著者
野口 聡子 駿河 康平 中井 久美子 村嶋 章宏 木村 泰裕 小林 昭雄
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.156-162, 2018-12-01 (Released:2019-01-21)
参考文献数
13
被引用文献数
2

【目的】オカラを食用微生物であるテンペ菌で発酵させた発酵オカラ(OT)にバナナを加えたオカラ発酵素材(OTB)を開発した。本研究ではヒトにおいて血糖とインスリンに対するOTB粉末の影響を探索的に検討した。【方法】研究デザイン:単群試験。健常ボランティア17名を対象とし,OTB粉末を 10 g添加したヨーグルト(OTB試験食),糖質を同等量とするためにグルコースを 6 g添加したヨーグルト(対照食)をそれぞれ別の日に摂取させ,食前,食後30分,60分,120分の血糖値と血清インスリン値を比較した。【結果】 OTB試験食と対照食のいずれにおいても血糖値と血清インスリン値の上昇は小さかった。OTB試験食と対照食の摂取後を比較すると,食後血糖値の上昇には有意な差はなかった(30分値:対照群 92.8±11.6 mg/dl vs OTB群 91.1±11.5 mg/dl)が,30分後のインスリン値がOTB試験食群で対照食と比べ有意に低かった(30分値:30.6±15.3 μU/ml vs 22.1±13.8 μU/ml,p<0.01)。【結論】 本研究で実施したOTB試験食と対照食のいずれにおいても十分な血糖と血清インスリン上昇をきたさなかったため,OTB粉末がヒトにおける糖代謝改善効果を有するかどうか明確な結果を得ることは出来なかった。食後インスリン値が低いにもかかわらず血糖値が同程度であった点について検証するために,本研究結果を踏まえてプロトコールを再検討した上で実施する必要がある。

1 0 0 0 OA チタン

著者
木村 啓造
出版者
一般社団法人 軽金属学会
雑誌
軽金属 (ISSN:04515994)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.347-359, 1968-06-30 (Released:2008-10-30)
参考文献数
50
被引用文献数
2 6
著者
高井良 健一 木村 優 岩田 一正 齋藤 智哉 金子 奨 小島 武文 高石 昂 福泉 志織 吉田 友樹
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究を通して、高等学校の新任教師の専門的成長を支えるものとして、すべての子どもたちの学びを保障する授業づくりに責任をもつ専門的共同体の存在が大きいことが明らかになった。学校における専門的共同体は、授業研究を通して、教師たちの語り合い、聴き合い、語り直しによって、形成される。新任教師たちは、着任当初は、子どもたちの学びに対する一元的な語りが特徴であったが、授業研究会への参加を重ねるごとに、多元的な語りを身につけ、これに伴い、子どもたちとの関係も組み替えられてきた。
著者
藤田 晃史 木村 有喜男 酒井 修
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.117, no.2, pp.75-80, 2014-02-20 (Released:2014-03-20)
参考文献数
27

MRIは1980年に臨床導入されて以来, その進歩は著しい. 3T超高磁場装置は約10年前に薬事認可され, 当初は主に研究用装置として使用されていたが, 現在では広く普及し, 一般臨床でも高空間・時間分解能MR画像が容易に得られるようになってきた. 装置の普及とともに, PROPELLER法 (BLADE法), 脂肪抑制画像や3次元画像データ収集の活用による画質改善, また拡散強調画像, 灌流画像, MR spectroscopy などの撮像法の発展もあり, 近年, 新たな知見が得られている分野も多い. 本稿では, 3T装置の特性について確認し, 今後ますます普及し, 日常臨床で有用と考えられる撮像法について概説する.
著者
大島 久華 木村 功 木村 義雄 田島 茂行 何森 健
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.261-265, 2005
被引用文献数
1

<i>Aspergillus sojae</i>の液体培養液からエキソ-1,5-&alpha;-L-アラビナナーゼを電気泳動的に均一な標品として精製した. 精製酵素標品の分子質量は, ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE) によって41kDa, ゲル濾過クロマトグラフィーによって43 kDaと決定された. 本酵素の等電点は3.7であった. 本エキソ-アラビナナーゼ活性は, カルボキシメチル-直鎖アラビナンに対し, 50℃, pH 5.0で作用させることで最大となった. 活性はpH 6.0から8.0, 45℃まで安定であった. 精製酵素標品の活性はAg<sup>+</sup> (1 mM) およびCr<sup>2+</sup> (1 mM) によって強く阻害され, SDS (5 mM) の添加により促進された. 1,5-アラビナンに対する<i>K</i><sub>m</sub>値は5.8mg/mLとなった. 本精製酵素標品のN末端アミノ酸25残基は, <i>Penicillium chrysogenum</i>のそれと69%という高い相同性を示した. 精製酵素標品をビート由来の1,5-アラビナンに作用させた場合のおもな生産物は, アラビノビオースであり, 反応溶液中にアラビノースの遊離は認められなかった.
著者
木村泉
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.1980, no.28, pp.1-6, 1980-10-24

