは,メッシュ内の広葉樹林・針葉樹林・畑地・鳥獣保護区の面積が多く,水田・都市部の面積と積雪量が少なかった.この結果から,イノシシは積雪量の少ないエリアに多く分布していること,比較的積雪量の少ない海岸寄りの林縁付近に位置する水田が被害にあいやすいことが示唆された.本結果と過去の積雪量と被害の拡大状況,捕獲効率等の結果から,今後のイノシシの分布拡大に積雪が与える影響について考察を行う.
著者
望月 明彦 中川 大 笠原 勤
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.43.3, pp.805-810, 2008-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
11

地方都市におけるコンパクトな市街地形成を実現する方策として、公共交通のサービス水準を向上し、併せて交通結節点周辺への各種機能立地を誘導することにより、公共交通を軸にコンパクトに機能を集積した市街地を形成させる取り組みが注目されている。本研究では、富山ライトレールプロジェクトにおけるサービス水準向上の有効性を、2時点の実証データを基に明らかにした。また、これまで十分な知見がない自動車からの転換や新たな移動を発生させ得る公共交通のサービス水準について、富山市が実施した公共交通に関する市民意識調査結果を基に運行指標ごとに利用者の評価を分析した。
著者
望月 修
出版者
東洋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

物体が水面に衝突する際,水しぶきが上がり,バシャン,ピチャンといった音がすることは身近によく経験する.本研究の工学的目標は生物に見習って(バイオミメティクス)このような水しぶきの飛散を低減すること,生活騒音を低減することである.模型を用いて,先頭形状,後尾形状,表面性状(親水性,疎水性など)の水しぶきおよび発生音に対する影響をレイノルズ数,ウェーバー数,フルード数を系統的に変えて、高速度カメラを用いた計測・観測を行うことによって調べた.高分子ゲル表面上の速度分布計測(PIV法)を行い,水流と壁面材質の干渉を調べた結果、高分子ゲルでも膨潤度が高いとスリップ速度が大きくなることがわかった.すなわち,突入物体表面上の水膜流の速度が速くなるのでスプラッシュを飛ばし易くなる.このことは本研究によって初めて明らかになったことであり,予想と全く逆の結果であった.気泡の取り込みに関しては,物体の突入速度によって,3通りに分類できることを明らかにした.その結果,発生する音も3通りあることがわかる.すなわち,水の音は気泡の音であるから,音の発生は気泡の取り込まれ方に依存する.親水性の表面であると,物体が水中に空気柱を作りやすくなり,それが細かくちぎれることによって,多くの気泡が水中に取り込まれる.先頭形状および後尾形状として半球,円柱,円錐,頭を切った円錐,回転放物体,流線型物体の組み合わせを試した結果,先頭形状は細かな水滴状の飛沫の形成に影響し,後方形状は水中に形成される空気柱のちぎれ,すなわち,気泡形成に影響することを明らかにした.
著者
堺 竜介 甲田 亨 馬場 孝輔 奥野 龍禎 中辻 裕司 望月 秀樹
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.47-50, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
9

症例は69歳の男性である.右耳介の発赤腫脹の後,活動性の低下,パーキンソニズムを呈し,頭部MRIにて両側対称性に大脳基底核に高信号を認めた.その後,精神症状が亜急性に進行し,髄液中の細胞と蛋白の増加があり,造影効果も認め,自己免疫性脳炎と考えてステロイドパルス療法を実施した.改善を認め転院となったが,その後辺縁系を含め広範囲に病変を呈し当院へ再入院となった.ステロイドパルス療法を実施し症状,頭部MRI画像での改善が再度得られた.後に抗N–methyl–D–aspartate(NMDA)受容体抗体が陽性と判明,経過を通じて悪性腫瘍の合併も明らかではなく非典型的な経過ではあるが,抗NMDA受容体脳炎と考えられた.パーキンソニズムで発症し,病初期の画像は基底核病変のみで,緩徐に進行する脳炎でも抗NMDA受容体脳炎を考慮し,精査する必要があると考えられる.
著者
望月 俊男 加藤 浩
出版者
教育システム情報学会
雑誌
教育システム情報学会誌 (ISSN:13414135)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.84-97, 2017-04-01 (Released:2017-04-22)
参考文献数
43

This paper discusses the design principles for collaborative learning environments based on the Emergent Division of Labor (EDL) theory. In recent research in the learning sciences, two theories of regulation of learning have emerged; Shared Epistemic Agency (SEA) and Socially Shared Regulation of Learning (SSRL), which aim to theorize group-level of epistemic agency and metacognitive regulation of collaborative learning. We will introduce the theories of SEA and SSRL, research in CSCL with systems related to the two theories, and following the current trend in research, will discuss and elaborate on the EDL theory and the design principles for the development of the learning environments aimed at fostering the students’ full participation in collaborative learning. We will then propose three additional design principles for the collaborative learning environment based on the EDL theory.
著者
望月 太郎
出版者
大阪大学
雑誌
大阪大学大学院文学研究科紀要 (ISSN:13453548)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.A1-A37, 2004-03-20

