著者
村上 英也
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.117-121, 1971-02-15 (Released:2011-11-04)
被引用文献数
1

我々日本の醸造屋は「コウジカビ」の大きな恩恵をうけている。明治9年に発見, 報告されてから現在までに多数の菌株が分離, 利用されているが, 筆者は長年, コウジカビの研究をし, 最近コンピュータを用いて, これがアスペルギルス・オリゼーという大集団で, フラブスとはちがうこと, 標準株と-致する株が50年来醸試に保存されていたことなどのいきさつを述べている。正しいコウジカビの知識のためにも, また研究者の喜びを理解していただく上にもぜひ一読を願いたい。
著者
左達 秀敏 村上 義徳 外村 学 矢田 幸博 下山 一郎
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.67, 2010 (Released:2010-04-08)
参考文献数
42
被引用文献数
3

歯磨き行為の積極的休息への応用について:左達秀敏ほか.花王株式会社東京研究所―目的:本研究の目的は,歯磨き行為における積極的休息としての有用性を明らかにすることである. 対象と方法:生理指標としてフリッカー値を,心理指標として主観的アンケートを用いて検証した.まず,17名の健康な若年男女(男性12名,女性5名,平均年齢±標準偏差;22.5±1.5歳,右利き)を歯磨き群と非歯磨き群に無作為に割り当てた後,両群にパソコン上で20分の連続計算課題を実施させた.その後,歯磨き行為を行わせ,その前後でフリッカー値と気分を計測した. 結果:歯磨き群のフリッカー値は,歯磨きをしない群と比べて有意に増加した( p<0.05).一方,気分については,“爽快感”が歯磨きをしない群と比べて有意に増加し( p<0.05),“集中力”,“頭のすっきり感”が増加傾向を示した(p<0.1).また,“倦怠”,“眠気”は,有意に減少した( p<0.01).考察と結論:歯磨き行為による体性感覚刺激や口腔内触覚刺激が総合的に大脳活動を賦活させたと考えられ,また,気分を爽快にする効果が認められたことから,歯磨き行為は,積極的休息として応用できる可能性が示唆された. (産衛誌2010; 52: 67-73)
著者
村上 幸史
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.2114, (Released:2023-02-17)
参考文献数
35

携帯メールやLINEのやりとりにおいては,送受信の行為自体が,一種の社会的交換と見ることができる。ただ返信するだけでなく,できるだけ早く返信するという返報の義務の存在からは,返報の速度自体にも価値が置かれていると考えられる。そのため,利用者が相手との不均衡さを感じた場合には,返信速度を調整することによって,相手に合わせた対応をしたり,何らかの意思表示をしているのではないかと推測される。そのため,やりとりの早さは,返信が早い相手には早いが,遅い相手には遅いという「つりあい」が取れた形で現れると考えられる(互酬性仮説)。本研究ではこの仮説を検証するために,メールとLINEに関する調査を行った。その結果,自分と相手の返信速度や文字数の間には高い相関が見られた。また返信の早さは,相手の返信の早さによって違いが見られた。
著者
李 明 石丸 紀興 村上 茂輝 中本 清壱
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.23, no.55, pp.1037-1042, 2017 (Released:2017-10-20)

Ujina Arc de Museum, was built in Hiroshima Ujina Port as facilities for the farewell welcome Ian soldiers since during the day the war.Construction when the construction committee at the center of the TOMITA Aijiro Governor of Hiroshima Prefecture at the time has been formed, and called for donations across the country.February 1938 to groundbreaking, completion ceremony is celebration in April 1939, and than is being donated to the Army.
著者
遠藤 美紀子 村上 和代 楢本 和美 古賀 江利加 恒川 浩二郎 小澤 幸泰 加藤 秀樹 湯浅 典博
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.70-77, 2018-01-25 (Released:2018-01-27)
参考文献数
18

血液製剤の廃棄量を減少させることはその有効利用のために重要である。1998年から2015年までの当院における血液製剤廃棄量を減少させるための取り組みと,廃棄率,廃棄要因を検討し,最近の廃棄要因の特徴を明らかにした。廃棄率は18年間で0.24%から0.04%に減少した。職種別では,医師と検査技師が要因による廃棄量が減少していた。手順別では,近年,運搬と取扱い要因の廃棄量が増加していた。血液製剤廃棄量を減少させるために,輸血療法に関する正しい知識を輸血療法に携わる医療スタッフ全体で共有することが重要である。
著者
村上 至孝 楠目 和代 小泉 宗光
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.525-529, 2020-12-20 (Released:2020-12-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

