著者
根ヶ山 光一 星 三和子 土谷 みち子 松永 静子 汐見 稔幸
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.179-186, 2005-12-25 (Released:2017-08-04)

This study investigates conditions surrounding infants' crying at day nurseries, and aims to examine the quality of daycare. In the day nurseries, 570 babies were observed. For each subject, the state of each period of crying, as well as its cause and the adult's techniques used to calm the child, were recorded during one day by his/her nursery teacher. The results show: 1. As a whole, the frequency of crying was highest in the morning and then declined; 2. The causes of crying were interpreted by the adults as mostly physical, though social causes increased with age in months; 3. Crying interpreted as having a physical origin was nevertheless dealt with by applying social techniques like holding; 4. The duration and the strength of a baby's crying were related significantly to the length of professional experience of his/her practitioner.
著者
林 政喜 隅田 康明 合志 和晃 松永 勝也
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.459-469, 2014-01-15

自動車運行における衝突事故は,当該車両の停止距離よりも進行方向の障害物までの距離(進行方向空間距離,または車間距離)が短い場合に発生する.衝突事故防止のためには,それぞれの車両の運転者は停止距離よりも長い車間距離を保持して走行することが必要である.ところが,現実には多くの運転者が停止距離よりも短い車間距離で走行している.多くの運転者が短い車間距離で走行している要因の1つとして,運転者が無意識的あるいは意識的にできる限り早く目的地に到着するようにできるだけ高い速度走行しようとするような先急ぎ運転をしていることが考えられる.これは,運転者が先急ぎ運転による旅行時間の短縮という利益を優先し,不安全な先急ぎ運転を選択した結果とも考えられる.先急ぎ運転による事故防止のためには,運転者に先急ぎ運転による利益よりも不利益の方が大であることを理解させ,平素の運転において十分な車間距離を保持した運転を繰り返し訓練していくことが有効であると考えられる.そこで,運転時の移動効率(旅行時間)とその運転における安全度(危険度)を記録・分析できるシステムの開発を行った.また,公道上のコースを走行する実験を行い,運転行動の記録,評価,詳細分析を行った.その結果,先急ぎ運転で得られる時間的利益は平均6.6%であったが統計的に有意な差ではなかった.これに対して,先急ぎ運転による運転時の不安全度は平均37.1ポイント増加し,また,主観調査によって先急ぎ運転の方が大きな危険感,疲労感,緊張感を感じていたことを明らかにした.本システムによって,平素の運転の危険度を提示することで,日々の運転を通して自然に安全運転習慣の形成が可能であると考えられる.
著者
吉永 誠 竹田 欣弘 松永 千晶 属 国権 角 知憲
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.463-469, 2001-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

本研究では, 単一出発地・目的地における同一交通目的を持った歩行者を対象とした経路選択モデルを提示した. 歩行者は経路を選択する際, 距離の短い経路を選択することを基本とするが, その他にも路上障害物, 安全性に影響する直接干渉交通量, 快適性に影響する間接干渉交通量, 歩道の有無, 信号交差点など要因から決定される非効用が最小となる経路を選択する. ここで本研究は間接干渉交通量の感じ方に個人差のばらつきを与え, 実際に歩行者の通行経路を調査し, モデル中のパラメータを推定した. その結果, 適合性の高いモデルが得られた. さらにこのパラメータをもとに, 各要因の影響度, 経路選択行動の誘導可能性を検討した.
著者
飯田 真理子 新福 洋子 谷本 公重 松永 真由美 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.187-194, 2017 (Released:2017-12-22)
参考文献数
20