Pendant les annees 1670, epoque ou la polemique des cartesiens contre leurs adversaires atteint son paroxysme, sont parus les nombreux ecrits traitant du probleme de l'ame des betes : parmi lesquels le Discours de la connoissance des bestes par le P. Ignace-Gaston Pardies (1672) et le Traitte de l'ame et de la connoissance des betes par Antoine Dilly (:t676) sont inoubliables. Le premier, representant la position des peripateticiens de cette epoque, fut critique par Bayle sous pretexte qu' <<on y trouve les raisons des Cartesiens proposees tres-fortement, et refutees tres-foiblement>> (Dictionnaire historique et critique, 'Rorarius'), mais it atteste que la situation devenait plus difficile pour ceux qui ont voulu maintenir la doctrine aristotelicienne des formes substantielles, face aux nouveaux philosophes. Le second, authentiquement cartesien en principe, denonce explicitement l'auteur du premier livre dans ses chapitres 10, 12 et 13, et essaie de prouver la justesse des animaux-machines selon les raisons a priori. Nous verrons dans cet article le detail des arguments avances dans ces deux oeuvres. Le peripateticien a raison de remarquer la perception vitale irreflechie et d'attribuer aux animaux la liberte de spontaneite (<<libertas spontaneitatis>>); et pourtant it ne pourra pas legitimement identifier son principe a l'ame materielle (I.e. forme substantielle materielle). Le cartesien, par contre, insiste sur l'impossibilite d'avoir une idee claire et distincte de l'ame des betes, qui ne pourra jamais titre creee par Dieu. Mais, si toutes les actions admirables et les apparentes connaissances des animaux sons; explicables par la mecanique, pourquoi ne dira-t-on pas, comme craignait Rohault, <<que le principe de ces connoissances est moins noble dans les hommes que dans les bestes>> (Entretien sur la philosophic)? : ce cauchemar sera realise par La Mettrie. Le machinisme des animaux, pierre de touche des cartesiens, n'est valide que tant qu'il fonctionne comme theorie combattante dans la polemique sur l'ame des betes. Lors -que le peripatetisme fidele aux donnees empiriques, mais incomprehensible, est remplace par l'empirisme scientifique du 18e siecle, cette doctrine ne sera plus qu'une arme defensive des anti-lumieres.
著者
望月 昭
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.114-115, 2008-03-31
著者
望月 哲男 沼野 充義 宇佐見 森吉 井桁 貞義 亀山 郁夫 貝澤 哉 浦 雅春
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

散文、詩、批評、演劇、美術、思想といった様々な分野における現代ロシア・ポストモダニズム作品を対象に、以下のような観点から分析・性格付けを行った。1)ポストモダニズムの思想や創作方法は、今日のロシア文芸界でどの程度優勢なものとなっているか。2)他地域のケースと比較して、ロシアのポストモダニズムにはどのような特徴があるか。3)現代ロシア文化は、革命前のロシア文化および革命後のソ連文化とどのような関係にあるか。4)ポストモダニズムはロシアの文化的自意識の表現にとってどのような役割を背負っているか。結論として、ロシア・ポストモダニズムと総称されている現象は、決して単なる欧米の文化潮流の模倣ではなく、ロシア・ソ連の文化的な過去に深く根ざしたものであることが確認された。またそれ故に、ポストモダニズムが単にソ連文化や共産主義文化への反動としてのみでなく、ロシア近代の様々な文化潮流を緩やかに総合する仲介者としての役割を果たしていることも認識された。本研究の一環として、北大スラブ研究センター国際シンポジウム『ロシア文化:新世紀の戸口に立って』(2000年7月)を行い、現代ロシア文化の特徴を多角的な観点から研究すると同時に、ロシアを含めた世界各国の学者・文化人による現代ロシア文化観を比較検討した。研究の中間成果は『現代ロシア文化』(望月他著、国書刊行会、2000)、『現代文芸研究のフロンティア(I)』(望月編、北大スラブ研究センター、2000)『現代文芸研究のフロンティア(II)』(望月編、北大スラブ研究センター、2001)、T.Mochizuki(ed.),Russian Culture on the Threshold of a New Century,Slavic Research Center,2001,『現代ロシア文学作品データベース』(望月編、北大スラブ研究センターホームページ)(http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/literature/literature-list.html),『Modern Russian Writers』(T.Mochizuki,E.Vlasov,B.Lanin(eds)(http://src-h.slav.hokudai.ac.jp/Writer/windex-e.html)などに発表された。