著者
木村 直弘 KIMURA Naohiro
出版者
岩手大学教育学部
雑誌
岩手大学教育学部研究年報 (ISSN:03677370)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.39-57, 2012

〈音風景〉とは,カナダの現代音楽作曲家・音楽教育家マリー・シェーファー(1933~)が1960年代末に,「音」を意味する「サウンドsound」と「~ 景」を意味する接尾語「~スケープ-scape」から造語し提唱した「サウンドスケープSoundscape」という術語の訳語である。以下,日本サウンドスケープ協会公式ウェブサイトの用語説明から一部を引くと,サウンドスケープという用語とその考え方は,地球上のさまざまな時代や地域の人々が, 音の世界を通じて自分たちの環境とどのような関係を取り結んでいるのか,どのような音を聞き取りそこからどのような情報等を得ているのかを問題とし,それぞれの音環境を個別の「文化的事象/音の文化」として位置づけます。したがって,サウンドスケープとは「世界を聴(聞)く行為,音の世界を体験する行為によっておのずと立ち表れてくる意味世界」であるともいえるのです。人間とその音環境との関係を探るにあたって,シェーファーがこのサウンドスケープの重要な特徴として挙げたのは,〈基調音Keynote sounds〉〈音信号Sound signals〉〈音標識Soundmark〉の3つである。〈基調音〉とは,ある共同体にあって,いわば後景的に(ゲシュタルト心理学的に言えば「地」として)絶えず鳴り響いているが意識的に聞かれることはない音を指す。これに対し,〈音信号〉とは,特定の意味を伝達し,前景(ゲシュタルト心理学的に言えば「図」)として意識的に聴かれなければならない音である。そして〈音標識〉とは,〈音信号〉の中でも特に共同体によって尊重され,注意されるシンボル的意味合いが強い音を指す。たとえば,岩手県の平泉を例にとると,世界文化遺産に登録された観光地であるので,〈基調音〉としては,観光バスや観光客のたてる賑やかな音などが挙げられるだろうし,〈音信号〉としては,平泉町役場から毎日正午に流されるチャイムや,午後5時に流される「夕焼け小焼け」のメロディなどが挙げられる。そして,〈音標識〉としては,毎年ゴールデンウィークに(社)平泉観光協会主催で行われる「春の藤原まつり」における様々な音がそれにあたる。別表(57頁参照)に示したように,空間的には,中尊寺および毛越寺という両極とそれらを媒介する中間的場としての駅前広場や旧観自在王院庭園など,3つの空間に分けられる。そして,両極を媒介するものとして,町内神輿および県内の各国体による郷土芸能が,かならずその3箇所で披露される。また,時間的にみても,やはりこの「春の藤原まつり」は3部分に大別されうる。すなわち,第一は,中尊寺・毛越寺両極でほぼ同時進行する,前半の,開山大師や藤原四代あるいは源義経の供養法要といった仏教祭祀,第二は,後半の,古実式三番や延年の舞などに代表される神事的伝統芸能に,そして第三に,観光的にはこのまつりのピークと位置づけられる「源義経公東下り行列」に顕著な,両極間を結ぶ移動的イヴェントである。よって,「春の藤原まつり」の〈音風景〉は,観光客や観光車両のたてる地の音を背景に,交差点での信号音や平泉駅での列車の発着音などの〈音信号〉も含みつつ,すぐれて平泉を特徴づける〈音標識〉,すなわち仏教儀礼の音,神事的伝統芸能の音,郷土芸能の音,そして,行列の先導あるいは中間地点での吹奏楽やラジオ拡声器による大音量の音,などによって構成されていると言える。さて,春の藤原まつりのようなまさに今現実に鳴り響く音の世界だけでなく,たとえばこの平泉の地に,かつてどのような〈音風景〉があったのかについては,ジェーファーが「耳の証人」と呼ぶところの,さまざまな古文書等の記録類や文学・神話,あるいは絵画史料などを手がかりとして推測することが可能である。そこで,この小論では,前掲・平泉におけるいにしえの〈音風景〉を今に伝える絵画史料「平泉諸寺祭礼曼荼羅(ニ幅一対・紙本著色,中尊寺蔵・桃山末期~江戸初期)を「耳の証人」としてとりあげ,そこに描かれた〈音風景〉が示す「音の文化」を明らかにすることを目的とする。そこで注目すべき〈音風景〉としては,右幅に描かれた「御一馬(おひとつうま)」,左幅に描かれた「哭(なき)まつり」と「印地打」,そして両幅に描かれた「鐘声」が挙げられるが,本稿では,紙幅の都合上,これらのうちから「御一馬」をめぐる〈音風景〉に考察対象をしぼり論じてゆくことにする。
著者
霜島 広樹 木村 和彦
出版者
Japan Society of Sports Industry
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1_19-1_32, 2013

