著者
高木 佐恵子 松田 憲幸 曽我 真人 瀧 寛和 志磨 隆 吉本 富士市
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.386-396, 2003 (Released:2004-02-29)
参考文献数
17
被引用文献数
3

絵画は,心を豊かにするための重要な研究テーマの一つである.これまで,絵画に関する多くの研究では,実際の画材を再現するような機能を提供するばかりで,ユーザが描いた絵を評価し,アドバイスを与えるようなものはなかった.そこで,我々は,初心者のための基礎的な鉛筆デッサンの学習支援システムを提案する.提案システムは,モチーフに関するデータとユーザが鉛筆で画用紙に描いたデッサンの画像を入力とし,ユーザへのアドバイスを出力とする.提案システムでは,次の四つの機能により,処理が行われる:モチーフの特徴解析,デッサンの特徴解析,誤りの同定,アドバイスの生成と提示.提案システムの有効性を確かめるため,扱う対象を基礎的なモチーフに対する主要なアドバイスに限定したプロトタイプシステムを開発し,実験を行った.その結果,提案システムの有効性が確かめられた.
著者
松田 憲 楠見 孝 細見 直宏 長 篤志 三池 秀敏
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.240-247, 2014 (Released:2014-08-25)
参考文献数
40
被引用文献数
1 1

This study examined the influence of familiarity and novelty on the mere exposure effect while manipulating the presentation of background information. We selected presentation stimuli that integrated cars and backgrounds based on the results of pilot studies. During the exposure phase, we displayed the stimuli successively for 3 seconds, manipulating the background information (same or different backgrounds with each presentation) and exposure frequency (3, 6, and 9 times). In the judgment phase, 18 participants judged the cars in terms of preference, familiarity, and novelty on a 7-point scale. As the number of stimulus presentations increased, the preference for the cars increased during the different background condition and decreased during the same background condition. This increased preference may be due to the increase in familiarity caused by the higher exposure frequency and novelty resulting from the background changes per exposure session. The rise in preference judgments was not seen when cars and backgrounds were presented independently. Therefore, the addition of novel features to each exposure session facilitated the mere exposure effect.
著者
松田 憲亮 池田 翔 鶴 大輔 永井 良治 中原 雅美 池田 拓郎 光武 翼
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.159-163, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
33
被引用文献数
1

〔目的〕女性前期高齢者のプレフレイルに影響する要因を分析することを目的とした.〔対象と方法〕前期高齢女性78名を対象とした.フレイル判定基準により,フレイルであったもの3名を除き,プレフレイル群と健常群に分け,各評価項目値の2群間比較を行った.また,多重ロジスティック回帰分析によりプレフレイルに影響する要因を検討した.〔結果〕プレフレイルへ関連する要因としてBody Mass Index,転倒自己効力感,健康意識,歩行速度が有意な独立変数として選択された.〔結語〕女性前期高齢者ではBody Mass Indexの増加や移動能力低下以外に精神的・心理的側面の低下がプレフレイルに関連することが示唆された.
著者
黒田 怜佑 松田 憲 楠見 孝 辻 正二
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.173-182, 2016 (Released:2016-02-26)
参考文献数
9

Rapid urbanization and information technology has reduced human connection and a sense of regional community among local populations around the world. This may have led to a decrease in people's sense of belonging and feelings of fellowship toward their neighbors and towns. We hypothesized that one's sense of belonging and feelings of fellowship toward their town will increase after hearing the sounds of bells. Participants were asked to observe virtual scenes in which they heard the bell signaling every hour. We assessed how listening to the bell influenced participants' feelings of community membership and whether viewing particular scenes and the sound increased these feelings and participants' sense of belonging. Results showed that for scenes involving an overhead view of the bell, e.g., scenes that included facilities such as temples or churches, participants reported an increased immersive experience. as a result of the shared sense of time with their neighbors.
著者
松田 憲 興梠 盛剛 小野 史典 杉森 絵里子 楠見 孝
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第14回大会
巻号頁・発行日
pp.28, 2016 (Released:2016-10-17)

