著者
松永 拓也 柴田 和也 室谷 浩平 越塚 誠一
出版者
日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.20160002-20160002, 2016-01-29 (Released:2016-01-29)
参考文献数
23

本研究では, MPS法による2次元流体シミュレーションのためのミラー粒子境界表現の開発および検証を行った. 本提案手法は, 固体壁境界を取り扱うための手法である. 境界形状は線分の集合として表される. 従って, ポリゴンモデルを用いる固体壁境界表現同様に境界要素自身は厚みをもたない. 従来のミラー粒子境界表現と比較して, ミラー粒子のミラー粒子を考慮すること, 視線判定を導入することが主な特徴として挙げられる. 本手法におけるミラー粒子は, 従来手法同様に, 境界を軸とした流体粒子の鏡映を作成するという考え方に基づいている. 複数の接続された線分で表される境界形状を線要素と点要素に分割し, 点要素に関しては凹形状と凸形状を区別する. また, 視線の概念を導入し, 境界要素, 流体粒子, ミラー粒子の間の視線が通る条件を定義した. 境界要素から流体粒子への視線が通るとき, ミラー粒子を生成する. 更に, 生成したミラー粒子への視線が通る線要素がある場合, そのミラー粒子に対する新たなミラー粒子を生成する. 以上のミラー粒子生成アルゴリズムを適用することで, 境界近傍の外部領域に抜け目なくミラー粒子を配置することができるが, ミラー粒子が過剰に存在する領域が発生してしまう. そこで, 近傍粒子計算に視線判定を導入する. 具体的には, 影響半径未満の距離に存在し, かつ, 着目流体粒子からの視線が通る流体粒子およびミラー粒子のみを近傍粒子として採用する. 視線判定は近傍流体粒子を吟味するためにも利用されており, 境界を跨ぐ流体粒子間の接続を切断できるため, 影響半径未満の厚みをもつ固体相を含む問題の計算が可能となる. 基礎検証として3つの問題の計算を行った. 単純形状における静水圧問題を本ミラー粒子境界表現を用いたMPS法によって計算し, 壁粒子を用いた固体壁境界表現に用いた場合と比較を行った. 定常状態における圧力分布を比較したところ, およそ定量的な一致が見られ, 単純形状における固体壁境界条件が妥当に評価されていることを確認した. 続いて, 凹形状を有する固体壁面に対する水柱衝突の計算を実施した. 粒子の境界貫通が起こりやすい問題であったが, そのような現象は確認されず安定に計算が実行できた. 定常状態における静水圧分布を計算したところ, 鋭角な凹面内部には少数の流体粒子しか存在しないにもかかわらず, 圧力分布を妥当に評価することができたことから, ミラー粒子のミラー粒子を使用することの有効性が示された. 更に, バッフル付き円筒回転体内の流れの計算を行った. 円筒形状は離散的な線分によって表現を行ったが,線分の接続部の影響による目立った不自然な数値挙動は見られず, 安定に計算を実施することができた. このことから, 本研究にて採用している視野の定義および視線判定に基づく近傍粒子選択が妥当であることが確認できた.
著者
鈴木 加余子 松永 佳世子 上田 宏
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.130-135, 1999 (Released:2010-08-25)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

アトピー性皮膚炎 (AD) 患者皮膚への洗濯用合成洗剤の刺激性を検討するために, AD患者10例を対象に, 主な界面活性剤成分であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム (LAS) の衣類残留濃度を測定した。その結果をふまえて, 別のAD患者20例にLASをパッチテストした結果, LAS1000ppmにわずかな紅斑を認めたのは1例であり, 洗濯施行後の衣類に残留している濃度でのLASのAD患者皮膚への刺激性は低いと推測した。一方, 最初の残留濃度測定試験で1300ppmであった患者がすすぎ方法を変更したところ, その濃度が53ppmに低下したことから, 洗濯施行時のすすぎ方法は洗剤の残留濃度を低くする点において重要と考えた。
著者
代田 明郎 富田 一男 飯田 安彦 遠藤 昌夫 松永 睦郎 恩田 昌彦 柳沢 公則 服部 博之
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.13, no.8, pp.559-578,581-58, 1964

