著者
光本 いづみ 松下 年子 大浦 ゆう子
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.185-196, 2008-06-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
7 5

訪問看護師の仕事負担感や就業継続意思と訪問看護の業務特性を明らかにした. 対象は福岡県内の訪問看護ステーションに勤務する看護師で, 自記式質問紙調査を実施した. その結果, 下記の事柄が明らかになった. 「就職前に考えていた仕事内容と実際との相違」「訪問以外の仕事の多さ」「判断を必要とする場面の多さ」「複雑な看護技術の多さ」を感じている人ほど仕事の負担感を大きいと考え, 「ステーションの将来性」「看護師の人数」「賃金」について肯定感を持つ人ほど仕事の継続意思を持っていること. また, 訪問看護師の就業意欲向上のために, 管理者が労務管理の意識を高めることやリアリティショックへの対策として体系的・系統的継続教育の実現を図る環境を整えることも継続意思を持つことの一助となることが示唆された.
著者
松下 俊介 出原 立子 土田 義郎 川﨑 寧史
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

金沢は観光資源の開発として、夜間景観を生かした観光コンテンツづくりを施策の一つとして掲げている。現在、ライトアップやナイトミュージアムなどがあるものの、街中に点在していることから、本研究ではそれらを巡り歩くきっかけづくりとして、金沢の夜の町巡りを促すラリーシステムの提案を目指した。本ラリーシステムは、NFCタグ付きの光アイテムを持って、街中に設置されているチェックポイントを巡り歩き、最終地点へと誘って行く。チェックポイントは透明板の重層構造ディスプレイで作られており、NFCタグを近づけると重層構造ディスプレイに映像が投影されるしくみとなっている。本ディスプレイはデジタルイメージが立体的な表現に見え、夜のシーンに映える演出が特徴であり、さらに参加者らの行動の記録がNFCタグに記録されることで、参加者ごとに異なる映像が作られる。本研究では、システムの設計・開発を行い、検証として金沢中心街において夜の灯巡りを誘う実験を行った。
著者
松下 直弘
出版者
拓殖大学言語文化研究所
雑誌
拓殖大学語学研究 = Takushoku language studies (ISSN:13488384)
巻号頁・発行日
vol.140, pp.219-235, 2019-03-29

日本語の「着物」は,スペイン語でkimono あるいはquimono と表記される。さまざまな文献からそれぞれの頻度数を比べてみると,どちらかに極端に偏ることなく,両者とも使われていることがわかる。スペイン王立アカデミーは長年quimono の方が好ましいとしてきたが,21 世紀に入ると,kimono の方が望ましいとし,quimono という表記も可とする方針を打ち出した。これ以降,スペイン王立アカデミー監修のスペイン語辞書をはじめ,いくつもの辞書がkimono の項で語義を載せるようになった。だが,相変わらずquimonoという表記はよく用いられている。外来語として意識されるkimono に対し,すっかりスペイン語の一部となったquimono が用いられるのは好ましい現象ではないだろうか。
著者
松下 圭一
出版者
中央公論新社
雑誌
中央公論 (ISSN:05296838)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.30-47, 1959-04
著者
井村 文音 松下 姫歌
出版者
広島大学大学院教育学研究科附属心理臨床教育研究センター
雑誌
広島大学大学院心理臨床教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
no.10, pp.21-34, 2011

This research aims at empirically examining the linkage between the acknowledgement of a family subsystems' functional status and tendencies in adult university student children. It focuses on the status of family functions, particularly those of family subsystems. In doing so, the study also identifies similarities in the recognition of family functions and the functional status of family subsystems. The result shows that the functions acknowledged within the family as a whole and in the family subsystem are different. In other words, while the recognition of family functions and status were common among parents, these aspects were not recognized in adult children. In addition, the study elucidates the relationship between the recognition of rules and lack of self-control in parent-child relationships. Moreover, it suggests a connection between a sense of self-condemnation and father-child relationships. Thus, the characteristics of relationships observed in family functions and the tendencies of adult children differ depending on the level of recognition within a family system or subsystem.
著者
市村 哲 井上 亮文 宇田 隆哉 伊藤 雅仁 田胡 和哉 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.924-931, 2006-03-15
参考文献数
12
被引用文献数
7

