著者
松田 岳士 松下 佳代
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.521-528, 2014

本論は,活動理論が高等教育における教育実践にどのような示唆を与えることができるかを探ることを目的とする.そのために,活動理論の中でもユーリア・エンゲストローム(ENGESTROM, Y.)の探究的学習理論に着目し,それに基づいた授業デザインおよび実践を行う.実践を担当した教員は,これまで最終的な行動目標から遡って教授内容を設計するインストラクショナルデザイン(ID)モデルに基づいて授業を開発してきたが,本研究では探究的学習理論に立脚したIDによって授業を設計・実践した.その結果,ゴールから遡る方法が,基本的な教授要素を認知的目標と対応させながら成長させていく授業設計方法に変化し,探究的学習理論の6段階のステップが教授方法の選択に影響を与えていることが確認できた.
著者
松下 尚之 磯貝 雅裕 近藤 圭一郎 福永 剛隆 北村 信夫
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.2506-2508, 1998
被引用文献数
1

小腸大量切除施行後の縫合不全の為,長期間経口摂取ができない甲状腺全摘後の症例に対し,経直腸的に坐薬として甲状腺ホルモン剤(チラージンS,甲状腺末)の投与を行った.当初,内服と同じ量のチラージンSを粉末にし坐薬の形で使用したが,血中のf-T4, f-T3濃度は上昇しなかった.そこで甲状腺末200mgから300mgを坐薬とし使用したところ,血中f-T4, f-T3濃度は上昇してきた.坐薬挿入前後に急な血中濃度の変化は無かった.本症例では,術前T4(チラージンS<sup>®</sup>)として150μgを使用しeu-thyroidを保っていたが,今回経直腸的には甲状腺末が200~300mg必要であった.この量は,チラージンS 150μgの2~3倍に相当する.経直腸的に比較的大量の甲状腺ホルモン剤が必要であったのは薬剤の吸収がただ単に悪いというだけではなく,時折,便秘と下痢を繰り返す状況にあったこともその吸収において影響したものと思われる.
著者
松下 慶太
出版者
実践女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

調査結果から勉強カフェにおける社会人たちの学習を支援しているものは、学習者を中心としたつながりが大きく機能していることが示された。また、そのつながりは毎日顔を合わせて学習を推進していくような「強い紐帯」というよりも緩やかな「弱い紐帯」であると言える。また、こうしたネットワークの構築には勉強カフェのスタッフが大きな役割を占めていることが示された。
著者
陳 焔 白水 菜々重 松下 光範
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

本研究の目的はコミックの文化的価値を他国の人々により深く理解してもらうための言語障壁の低減である。コミック中のオノマトペは読者に臨場感を伝える重要な役割を果たしているが、翻訳版では訳されない場合が多い。本稿では、中国人を対象に日本のオノマトペがどう理解されているかについて調査した。オノマトペの理解がコミックをより楽しむ上で重要であるものの、単に訳すことは必ずしも最適解ではない事が確認された。
著者
小西 典子 甲斐 明美 松下 秀 野口 やよい 高橋 由美 関口 恭子 新井 輝義 諸角 聖 小久保 彌太郎
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.9-14, 2001-03-31 (Released:2010-07-12)
参考文献数
15
被引用文献数
3 4

1998年8月から11月の間に有機.水耕栽培野菜の汚染実態調査を行った.卸売市場およびスーパーマーケットで買い上げた大根37件, 人参29件, キャベツ28件, ネギ28件, レタス32件, キュウリ29件, トマト40件, 玉ネギ28件, カイワレ大根32件, アルファルファ13件, およびサラダ菜, ホウレン草, モヤシ各1件の合計299件を対象とし, 生菌数, 大腸菌, 腸管出血性大腸菌O157およびサルモネラについて検査した.その結果, 生菌数は1g当たり10個以下から107個までと広範囲にわたっていた.特にアルファルプァとカイワレ大根の生菌数は全体に高かった.大腸菌はネギ1件より検出された.O157は検出されなかったが, サルモネラはアルファルファ1件より検出された.検出されたサルモネラはO13群血清型Cubanaであった.アルファルファ由来株と同時期に検出された同血清型ヒト保菌者由来株との関連性を薬剤感受性試験, プラスミドプロファイルおよびXbaI , SpeIで消化後のPFGEパターンの比較により検討した.その結果PFGEパターンが異なっていたことから, 両者の関連性は否定された.
著者
松下 幸子 吉川 誠次
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要. 第2部 (ISSN:05776856)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.218-166, 1976-12-20
被引用文献数
2
著者
堀野 敬 木村 正美 西村 卓祐 松下 弘雄 井上 光弘 鶴田 豊 川田 康誠 廣松 賢治
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.186-191, 2007-02-01
被引用文献数
4

