著者
望月 朝香 鈴木 泰博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MPS, 数理モデル化と問題解決研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.179-182, 2007-12-20
参考文献数
6

文章を読んだ後に「著者らしい雰囲気のする文章だった」と感じる経験はよくある。この目に見えない「雰囲気」、即ち作者特有の文体印象について、小説のテキストデータを数量化し分析することで考える。文体印象を醸し出す要素は様々考えられるが、本研究では(1)「句読点の分布」(2)「読みでの文字数」(3)「文章表現方法・多頻出言語」の3項目に着目する。句読点の使い方に著者特有の文構造が、読みでの文字数では頭の中のリズム、文章表現方法・多頻出言語から著者の愛用語や単語使用方法の癖が現れ、文体印象の要素となるためである。本論文では作者の特徴の抽出に相当する(1)と(2)について行う。かかる特徴付けを行い文体や作家の雰囲気を数量化することで、雰囲気を用いた文献検索を可能にし、また作者不詳の歴史文献の作者特定へ応用することが可能である。
著者
伊藤 研一 大場 崇旦 家里 明日美 岡田 敏宏 花村 徹 渡邉 隆之 伊藤 勅子 小山 洋 金井 敏晴 前野 一真 望月 靖弘
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.168-174, 2013 (Released:2013-10-31)
参考文献数
55

甲状腺未分化癌は発生頻度の少ないorphan diseaseであるが,甲状腺癌死に占める割合は高くその予後は極めて不良である。甲状腺未分化癌のほとんどは,分化癌から脱分化のステップを経て発症してくると考えられているが,未分化転化の機序も解明されていない。現在のTNM分類では,原発巣の状況と遠隔転移の有無でⅣA,ⅣBとⅣCに分類されているが,多くは診断時ⅣB以上である。本邦と海外で共通に報告されている予後因子としては,診断時の年齢,原発巣の広がり,遠隔転移の有無がある。本邦で設立された甲状腺未分化癌研究コンソーシアムでの世界に類をみない多数例の解析では,急性増悪症状,5cmを越える腫瘍径,遠隔転移あり,白血球10,000mm2以上,T4b,70歳以上が有意な予後不良因子であった。今後,新規治療戦略の開発とともに,未分化癌においても治療戦略に有用なバイオマーカーが同定されることが期待される。
著者
大見 広規 小熊 美和子 百々瀬 いづみ 望月 吉勝
出版者
日本小児保健協会
雑誌
小児保健研究 (ISSN:00374113)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.383-389, 1999-05-30
参考文献数
18
被引用文献数
2
著者
安部 有紀子 杉本 和弘 望月 由起 蝶 慎一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、日本の学寮プログラムの教育的展開の実態と特徴を明らかにし、質保証を基盤にした教育的な学寮プログラムを開発することを目的とする。本研究では各国の学寮改革の進展状況や、日本の学寮の教育的プログラムの実像へアプローチするとともに、質保証を基盤とした学寮プログラムの開発を試みる。
著者
亀好 良一 田中 稔彦 望月 満 高路 修 三原 祥嗣 平郡 隆明 田中 麻衣子 秀 道広
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.130-137, 2008-02-28 (Released:2017-02-10)
参考文献数
11
被引用文献数
10

【目的】アトピー性皮膚炎(AD)対策としての,学校でのシャワー浴の有効性について検討した.【方法】厚生労働科学研究AD治療ガイドラインにおける中等症以上の症例を対象とした.小学校1年生から中学校2年生までの患児58名を,シャワー浴非実施群(A群,15例),4週間実施群(B群,22例),前半または後半の2週間のみ実施群(C1群,11例およびC2群,10例)に割りつけ,9月上旬から学校でのシャワー浴を実施し,開始時,2週間後,4週間後の状態をSCORADにより評価した.【結果】いずれの群も4週間後にはSCORAD値の低下を認めたが,有意の改善はB群,C1群に限定された。重症度別に検討すると,シャワー浴の効果は重症以上の群で明らかであった.SCORADから自党症状を除いたスコアでも同様の結果が得られ,シャワー浴が皮膚炎の改善にも有効であることが示された。【結語】対象者,時期を適切に選ぶことにより,学校でのシャワー浴はADの改善に有用な対策となりうることが示された.
著者
望月 典樹 中村 壮亮
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.76-85, 2021 (Released:2021-04-01)
参考文献数
34
被引用文献数
2

