著者
村上 正二
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.305-339, 1961-12

The Mongol term soyurqal, which meant a kind of fiefdom in Činggis Qan's Empire of the early thirteenth century, was obviously derived from the verb soyurqa-qu, 'to grant a favor'. This verb, along with its passive form soyurqaγ-da-qu, frequently occurs in the Mongolian text of the Secret History of Mongols where it is voiced reciprocally between the knight and the lord in the oath of allegiance, in a set pattern of expression. The noun soyurqal seems to have originally meant any kind of gracious deed or thing bestowed by the lord upon the knight in reward for the latter's lasting service or distinguished merits. Later it came to denote a wide range of inherited privileges conferred upon grand knights and princes, concerning their emčü irgen (subject-peoples), sometimes accompanied by the so-called darqan right, i. e. special right of tax exemption or impunity. In the early stage of the Mongol Empire, those subject-peoples, who were granted to knights or princes, mostly consisted of non-Mongolians, qari-yin irgen, or, to be more exact, natives of non-steppe areas who had been captured on the battle-field. As soyurqal was a special favor of the Qan, the recipient was excused from the duties such as taxes and corvées otherwise to be assessed upon it by the State. On the other hand, the majority of the people of the Mongol States and Empire, generally called ulus irgen or qanliγ irgen, were mainly peoples of steppe origin, who were .placed under a direct control of the central government and were imposed upon with all sorts of nomadic taxes and corvées. In contrast to the emčü irgen, the ulus irgen were portions of heritage, qubi kešig, of the common property, i. e. the Empire's peoples, divided among Činggis Qan's family members in accordance with the traditional law of succession of Mongols. In Mongolia of this stage, a Qaγan or a king of a State had a double personality, public and private; as a private person, even he could possess his own private domain in the form of an ordo with all its paraphernalia, while a prince or a knight had soyurqal instead. This was why the ulus irgen of the Empire or the States were registered in census books under an entirely different category from that of the emčü irgen of the kings or knights.

5 0 0 0 創刊の辞

著者
村上 忠重
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.9-10, 1966-04-25

学会の機関誌を除くと,我が国では,消化器病学の専門誌が一向に育たないというジンクスがある.消化器病がとくに多いという我が国にあっては,不思議な現象のように感じられる.しかしそれにはそれ相当の理由があるであろう.たとえば消化器病の患者が余りにも多すぎ,余りにも一般的に過ぎるために,却って専門化しにくいとも考えられる.あるいはまた,消化器病には内科も放射線科も外科も病理も関与していて,その論文はそれぞれの分野の専門誌によって,すでに十分に消化されているのかも知れない.これらの現象はまた消化器病の専門家が現在十分に独立していないということにも通じよう. しかし最近は医学全体の専門化の傾向に推進されて,消化器病の専門化も静かにではあるが次第に進められつつあるように思われる.そしてそれには早期胃癌の診断学の発達が大きな拍車の一つになった.これまである程度片手間にでもできないことのない消化器病ではあったが,こと早期胃癌の診断に関する限り,X線の精密検査といい,胃カメラといい,ファイバースコープといい,さらには,生検,細胞診といい,何れも,もはや片手間にはできない知識と技術を必要とするようになった.そしてこの専門知識が現在の目本全国をあげての癌恐怖症に対する,唯一の現実的な解答だとすると,やはりこの道への専門化はさらに促進されなければならない事業である.この意味だけでも消化器病の専門誌が誕生すべき機運にあるといえるはずである.
著者
村上 忠重
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.9, 1977-01-25

11年前創刊の辞に,表題を取りあえず「胃と腸」とするが,いずれ「胃と腸」にする日が来るであろうし,またなるべく早くそうありたいという夢を記した. 10巻1号には創刊以来足かけ10年の経緯を振り返り,そろそろ「胃と腸」にしたいがもう暫く時期を待ちたいと述べた.それは編集委員の中に異論があって,「胃と腸」としたい気持は分るが,現実には内容がそこまで行っていないのではないかという自己批判があったからである.
著者
村上 正志
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.115-124, 2001-08-31 (Released:2007-09-28)
参考文献数
49
被引用文献数
3 3