はじめての計算機システムに対面したとき、われわれはとかく欲求不満を味わう。計算機システム一般に関して十分な常識をもっている利用者の場合であってさえ、そのシステム固有の約束ごとを習いおぼえるまでは何となくがたがたする。システムが利用者に一般常識を要求することは理の当然であるが、システム固有のこまかいくせに関する精通を要求することは好ましくない。しかるにそういう不当な負担を利用者に課しているシステムは多い。例をTSSにとろう。どんなTSSにもハッカー(hacker)と呼ばれる人種がまつわりついている。システムのこまかいところをよく知っていて、常人には思いもよらないようなことを小細工(ハッキング?hacking)によってやってのけてしまう。彼らは、その神秘的能力ゆえに端末室などでは至って大きな顔をしている。一般利用者は、何となく釈然としないながら、圧倒的な実力差を認識してだまっている。これは実によく見かける風景であるが、あるべき姿とは思われない。ハッカーの跳りょうを許すシステムは悪いシステムである。理想をいえば、システムは計算機技術に関する一般常識をしっかり身につけた紳士淑女ならばだれでもさっと使える、というものであるべきだ。システム固有の知識がまったくいらないというわけには行かないかも知れないが、必要な知識の量は少なければ少ないほどよく、また適当なマニュアルないしオンラインドキュメンテーションによって容易に入手できるようになっている必要がある。本文では、こういう意味でTSSの「とりつきやすさ」について、二、三のTSSにとりついてみた経験に基づいて論じたい。具体的には筆者(どちらかというと事務計算向きのバッチシステムと、本来制御用として設計されたミニコンピュータに慣れた)が、通算約1年8か月にわたって米国に滞在していた間に、一般利用者として(つまりシステムそのものについて知りたいよりはそれを使って何かほかのことをしたいという動機で)接触した3種の代表的TSSについて、どんな経験をしたかを述べ、それをもととして上の問題を考えてみたい。
著者
木村 洋二 板村 英典 池信 敬子
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.1-56, 2005-10-31

私たちはこれまで、北朝鮮による「日本人拉致」問題を日本の4大新聞がどのように報じてきたか、その報道姿勢を、見出し構成のあり方を中心に、2回にわたって分析してきた(木村・板村・池信2004、2005)。3回目にあたる本稿は、2004年11月9日から14日にかけて平壌で開かれた「第3回日朝実務者協議」に関連して、「拉致」問題を各紙がどのように荷重(重みづけ)して報道したかを分析する。見出しに「拉致」という用語が出現する頻度とその文字の大きさを測定し、時系列で変化を見るために前回同様に「荷重グラフ」を作成する。返還された「遺骨」が偽物であると判明した12月9日以降、各紙とも「経済制裁」の必要を訴える論陣を張った。「制裁」の使用頻度と文字面積についても時系列で荷重グラフを作成した。「制裁」の頻度や使用法にかなり荷重差がみられる。また、「制裁」の文字が含まれている見出し文あるいは文節の構成自体が、読者に正負の異なった印象を与えるのではないか、との仮説から、若干の意味論的構文分析を手がけるとともに、構文法の違いによってもたらされる見出しの分極性と印象強度をたずねる予備的なアンケート調査を試みた。
著者
森田 敦郎 木村 周平 中川 理 大村 敬一 松村 圭一郎 石井 美保
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本プロジェクトは、地球環境の持続的な管理に向けての試みに焦点を当てて、インフラストラクチャーと自然環境の複雑な関係を解き明かすことを目的としている。本研究が取り上げる事例は、インド、カンボジア、日本(東北地方)などの多様な地域におよぶ。これらの事例を通して、本プロジェクトは、物理的なインフラストラクチャー(堤防、コンビナートなど)と情報インフラストラクチャー(データベース、シミュレーションモデルなど)が、いかに現地の自然環境および社会関係と相互作用するのかを明らかにした。その成果は英文論文集、国際ジャーナルの3つの特集号およびおよび多数の個別論文、学会発表として発表された。
著者
加藤 丈博 平松 佑一 種本 翔 服部 暁穂 澳 昂佑 松木 明好 木村 大輔
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.145-150, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
34

〔目的〕椎体骨折後の安静臥床により身体機能やADLの獲得が遅延した症例の経過について報告する.〔対象と方法〕第2腰椎椎体骨折を受傷した70代後半の男性1名.約3週間の安静期間を経て離床が許可されたものの,廃用性の筋持久力および全身持久力の低下により歩行自立が困難となったため,運動耐用能の改善を意図した反復立ち上がり練習,下肢エルゴメーター,トレーニングマシンによる運動療法を実施した.〔結果〕筋持久力および全身持久力が改善し,歩行自立が可能となり,退院時には受傷前ADLを獲得した.〔結語〕安静臥床により生じる廃用性症候群は,椎体骨折後のADL改善に寄与する重要な予後不良因子となることが示された.今後は安静臥床期間における筋持久力および全身持久力に対する治療介入の有効性を検討する必要がある.
著者
今枝 彬郎 中原 壽喜太 木村 隆一 久保 雅義 三木 楯彦
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.55-61, 1984