From the point of allergy, the authors studied on the production of cholelithiasis and cholecy-stitis and the results obtained were as follows: 1. By agglutination reaction with the antigen of E. coli (O-6) isolated from human faeces and the normal human serum, it was found that the aggulutin in titer was so low in the infant and the titer rising up rapidly with the age to 10 years old. Thereafter the titer is coming close gradually to that of the adult. These facts suggest that tha natural sensitization by E. coli exists in the human being and it may be strengthened gradually with the age. 2. Natural sensitization by E. coli was also found in the normal rabbit and it was also observed that the natural sensitization was enphasized by the oral administration of E. coli. 3. The disturbance of the liber may produce dysbacteria of the intestinal flora and the dysbacterial condition of the intestinal flora and the disturbance of the liber-function may emphasize the natural sensitization by oral administration of E. Coli and moreover it may be an important factor in the appearance of orally administered E. Coli in the bile. 4. The bile of gastro-ulcer showihg no precipitation reaction with anti-E. Coli rabbit serum was mixed with E. Coli (O-6) and after 24 hours' incubation at room temperature the bile showed positive reaction with anti-E. Coli rabbit serum. 5. The remarkable growth of E. Coli was found in the group of rabbits blocked the bile-duct injected E. Coli via bile-duct, however no growth of bacilli was observed in the normal rabbits; moreover, the bile in the former cases showed positive reaction with anti-E. Coli rabbit serum. 6. Electromicroscopic findings show that the breaking or dissolution of cell wall or cell membrane and the prolapse of the protoplasma of E. Coli at the high concentration of Desoxycholic acid or glycodesoxycholic acid. 6. The gall-bladder isolated from the guinea pig administered orally E. Coli and showing high aggulutinin titer showed anaphylactic reaction by Schultz-Dale technique. Anaphylactic reaction of the isolated gallbladder in the guinea pig sensitized with anti-E. Coli rabbit was alse demonstrated and also the desensitization phenomenon was clearly demonstrated with the addition of the same antigen. These results suggest that allergic or anaphylactic reaction in the gall-bladder with antigen-antibody system of the components of E. Coli might be existed.
著者
樋渡 勇太朗 松永 和輝 豊田 希 藪田 哲郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.4, pp.1085-1088, 2013-04-01

目隠しラバーハンド錯覚において,被験者の右手人差し指のタッチと左手へのタッチによる触刺激を同期して与えた方が,非同期で与えるよりも錯覚を誘発すると報告されているが,この刺激のずれは定量的に計測されてはいない.本論文では,ハプティックデバイスを用いて実験を行い,刺激の時間遅れを変化させ錯覚の感度を比較し,ずれによる影響を計測することができたので報告する.
著者
中本 裕也 大和 修 松永 悟 内田 和幸 高沼 良征 坪井 誠也 小澤 剛 小川 博之
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.862-865, 2014

初期の臨床症状として視覚障害が認められ,剖検により神経セロイドリポフスチン症(NCL)と確定診断されたチワワの1例を報告する.本例の初診時には,視覚障害を除く神経学的な異常は認められなかった.眼科検査では,球後結膜,角膜及び視神経乳頭における異常が認められたものの,本症状への関連は否定的であった.中枢性視覚障害の確認のために実施した頭部MRI検査では,NCLのチワワに特徴的とされる重度な脳萎縮及び造影剤による髄膜の増強効果が認められた.今回の報告のとおり,NCLのチワワの初期臨床症状として視覚障害が認められる場合がある.若齢のチワワに視覚障害が認められた場合,眼科疾患と誤認されないように,チワワのNCL診断で有用とされる頭部MRI検査を早期に実施する必要がある.
著者
松永 孜
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.769-781, 1977 (Released:2008-04-16)
参考文献数
5
著者
松田 裕子 大塚 理恵子 伊藤 剛 小川 郁夫 佐藤 豊 瀧原 道東 加治 弘 迫田 寛人 竹本 寛 松永 義則 森 昭夫 山岡 義生 井上 潔
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.2287-2292, 1985-11-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
6
被引用文献数
2

胃内視鏡検査施行時に1,129例の胃液を採取してpH値を測定し,内視鏡所見との関係を検討した. 内視鏡的に無所見であった353例におけるpH値の分布は,年齢が高くなるにつれて高pH領域へと偏り,加齢による影響を示したが,性別による差異は認められなかった. 胃潰瘍225例のpH値分布は無所見群のpH値分布と類似していたが,十二指腸潰瘍160例は無所見群や胃潰瘍群よりも低pH値領域に偏った分布を示し,この傾向は高齢者においてなお著明であった. 胃潰瘍および十二指腸潰瘍において,病変が活動期である時は胃液はより低pH値を,病変が瘢痕期である時はより高pH値を示したが,十二指腸潰瘍では瘢痕期においてもなお無所見群よりも明らかに低pH値にとどまった. 本法は被検者に苦痛を与えることなく,多数例に反復施行が可能であり,胃の形態と機能の両面から同時に観察することができ,臨床上有用であると考えられた.
著者
松永 忠範 藤井 章生 大山 文雄 佐藤 輝義
出版者
特定非営利活動法人 日本医学図書館協会
雑誌
医学図書館 (ISSN:04452429)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.261-271, 1985-09-25 (Released:2011-09-21)
参考文献数
7