電子プレゼンテーションが普及した現在でも,大学などの教育機関において黒板を用いた講義は根強い支持を得ている.著者らは,講師が講義前にビデオカメラを1 台設置しておくだけで,その収録映像から自動的に講師の動画映像と板書の静止画とを作成し,即座にインターネット配信可能とする講義自動収録システムChalkTalk を構築した.板書静止画については,画像処理を施して講師の姿を消去する工夫を施している.1 台の固定ビデオカメラのみで黒板全体を明瞭に記録するために解像度の高い民生用ハイビジョンカメラ(HDV カメラ)を用いて実装した.本論文では,システムデザイン,実装,および,評価について述べる.Although lectures and seminars using presentation software became popular, a chalk talk is still commonly used among education institutions such as schools and universities. We developed ChalkTalk that automatically produces E-learning materials from videotaped chalk talks. The system separately extracts a lecturer's image and writing on blackboard from video images recorded with a single high-definition digital camcorder, and stores the former as a streaming video and the latter as a series of snapshot images.
著者
井上 智雄 岡田 謙一 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.2095-2104, 1996-11-15
参考文献数
23
被引用文献数
28

本論文ではTV会議システムの映像を演出することを提案する. TV会議システムの使用で報告されている様々な問題を解決するためには システムの主たる要素である映像情報の用い方が問題であり 特にこれまでにあまり研究されていない 参加者の映像の表示方法が重要であると考えた. 映像の理論によれば 映像の適当な切り替えが必要であるため TV会議システムに適した映像表現方法を得るために テレビ討論番組の映像手法を分析した. そして そこから得た知識を利用した 多人数遠隔TV会議システムを作成した. さらに このシステムと従来の固定カメラの会議システムとの比較実験を行い 良好な結果を得た.Designing the video of a videoconferencing system is presented. The authors put an importance on the utilization of video, which is one of the essentials of a videoconferencing system, and assumed that how to present the pictures of participants was the key to solve the problems which have been reported and improve videoconferencing. The video technique on TV debate programs was studied to obtain an appropriate way of presenting video. Then the videoconferencing system that uses the video technique was developed. The system was evaluated highly in a comparative experiment with a conventional fixed video camera system.
著者
後藤 健治 程内 ゆかり 松下 恵巳 田中 佑樹 西村 佳子 石井 修平 陳 蘭荘
出版者
南九州大学
雑誌
南九州大学研究報告. 自然科学編 (ISSN:1348639X)
巻号頁・発行日
no.43, pp.61-65, 2013-04

宮崎県在来野菜の日向カボチャはニホンカボチャCucurbita moschataの黒皮品種群に属している。しかし,昭和40年以降はセイヨウカボチャC. maximaが粉質の肉質と良好な食味で普及し,日向カボチャの栽培面積は減少し,現在は高級和食料理亭用として宮崎市と都城市の一部で施設栽培が行われているにすぎない。本研究では,日向カボチャの品種改良のための基礎的研究として他の種との種間交雑を行った。日向カボチャの'宮崎早生1号'を中心に正逆交雑実験を行ったとき,'クロダネカボチャ'との間に交雑親和性がなく,セイヨウカボチャあるいはその両種の雑種との間では,'宮崎早生1号'を花粉親にしたとき,4つの品種との間に不完全であるが,交雑親和性があり,種子親にしたとき,'久台33号'以外では単為結果しか見られなかった。正逆交配で得られた'宮崎早生1号'×'久台33号'間の雑種の果実の形質は両親の中間で,ブルームも若干あった。予備実験的に行ったRAPD-PCR解析法による雑種検定でも種間雑種であることが示唆された。さらに雑種株を用いて自殖を行ったとき,正常な着果が見られた。
著者
井上文雄 宇野篤也 塚本俊之 松下聡 末安史親 池田直樹 肥田元 庄司文由
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2014-HPC-146, no.4, pp.1-5, 2014-09-25

「京」 では現在,通常は小中規模のジョブ (36,864 ノード以下) を実行し,大規模ジョブ (36,865~82,944 ノード) は特定の期間 (以下,大規模ジョブ実行期間) に実行するという運用を行っている.通常の運用では 「京」 の消費電力は契約電力内に収まっているが,大規模ジョブ実行期間において契約電力を超過する事例が発生した.頻繁な契約電力の超過は電力契約の見直し等につながり,運用に及ぼす影響は無視できないものである.そこで,これを回避するために,投入予定の大規模ジョブを消費電力の観点で事前に審査することにした.すなわち,過去の動作実績等から推測した大規模ジョブ実行時の消費電力が運用上の上限を超えないことが確認されたジョブのみ投入を許可することにした.加えて,消費電力を 24 時間監視できる体制の構築,及び最大電力量を超過した際のジョブ停止プロセスの整備など運用方法の変更を実施した.本稿では,これらの対策と今後の取り組みについて報告する.
著者
松下 寛治 佐藤 周也 大前 学
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.763-769, 2017 (Released:2018-05-15)
参考文献数
12