パワープライミングとは,抑制的な先行手掛かりが安全・安心といった認知を高め,促進的な手掛かりが成長・発展・発達といった認知を高めることである。本研究では参加者にパワープライミング課題を課してハイパワーとローパワーの操作を行い,ノスタルジックな画像ないし先進的な画像と広告との連合形成及び広告の評価に及ぼす影響について検討を行った。商品カテゴリーとして,食品(お茶,レトルトカレー)と家電(液晶TV,ノートPC)を用いた。参加者にはパワープライミング課題を課した後に広告と画像を連続対呈示し,その後に広告への評価を求めた。実験の結果,特に家電カテゴリーにおいて,ハイパワー条件では先進的画像と対呈示された広告の評価が,ローパワー条件においてはノスタルジー画像と対呈示された広告の評価が高かった。これは,ハイパワー操作によって新奇性選好が,ローパワー操作によって親近性選好が促された結果であると考える。
著者
松田 憲 楠見 孝 細見 直宏 長 篤志 三池 秀敏
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.240-247, 2014
被引用文献数
1

This study examined the influence of familiarity and novelty on the mere exposure effect while manipulating the presentation of background information. We selected presentation stimuli that integrated cars and backgrounds based on the results of pilot studies. During the exposure phase, we displayed the stimuli successively for 3 seconds, manipulating the background information (same or different backgrounds with each presentation) and exposure frequency (3, 6, and 9 times). In the judgment phase, 18 participants judged the cars in terms of preference, familiarity, and novelty on a 7-point scale. As the number of stimulus presentations increased, the preference for the cars increased during the different background condition and decreased during the same background condition. This increased preference may be due to the increase in familiarity caused by the higher exposure frequency and novelty resulting from the background changes per exposure session. The rise in preference judgments was not seen when cars and backgrounds were presented independently. Therefore, the addition of novel features to each exposure session facilitated the mere exposure effect.
著者
松田 憲 楠見 孝 瀬島 吉裕
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.67-75, 2013 (Released:2013-02-15)
参考文献数
38
被引用文献数
2 1

We investigated the effects of pre-preferences for CG characters (avatar), gender of CG characters, exposure frequency, and the concordance between CG characters and the background on the impression formed about CG characters. During 8 sessions, 36 participants were shown a succession of CG characters presented against concordant or discordant backgrounds. During sessions 1, 3, 5, and 7, participants evaluated each CG character in terms of post-preference, intelligence, and reliability using a 7-point scale. Session 8 involved a delay condition. The results showed that post-preference evaluation scores in the high pre-preference condition were associated with better first impressions of CG characters, and increased with exposure frequency. However, background conformity influenced the impressions of CG characters when pre-preferences were medium or low. In addition, post-preference and reliability evaluation scores were higher for female than male characters.
著者
松田 憲之
出版者
財団法人東京都医学研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

パーキンソン病はアルツハイマー病に次いで2番目に高い羅患率を示す老人性神経変性疾患である.病気が発症する仕組みの解明と,その知見を活かした根本的な治療法の確立が強く求められているが,その発症機構については諸説あって,定説が存在していなかった。われわれは本研究を通じて,「神経細胞内でミトコンドリアの品質管理が破綻し、膜電位に異常を持つミトコンドリアが細胞内に蓄積することによって,若年性のパーキンソン病が発症する」ということを明らかにした。また,MG53というユビキチンリガーゼが細胞膜の修復に関与することも明らかにした。
著者
岸野 俊彦 西田 真樹 鈴木 重喜 松田 憲治
出版者
名古屋芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、尾張藩研究の現状が、個別「分野史」に偏り、また「自治体史」により総合化の視点が分断された状況を克服し、個別分野史を総合的に捉えること、現代の自治体によって分断され見えにくくなっている尾張藩という個別藩を近世社会の実際の結び付きの中で、出来る限り総合的に復元するという最も原初的方法によって明らかにすることに力点を置いた。本研究上の意義は、方法論的にはこうした素朴な方法こそが、現在の個別藩研究の上では「新しい」方法であると提起するところにあり、「総合化」をキーワードに研究を統合するところにある。同時に大学等研究機関に所属せず、地域に密着して研究に従事する研究者を組織し、これまで蓄積された個々の知見を「総合化」のキーワードの下に研究内在的にも「総合化」し、新たな研究上の成果の構築に寄与する組織を恒常的に編成することである。上記二つの研究上の意義は支配構造に限らない尾張藩の地域社会や文化構造も視野に入れた新しいスタイルの個別藩研究の成果として『尾張藩社会の総合研究』(2001年3月20日刊、清文堂出版、総頁数600頁)として完結した。
著者
松田 憲幸 柏原 昭博 平嶋 宗 豊田 順一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.326-335, 1997-01-25
被引用文献数
13

