著者
優 乙石 杉田 有治
出版者
分子シミュレーション学会
雑誌
アンサンブル (ISSN:18846750)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.75-80, 2017-04-30 (Released:2018-04-30)
参考文献数
25

細胞質の体積の約 30%は,生体分子で占められている.このような混み合った環境下では生体分子の立体 構 ,動態,反応性が希薄溶液環境と大きく異なることは従来の研究から示唆されているが,原子・分子レ ベルの解像度では十分に理解されていなかった.我々はバクテリア(マイコプラズマ・ジェニタリウム)の 細胞質を原子解像度でモデリングし,「京」コンピュータ上で超並列分子動力学シミュレータ GENESIS を用 いた大規模計算を行い,細胞内の生体分子ダイナミクスを原子レベルで再現した.さらに,得られたデータ から蛋白質-代謝物の相互作用や代謝物の細胞内動態を詳細に解析し,新たな知見を得た.
著者
真栄田 裕行 杉田 早知子 山城 拓也 崎浜 教之 鈴木 幹男
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.53-58, 2019

副咽頭間隙原発の腺様囊胞癌の報告は少なく,本邦の過去の報告は 8例のみであった。今回われわれは副咽頭間隙発生の早期腺様囊胞癌を経験した。患者は63歳の女性。左副咽頭間隙に発生した腫瘤は画像所見からは多形腺腫も考慮されたが,形状や耳下腺との非連続性から神経鞘腫と診断した。経頸部アプローチにより腫瘤が摘出され,術後に腺様囊胞癌と判明した。副咽頭間隙に腺様囊胞癌が生ずる認識があれば,術前に細胞診やFDG-PET検査を施行して正確な診断がついた可能性もある。また治療に関しても腫瘍を明視下に置いた種々の術式により,完全切除も可能であったと思われた。再発時には拡大切除および術後照射が現実的な治療方針ではないかと考える。
著者
堀口 沙記子 杉田 早苗 土肥 真人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.763-768, 2001-10-25 (Released:2017-12-01)
参考文献数
3

The purpose of this article is to grasp people's sitting behavior on streets spaces. Design survey of the spatial apparatus for sitting, observatory survey of the sitting people and interview research for sitting peoples' psychological situation are conducted at the Harajuku area Shibuya-word. Tokyo pref. the conclusions are as follows. 1. Spatial apparatus for sitting on streets spaces are grouped into 18 types using form and function category. 2. Sitting people have preference for choosing the sitting apparatus, which is depending on spatial apparatus type, surroundings atmosphere and purpose of sitting behavior. 3. Peoples who sit on spatial apparatus essentially not for sitting tend to relax and to sit longer than who use spatial apparatus for sitting.
著者
小向 佳奈子 藤本 修平 杉田 翔 光武 誠吾 輪違 弘樹 小林 資英
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.683-693, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
74
被引用文献数
2

〔目的〕リハビリテーション分野で用いられている社会参加の定義とその評価指標について,システマティックレビューを用いて評価することとした.〔対象と方法〕リハビリテーションと社会参加に関する語句から対象論文の検索を行った(Database:MEDLINE).抽出した論文について,社会参加の定義や評価指標を抽出し,テキスト分析によってその概念をまとめた.〔結果〕社会参加の定義として「仕事,家庭での活動,余暇活動ができる」,「家庭,社会における役割を持てる」などが挙げられた.定義によって用いられている評価指標に相違がみられた.〔結語〕社会参加の定義は様々であり,その定義に合わせた評価指標を選択する必要性が示唆された.
著者
藤本 修平 小向 佳奈子 光武 誠吾 杉田 翔 小林 資英
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.456-462, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
37

【目的】リハビリテーション(以下,リハビリ)分野の自費診療を行っている病院・施設において,Web サイト上の質の評価を行うこととした。【方法】リハビリ分野において自費診療を行っている病院,施設を抽出するために,自費診療とリハビリに関する検索語を選定し,Web サイトの検索を行った(Database:Google)。対象のWeb サイトに対し,e ヘルス倫理コード2.0,医療広告ガイドライン,医療機関ホームページガイドラインを参考にWeb サイトの質の評価を行った。【結果】Web サイト内の治療の効果やリスクに関する情報について,引用を示して記載したものは45 件中1 件(2.2%)であり,その他の医療広告ガイドラインの項目についても遵守割合が低いものが認められた。【結論】リハビリ分野において自費診療を行っている病院・施設のWeb サイトは誇大に広告されている可能性があり,情報提供者は治療の利害情報の正確な提供が必要である。
著者
乾 彰夫 佐野 正彦 堀 健志 芳澤 拓也 安宅 仁人 中村 高康 本田 由紀 横井 敏郎 星野 聖子 片山 悠樹 藤田 武志 南出 吉祥 上間 陽子 木戸口 正宏 樋口 明彦 杉田 真衣 児島 功和 平塚 眞樹 有海 拓巳 三浦 芳恵 Furlong Andy Biggart Andy Imdorf Christian Skrobanek Jan Reissig Birgit
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、代表者らグループが2007~2012年度に実施した「若者の教育とキャリア形成に関する調査」を踏まえ、①そのデータの詳細分析を行い、現代日本の若者の大人への移行をめぐる状況と課題を社会に公表すること、②他の先進諸国の同種データと比較することで日本の若者の移行をめぐる特徴と課題を明らかにすること、の2点を研究課題とした。①に関してはその成果を著書『危機のなかの若者たち』(東京大学出版会、410 頁、2017年11月)として刊行した。②に関しては海外研究協力者の参加の下、イギリス・ドイツ・スイスとの比較検討を行い、2017年3月国際ワークショップ(一般公開)等においてその結果を公表した。
著者
杉田 昭 小金井 一隆 辰巳 健志 山田 恭子 二木 了 黒木 博介 荒井 勝彦 木村 英明 鬼頭 文彦 福島 恒男
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.66-72, 2012 (Released:2012-04-24)
参考文献数
18

