著者
湊 哲則 コラー メラニー 木村 宏 マーン イングリット 山本 哲生
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.39, 2004

太陽や他の主系列星は、ダスト円盤を伴っている。これらのダストは、太陽光による抵抗力で角運動量を失い太陽へ落ち込む(ポインティング-ローバーソン効果)。太陽光と同様に、太陽風イオンの衝突によってもダストは抵抗力を受ける。本研究では、球形ダストを仮定した、太陽風による抵抗力の研究(Minato. et al. 2004)を、より現実的なダストアグリゲイトの場合に拡張した。
著者
木村 恭之
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.364-368, 1998-08-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
9

鰓原性奇形 (側頸瘻, 耳瘻孔, 外耳奇形など) に聴力障害 (内耳奇形, 中耳奇形など), 腎奇形 (形成不全など) を特徴とする常染色体優性遺伝と考えられる疾患はBranchio-oto-renal syndromeと呼ばれているが, すべてを兼ね備えた症例は本邦では今までに4例である。われわれは, 右側頸瘻・右感音性難聴・腎奇形を呈した15歳男性の症例を経験し, 右側頸瘻に対し手術を施行した。側頸瘻の症例にはbranchio-oto-renal syndromeが含まれている可能性があるので常にこの疾患を念頭におく必要がある。この疾患に対する遺伝子的な解析が進み常染色体8番の長腕の遺伝子に問題があるところまでわかっている。
著者
平尾 哲二 手束 聡子 鈴木 真綾 木村 美沙季 山下 裕司
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.10, pp.15-22, 2017-02

犬吠埼温泉は銚子市の観光資源の一つである。本研究では、犬吠埼温泉の有用性について科学的データ取得を目的として、3種類の源泉について成分分析するとともに、保湿効果について検討した。各源泉に含まれる主要元素についてICP発光分光法により調べたところ、いずれもClとNaを多く含むものの、それらの濃度やその他の元素濃度に差異が認められた。また、浮遊物質濃度の挙動などの特性値についても各源泉により違いが認められた。皮膚保湿試験は、実際の入浴シーンに近い足湯への入浴試験と、前腕に温泉試料を塗布する2種類の試験を実施した。皮膚保湿試験においては、千葉科学大学倫理委員会による承認を得た上で、被験者の同意を得て試験を実施した。犬吠埼ホテル足湯入浴後の角層水分量を足甲と下腿部で経時的に測定したところ、足湯入浴後は徐々に角層水分量は低下するが、その低下は対照であるお湯に比較して緩やかで、有意な保湿効果が認められた。また、前腕に3種類の源泉あるいは水を塗布して角層水分量を経時的に測定したところ、対照である水塗布に比較して、犬吠埼ホテルおよび犬吠埼観光ホテルの源泉では角層水分量が高く維持され、保湿効果が検証されたが、太陽の里の源泉では、今回の試験条件では、保湿効果は検証できなかった。これらの挙動は、各温泉に含まれるミネラル成分の多寡と比較的よく一致していた。源泉成分の特性解析や保湿効果の作用機序については未解明であり、今後の研究発展によりさらに犬吠埼温泉の有用性に関するエビデンス蓄積が期待される。
著者
一幡 良利 浅賀 久美 池田 尚弘 木村 佳代 竹谷 恵美
出版者
筑波技術短期大学研究委員会
雑誌
筑波技術短期大学テクノレポート (ISSN:13417142)
巻号頁・発行日
no.6, pp.269-272, 1999-03

皮膚表面に常在する細菌に対するエタノールの消毒効果と持続性を検討した。消毒回数と生菌数の減少ならびに出現は一致しており、消毒回数の多いほど生菌数の減少が著しく、持続性も長かった。皮膚表面から分離した表皮ブドウ球菌の消毒薬に対する効果を形態学的に観察したところ、細胞壁の断裂ならびに細胞質内のタンパク変性が顕著で確実に死滅していた。以上の事実から、消毒用エタノールの細菌に対する効果は、殺菌的に働く故に的確に用いれば、持続性もあり有効な薬剤であることが判明した。
著者
IWATSUKI Yukio NAGINO Hayato TANAKA Fumiya WADA Hidetoshi TANAHARA Kei WADA Masaaki TANAKA Hiroyuki HIDAKA Koichi KIMURA Seishi 岩槻 幸雄 投野 隼斗 田中 文也 和田 英敏 棚原 奎 和田 正昭 田中 宏幸 日高 浩一 木村 清志
出版者
三重大学大学院生物資源学研究科
雑誌
三重大学大学院生物資源学研究科紀要 = THE BULLETIN OF THE GRADUATE SCHOOL OF BIORESOURCES MIE UNIVERSITY
巻号頁・発行日
vol.43, pp.27-55, 2017-09