症例は53歳の男性で,右季肋部痛を主訴に近医を受診した.血液検査で肝機能障害を認めたため精査加療目的で当科紹介となった.腹部CTおよびMRIで膵頭部に約3cmの腫瘤と腹腔動脈根部リンパ節の腫大を認めた.腫瘍マーカー(CEA, CA19-9)は陰性であったが,magnetic resonance cholangiopancreatographyで膵内の総胆管に狭窄を認め膵頭部癌が強く疑われたため幽門輪温存膵十二指腸切除術を施行した.経過は良好で術後第38日に退院となった.切除標本の病理組織学的検査所見では悪性所見はなく,好酸球性肉芽腫であったことから寄生虫症が疑われ,アニサキス特異的抗体を利用した血清免疫学的検査が陽性であったため膵アニサキス症が強く疑われた.消化管外アニサキス症はまれであり剖検例などで偶然発見される場合が多く,特に膵アニサキス症はほとんど報告されていない.自験例に若干の文献的考察を加え報告する.
著者
岡田 謙一 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.775-783, 1995-03-15
被引用文献数
48

本論文は、遠隔地の参加者が丸テーブルを囲んで一堂に介しているような臨場感を与える、多地点会議システム"MAJIC"のデザインとそのプロトタイプの実装について述べている。MAJICは、曲面状スクリーンに投影される複数の等身大画像との多視線一致、誰が誰を見ているかという視線認識、臨場感を出すための連続した背景、参加者の中央に配置された作業空間を実現しており、対面環境に非常に良く似た雰囲気を提供することができる。我々は、東京で開催された日経コラボレーションフェアにMAJICのプロトタイプを展示し、このフェアを訪れた一般の人々に3地点会議を実際に体験して頂いた。この論文では、その時の被験者の印象や指摘についてもまとめている。
著者
松井 隆尚 松下 洋一 菅本 和寛 宮窪 建児 藤本 英人 落合 克紀
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大學工學部紀要 (ISSN:05404924)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.23-26, 2005-08

Abstract ###From the quantitative analysis of steam-condensed solution which was obtained by the ###steam-dried treatment of Sugi wood at 90-120 ℃ (dry-bulb temperature) for 54-93 hours, the ###amounts of phenolics were found to be very small. The total extracts of organic solvent ###extractions (hexane and ethyl acetate) of steam-condensed solution were 0.16 w/v %. The ###adsorbate amount from steam-condensed solution using HP-20 adsorbent were the same as ###that of the solvent extract. The analysis of solvent extract and HP-20 adsorbate by capillary ###gas chromatography-mass spectrometer (GC-MS) revealed eight sesquiterpene compounds in ###the steam-condensed solution from Sugi wood.
著者
田口 標 松下 幸司 宇野 日出生
出版者
京都大学大学院農学研究科生物資源経済学専攻
雑誌
京都大学生物資源経済研究 (ISSN:13418947)
巻号頁・発行日
no.13, pp.124-112, 2007

大原は、今日、三千院、寂光院などで有名な京都の観光地の一つであるが、かつて京都の町中へ炭や柴、薪を売りに行っていた同地の女性たちの風俗が「大原女」として広く知られ、既に平安期頃より詩歌に詠まれてきたことからもわかるように、山で生産した燃料を京都へ供給してきた洛北の山村でもある。大原は、京都市内を流れる鴨川の支流高野川上流の東西に広がった盆地とその北方山間部の高原からなる。高野川沿いには、若狭街道、あるいは通称「鯖街道」と呼ばれる若狭から京都へ通じる古くからの街道が通っている。三年ほど前から、地元の有志によって立ち上げられた「大原古文書研究会」により、各町に残されている古文書の発掘、整理、解読が進められており、山村としての大原の近世以前の暮らしが徐々に明らかになりつつある。本稿は、そのような文書の中から、山林管理及び木柴に関する文書一二点を選び、翻刻を行ったものである。
著者
松下 憲一
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.205-232, 2010-09
著者
白水 菜々重 松下 光範
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.2276-2287, 2013-09-15

本研究の目的は,イベントにおいてTwitterやUSTREAMといった即時性の高いソーシャルメディアを利用することが,そのイベントのコミュニティの形成・維持にもたらす影響について明らかにすることである.近年,共通の関心や興味に基づいて人々が自発的に開催する勉強会やカンファレンスなどで,TwitterやUSTREAMといったリアルタイム性の高いWebサービスを利用してオンラインコミュニケーションを行うケースが増加している.本稿では,このようなイベント開催時にTwitterを介して行われる参加者同士のインタラクションの調査,ならびにそれを補完するアンケート調査を行い,このようなソーシャルメディアを利用したイベントを取り巻くコミュニティの特徴について分析を行った.その結果,(1)従来のオフラインだけのコミュニティには見られない立場を超えたインタラクションが観察され柔軟なコミュニティが形成されていること,(2)会場だけでなく遠隔地から上記のサービスを利用して参加するユーザの中にも情報伝播のhubになる人物が存在すること,(3)参加者の流動性がイベントの継続において重要であること,という知見が得られた.This paper investigates how web services for real-time communication influence formulation of a community. Since live streaming services with simple equipments become available, more and more events including conferences and workshops are broadcasting recently. Microblog services along with the live streaming also activate online communication among members of the event. We assume that such the web services play an important role to maintain sustainable growth of the community. To observe interaction among members of the community during their holding event, we collected tweets which relate to the event and analyzed them. Our findings so far are as follows; (1) acquiring certain amount of new participants constantly is important, (2) beginning organizers tend to have an experience of attending previous event of the community via live streaming and/or on site, and (3) several key participants to propagate the event's activities exist both on site and off site.