入浴は食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)の発症に関与する要因の1つとされている.今回,モモを摂取後に入浴して発症したFDEIAの1例を経験したので報告する.症例は8歳の女児.生のモモを摂取して10分後に入浴し,30分後からアナフィラキシーが出現した.モモのprick-to-prick testは陽性,モモ特異的IgEは5.35UA/mLであった.モモによるアナフィラキシーを疑い,生のモモの食物経口負荷試験を実施したが陰性であった.アスピリンを内服後に生のモモを摂取し運動負荷を行ったところアナフィラキシーが誘発された.アレルゲンコンポーネント特異的IgEはPru p 3は陰性,Pru p 7は陽性であった.食後の入浴により発症したFDEIAの報告は少なく,入浴でアナフィラキシーが誘発されるメカニズムは十分に解明されていないが,入浴は本症の発症に関与する要因の一つとして認識しておく必要がある.
著者
上野 敦 刈部 功 浅田 晃一 村上 哲也 中井 一弘
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.58(1988-CG-034), pp.29-36, 1988-08-25

ワークステーションやパーソナルコンピュータの普及にともない、その機能も半導体の充実と共に高度化し、いろいろな面で立体視技法の潜在的ニーズも顕在化しつつある。我々は、テレビの信号にジェンロックして動くパーソナルコンピュータを開発し、実用化してきたが、ビデオカメラ,VTR等いわゆるビデオ機器が、学校、職場、家庭に普及して来たことから、これらの機器をシステム化することにより新しく生まれ、寄与できる技術は多いと思われる。ここでは、我々が開発し実用化したこれらの技術の要点を紹介する。内容としては、パーソナルコンピュータと各種映像機器を組み合わせた電子立体映像システム、また、そこに使われる立体グラフィックスのソフトウェア技法、2眼式の立体表示方法等である。
著者
祖父江 孝男 須江 ひろ子 村上 泰治
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.77-91, 1957-12-30 (Released:2008-02-26)

(1) Ejiko is a child's cradle used among the folk-societies in the northeastern part of Japan. The most common type is made of straw (coiling) as shown in Fig. 1-3, in which a child squats, wrapped by futon (quilt) and tied by a rope. During a day, while the whole family is out for work, the child is left completely alone in the house, crying and screaming, but without any bodily movement; hence it is often the case that flies collect on the child's face, or a cat squats on it, etc. It is therefore obvious that this child-rearing pattern may give the child a great amount of frustration and his personality formation is considerably influenced by it. (Although WHITING concludes that the "independence training" is most severe among the Ainu(7), this Japanese pattern may exceed in this aspect.)
著者
村上 彩佳
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.63-77, 2018 (Released:2019-05-11)
参考文献数
30

ジェンダー平等推進政策上で用いられる男女平等理念が社会に普及する過程で、市民によって独自の解釈が加えられる例はしばしばある。例えば、男女平等理念が男女の友好的関係や異性愛主義の理念として解釈される。こうした解釈がもたらす危険性に警戒を促す研究が蓄積されてきた一方で、実際に市民の男女平等理念の認識・解釈を検討した研究は少ない。本稿はフランスの男女平等理念であり50%クオータ制の名称でもある「パリテ」を事例に、①パリテを推進する女性団体Elles aussiと、②同性婚反対運動を行う市民団体Manif pour tousに着目し、市民がパリテの理念をどのように認識・解釈しているのかを検討する。①の女性たちはパリテを男女の友好的協働関係として解釈した。こうした「穏健な」解釈は、保守派を含めた幅広い女性からのパリテ支持を生んだ。一方②のデモでは、異性婚の正統性を主張するために、パリテが「結婚のパリテ」といった形で用いられた。既にクオータ制として法制化されていたパリテは、十分な社会的コンセンサスを得ていたため、②のデモがパリテの理念を損ないはしなかった。しかし男女平等理念が異性愛主義と結びつき、ジェンダー平等推進にとって反動的に利用される危険性が示唆された。日本の「男女共同参画」もこうした危険性と無縁ではなく、クオータ制の導入と男女共同参画の理念に対する社会的コンセンサスの形成が急務である。
著者
村上 斉
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.502-523, 2010 (Released:2013-09-01)
参考文献数
58
著者
村上 聖一 山田 潔
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.2-17, 2019 (Released:2019-03-20)

シリーズ「証言を基に読みとく放送制度」では、これまで十分に明らかになっていない放送制度の形成過程や制度と経営との関係について、証言を基に探究を進める。1回目は、行政法研究者として長年にわたり放送法制の体系的な研究にあたった塩野宏・東京大学名誉教授の証言である。 戦後、民放の発達とともに放送制度が抱える問題点が認識されるようになる中、塩野氏はNHKの放送法制研究会(1963年~)に加わったことで本格的に放送法の研究を始めた。証言からは、当時、民放が放送制度の見直しを強く求め、事業免許導入や受信料の使途の見直しが焦点になっていたことがわかる。特に受信料制度の行方についてはNHKが危機感を持ち、制度について理論的な検討を行う必要に迫られていた。こうした中で、NHKの考え方をまとめていく上で重要な機能を果たしたのが放送法制研究会であり、その中では法律の専門家、とりわけ行政法研究者が主導的な役割を果たしていたことが証言から明らかになった。そして、NHK・民放の二元体制を明確にすることや、受信料の使途をNHKの業務に限ることなど、研究会の提言の多くはその後の郵政省による制度の見直しの検討にも反映された。今回の証言は、塩野氏にとって鮮明な印象を与えた1960年代の議論が中心だが、それはこの時期にきわめて重要な検討がなされたことを意味している。この時期の議論がその後の日本の放送制度の枠組みに大きな影響を与えたことが証言からは浮かび上がる。
著者
折笠 成宏 村上 正隆 斎藤 篤思
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.24-31, 2015-03-20 (Released:2015-04-16)
参考文献数
9
被引用文献数
1