プログラミングを行うためには, プログラマは少なくとも, プログラムの動作について明確に理解しておく必要がある. しかしながら初心者の場合プログラムの個々の命令の振舞いを理解できても, プログラム全体の動作を正しく理解できなかったり, プログラム仕様から動作を想定できない場合がよく見られる. このような初心者を対象とする場合, 動作とプログラムコード動作とプログラム仕様の対応関係について説明することが重要となる. 本論文では動作の理解が特に難しい再帰プログラムを対象に, プログラムの動作を介したプログラミングを支援する知的教育システムについて述べる. 筆者らは再帰プログラミングのモデルを想定した上で, 学習者にとって理解が容易となるようにプログラムの動作を表現し, これをプログラムの振舞いと呼んでいる. 本論文ではこの振舞い表現を用いて, 再帰プログラムの設計過程および理解過程を支援する方法について論じる. 特に, 雛形を用いた解法による設計過程の支援ならびに, 振舞い表現の可視化による理解過程の支援について述べる. 更に振舞い表現の評価実験についても述べる.
著者
松田 憲 楠見 孝 鈴木 和将
出版者
The Japanese Society for Cognitive Psychology
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-12, 2004
被引用文献数
1 1

本研究では,広告の「中心情報」を商品属性,「周辺情報」を商品名の典型性とし,情報探索や商品評価動機が強い高考慮商品カテゴリー,動機が比較的弱い低考慮商品カテゴリーにおいて,それらが商品に対する安心感, 好意度,購買欲評定に与える影響を検討する.実験は,大学生30名の参加者に対し,学習フェイズ,再生課題,評定フェイズの順で行った.実験の結果,高考慮・低考慮,両カテゴリーで周辺情報と中心情報が商品評定に促進効果を与えていた.また,パス解析の結果より,いずれのカテゴリーでも,属性がすべての尺度に直接影響を与えているのに対し,商品名の典型性が直接影響を及ぼすのは安心感のみであり,好意度や購買欲への効果は安心感を経由した間接効果であることが示された.低考慮カテゴリーにおいて,商品名の典型性の高低は属性による商品評定に影響を及ぼさず,両カテゴリーで,典型性が高い方の商品名再生数が多かった.
著者
松田 憲幸 高木 佐恵子 曽我 真人 堀口 知也 平嶋 宗 瀧 寛和 吉本 富士市
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J91-D, no.2, pp.324-332, 2008-02-01

初心者のための鉛筆デッサンの基礎は,対象を見えたまま正確に描きとる写実であり,獲得が難しい技能である.初心者は自己の写実の誤りに気づくことができない,あるいはデッサン画全体に漠然とした違和感を感じることができても,具体的に写実の何が誤りかを判断できず,同じ誤りを繰り返す.反復練習を指導する教師は,写実の誤りを理解させるため,描く対象と異なった立体物をイメージさせるたとえ(比喩)を用いる.学習者は比喩説明を聞く過程で徐々に,明らかに異なるイメージの写実と感じるようになり,ついに自己の写実の誤りに気づくと考えられる.本論文は学習者の鉛筆デッサン画像に含まれる写実の誤りを顕在化した三次元モデルを構築する手法を検討する.本手法は誤った写実による1枚の画像から,誤りを映し出し,かつ直感的に不自然さを感じさせる三次元モデルを構築する.写実の8種の誤りを対象に,デッサン画像の誤りを特徴づける15個の特徴量を用いて三次元モデルのスケーリング変換を定義した.三次元モデルを表示する顕在化ツールを実装した.学習者が本ツールを用いることで,鉛筆デッサンに含まれる写実の誤りに気づきやすくなると期待できる.