著者
木村 了士 臼井 英成 小林 祐紀
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
日本デジタル教科書学会発表予稿集 日本デジタル教科書学会第7回年次大会 (ISSN:24326127)
巻号頁・発行日
pp.3-4, 2018 (Released:2018-10-03)

新学習指導要領ではプログラミング教育が必修化される。特に,第5学年で学習する正多角形の作図は例示されており,授業開発が望まれている。そこで本研究では,1)開発した授業の実践可能性に考慮し,従来の教科書通りの基本的な展開を崩さないこと,2)プログラミングの考え方を視覚化させ教科内容を理解しやすくすること,3)日常生活とプログラミング的思考の関連を取り上げることを開発方針として,ドリトルを用いた正多角形の作図の授業を開発した。
著者
徳岡 良則 早川 宗志 木村 健一郎 高嶋 賢二 藤田 儲三 橋越 清一
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.126, 2015

足摺宇和海国立公園内の愛媛県愛南町鹿島にはアオギリの樹林が約6 haあり、貴重な群落としてその重要性が指摘されてきた。アオギリは豊後水道沿岸域に点在するが、遷移系列上の位置づけや過去の資源利用に関する知見は限られている。対象地域におけるアオギリの分布を調査した結果、本種は撹乱地に早期に分布を拡大する先駆樹種的性質が示された。地域住民の証言では第二次大戦前後には主にアオギリの繊維から綱を作り農具や漁具等の材料とし、一部の個体は山地斜面、耕地境界、人家裏に植栽されていた。アオギリにはジョウドノキ、ジョウドギ、アオギ、カタナギ(愛媛県佐田岬)、ヘラ(愛媛県由良半島、大分県津久見)、イサキ(高知県大月町、大分県蒲江、宮崎県北浦)の地域呼称があった。漁村でのアオギリの採取・利用法や個体管理に関する証言、豊後水道を挟んだ大分県と愛媛県や高知県に共通したアオギリの地域呼称が存在することは、沿岸集落に現存するアオギリの一部は、海路を通じた植物利用文化の伝播に由来する可能性を示唆している。資源利用の役割を失ったアオギリは、現在点在する成木を種子源として、周囲の陽地へ今後も定着していくと予想される。
著者
木村 亜矢
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.312-322, 2016
被引用文献数
2

<b>目 的</b><br> 病院に勤務する熟練助産師が分娩第一期の分娩進行を判断していく一連のプロセスの特徴を明らかにすることである。<br><b>対象と方法</b><br> 本研究では,エキスパートの条件を兼ね備え,妊産婦に卓越した助産を実践している助産師を熟練助産師と定義し,研究では総合病院の産科病棟に勤務する4名の熟練助産師を対象とした。データ収集は分娩介助場面の参加観察と半構成的インタビューにより行った。熟練助産師が行う臨床判断の特徴についてカテゴリー化を目的として,質的帰納的に分析した。<br><b>結 果</b><br> 熟練助産師は,初回面会時に分娩進行に影響する分娩3要素,心理的背景,リスク要因を統合して【産婦の全体像の把握】を行いながら,【個別の分娩進行の見通し】を立てていた。その中から分娩進行を阻害する【阻害要因の見極め】を行い,有効な【ケアの選択】をしていた。さらに,選択したケアを実践しつつ,分娩進行における【ターニングポイントの予測的な察知】,または必要に応じた【ターニングポイントの意図的な生み出し】を行っていた。その後,分娩進行におけるターニングポイントを踏まえ,【分娩進行の見通しの立て直し】および【阻害要因の再度の見極め】【新たなケアの選択】を繰り返し,方針の軌道修正を行っていた。以上の分析から,熟練助産師は分娩第一期の分娩進行を判断していく中で,助産師としての信念,熟練した技術を<b>臨床判断の基盤</b>とし,産婦と<b>ともに産む関係の構築</b>を行い,情報把握の手段として活用していることがわかった。<br><b>結 論</b><br> 熟練助産師が行う一連の臨床判断プロセスの中で,分娩進行の変化をターニングポイントとして予測的に察知または意図的に生み出すことは,分娩進行の異常への逸脱を予防し,母子の安全確保に寄与するものである。このプロセスはハイリスクな分娩に対峙する病院勤務の助産師により特徴的なものであると考えられる。
著者
木村 穣
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 = Japanese journal of general hospital psychiatry (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.348-354, 2011-10-15
参考文献数
10