In the current immersive VR system, the motion of the virtual body that the user operates is limited to what can be performed in real body, since the natural real body motion is generally used as a system input. Therefore, in this research, we propose the concept of “Motion-Less VR” which is an immersive VR interface that does not require the real body motion. The interface is consisted of the functions which are; sensing joint torque while the real body is mechanically restrained, calculating virtual motion through forward dynamics, and presenting motion information. As a first step, we developed a basic system and potential feasibility was evaluated.
著者
松本 昇 望月 聡
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.77-87, 2015-07-31 (Released:2015-08-07)
参考文献数
26
被引用文献数
2 4

反すうは抑うつ状態の発症や維持を予測する要因であるといわれている。本研究では,反すうの原因分析,理解,制御不能の3つの側面を測定するLeuven Adaptation of the Rumination on Sadness Scale (LARSS)の日本語版を作成した。信頼性と妥当性を検証するために,大学生319名を対象として日本語版LARSS,抑うつ,マインドフルネス,反すうの各尺度を実施した。さらに,59名の大学生を対象としてLARSSを2度実施し,再検査信頼性の検討を行った。日本語版LARSSは原版と同様に,原因分析,理解,制御不能性の3因子構造を示した。これらの3因子はいずれも高い内的一貫性および再検査信頼性を示した。また,先行研究と一致して,LARSSの他の2因子を統制すると,制御不能性反すうのみが抑うつと関連し,マインドフルネススキルと負の関連を示した。これらの結果は日本語版LARSSの信頼性および妥当性を示すものである。
著者
望月 衛
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5-6, pp.471-484, 1943 (Released:2010-07-16)
参考文献数
8
著者
岡田 崇 望月 敦史
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.15-20, 2018-01-05 (Released:2018-09-05)
参考文献数
12

細胞内では,生命活動を維持するために,代謝系と呼ばれる膨大な数の生化学反応が起こっている.これらの反応は,互いに生成物や反応物を共有することで,(代謝分子をノード,反応をエッジとする)複雑なネットワーク構造を形成している.代謝系のネットワーク構造の情報はデータベース化されており,その巨大なネットワークの全容が明らかになりつつある.代謝系を調べるための実験のひとつが,酵素の「撹乱実験」である.代謝反応はそれぞれ特定の酵素によって触媒されているが,人為的に酵素量・活性を変化させて,代謝分子たちの濃度がどう応答するかを調べる.撹乱実験は,近年,大規模なネットワークに対して盛んに為されているものの,その計測結果は直観的には理解しがたいことがある.そこで,理論側には,撹乱実験を説明・予測することが求められている.代謝系に限らずシグナル伝達系など,細胞内の複雑な化学反応の理論研究を進めるには,少なくともふたつの困難がある.ひとつ目は,ネットワーク情報自体が不完全である点である.ふたつ目は,近年の生命科学の著しい発展にも関わらず,各反応の速度関数の関数形やパラメータなどの定量的な情報は依然として乏しい点である.上記の困難を克服するために,最近われわれは,Structural Sensitivity Analysis(SSA,ネットワーク構造感度解析)という理論的手法を開発した.SSAは,反応系のネットワーク情報のみから,撹乱実験に対する代謝分子の定性的応答(増減)を決定する手法である.SSAに基づくと,撹乱応答には次のふたつの特徴が存在することがわかる:1)酵素の撹乱に対して,ノンゼロの応答を示す代謝分子はネットワークの一部に限られる.2)これらの応答たちはヒエラルキーを作る.実はこれらの特徴の背後には,SSAから証明される,「限局則(the law of localization)」という数学的な定理が存在する.限局則は,各酵素がネットワークのどの範囲を制御するのかを,ネットワーク構造の言葉で規定する定理である.より具体的には,ある部分ネットワークΓが「分子の数-反応の数+サイクルの数=0」というトポロジカルな条件を満たすとき,Γを触媒する酵素は,Γの内部の分子にしか影響を及ぼさない,という定理である.このような特殊な条件を満たす部分ネットワークを「緩衝構造」と呼ぶ.限局則は,生命システムの頑健性がネットワークのトポロジーから生じている可能性を示唆する.というのは,緩衝構造は,その内部の酵素の発現量の揺らぎの影響が外部へ伝播するのを防ぐ働きをするからである.実際,大腸菌の中心代謝系のネットワークには多数の緩衝構造が存在しており,これらは系に頑健性を与えていると考えられる.SSAおよび限局則は,大きなネットワークの振る舞いを理解したり,データベースのネットワーク情報を検証する際に非常に有用である.これらの理論的手法の実験的な検証・応用はまだ始まったばかりであるが,生命システムをネットワーク構造から理解する基本法則のひとつになると期待する.
著者
澤海 崇文 望月 正哉 瀧澤 純 吉澤 英里
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-10, 2023-05-15 (Released:2023-05-20)
参考文献数
33