The Igaku Chuo Zasshi (the Japana Centra Revuo Medicina) was started by the late Dr. Amako in 1903. It has, over a period of last 80 years, produced about 4, 000, 000 abstracts reflecting changes and progress of medical science, dental science, pharmaceutical science and other related fields in Japan.Along with the development of science and economy in Japan, educational institutions, research facilities, health care facilities spread rapidly. Along with this development, the fields of research were also diversified resulting in corresponding increase in the volume of literature published. In fiscal 1984, the number of periodicals increased to about 1800 and the number of abstracts increased to about 190, 000. This year also saw the publication of the Volume Number 3, 342.As the number of periodicals increased, strong need was felt for reducing the time lag, simplification of retrieval procedures and smooth operation of the entire operation. In response to these needs a comprehensive study was initiated and continued over the past several years. As a result, computerization and machine editing have been carried out since April 1983. This enabled to add abstracts simultaneously with the index and also made annual cumulated index a reality for the first time.The Medical Abstracts Society started to cooperate with the Japan Information Center of Science and Technology (JICST) in the creation of “the JICST File on Medical Science in Japan” from 1981 and for creation of an English language data base from 1985.The Society was authorized to receive the research grants of the Ministry of Education, Science and Culture from 1981.The Society plans to continue to improve abstracting services and at the same time strive to develop new information services, draw up measures to keep up with developments in research with the view of responding to the needs of researcher and literature searchers.
著者
松永 千晶 田嶋 龍 吾郷 太寿 角 知憲
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_659-I_666, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
17
被引用文献数
4

本研究は,防犯環境設計に基づいた通学路設計を考察するための基礎段階として,登下校時の児童対象犯罪および不審行為とその影響要因の関係を表現する数学モデルを作成する.モデルは,これらの犯罪や不審行為の多くが,ターゲットに適した人や物,犯行に適した環境要因が時間的・空間的に揃った場合に遂行されやすい機会犯罪と呼ばれるものであり,現場周辺でのターゲットとの遭遇機会と環境要因が犯行企図者に影響を与えるという仮説に基づくものである.モデルを実際の小学校区での事例に適用したところ,モデルは学校からの距離に応じたエリアごとの犯罪・不審者の発生しやすさの分布を再現できた.また,ターゲットとの遭遇頻度と,沿道からの監視性に関する物理的環境要因が犯罪・不審者発生に与える影響を定量化できた.
著者
松永 京子
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

最終年度となる本年度は、昨年度行ったチカーナ文学における環境正義と環境アクティヴィズムの研究を踏まえて、シェリー・モラガやエレナ・マリア・ヴィラモンテスといったチカーナ作家たちの描く環境アクティヴィズム、宗教的シンボリズムの言説、そしてEl Theatro Campesino(農業労働者劇場)の研究をさらに発展させた。また、環境正義の視点からみる核/原爆文学研究をさらに進め、ジェラルド・ヴィゼナーやサイモン・J・オーティーズといった先住民作家の作品に関する核問題の研究を行なった。具体的には以下を実施した。1.シェリー・モラガ、エレナ・マリア・ヴィラモンテスといったチカーナ作家とEl Theatro Campesino関連の資料・文献を調査、収集(インターネット、大学図書館使用)。2.中・四国アメリカ文学会で、シェリー・モラガ作品における宗教的シンボリズムと環境アクティヴィズムについて発表。3.American Literature Association学会で、ジェラルド・ヴィゼナー作品にみる核問題について発表。4.Western Literature Association学会で、チカーナ作家と環境正義に関する論文を発表。5.ASLE-J大会のラウンドテーブルで環境正義の視点からみた原爆文学問題について発表。6.中・四国アメリカ学会のシンポジウムで、El Theatro Campesinoとチカーナ文学の関係について発表。7.原爆文学研究会でジェラルド・ヴィゼナー作品における核問題について発表。8.以上の学会発表に基づいて論文を執筆し、『文学と環境』、『原爆文学研究』といった学会誌や、Southwestern American Literatureといった海外のジャーナル等に投稿。
著者
松永文雄 著
出版者
警醒社
巻号頁・発行日
1909
著者
松永 達雄 藤波 義明 務台 英樹 神谷 和作
出版者
独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