痔瘻癌は痔瘻の症状が併存するため早期診断が困難で,進行癌で発見されることから予後が不良な疾患である.本邦ではCrohn病症例に合併する肛門病変として痔瘻が最も多い.Crohn病に合併する大腸癌のうち,痔瘻癌を含む直腸肛門管癌が半数以上を占めるのが本邦の特徴であり,合併する痔瘻癌の特徴は基本的に通常の痔瘻癌と同様であるが,自験例の痔瘻癌診断までの罹病期間は平均20年,癌診断時年齢は平均39歳と通常の痔瘻癌に比べて罹病期間に差はなかったものの,若い年齢で発症していた.痔瘻癌発見の動機は粘液の増加,肛門狭窄の増強,腫瘤の出現などの臨床症状の変化であることが多く,長期に経過した痔瘻を合併するCrohn病症例では痔瘻癌の合併があることを念頭に置き,痔瘻の症状の変化,肛門所見に留意して定期的な指診,大腸内視鏡検査,積極的な細胞診,生検を行うことが早期診断と長期生存に重要である.直腸肛門管癌(痔瘻癌を含む)に対する癌サーベイランスプログラムの確立が望まれ,その可否の検討が必要である.
著者
藤本 修平 小向 佳奈子 光武 誠吾 杉田 翔 小林 資英
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11332, (Released:2017-09-02)
参考文献数
37

【目的】リハビリテーション(以下,リハビリ)分野の自費診療を行っている病院・施設において,Web サイト上の質の評価を行うこととした。【方法】リハビリ分野において自費診療を行っている病院,施設を抽出するために,自費診療とリハビリに関する検索語を選定し,Web サイトの検索を行った(Database:Google)。対象のWeb サイトに対し,e ヘルス倫理コード2.0,医療広告ガイドライン,医療機関ホームページガイドラインを参考にWeb サイトの質の評価を行った。【結果】Web サイト内の治療の効果やリスクに関する情報について,引用を示して記載したものは45 件中1 件(2.2%)であり,その他の医療広告ガイドラインの項目についても遵守割合が低いものが認められた。【結論】リハビリ分野において自費診療を行っている病院・施設のWeb サイトは誇大に広告されている可能性があり,情報提供者は治療の利害情報の正確な提供が必要である。
著者
畠沢 政保 杉田 洋 小川 孝廣 瀬尾 宜時
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.70, no.689, pp.292-299, 2004-01-25 (Released:2011-03-03)
参考文献数
9
被引用文献数
15 31

A new type of thermoacoustic sound wave generator driven with the waste heat of a 4 cycle automobile gasoline engine is described. The exhaust-pipe connected sound wave generator, in which the hot heat exchanger is set in the exhaust pipe in order to recover the waste heat of exhaust gas, is proposed. A temperature of 780°C of exhaust gas in the exhaust is observed. In a conventional thermoacoustic sound wave generator, sound waves originate at a temperature of the hot heat exchanger, TH, of 200-300°C and become sufficient at 700°C. It is confirmed that the new generator generates sufficient sound waves and its performance is almost equal to that of the electric heater driven generator at a thermal input of 300 W, which corresponds to slightly more than 1% of the heat quantity of exhaust gas provided under the condition that the number of engine revolutions is 2 600 r.p.m. and that the throttle opening is 35%.
著者
杉田 依里 平澤 恭子 花谷 あき 鷲尾 洋介 戸津 五月 増本 健一 中西 秀彦 内山 温 楠田 聡 櫻井 裕之 大澤 眞木子
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.E317-E322, 2013-01-31