In recent years, some forms of interpersonal communication labeled “ijiri” have played a significant role among the youth. This paper investigates what type of affective experience ijiri is perceived to cause compared with similar behaviors like teasing and bullying. We recruited 312 university students and asked them to answer questions about the possible affective experiences that arise in either of the agents (actor or receiver) in response to each type of behavior. The rating was done from the standpoint of either the actor, receiver, or third party. Results revealed that compared with the other two types of behavior, ijiri was perceived to cause lesser negative affective experiences. Affective experiences entailed by each type of behavior were influenced by the role of the respondent and that of the appraisal target. Future research is warranted to investigate the generalizability of the findings, given the limitations of self-reported measurements and conceptualization of affects.
著者
望月 廣 山之内 博 東儀 英夫 朝長 正徳
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.382-387, 1980-12-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

1017剖検例を用いて脳底部動脈のvariationを検討し, 下記の結果を得た.1) 前大脳動脈に左右差を示すvariationは57例 (5.6%), 左優位型38例 (3.7%), 右優位型19例 (1.9%) であった.1側の中大脳動脈から前交通動脈までが痕跡で血流に関与していないものは57例 (5.6%), 左12例 (1.2%), 右45例 (4.5%), と高頻度にみられた.2) 前交通動脈のvariationは従来の本邦での報告に比して少なく, 欧米の報告に近似していた.3) 後大脳動脈のvariationは胎児型307側 (15.1%), 移行型214側 (10.5%) であった.両側胎児型を77例 (7.6%) と高頻度に認めた.4) 椎骨動脈に左右差をみるvariationは282例 (27.7%) で, 左優位型 (187例, 18.4%) が右優位型 (64例, 6.3%) に比し有意に多かった.椎骨動脈の低形成7例 (0.7%, 左3例, 右4例) と, 椎骨動脈が後下小脳動脈を分枝した後に痕跡となり脳底動脈の血流に関与しないnonunion14例 (1.4%, 左6例, 右18例) の頻度をあきらかにした.
著者
齊藤 瑠偉 奥脇 弘次 望月 祐志 永井 隆太郎 加藤 拓己 杉﨑 研司 湊 雄一郎
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.39-42, 2022 (Released:2022-11-16)
参考文献数
16
被引用文献数
1

We have performed a series of quantum computations for folding of the PSVKMA peptide by using the blueqat AutoQML simulator by which a given problem can be converted from QUBO (quadratic unconstrained binary optimization) of quantum annealing to QAOA (quantum approximate optimization algorithm) of VQE (variational quantum eigensolver). The IonQ quantum system of ion-trap type was utilized as well. A three qubit problem was successful by both. However, the situation became difficult for a five qubit case, especially for the IonQ having vulnerability to noises.
著者
望月 聡
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.263-270, 2010-06-30 (Released:2011-07-02)
参考文献数
29
被引用文献数
3