認知行動療法は,さまざまな精神・身体疾患において有用であり,同様に糖尿病や肥満などの生活習慣病においても有用である。多くの肥満患者は"私は食べてない""水を飲んでも肥える"などの認知の歪みを伴っている。これは自己ダイエットとリバウンドの繰り返しによる自己効力感の低下から生じていることが多い。したがって,肥満や糖尿病の治療で重要なことは患者の認知の歪みを修正し,運動や食事療法による減量や血糖の改善に対する自己効力感を向上させることである。これらの認知の歪みを生じやすい性格特性として,全か無思考や過度の一般化などを認めることが多く,治療にあたり患者の性格特性を把握しておくことは有用である。実際の肥満,糖尿病の治療では,血糖や体重のセルフモニタリングと,自己の行動(食事,運動など)とその後の血糖,体重の変化(関連)に気付かせることが重要である。同時に患者の自己効力感を向上させ,食事,運動などの行動変容を促し,維持させるサポートが必要である。これら患者の認知の歪みを修正し,自己効力感を維持,向上させるうえで認知行動療法は非常に有用である。以上のことより肥満,糖尿病の治療にかかわる医師,看護師,栄養士,運動トレーナーなどすべての職種のスタッフが認知行動療法の基本を理解し,臨床的に応用していく必要がある。
著者
八木 宏 POKAVANICH Tanuspong 灘岡 和夫 白井 一洋 木村 俊介 下迫 健一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.956-960, 2010 (Released:2010-11-09)
参考文献数
11

Temporal and spatial variations of suspended particulate matter (SPM) in Tokyo Bay were investigated based on intensive field surveys and numerical simulation. Measurement results showed that the relative high turbidity appeared in the front of bottom high saline water and the middle turbid layer was generated corresponding to the middle hypoxic water generation induced by the intrusion of offshore oceanic water. The neutral tracer tracking simulation shows that bottom SPM have a characteristic to distribute along the front of bottom high saline water which forms the streak pattern from off Tama river mouth to off Chiba port in the south wind period and moves to the head region in north wind period. Furthermore the neutral tracer tracking and water quality simulations revealed that the bottom SPM can be moved upward by the intrusion of oceanic water in the bottom layer due to the change of wind direction or offshore water variations.
著者
日比野 英子 萩尾 藤江 タミー 木村 楠本 健司
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集 (ISSN:18807887)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.105-117, 2010-01-29

本研究では、唇裂口蓋裂の女性のよりよい社会適応を目標としたプロジェクトの先駆けとなる、実践的活動の検討を行う。医師・臨床心理士・メーキャッパ-からなる治療チームを編成し、対象者に個別的な化粧施術と化粧指導を行ったが、その前後に、自分の顔・医療・化粧に関する質問紙および面接による調査を行った。その結果、対象者は医療や形成手術に満足していると表明したものの、顔の疾患部位である鼻と唇が気になっている人が多く、化粧については抵抗感があることが見いだされた。化粧意識に関しては、本チームでの化粧施術を体験する前は、化粧の否定的・消極的な対人的効果を語る人が多く、体験後は、肯定的かつ積極的な対自己効果を挙げる人が多かった。このような意識の変化から、この体験が、化粧への抵抗感を弱めて、化粧を通して自身の顔と向きあい、積極的に自分の顔を受容していく契機となりうる可能性が示唆された。また、化粧された新しい顔を他者に示すことが、より健康的なペルソナの構築にも役立つ可能性があると考えられ、対象者の社会生活がより適応的なものになり得るものと考察される。
著者
木村 照夫 井野 晴洋 西田 優一 青山 尚樹 柴田 勝司
出版者
一般社団法人 プラスチック成形加工学会
雑誌
成形加工 (ISSN:09154027)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.153-159, 2010 (Released:2010-07-24)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