河畔林(riparian forest)は野生生物の生育•生息環境として非常に重要である.鳥類についても数多くの研究が河畔林における高い生息密度や種多様度を示しているが,その高い多様性を説明する要因としては,(1) 河畔林の複雑な植生構造,(2)河川-河畔林-後背林という景観の多様性,(3)コリドーとしての機能(4) 境界における生物間相互作用の複雑さ,(5) 後背林からの栄養塩の供給による河畔林における生産性の高さ,(6)河川からのエネルギーの移流があげられる.とくに近年は,水域と陸域の境界面としての河畔林の機能が注目されている.しかし,わが国においては鳥類の群集研究,とくに景観生態学的な視点を組み入れた研究は極あて少ない.鳥類の多様性保全における河畔林さらには景観の多様性の機能解明に向け,今後このような研究が必要とされるであろう.
著者
古田 睦広 尾崎 元昭 原田 禹雄 高橋 俊一郎 村上 元正 松本 繁雄
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.139-144, 1972 (Released:2011-10-19)
参考文献数
14

Histopathological examination of tuberculosis was done on 107 autopsy cases in Komyoen Leprosarium from 1962 to 1970. Seventeen cases showed pulmonary tuberculosis, including healed and calcified lesions. The average age of these cases was 66.6. Active pulmonary tuberculosis was found in 10 cases; half of them formed tuberculous cavity. Only 2 cases showed remarkable extension of the disease to the other organs. This was quite different from the formm of tuberculosis before 1900 which was predominantly accompanied with direct or miliary type extension. Gaseous pneumonia of 4 cases between 1967 and 1666 suggested possibility of reinfection on the aged. Active tuberculosis on the aged seemed to have a tendency to become caseous pneumonia. There was no correlation between the types of leprosy and tuberculosis. We deny any specific relation of tuberculosis to leprosy patients.
著者
脇阪 昇榮 中谷 多哉子 村上 祐子 辰己 丈夫
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-131, no.7, pp.1-8, 2015-10-03

中高生に情報に関する授業を行う目的として,論理的思考力を習得させることは極めて重要である.論理的思考を鍛える一つの題材として,総てのコンピュータの元となった万能チューリング機械をとりあげてみた.万能チューリング機械の振る舞いは難解であるが,筆者オリジナルの表記法にもとづき,できるだけわかりやすい形で示した.
著者
村上 正祥
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.592-597, 2004 (Released:2013-02-19)
参考文献数
8
著者
村上 博幸 箕輪 雄資 新野 二男 松井 智明 大畑 勉
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.255-258, 1981 (Released:2010-02-25)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1
著者
村本 勇貴 岩本 航 我妻 浩二 田中 直樹 榊原 加奈 村上 純一 石渕 重充 松橋 朝也 笠間 あゆみ 岡田 尚之
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1286, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】青少年期のスポーツ選手において,腰痛はスポーツ活動の障害因子となっている。本研究の目的は,当院で行った中学生サッカー選手に対するメディカルチェックから,腰痛のある選手の身体特性を調査することである。【方法】男子中学生サッカー選手21名(平均年齢13.0±0.5歳)を対象とした。事前に身体状態に関するアンケート調査を行い,群分け(腰痛群・非腰痛群)を行った。メディカルチェック項目は,下肢伸展拳上(以下,SLR)・殿踵距離(以下,HBD)・ディープスクワット(以下,DS)・ホップテスト(以下,Hop)とした。疼痛のためメディカルチェックを遂行できない者は除外した。統計処理は群間比較にはSLR,HBD,Hopについては対応の無いt検定を用い,DSについてはマンホイットニーU検定を用いた。有意水準は5%とした。【結果】腰痛を有する選手は21名中5名(23.8%)であった。腰痛群は(身長:159.9±0.7cm,体重:45.8±5.4kg,BMI:17.9±1.3,SLR(右:60.0±7.1°,左:57.5±5.0°),HBD(右:10.5±3.9cm,左:10.3±3.8cm),Hop(右:7.7±1.8秒,左:7.7±0.5秒),DS:2.2±0.5点)という結果であった。非腰痛群は(身長:157.2±0.7,体重:44.1±7.3kg,BMI:17.7±2.0,SLR(右:62.9±9.0°,左:62.4±7.7°),HBD(右:4.9±4.2cm,左:4.0±3.1cm),Hop(右:7.3±0.5秒,左:7.4±0.7秒),DS:2.4±0.7点)という結果であった。HBDは腰痛群で有意に大きかった(右:p=0.05,左:p=0.03)。その他の項目では腰痛群と非腰痛群で有意差は認められなかった。【結論】我々のメディカルチェックの結果では,腰痛群のHBDが有意に大きかった。HBDは股関節伸展位で行う膝屈曲テストであるため,今回の結果は大腿四頭筋の中でも2関節筋である大腿直筋の柔軟性低下による影響が考えられる。先行研究では腰痛を有する青年期のスポーツ選手は股関節屈曲筋の柔軟性が低下すると報告されている。またサッカー競技では,股関節伸展を腰椎の伸展で代償する選手で腰椎に加わるストレスが増加すると報告されている。以上のことから,サッカー選手における股関節屈曲筋群の柔軟性低下と腰痛とは関連があるものと考えられ,本研究での腰痛群でHBDが有意に増加したものと推測された。本研究の結果,HBDが大きいサッカー選手は腰痛が生じやすいことが示唆された。今後は,腰痛を有するサッカー選手に対してHBD改善の介入が有効であるか検証する必要があると考えられる。
著者
小野 高裕 堀 一浩 藤原 茂弘 皆木 祥伴 村上 和裕
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.666-671, 2017-09-15 (Released:2017-11-01)
参考文献数
17