The purpose of this study was to clarify the influence of watching an exhibition match by coaches on tennis club members.<BR>    In order to examine that, we conducted 3 studies as follows:<BR>【Study 1】: To make a hypothesis about the influence of watching an exhibition match by coaches on club members, we conducted interview researches for spectators in the exhibition match of November 2011.<BR>【Study 2】: To test the hypothesis quantitatively, we staged an exhibition match again and carried out a questionnaire survey for tennis club members before and after the exhibition match.<BR>【Study 3】: To supplement Study 1 and Study 2, we conducted interview research for coaches of players in the exhibition match and to clarify the influence of watching the exhibition match on club members, from the standpoint of coaches.<BR>    As a result, the main findings are summarized as follows. First, watching an exhibition match by coaches affects "tennis commitment (watching) " , "respect" , "psychological distance for coaches" , and "attitude for tennis" among club members. In addition, watching an exhibition match by coaches affects "Trigger of Skill Mastery" and "to break out from routine" . Therefore, staging an exhibition match could be effective as a strategy in club management.
著者
中島 裕子 渡邊 乾 木村 純一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.548-555, 2020-11-15

琵琶湖病院のこと 今回、私たち就労継続支援B型BaseCamp★1の職員は、滋賀県大津市にある琵琶湖病院を取材する機会をいただいた。 琵琶湖病院は、2017年から組織的にオープンダイアローグをベースにしたケアミーティングに取り組んでいることで有名な病院で、NHKでも取り上げられたことがある。『精神看護』2019年11月号の特集(「琵琶湖病院で始まっているオープンダイアローグを取り入れた日常診療」)を読んでいた私は、前々から興味を持っていた。その琵琶湖病院の医師の村上純一さんが、私たちを病院へ招待してくださったのだ。
著者
木村 俊明
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.86, no.790, pp.1655-1663, 2021-12-01 (Released:2021-12-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

Since there is a close relationship between the form and force in the large span spatial structures, it needs to design a suitable structural form corresponding to the stress transmission. Furthermore, it is desired to construct efficiently with saving resources for reducing environmental loading. Structural engineers need to judge totally by considering various requirements (e.g. structural safety, aesthetics, constructability, and economics) for a short time. A structural rational form can be found easily using the optimization method. There are various studies of computational form-finding methods for large-span spatial structures. Recently, it has been applied for the realization of practical design. Generally, optimal shape tends to be a complex shape. According to the construction reports of its application, it can be confirmed that issues about constructability of complex shapes and reducing scaffolding material have been solved in the construction phase. It is significant to solve the construction problems during the early design phase by using optimization methods. Removing supports is one of the important construction processes for spatial structures. Generally, it is mentioned that depending on the support conditions during the removal process, the internal stress may be higher than those in the completed state in the RC large-span structures. From a point of view of safety, it is necessary to plan to remove supports carefully. Furthermore, planning for the construction process depends largely on the experience of the contractors/designers. In the case of complex shapes, it can be imagined that it involves a lot of trial and error and is extremely difficult. If the construction plan can be reasonably designed at the stage of the form-finding process, it will be possible to realize further resource-saving and efficiency of construction materials. There are a lot of studies about optimization for removing supports in the construction process of the truss or tensile structures. However, to the author's knowledge, there are a few studies for RC spatial structures. This paper presents a simultaneous optimization method for the large span spatial structures obtaining the process of removing supports in the construction and the shape of the completed state. An optimization problem is formulated to minimize the summation of the strain energy during removing supports. The optimization algorithm consists of two methods. The coordinates of B-spline control points are optimized using Sequential Quadratic Programming (SQP). Furthermore, Local Search (LS) is used for obtaining the order of removing supports. It is shown in the numerical examples that not only obtaining strain energy minimized shape, react force and stress are suppressed during the process of removing through optimization. In the case of a 2D arch, the optimal order is to start from the end with removing the center at last. In the removal phase, it is effective to leave the center support during the removal to reduce bending deformation. By using this method, it can realize the construction plan for the supports considering both structural safety and constructive efficiency. Moreover, the proposed methods require less computational cost than the heuristic method shown in the numerical example. In the optimization using NP2, it is possible to obtain the solution with less computational cost than using NP1. However, the order of removal of supports becomes complicated. From a point of view of practical design, this result needs caution to avoid mistakes in construction.
著者
松原 由未子 粟井 瞳 木村 護郎 今野 宏亮 徳元 仁美 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.341-345, 2004 (Released:2005-01-29)
参考文献数
29
被引用文献数
10 2