HUG(Help-Understanding-Guidance)Your Baby育児支援プログラム(以下HUGプログラム)は米国,ノースカロライナ州のファミリーナースプラクティショナーであるJan Tedder氏により開発されたプログラムである。このHUGプログラムは,新生児を家族に迎えたばかりの両親に分かりやすく新生児の行動を説明し,育児のスキルを伝え,両親が児の行動を正しく理解し,出産後に肯定的な育児行動を継続することを目標としている。今回HUGプログラムを日本において実施するにあたり,日本語版の教材を作成しプログラムを開発したので,その内容を報告する。作成にあたり,原版開発者との協働で英語版HUGプログラムを日本語へ翻訳した。英語版を研究者らが日本語へ翻訳し,そのバックトランスレーションが行われ,英語のプログラムとの内容妥当性を確認された日本語版HUGプログラムを開発した。翻訳した教材はHUGプログラム内で使用するスライド,2つのスキルを紹介したリーフレット,母乳育児の道のりを示したリーフレット,新生児の行動をまとめたDVDである。HUGプログラムの構成は次の通りである:育児に使える2つのスキル「新生児のゾーン」「新生児の刺激過多の反応」の紹介,新生児が示す刺激過多の反応への対処方法,順調な母乳育児のコツ,2つの睡眠パターンの紹介である。そしてその後はおくるみと赤ちゃん人形を用いたおくるみレッスンと育児経験者から子育ての苦労やヒントを聞く,という構成である。HUGプログラム内で使用している教材は参加者に配布し,自宅で繰り返し活用できるようにしている。現在はプログラムの目標の達成度を測定している。参加者の反応等の分析を経て,日本の子育て文化を考慮した日本語版HUGプログラムの更なる発展と普及に向けて,教育活動を続けていく予定である。
著者
松永 康生 神田 径 高倉 伸一 小山 崇夫 小川 康雄 関 香織 鈴木 惇史 齋藤 全史郎
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

草津白根山は長野県と群馬県の境に位置する、標高2000mほどの活火山である。山頂に位置する湯釜は強酸性の湖水を有し、その地下では度々活発な地震活動が観測されている。また、本白根山麓には草津温泉や万代鉱温泉などの湧出量の豊富な源泉が存在することから、山体の地下には熱水系が発達しているものと考えられている。地球化学的な研究によれば山頂部の噴気や湯釜湖水、また山腹の幾つかの温泉は、気液分離した貯留層由来である一方、本白根山麓の草津温泉や万代鉱温泉などは、より初生的なマグマ性流体がこの貯留層を経由せずに天水と希釈され噴出したものと解釈されている(Ohba et al., 2000)。白根山を東西に横断する測線にて行われたAMT法による調査では、深さ3~4kmまでの比抵抗構造が明らかにされ、山体の西側に厚さ最大1kmほどの低比抵抗体が見つかった。これは変質した第三紀火山岩であると解釈されている。地球化学的な調査と合わせるとこの変質帯が不透水層として働くことで、山腹の温泉と山麓の温泉のそれぞれの経路を分け、混合を妨げていると考えられた(Nurhasan et al., 2006)。また、万代鉱周辺で行われたAMT法による調査では、源泉より地下へと広がる低比抵抗体が確認され、こちらは流体の供給路と解釈されている(神田ほか, 2014)。このように源泉ごとの生成過程の違いや、地下浅部の構造はある程度は分かっているものの、より詳細な深部の構造については未だによく分かっていない。そのため今回は表層への熱水の供給経路やその供給源、さらには草津白根山の火山活動全体の駆動源であるマグマ溜りの位置を明らかにすることを目的とした広域帯MT観測を本白根山において行った。調査は山体西側の万座温泉から本白根山頂を経て万代鉱温泉に至る東西約10kmの測線上の計12点において広帯域MT観測を行った。得られたデータのうち三次元性の強いデータを除去し、Ogawa and Uchida(1996)によるコードを用いて2次元インバージョンを行った。このようにして得られた比抵抗構造の特徴として、①山頂から西側の万座温泉地下へと細長く伸びる長さ数キロほどの低比抵抗体②東斜面の表層付近に広がる低比抵抗体③東斜面深部に見られる高比抵抗の大きなブロックの存在があげられる。②については、前述のAMT法観測(Nurhasan et al., 2006)により推定された変質した第三紀火山岩であると考えられる。この低比抵抗体の下部には深部へと続く高比抵抗ブロック(③)が見られる。ただし、観測データのうち特に長周期側で得られたデータは人工ノイズ源の影響を受けている可能性もあり、このような構造が実際に存在するかはよりデータを精査し検討する必要がある。ポスターでは、これまでに得られている結果について発表する。
著者
岡本 泰昌 木下 亜紀子 小野田 慶一 吉村 晋平 松永 美希 高見 浩 山下 英尚 上田 一貴 鈴木 伸一 山脇 成人
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.237-243, 2007-03-31 (Released:2016-12-01)