古典的失行とされる観念性失行 / 観念運動性失行の分類を再考する試みを行った。はじめに,臨床場面において病態把握のための検査を施す際に考慮すべき,行為のカテゴリー,入力刺激提示様式・出力様式,誤反応分析の3 つの観点を整理した。次に,Liepmann モデルから Rothi-Ochipa-Heilman モデルまでの拡張の経緯を概観したうえで,失行症状が出現すると想定される7 つの原因を示し,症状発現機序を考察するうえでの有用性を論じた。最後に,他の高次脳機能障害と失行症状 (行為表出障害) との関連について言及し,むしろ積極的に他の高次脳機能との関係で「行為」を捉える視点の必要性を論じた。これらの理由から,観念性失行 / 観念運動性失行の分類体系は,今日の視点からみると症状を過度に矮小化して捉えてしまうおそれがあり,症状も発現機序も適切に把握することができないことから,解体すべきであると思われた。
著者
望月 典樹 今永 尚志 中村 壮亮
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.418-420, 2021 (Released:2021-09-23)
参考文献数
10
被引用文献数
2

The authors propose a VR system called “Motion-Less VR”, which does not require motion of the real body. In this paper, we developed a system that enables 2-DoF motion of the shoulder and elbow, and basic experiments were conducted.
著者
牛島 千衣 岡村 建 中埜 杏奈 武田 あゆみ 緒方 徹 今村 明秀 望月 直美 山永 義之
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.691-700, 2022 (Released:2022-06-30)
参考文献数
28

目的:健診における甲状腺超音波検査(ultrasonography: US)の成績,特に腫瘤性病変の特徴を検討した.方法:2018年4月1日から1年間にUSを実施した未治療の5,714例(女性3,971例,男性1,743例,平均年齢51.3±10.5歳)を対象とした.検出した腫瘤の最大径を計測,個数については単発と2個以上の多発に分類し,びまん性病変(腫大,不均質,粗雑など)の合併についても検討した.結果:2,333例(40.8%)に何らかの所見―充実性腫瘤1,551例(27.1%),嚢胞性病変1,002例(17.5%),びまん性病変467例(8.2%)―を認めた.二次検診の結果が判明した136例中,バセドウ病3例(0.1%),慢性甲状腺炎38例(0.7%),甲状腺乳頭癌9例(0.2%)であった.腫瘤性病変についてさらに検討すると,腫瘤径は対数正規分布を示し(p<0.0001),平均±2SDは6.8(3.2~14.6)mm,1,054例(68.0%)は単発,497例(32.0%)は多発性で,嚢胞性や腫大など随伴所見を527名に認めた.多発性または>20mmの腫瘤が高頻度に随伴所見を伴った.年齢とともに腫瘤が存在する頻度や多発する頻度が上昇し,その傾向は特に女性において顕著であったが,腫瘤の最大径は年代別差を認めなかった.結論:USにて27.1%の高頻度に充実性腫瘤を検出し,0.2%に乳頭癌を認めた.腫瘤の最大径は対数正規分布し,加齢とともに頻度と数は増すが増大傾向は認めず,環境や加齢に伴う非増殖性の変化である可能性が示唆された.20mm以上の腫瘤形成は約1.2%と高頻度ではなかった.
著者
小林 武夫 熊田 政信 石毛 美代子 大森 蕗恵 望月 絢子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.31-34, 2014 (Released:2014-02-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

歌唱を職業とする者に,歌唱時においてのみ見られる痙攣性発声障害を「歌手の喉頭ジストニア(singer’s laryngeal dystonia)」と名づけた.痙攣性発声障害の一亜形である.通常の会話は問題がない.本症の発症前に過剰な発声訓練を行っていない.4例は第1例(女性31歳)ソプラノ,ポピュラー,第2例(女性28歳)ロック,第3例(男性40歳)バリトン,第4例(男性46歳)バリトンで,第4例のみが外転型痙攣性発声障害で,他の3例は内転型である.内転型は歌唱時に声がつまり,高音の発声障害,声域の短縮,ビブラートの生成が困難となる.外転型では,無声子音に続く母音発声が無声化する.治療は,内転型はボツリヌストキシンの少量頻回の声帯内注射が有効である.外転型では,後筋にボツリヌストキシンを注射する.