本研究の目的は,緊張性振動反射による興奮性効果と振動刺激による抑制性効果のいずれが,筋疲労時の筋硬度に影響するかを明らかにすることである。健常な学生20名(平均年齢24.4歳)を対象に,筋の疲労に至る等尺性運動直後に5分間,105 Hzの振動刺激を与える場合と振動刺激を与えない場合の筋硬度の変化を比較検討した。その結果,最大努力での等尺性運動によって筋疲労が生じ,これに伴って増した筋硬度は,振動刺激を与えることによって5分以上15分未満の間で回復が遅くなることが示された。振動刺激は疲労した筋に対して,緊張性振動反射による興奮性効果が優位に影響し,これに加えて,遮断された血流の除去作用の低下による疲労代謝物質の局所への停滞を増長することで,筋硬度を低下・回復させるのに有効に作用しないものと推察された。しかし,運動後15分には運動前と同程度の筋硬度に回復したため,筋硬度の増大は一過性であり,比較的早く影響がなくなるものと考えられた。
著者
木村 朗
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.333, 1992-05-15

那覇の黄昏は紫色に暮れ,美しい.沖縄で暮らし始めて1年,興味深い理学療法の状況をみている.研究の合間を縫っての,つかの間の臨床で,一面からしかとらえていないが.“ちゃんぷる”である. ちゃんぷるとは,素材を混ぜ合わせて炒めた料理を指すほかに,「混ぜる」の意味がある.困り事は「何でもリハ」,すなわち適応の有無が判断されないままのベルトコンベアー式指示と,治療方針の不明確な,「その他に丸」式処方が療法士部門に出され,「理学療法士の行なう理学療法」と「誰でもいいから理学療法らしいもの」がちゃんぷるされて,この両者に何の「差」も生じない構図である.
著者
木村 晟
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤國文 (ISSN:04523652)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.97-154, 1984-02
著者
阿部 孝司 年代 光宏 林 貴宏 木村 春彦
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 = Imaging & Visual Computing The Journal of the Institute of Image Electronics Engineers of Japan (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.701-709, 2007-09-25
参考文献数
21
被引用文献数
1

スポーツ中継で表示されるスコアテロップの内容解析は,放送型スポーツ 中継映像の内容解析に有効であると示唆されるが,近年のスコアテロップは,文字やマーク,その背景まで様々な色や輝度が混在し,輝度値だけに 着目して領域内に存在する多種のオブジェクトを背景と区別することは難しい.また,スコアテロップ内の各オブジェクトの表示内容を認識するには,時間経過に伴うオブジェクトの状態変化を調べる必要がある.本稿では,放送型野球中継映像のスコアテロップ領域を対象に,白黒濃淡画像の輝度値に加えRGB濃度値のヒストグラムを用いて領域内に 存在するオブジェクトの外接矩形を抽出し,試合の内容解析に 必要なキーとなる,アウトカウント,得点,ランナーの有無を示す 領域を次フレームでの同一領域との相関を求めて特定する方法を提案する.四つの野球中継映像に対し実験を行った結果,アウトカウントがマーク 表示されている映像を除き,上記の抽出項目はすべて精度良く抽出された.
著者
町田 綾子 山田 如子 木村 紗矢香 神崎 恒一 鳥羽 研二
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.262-263, 2010 (Released:2010-07-05)
参考文献数
3

目的:認知症患者に抑肝散を6カ月以上長期投与し,認知症の周辺症状,家族の介護負担感の変化を検討する.方法:投与前後にDBD,ZBIを用いて評価し変化を検討した.結果:DBDは投与前後において有意な差を認めなかった.ZBIは有意に低下した.結論:抑肝散の長期投与において家族の介護負担感が軽減することが示唆された.
著者
木村佳子
出版者
財務省
雑誌
ファイナンス
巻号頁・発行日
no.529, 2009-12
著者
木村 祐
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