BCG接種時に皮膚裂傷を来たしたことを契機にEhlers-Danlos症候群(EDS)と診断された超早産児の臨床経過について報告する。児は、母体の前期破水と絨毛膜羊膜炎のため、在胎期間27週6日、出生体重1100g、帝王切開で出生した。日齢1に左脳室内出血(IVH)I度を認め、日齢4には両側IVH II度へ急速に進行し、日齢17より出血後水頭症を認めた。脳室ドレナージ術のための予定気管挿管時に、胸膜下気胸を合併し緊張性気胸に進行した。また、日齢85の頭部MRI検査で出血後水頭症の所見に加えて、側脳室内側にくも膜嚢胞を認めた。NICU退院後の発達外来の定期経過観察では低緊張による発達の遅れが認められた。8ヶ月(修正5ヶ月)時、左鼡径ヘルニアの根治術を施行し、術中、皮膚切開創が自然拡大したエピソードがあった。9ヶ月(修正6ヶ月)時、外来でBCG接種を施行した際に皮膚裂傷を生じた。皮膚裂傷に対し、形成外科で縫合術と皮膚組織生検を行った。この病理所見とビロード状の皮膚や低緊張、関節可動域の亢進などの身体所見からEDSと診断した。新生児期の経過を再検討し、IVH、胸膜下気胸、くも膜嚢胞の合併は原疾患に起因する可能性があると考えられた。EDSの超早産児では、新生児期より組織脆弱性に起因する様々な合併症が起こり得ることが示唆された。
著者
白濱 吉起 宮下 由香里 亀高 正男 杉田 匠平
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

2016年熊本地震に伴い,布田川・日奈久断層帯に沿って地表地震断層が出現した.地震断層は従来推定されていた布田川区間の北端を約4 km越え,阿蘇カルデラ内東部にまで及んだ.阿蘇カルデラ内に出現した地震断層は,立野付近から北東南西走向の右横ずれ変位を主体とするトレースと,東西走向の上下変位主体のトレースに分岐する.この内,東西方向の地震断層は濁川左岸の地溝帯に沿って断続的にやや左ステップしながら約2.5 km続く様子が確認された.この地溝帯が熊本地震のような断層活動によって形成された変動地形であるとすれば,地表地震断層が活断層である可能性が示唆される.そこで我々は,九州大学からの委託業務「平成28年熊本地震を踏まえた総合的な活断層調査」の一環として,新しく阿蘇カルデラ内に現れた地表地震断層が活断層であるか否か,また,活断層である場合はその活動履歴を明らかにすることを目的に,熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽沢津野地区においてトレンチ調査を実施した.掘削地点は立野地区から2 km東の2~4 mの崖に挟まれた地溝内に位置する.そこでは,地構内の平坦地を利用した水田に,幅20~30 mでほぼ並走する東西走向の二本の地表地震断層が確認された.南側のトレースは北落ち,北側のトレースは南落ちを示し,地形と調和的に中央部分が落ち込む様子が見られた.トレンチ掘削前にボーリング調査を行ったところ,地溝外のコアでは地下7~8 mで草千里ヶ浜降下軽石層(Kpfa)が見られたのに対し,地構内では地表から約16 m下で見られた.この深度の差は地形的な落差と比べると明らかに大きく,累積的な沈降が示唆された.そこで,南北の地震断層トレースを横切りつつ,導水管を避けるように,長さ34 m,幅7 m,深さ4 mのトレンチをクランク状に掘削した.壁面には地表地震断層につながる断層と,地層の変形が明瞭に確認された.地層は主に阿蘇火山を起源とするローム層で構成され,河川性堆積物は見られなかった.また,地層中には年代指標となる鬼界-アカホヤ火山灰,姶良Tn火山灰,Kpfaといった広域テフラが確認されるとともに,弥生土器が出土した.断層はトレンチ北側では南傾斜,南側では北傾斜を示した.地層は断層に近づくに従って緩やかに撓み下がり,その撓みに伴う開口亀裂が多数生じていた.断層で上下に地層が食い違うとともに,いくつかの層準では断層を境に地層の厚さが増しており,変位の累積が見られた.これらの観察結果と14C年代測定結果を元に,約3万年前以降の活動履歴の推定を行った.発表では本トレンチが示す活動履歴について議論する.
著者
岩﨑 涼太 杉山 剛 石井 裕貴 五十嵐 賢 増山 敬祐 杉田 完爾
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.15-20, 2015 (Released:2015-06-20)
参考文献数
17

【背景】年少の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者には成長障害の合併が多いが,アデノイド口蓋扁桃摘出術(AT)前後の身体発育に関して 7 歳以下の報告は少ない。【目的】7 歳以下の OSAS 患者に対する AT の身体発育への影響を明らかにする。【方法】対象は19名(男女比13:6)。Type 3 簡易 PSG で無呼吸低呼吸指数(AHI)≧5 でアデノイド増殖・口蓋扁桃肥大を有する小児を OSAS と診断し,AT 後 3,6,12ケ月の身体発育を検討した。【結果】AT 後に AHI は有意に低下した(18.9±15.3 vs 3.4±1.6)。BMI パーセンタイルは AT 後 3 ケ月で有意に増加し(43.9±26.1 vs 55.6±22.5),身長 SD スコアは AT 後12ケ月で有意に増加した(−0.26±0.94 vs 0.006±0.63)。【結論】7 歳以下の OSAS 患者では AT 後,体重増加が先行し,身長は遅れて増加した。