近年、難聴をきたすミトコンドリア遺伝子変異が多数報告されているが、現在のところ日本人の難聴者において本遺伝子変異が全体としてどの程度関与するかは不明である。そこで本研究では、日本人の原因不明の非症候群性難聴者(先天性/小児の難聴者53人、後天性の難聴者76人)および健聴者144人のDNA検体を用いて、ミトコンドリアDNAの難聴遺伝子を解析した。多コピーのミトコンドリアDNAには、変異が生じた場合にミトコンドリア遺伝子が均一な状態であるhomoplasmyと異なった配列が混在するheteroplasmyの2種類の状態がある。まずhomoplasmy変異に関しての解析の結果、難聴遺伝子として報告されている5遺伝子において先天性/小児の難聴53人中のべ8人、後天性の難聴76人中のべ4人で国際的データベースに難聴遺伝子変異と報告されている変異が検出された。heteroplasmy変異に関しては、先天性/小児の難聴53人中のべ7人、後天性の難聴76人中のべ7人で変異が検出された。一方、健聴者においての検討では、難聴遺伝子の一つである12SrRNA遺伝子において144人中11人で難聴遺伝子変異と報告されている変異が検出され、これらは日本人において難聴の発症に環境因子が関与する可能性と難聴の発症に関与していない可能性が考えられた。それ以外の4遺伝子には健聴者では変異を認めなかった。これまでの結果から、日本人の難聴の原因に関与するミトコンドリアDNAの難聴遺伝子変異は、国際的データベースに報告されているものとは異なると考えられ、本研究で明らかになった日本人特異的なミトコンドリア遺伝子変異の特徴が、今後日本人の難聴の遺伝的原因の解明と診断に活用できると考えられる。
著者
武智 学 松永 剛 白石 淳也 徳田 伸二 飛田 健次
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.147-162, 2009-04-25
被引用文献数
1

トカマク型核融合炉の定常化にとって高ベータ化は必須である.この高ベータ化には最終的にはMHD不安定性の一種である"抵抗性壁モード"がボスキャラのごとく立ちはだかる.逆転磁場ピンチに至っては抵抗性壁モードによって寿命が決まってしまう.この十年,閉じ込め改善や加熱装置の進展により高ベータ化の敵,抵抗性壁モードとの実戦が始まった.この敵を駆逐する(安定化する)武器には"プラズマ回転"と"磁場のフィードバック制御"があるが,最近その戦いにちょっとしたどんでん返しがあった.その結構ドラマチックな戦歴を楽しんでもらうために,まずは敵を知ってもらい,これらの武器の説明をしよう.その領域は物理から工学までの広い分野にわたる.現在の戦況は混沌としているが,さらに,問題点や今後の戦い方について考える.さあ,抵抗性壁モードの世界へ,ようこそ.
著者
竹下 悠哉 角屋 智香 木村 勁介 松永 理恵 栗城 眞也 横澤 宏一
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.84-89, 2015-04-10 (Released:2015-06-25)
参考文献数
12

We examined whether auditory steady-state response (ASSR), which is known as a lower-order brain response, can be modulated by expectations accompanying the progression of a musical phrase. We fabricated musical melodies consisted of seven tones, the amplitudes of which were modulated at 40Hz, under two conditions:the final (7th) tone was either congruent or incongruent with respect to the musical context of the melodies. Two control experiments were also conducted. The objective of one control experiment was to investigate the effect of the preceding sound (6th) on the final tone (7th) by presenting two final tones (6th and 7th) extracted from the melodies, and the objective of the other control experiment was to investigate the effect of hearing a pitch itself by presenting a tone sequence of ascending and descending scales between A♭5 and C7. The ASSR source strengths were estimated by magnetoencephalography. The strength of the 7th tone of the melodies was significantly larger in the incongruent condition than in the congruent condition. This difference could not be explained by effects of the preceding sound and pitch of the target tone, suggesting that ASSR was modulated by musical expectancy.
著者
松永 寿人
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.86-99, 2015-03-31 (Released:2015-05-29)
参考文献数
60

強迫症(OCD)は,DSM-IV-TRまで,神経症あるいは不安障害の一型とされてきた。しかしDSM-5では不安症群から分離され,「とらわれ」や「繰り返し行為」を特徴とする強迫症および関連症群という新たなカテゴリー内に位置づけられた。すなわちOCDの疾患概念は,不安の病気から強迫スペクトラムへと転換することとなり,その背景には,病因や病態,治療など他の不安症との相違に関する知見の集積がある。一方,病的不安や回避,うつ病との密接な関連性などの共有,さらに生物学的病態や治療を含め他の不安症との共通性も明白で,両者の関係は極めて複雑である。その複雑さには,cognitiveからmotoricなものまで,さらに自閉スペクトラムや嗜癖性障害などとの重なりや連続性を含むOCD概念の異種性や広がりが関わっており,OCDの今後の方向性については,現概念の妥当性や臨床的有用性を含めさらに検討が必要である。