Annotated checklist of marine and fresh water fishes is reported from the Hyuga Nada area, including Miyazaki Prefecture, southern coastal area of Oita Prefecture and eastern coast of Kagoshima Prefecture, southwestern Japan. Such fishes are classified into 228 families, 680 genera and 1,340 species including 24 subspecies and 1 hybrid, consisting of natural inhabitants in the area, and invasive and introduced fishes as alien species out of Japan or from the other areas. Confirmation of each species on identification is based on voucher specimens kept in Miyazaki University and other museums, photographs of fishes taken in the area, confirmed photographs in websites and references formerly reported before August 2016. Fish occurrence tendency by our gross observation is noted at each species.
著者
林 良博 木村 順平 押田 龍夫 遠藤 秀紀 佐々木 基樹 西海 功
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

ベトナム南部、タイ南部、タイ中央平野部、タイ北部において調査地点を実施し、トラップを用いてリス類の捕獲を行い、また収蔵標本資料からの遺伝学的・形態学的検索を行った。検討対象集団は、クリハラリス、タイワンリス、タイワンホオジロシマリス、カンボジアホオジロシマリス、インドシナシマリス、ホオアカカオナガリス、シロミミクサビオモモンガである。捕獲動物から骨髄細胞を抽出し、染色体標本を作成した後、これらを各種分染法によって解析した。同時に捕獲動物から肝および筋組織を採取し、ミトコンドリアDNAの塩基配列の解析に入った。一方、頭骨標本を作製し、計測形態学的な解析を進めた。標本は現地で入手されたもののほか、合衆国スミソニアン自然史博物館、パリ国立自然史博物館収蔵標本をはじめとする世界の標本収蔵機関の標本を検討し、データとして蓄積を開始している。これらのデータに基づき、各分類群(種間および亜種間)毎に系統解析および地理的変異の解析を行った。また、遺体からは四肢骨格、四肢骨格筋を採材し、骨計測値と筋肉重量データを収集、筋構築の運動力学的解析を行った。さらに、頭蓋計測値から多変量解析を実施し、各種間および各地域間の頭蓋形態が、それぞれのロコモーション様式、採食パターン、食性、視覚・感覚器への要求に対してどのように機能形態学的変異を遂げているかを明らかにした。加えて現在、インドネシア島嶼部における各種の季節繁殖パターンを明らかにするため、生殖腺の組織学的・細胞生物学的分析を進め、同地域のリス科の繁殖様式を解明しつつある。最終的に、インドシナ半島、台湾、インドネシア島嶼部におけるリス科動物の分子系統学的解析、頭蓋・四肢の適応的進化、そして季節繁殖性に関して、各種各地域個体群の特質を解明してきたといえる。
著者
中谷 朋昭 木村 勇輝 橋本 大佑
出版者
日本フードシステム学会
雑誌
フードシステム研究 (ISSN:13410296)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.82-93, 2017 (Released:2017-12-23)
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

The Japanese diet is known for its ideal balance of the three macronutrients, namely protein, fat, and carbohydrates. Dietary statistics indicate that over time, in Japan, these macronutrient ratios have been maintained since the mid-1970s in close agreement with favorable macronutrient ratio intake standards, set by the Japanese Ministry of Health, Labour and Welfare. The ideal ratio is principally achieved by reducing carbohydrates, while increasing fats. However, in recent years, this macronutrient ratio appears to depart from ideal ranges, due to over-westernization of the Japanese diet. To investigate the extent of this phenomenon, we analyzed a time series data set for ingested nutrition by using cointegration techniques to identify long-run, stable relationships among the three macronutrients, between 1956 and 2015. Next, we set a restriction on the cointegrating vectors, representing ideal macronutrient ratio standards. This restriction was used as the null hypothesis that the detected long-run relationships among the three macronutrients were favorable, compared to the idealized macronutrient intake standard. We run the likelihood ratio tests for the full sample and sub-samples, by recursively increasing the number of observations obtained since 1978. Our results reject the null hypothesis, at the conventional level of significance, for the full sample and almost all sub-samples. These outcomes indicate that although the Japanese diet between the late 1980s and early 2000s were the closest to the ideal macronutrient ratios of proteins, fats, and carbohydrates, it is diverging since that time from these favorable ratios.
著者
黒崎 博雅 阿南 秀基 木村 栄一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.691-697, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
18
被引用文献数
5

ブレオマイシン金属配位部位の新モデル配位子L1,L2を合成し,水溶液中におけるCu(II)およびFe(II)との錯生成および,それらの錯体の化学的性質についてブレオマイシンと比較検討した。カルバモイル基の存在が,鉄錯体生成には必須であることが,L1,L2の比較により明らかとなり,その理由について考察した。L2の鋼(II)錯体は,3モルのシステイン存在下で鉄(II)錯体と金属交換が起こること,および鉄錯体は分子状酸素を活性化し,DNAを切断することなど,L2はブレオマイシンの挙動によく類似する。そのDNA切断能は,EDTA-鉄錯体とほぼ同じであるが,ブレオマイシンよりは弱いことも明らかとなった。
著者
Tongjit KIDCHOB 木村 俊作 今西 幸男
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.192-199, 1998-04-25 (Released:2010-03-15)
参考文献数
10
被引用文献数
6 5