In this article, we present our neuroimaging studies by functional Magnetic Resonance Imaging (fMRI) about the brain mechanism of cognition toward elucidation of pathophysiology in depression. The first and second data show the brain mechanism (Kurosaki et al., 2005; Ueda et al., 2003) related to dysfunctional beliefs and systematic cognitive errors identified by Beck (1967), and the third is that (Tanaka et al., 2004) related to differential activation hypothesis proposed by Teasdale (1988). Lastly, we also show the change of brain function before and after cognitive behavioral group therapy (CBGT). Depressed patients before the CBGT showed attenuated activation in the dorsolateral prefrontal cortex, parietal cortex, and striatum were activated during the task. After the CBGT, the brain activation in good responders was restored as same as that in healthy control. However, in poor responder, there was no change on brain activation between before and after CBGT.
著者
松永 義夫
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1958

博士論文
著者
鍋倉 司樹 岡島 寛 松永 信智
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.295-302, 2014 (Released:2014-03-20)
参考文献数
15
被引用文献数
2

AD/DA conversion has become a core technology in digital signal processing. Traditionally, AD/DA systems are composed of the post-filter and the quantizer, and it is required to satisfy the low quantization noise and the low distortion characteristics. However, it is well known that there exists trade-off between these two characteristics. In previous studies, we proposed a new design method of AD/DA system that includes pre-filter, in addition to the traditional AD/DA systems. Post and pre-filters are designed towards the original signal, so as to minimize the effect of noise and distortion due to quantization. In this paper, we verify the AD/DA systems with post and pre-filters by using the voice signal compression system. We evaluate the effectiveness using DMOS (Degradation Mean Opinion Score) method.
著者
松永 是
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.227-232, 1990-04-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
22
被引用文献数
2

最近, 各種の生物に磁性物質が含まれていることが明らかにされ, 種々な分野にわたって研究が進められている. 生物が合成する磁気微粒子の生成機構については, いまだに解明されていないが, 様々なキャラクタリゼーションが行われている. その結果によると, 磁気微粒子は単磁区構造を示し, その大きさも50~150 nmと小さく, さらにそのまわりは有機薄膜で覆われていることがこれまでに確認された. ここでは「生物と磁石」について動物および微生物で得られた知見を紹介し, さらに特に研究が盛んに行われている走磁性細菌について, その磁気微粒子の抽出法, キャラクタリゼーション, およびその応用について述べる.
著者
松岡 三郎 松永 久生 山辺 純一郎 濱田 繁 飯島 高志
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.854, pp.17-00264-17-00264, 2017 (Released:2017-10-25)
参考文献数
29
被引用文献数
19

Considering in design by analysis, four types of tests, slow-strain-rate tensile (SSRT), fatigue life, fatigue crack-growth (FCG), and elasto-plastic fracture toughness (JIC) tests, were conducted with low-alloy steels, JIS-SCM435 and JIS-SNCM439, in 115 MPa hydrogen gas and air at room temperature (RT). In addition to above tests at RT, the SSRT tests were also conducted in 115 MPa hydrogen gas and air at 120 oC and in 106 MPa hydrogen gas and 0.1 MPa nitrogen gas at -45 oC. The low-alloy steels used in this study had tensile strengths (σB) ranging from 824 to 1201 MPa with fine and coarse tempered-martensitic microstructures. In the SSRT and fatigue life tests, the tensile strength and fatigue limit were not degraded in hydrogen gas. The FCG tests revealed that the FCG rate (da/dN) was accelerated in hydrogen gas; however, there existed an upper bound of the FCG acceleration, showing the FCG rate in hydrogen gas was about 30 times larger than that in air, when σB was lower than 900 MPa. The JIC tests demonstrated that the fracture toughness (KIC) in air was 207 MPa·m1/2 at σB = 900 MPa, whereas the hydrogen-induced crack-growth threshold (KI,H) was 57 MPa·m1/2 at σB = 900 MPa. Based on these results, we proposed advanced guidelines on the use and design for SCM435 and SNCM439 on design by analysis in 115 MPa hydrogen gas, which enable to design the storage cylinders used in 70 MPa hydrogen station with lower cost without compromising safety.