This study investigated a compression molding method of carbon fiber reinforced thermoplastics (CFRTP) made of carbon fiber extracted from CFRP waste. The short carbon fibers were mixed with polyester fibers using a papermaking method to make the preform sheet of compression molding. The waste obtained from a textile water jet loom was used as a matrix material. The setting speed of each fiber during the papermaking process was regulated by using a dispersing agent to obtain the good dispersion of each fiber. Laminated preform sheets combined with polyester fibers and carbon fibers were compressed with heating at 300 ℃ and then the polyester fiber was melted as a matrix material. It was cleared from the experimental results that the mechanical properties of molded CFRTP largely depends on both the fiber dispersion and the content of carbon fiber in the preform.
著者
木村 和希 青柳 領
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.264_3, 2016

<p> バスケットボールの試合では、毎回試合内容を記録した統計値(STATS)が公開され、観客の興味を引くと同時に、試合分析にも利用されてきた。しかし、試合結果に影響するSTATSは多様で、競技水準、性、地域差に影響を受けると考えられる。そこで、本研究は試合結果に及ぼす影響を競技水準、性、地域差別にSTATSにより検討する。対象はアジアおよびアフリカ大会の男女、ジュニアおよびシニアの計6大会である。STATSは2点シュート試行数、3点シュート試行数、リバウンド数、ターンオーバー数などの14項目と、それらの比率14項目の計28個目である。そして、これらを独立変数とし、得失点差を基準変数として重回帰分析、および勝敗を基準変数とした判別分析を行った。結果、本数を独立変数にした女子のアフリカ大会の判別関数による結果が有意でなかった以外はすべて1%水準で有意差が見られた。得失点差および勝敗ともに2点シュート試行数、アシスト数、リバウド数、ターンオーバー数など8項目で両者に有意な関連をしていた。また、リバウンド数やリバウンド支配率は得失点差には有意な関連を示したが、勝敗には有意な関連を示さなかった。</p>
著者
木村 圭司 財城 真寿美 戸祭 由美夫
出版者
北海道地理学会
雑誌
地理学論集 (ISSN:18822118)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.13-19, 2014-03-12 (Released:2014-09-30)
参考文献数
5

現在の気象データを用いて,幕末期に北海道島内で東北6 藩が経営していた16 か所の蝦夷地陣屋周辺の冬季の気候の特徴を明ら かにした。冬季の気温については,道南部と東北地方北部との間に大きな違いはみられなかった。これに対して道東部の気温は,東北地方南部と比較して,平均気温でも最低気温でも5~10℃低い傾向が見られた。このことから,東北地方北部に本城をもつ津軽藩と南部盛岡藩が経営した道南の陣屋では,本城とほぼ変わらない気温のもとで越冬できた一方で,東北地方南部に本城をもつ会津藩や仙台藩が経営した道東の陣屋では,本城よりも低温下での厳しい越冬を強いられていたといえる。陣屋がおかれた場での冬型気圧配置時の北西季節風の風向風速に着目すると,日本海側の陣屋と道東の陣屋では冬型気圧配置による北西季節風(暴風雪)が直撃していた可能性が高い。建物周辺が尾根の風背側に位置する秋田藩の宗谷陣屋と南部盛岡藩の室蘭陣屋,北西季節風吹走時でも弱風になる地域に位置する仙台藩の白老陣屋はこうした暴風雪へ配慮した立地の陣屋であろう。