本研究では,制御判断の分かりやすい伝達やドライバの危険感覚に適合した自動運転を目的とし,90年代に提案された前方視野の危険感に基づくドライバモデルの自動運転制御への適用を試みた.従来のモデルに走行パス,曲率の危険感,速度による許容リスクの変動を加えることで,複雑な形状の構内走路の走行を可能とした.
著者
加藤恒昭 松下 光範 平尾 努
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.108, pp.89-94, 2004-11-05
被引用文献数
13

動向情報は,製品価格や内閣支持率の変化など,時系列情報に基づき,それを総合的にまとめ上げることで得られるものである.このような動向情報の効率的な提供には,文章だけでなくグラフなどの視覚的手段を利用し,それらを協調させることが必要となる.本稿では,複数文書に分散した様々な動向情報を文章や図表で要約・可視化するという研究課題を提案し,その処理の枠組みを示す.加えて,この課題の研究に有益であろうコーパスについて説明し,これを共通の研究素材とし,動向情報の要約と可視化への関心を共有する研究者によるワークショップを提案する.Trend information is obtained by synthesis and organization of series of temporal information such as transitions of a product price and a degree of public support for a cabinet. Effective communication of trend information should employ as its media not only text but also visual ones such as charts, and use those in a cooperative manner. In this paper, a research theme is proposed, that allows trend information scattered in multiple articles to be gathered, summarized, and provided in linguistically and/or visually. We show a framework to accomplish this research and explain a corpus useful for that purpose. We also propose a workshop on this research on summarization and visualization of trend information in which the researchers share this corpus as a common material.
著者
松下大三郎 著
出版者
紀元社
巻号頁・発行日
1928
著者
松下 光範 今岡 夏海
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

近年、ディジタル端末の発展・普及により電子化されたコミックを読む人が増加している。従来の紙媒体のコミックと異なり、ディジタル媒体では動的な表現が可能である。しかし電子書籍のこのような特徴を生かした表現方法や生成方法については十分な検討が進んでいない。そこで本研究では、ディジタルコミックのための新たな表現方法の確立を目指し、コミックのオノマトペにユーザが動きを付与できるツールを提案する。
著者
松下 佳代
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.150-163, 2014 (Released:2015-06-18)
参考文献数
51
被引用文献数
4

本稿の目的は、OECD-PISAのリテラシー概念がどのような性格をもち、参加国の教育政策にどのような影響を与えているのかを検討することを通じて、PISAリテラシーを「飼いならす」(Hacking, 1990)こと、すなわち、その影響をコントロール可能なものにすることにある。本稿ではまず、PISAが、マグネット経済や機械との競争というロジックに支えられながら、教育指標としての規範性を強め、国家間の比較と政策借用を通じて教育改革を促す道具になっていることを明らかにした。さらに、1950年代以降のリテラシーの概念史の中に位置づけることによって、PISAリテラシーが〈内容的知識やポリティクスの視点を捨象し、グローバルに共通すると仮想された機能的リテラシー〉という性格をもつことを浮きぼりにした。ナショナルなレベルでの教育内容の編成にあたっては、捨象されたこれらの部分を取り戻し、能力と知識の関係を再構成する必要がある。
著者
松下 恭之 佐々木 健一 郡 英寛 江崎 大輔 春田 明日香 古谷野 潔
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-9, 2008-01-10
参考文献数
41
被引用文献数
7 1

オッセオインテグレーションインプラントは, 表面性状の改善や埋入システムの確立により, 5年程度の中期経過では100%に近い生存率も報告されている. しかし一方で長期の使用に伴い, 破折などの機械的偶発症と支持骨の吸収などの生物学的偶発症が増加することが報告されている. この原因は多様だが, インプラントに付与した咬合から生じたオーバーロードが偶発症の主な因子のひとつとして上げられている。<br>インプラントの咬合において, オーバーロードを引き起こすと考えられるリスクファクターについて疫学研究と基礎的研究のレビューを通して, 現状を整理した.<br>天然歯とインプラントが混在する場合の咬合については, 当初被圧変位量の差を考慮すべきとされたが, 現在これを積極的に肯定する研究は少なく, むしろ被圧変位量の分だけ低くした咬合を付与した場合に, 顎関節や隣在歯などへの影響を危惧する報告も散見される. 現状では, 天然歯と同様の接触を与えても臨床的な問題は少ないと考えられる.<br>側方ガイドや咬合力の側方成分, カンチレバー, 広すぎる咬合面幅によるオフセットローディングなどの非軸方向荷重については, 曲げモーメントとして作用するため, 軸方向荷重よりもその影響は強いと思われる. しかしながら生物学的に影響ありとした疫学データは見られない.<br>天然歯とインプラントの連結については, メタ解析の結果により骨吸収へのリスクが示唆されている.