極薄型の舌圧センサシートを口腔内に貼付することにより,自然な嚥下時の舌圧を多点で測定することができる.舌圧の持続時間,最大値,順序性,左右バランスなどのパラメータの変化は,脳卒中,神経筋疾患,口腔中咽頭がんなど各疾患特有の舌のmotor controlの異常と関連しており,不顕性の嚥下機能低下を捉えるうえで有用である.また,嚥下時舌圧データは,嚥下手技の舌に対する効果検証や,患者個々の舌機能に応じた食品性状の設定に応用することによって,摂食嚥下リハビリテーションにおけるさまざまなアプローチの合理化や効率化に貢献する可能性をもつと考えられる.
著者
村上紀夫著
出版者
創元社
巻号頁・発行日
2019
著者
村上 謙
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-14, 2009-01

現在西日本各地で尊敬語化形式として用いられる「テ+指定辞」は成立当初(18世紀初頭)、継続性表示機能と現在時表示機能を有していた。そうしたテンス・アスペクト機能はその後失われることになるが、本稿では絵入狂言本や浄瑠璃、洒落本、噺本を用いて近世前期から幕末までの用例を収集し、詳細に分析した上で、1780年代頃にはテンス・アスペクト機能が弱化していたことを明らかにする。さらにこうした変化に拍車をかけたのが、「テ+指定辞」と同様の表現性を持つテイナサルの出現であったことを述べる。また明治以降の「テ+指定辞」の動向についても、尊敬語化形式ハルとの関係などを踏まえつつ論じる。
著者
川村 隆浩 江上 周作 田村 光太郎 外園 康智 鵜飼 孝典 小柳 佑介 西野 文人 岡嶋 成司 村上 勝彦 高松 邦彦 杉浦 あおい 白松 俊 張 翔宇 古崎 晃司
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

本発表では,2018年よりスタートしたナレッジグラフ推論チャレンジについて報告する.近年,機械学習技術の進展によりさまざまな社会システムにAI技術が組み込まれつつある.今後,そうしたシステムを安心・安全に使っていくためにはAIによる判断・動作を適切に説明する技術が重要になってくるだろう.そこで,本会セマンティックWebとオントロジー研究会では,データセットとしてシャーロック・ホームズの小説を題材としたナレッジグラフを構築,公開し,説明付きで犯人を当てる(推論または推定する)技術を募集するチャレンジを企画・開催した.発表では,第1回となった2018年のチャレンジの概要と共に,ナレッジグラフの構築手法,SATや推論,文書ベクトルなどを用いた4つのアプローチ,およびそれらの評価方法・結果等について述べる.また最後に,2019年に予定している次回チャレンジの計画について紹介してまとめとする.