マイクロカプセルにポリ (N-イソプロピルアクリルアミド) (PNIPAAm) を組み込んだ2種類の異なる温度応答性マイクロカプセルを調製し, 親水性薬剤モデルの温度応答性放出を調べた. まず, ブロックポリペプチドマイクロカプセルの表面に開始剤を固定化し, N-イソプロピルアクリルアミドの重合を行って, マイクロカプセル表面にPNIPAAmをグラフト化したマイクロカプセルを調製した. PNIPAAmの下限臨界溶解温度より高温側では, マイクロカプセルの表面に密度の高いスキン層が形成され, 内包した薬剤の放出が抑制されたのに対し, 低温側ではスキン層の消失により放出が促進された. また, この薬剤放出の温度変化に対する応答は狭い温度範囲で素早く起こり, また, その応答は可逆的であった. もう一つの温度応答性マイクロカプセルとして, PNIPAAmゲルを内部に充填したポリ乳酸マイクロカプセルを調製した. このシステムでは, 下限臨界溶解温度より高温側ではゲルの収縮により含浸された薬剤の放出が促進された. また, マイクロカプセルからの放出は温度に応答して素早く起こり, 放出量はマイクロカプセル内部の空孔のサイズと充填したゲルの量により調節可能であった. このように, 生分解性ポリマーで調製したマイクロカプセルに, 温度応答性ポリマーであるPNIPAAmを組み込む方法を変えることで, 負の温度応答性および正の温度応答性を示すマイクロカプセルシステムを構築できた.
著者
木村 仁美
出版者
視覚障害リハビリテーション協会
雑誌
視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.83, 2012

ろうベースの盲ろう者であるAさんは、若い頃に手帳を取得していたが、社会との接点を持たず、社会資源も活用することなく在宅生活を送っていたようである。ところが、同居家族の逝去により、突然、独居となってしまった。<BR> 幸いにも、近隣の親戚から支援が得られ、福祉事務所につながることができたものの、もともと交流が乏しかったため、従前のAさんのライフスタイルを知る人は誰もいない。ホームヘルパーの導入などでライフラインを整えることはできたが、Aさんとのコミュニケーションが十分に取れない中で、何を望み、どういう生活を本人が目指しているのかはきちんと見えていない。<BR> まだ、本人の意向を十分に把握するには至っていないが、多職種、多事業所が関わり、情報交換をしながら、少しずつ本人への理解が進んできたと言えるところである。福祉事務所とヘルパー事業所の関わりだけでも、生活は維持でき、時間の経過とともに落ち着きを見せるようにはなってきたが、大きく流れが変化したのは、専門職が関わるようになってからである。自分の意思で行動する機会が持てるようになり、行動範囲を広げることができると在宅のストレスも緩和されてきた様子で、最近では表情も明るくなったと周囲から言われている。専門職集団である福祉センターの存在、および地域に視覚障害の専門職が配置されていることが大きく貢献していると言える。<BR> 現在も支援は進行形であり、試行錯誤を繰り返しながら、格闘してきた約1年間の関わりを報告する。
著者
千原 一泰 木村 幸弘 本定 千知 竹内 健司 定 清直
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.197-202, 2013 (Released:2013-08-31)
参考文献数
17
被引用文献数
3 4

Spleen tyrosine kinase(Syk)は,福井大学医学部において単離された非受容体型チロシンキナーゼである.SykはIgE受容体活性化を介したマスト細胞のヒスタミン放出やサイトカイン産生,マクロファージのファゴサイトーシス,破骨細胞の活性化,さらにB細胞の分化や活性化に必須の役割を担っている.また,最近の研究からある種の癌や自己免疫疾患,真菌やウイルス感染との関連も明らかになってきた.Sykが細胞機能の根幹に関わる重要な分子であることが次々と明らかとなるにつれ,その阻害薬の開発と種々の疾患に対する臨床応用への期待が高まっている.このような強い要望に応え,これまでに多くのSyk阻害薬が開発されてきた.しかし,そのすべてが臨床治験にまで至らなかった.ところが近年,新たなSyk阻害薬が開発され,アレルギー性鼻炎や関節リウマチへの有効性が脚光を浴びている.特にR788(フォスタマチニブ)は経口Syk阻害薬として開発され,米国において第III層試験が実施されている.本稿ではSykの発見の経緯,構造と生理機能を踏まえた上で,新しいSyk阻害薬について概説したい.