As one of the physical evaluation techniques of seeding effects, cloud seeding experiments were conducted utilizing an instrumented aircraft, with the use of dry-ice pellets in cold clouds and hygroscopic flares and salt micro-powders in warm clouds as a seeding agent. We demonstrated from the in-situ measurements that dry-ice pellet seeding of mixed-phase orographic clouds were effective, based on the comparison of estimated radar reflectivity factor, ice water content, or precipitation intensity from the 2D images of ice particles between seeded portions and their surroundings. The observational results we obtained so far showed that hygroscopic seeding of warm clouds might be effective under limited conditions.
著者
村上 幸史 荒川 歩
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.233-248, 2009

Arakawa & Murakami (2006) reported that some people keep "lucky charms" not because they have faith in them, but because the lucky charms were gifts from people close to them. This indicates that lucky charms are used as a communication tool, through gift-giving, rather than as goods. To examine why lucky charms are given between parents and children, 89 pairs (students and their parents, the relatives who most commonly give lucky charms) completed questionnaires. The results showed that parents gave children lucky charms more often than vice versa. The lucky charms were given by parents to their children as a token to ward off danger or for luck in an exam. The parents thereby sought to reduce their own anxiety, as well as that of the children, and to relay the message that they were supportive as the child grew up. In addition, the children sometimes looked at the lucky charm and were reminded of their parents. It is clear from these results that, despite there being a difference of understanding in the purpose of the gift between the giver and the receiver, gift giving results in the mutual extraction of meaning from the act. The result is discussed in terms of "goods-mediated communication" through gift-giving, focusing on this ambiguity.
著者
林 誠二 村上 正吾 徐 開欽 渡辺 正孝
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地球環境シンポジウム講演論文集 (ISSN:18848419)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.79-86, 2004-08-02 (Released:2011-06-27)
参考文献数
9

To evaluate the protection effect of the Three Gorges Dam Project (TGP) on the flood in the middle region of the Changjiang River basin, we applied the integrated watershed hydrological model using gauged daily precipitation data of 1998 when the second largest flood occurred in the basin in the last century. From the results simulated by applying the discharge volume controlled by each upper limitation value from 40, 000 m3/s to 60, 000 m3/s, we could not find the clear effect on the reduction of the water level during flood period not only in the Dongting Lake but also in the Changjiang mainstream in the cases that the upper limitation discharge value were over 50, 000 m3/s. In the case that the upper limitation value was 40, 000m3/s, although the flood protection effect was clearly exerted in both the mainstream and the lake, the simulated storage volume of TGP remarkably exceeded the total flood control volume (221.5×108 m3) at the peak of inflow to TGP. These results suggested that TGP flood control ability does not efficiently work for the decrease of flood damage in the middle region of the Changjiang basin in case of the occurrence of 1998 type flood phenomena.
著者
村上 幸士 桜庭 景植
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.477-484, 2010-12-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
18
被引用文献数
4

【目的】獲得に時間を要し,指導も困難なことが多い腹横筋の効果的なトレーニング方法の立案を本研究の目的とした。【方法】健常男性を対象とし,坐位にて超音波診断装置を用いて腹横筋,内腹斜筋,外腹斜筋の筋厚をイメージング(画像化)した。測定は,腰椎の生理的前弯を一定に保持した坐位にて,両足底接地(安定・不安定),対側膝関節伸展(安定・不安定),重錘負荷(2kg)有りでの対側膝関節伸展および背臥位の6条件で行い,それぞれの条件での腹横筋,内腹斜筋,外腹斜筋の筋厚を超音波診断装置にて測定し,この変化の相違を比較した。【結果】腹横筋の筋厚は,背臥位,両足底接地坐位と比較して,その他の4条件で有意に厚かった(p < 0.05)。一方,内腹斜筋の筋厚は,対側膝関節伸展(不安定),重錘負荷有りでの対側膝関節伸展の2条件のみ有意に厚かった(p < 0.05)。【結論】本研究では,腰椎の生理的前弯を一定に保持した坐位での対側膝関節伸展および坐面,足底面が不安定な両足底接地坐位の2条件が,腹横筋を選択的に収縮させるための効果的なトレーニング方法として示唆された。
著者
村上 雅彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.136-141, 2017-03-20 (Released:2017-09-01)
参考文献数
5

高校化学でも学習する炎色反応は,現在の重要な微量元素分析法である原子分光分析法の始まりといえる。本講座では,原子と光の相互作用(発光・吸光・蛍光)を利用した各種原子分光分析法の原理とその発展の過程について,励起源(物質を原子化し励起するためのエネルギー源)や光源などの技術の進歩を通して概説する。