申請者らが開発した生体適合性ナノ粒子型 Gd-MRI 造影剤について、その性能の深化を目指し、種々の粒径・表面修飾および組成におけるプロトン緩和機構を NMR および MRI を用いて詳細に解析する。得られた知見とこれまでの報告を比較することで、ナノ粒子型 Gd-MRI 造影剤のプロトン緩和能について、高性能化への新たな指針を見出すとともに、動物実験によってその効果を検証する。最終的には、細胞単位での MRI 検出を可能にする新規造影剤を創製し、細胞の動きや病態メカニズム解明へ向けたツールとしての利用を目指す。
著者
木村 雅友
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.J127-J132, 2017 (Released:2017-11-30)
参考文献数
30
被引用文献数
2 6

副鼻腔真菌症は,真菌による粘膜浸潤の有無で浸潤性と非浸潤性に分類される.浸潤性は,病勢進行の速さにより急性浸潤性と慢性浸潤性に分類される.一方非浸潤性は,慢性非浸潤性とアレルギー性真菌性副鼻腔炎に分類される.菌球型とも呼ばれる慢性非浸潤性がわが国では大半を占め,つぎにアレルギー性真菌性副鼻腔炎で,浸潤性は急性も慢性もかなり少ない.浸潤性では,病理組織学的に粘膜内への菌糸による浸潤が認められる.さらに急性浸潤性では菌糸の血管侵襲も見られるが,慢性浸潤性では血管侵襲は少ない.非浸潤性では真菌は副鼻腔粘膜組織に浸潤していない.菌球が副鼻腔組織に接していても,その菌糸の組織内浸潤は認められない.菌球内には分生子頭やシュウ酸カルシウム結晶などが認められることがあり,原因真菌の同定に寄与する.アレルギー性真菌性副鼻腔炎は,好酸球集団が散在するアレルギー性ムチンと呼ばれる粘液が特徴的で,その中に真菌要素が少数認められる.病理組織学的観察は各病型を診断する際に重要で,特に浸潤性か非浸潤性かを鑑別するのに必須である.
著者
渡辺 和人 木村 敏行 宇佐見 則行 山本 郁男
雑誌
北陸大学紀要 = Bulletin of Hokuriku University (ISSN:21863989)
巻号頁・発行日
no.38, pp.37-49, 2014-12-31

There are many novels that deal with marijuana as drug novels. Among them, the novel entitled “Kaigo-nyumon” written by Mr. Norio Mob was to win the Akutagawa Award in 2004. A marijuana user appears in the novel. We thought that a part of the novel was written by the author under the influence of marijuana. This review critically analyzes the contents of the novel from a scientific point of view.
著者
鈴木 邦明 渋谷 真希子 長谷 由理 平沖 敏文 木村 幸文 藤澤 俊明
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.116-123, 2017-03

日常臨床において,全身麻酔も,局所麻酔も,高い安全性で実施されているが,全身麻酔薬及び局所麻酔薬の詳細な作用機序や,副作用の機序については,いまだに不明な点が多く残されている.全身麻酔の作用機序の仮説は,大きく,脂質に対する作用を重視する非特異説(リピド説)と,特定のタンパク質に対する作用を重視する特異説(タンパク説)とに分けられる.長年にわたる研究の中で,非特異説に傾いたり,特異説に傾いたりしてきたが,現在でも一致はみていない.本稿では,両説の現状を紹介した後に,非特異説に違いないと考えて著者らが行ってきた研究を紹介したい.局所麻酔薬の作用機構は,Na+チャネルを遮断して神経インパルスの発生と伝導を抑制する,として確定されているが,Na+チャネル以外のさまざまな受容体,イオンチャネルや酵素に作用することも認められている.局所麻酔作用に付随する種々の作用の詳細,あるいは副作用の機序という点では,不明な点も多い.本稿では局所麻酔薬の作用に関する現状を紹介した後,ATPaseを中心に著者らが行ってきた研究を紹介したい.
著者
木村 栄宏 粕川 正光 小原 健史 山崎 勝哉
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.51-56, 2008-02-29

最近の情報ネットワーク時代の進展を背景に、非公式な組織と個人間の結びつきを元に、大きな社会的流れが生じ、それらが企業再生に結びつき貢献する萌芽が見られている。例えば銚子鉄道における存続が社会的なニュースとなった際には、インターネットにおける公開掲示版や個々人のブログ、あるいはSNS内における議論の活発化により、個々人ができる支援の積み重ねにより、企業側も意図しない大きな動きで資金が集まり、安全更新投資が可能となった。本事例からの示唆として、今後の地方ローカル鉄道は、リアルの乗客に依存するのではなくバーチャルな乗客に依存することで新しい形に再生していくことも望まれること、また、組織の大小を問わず、企業再生には従業員個々人のシャドーワーク、あるいはシャドーワーク的な発想が今後ますます重要になるということの2点をあげることができる。