めまいを生じたとき直立姿勢をとっている人の身体動揺がどのようになるかを調べるため,回転する回転台上で直立している人の姿勢応答を測定した。(1)回転台上で直立する人の重心は不規則な運動をしており,そのうちの一部の時間は右回りまたは左回りをしながら動揺している。被験者の約80%は回転台の回転方向が逆転すると重心の回転方向も逆転する。(2)閉眼で回転台上に直立する人は回転台の回転方向が右回りでも左回りでも身体はわずかに前方に傾きながら前後左右の方向にほぼ同じように揺れる。(3)開眼で回転台上に直立する人は回転台の回転方向が左回りの時は身体が右に,台が右回りの時は身体が左に傾きながら動揺を続ける。(4)回転台の回転が停止するとき眼振が生じるが,回転台の回転角速度が大きいほど停止時の負の角加速度の絶対値も大きくなり台上の被験者の眼振持続時間は長くなった。まためまい感の持続時間も長くなった。(5)回転台上で直立する被験者が足を開いて立つか,閉じて立つか,マンの姿勢をとるかによって身体動揺の様式が変わり,頭部と重心のパワースペクトルも異なる分布を示した。マンの姿勢は不安定でパワースペクトルは周波数の大きい成分が増大した。(6)台の回転数を増すと頭部と重心のパワースペクトルの主成分は高い周波数の方へ移動した。
著者
森田 明夫 村井 保夫 木村 俊運
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.10, pp.812-819, 2014 (Released:2014-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
2

Occipital transtentorial approach (OTA) は, 中脳背側, 松果体, 小脳上面の腫瘍等の病変にアクセスする基本的アプローチの一種である. 本稿では本アプローチの基本についてまとめる. OTAは視野が広く, 特に下方へ伸展する病変への対応に優れている. 一方で術後短期間または永続的な視野障害をきたすことがある. これを回避するためには, まず静脈損傷を避けるアプローチ側を選択する. そのうえで髄液圧を減らし, 後頭葉を広く剝離し, 脳表を十分保護しつつ愛護的に後頭葉を圧排しテント面に至る. 手術中視覚誘発電位モニターなどが有用である. その他中脳背側への障害, 静脈損傷などは重度な障害をきたし得るので要注意である. 術前の画像評価を徹底して行い, 適切な解剖学的知識, 手技によって安全な手術を心がけることが重要である.
著者
中 俊博 木村 博子
出版者
和歌山大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
和歌山大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13468421)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.119-127, 2002-08-12

W県N郡6町の保育所・園に通う幼児(3歳,4歳,5歳)を対象に質問紙法による生活行動調査の保護者の回答結果から午後10時以降の就寝は3歳,4歳,5歳全体の平均は11.7%である。休日のテレビゲームを「よく行う」と「時々行う」を合わせた比率は,4歳児で23.2%, 5歳児で35.8%であり,一方,自転車のりやボール遊びを「よく行う」は,平日約50%,休日約60%であり,「時々行う」と合わせれば,平日,休日の比率は,約91%の高比率である。次に,日常生活の基本的な動作の完成度調査では,3歳児において「できる」比率の低い動作項目は,「スナック菓子の袋の開封 : 29.7%」「飲料や菓子のフタはずし : 42.9%」「箸づかい : 47.5%」である。また,4歳児では上述の項目の完成度比率はそれぞれ54.5%, 65.9%, 67.8%と上昇し,5歳児では,71.5%,80.1%,76.9%と一層向上する。次に,N町の4歳,5歳児の運動遊びによる活動性の発達について調査した結果,運動遊びによる活動性の変化は4歳女児の立幅跳を除いて,4歳,5歳男女の片足連続とび,立幅跳で有意な増加が見られ,特に5歳男児の片足連続とびでは,6月値54.3±20.54mから10月値73.0±32.91mと18.7mの発達が見られ,また,柔軟性においては「箱なし : 0cm」の柔軟度の最高値の比率変化は4歳,5歳全体で6月約38%から10月には約53%と上昇し半数以上が顎が床にとどく顕著な発達がみられる。また,個人の変化に着目し活動性の5段階基準の分布率からみると6月から10月の発達は片足連続とび,立幅跳の両項目の平均値はA段階(発達良好)7.9±7.0%から15.3±7.3%と約2倍になり,E段階(要運動遊び)が7.6±3.8%から3.3±3.1%と半減している。
著者
木村 崇 生嶋 君弥 若家 冨士男 蒲生 健次
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:02850192)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4_2, pp.695-698, 2001 (Released:2007-02-02)
参考文献数
5

Hall resistance (HR) of a cross-shaped NiFe wire of submicron scale was investigated experimentally and numerically. We found that the HR curve showed various properties depending on the direction of the magnetic field and that the HR had three jumps corresponding to the switching fields in each probe. In order to control the magnetic fields where the HR shows the jumps, the effect of the pad pattern connecting to the wire on the switching field was investigated. The minor loop of the HR was also studied.