著者
重村 哲至 古川 達也 相知政司 林 敏浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.3318-3327, 2007-09-15
参考文献数
14
被引用文献数
1

電気・電子・情報系の学生にノイマン型コンピュータの動作原理を教えるために,実機を用いた機械語教育を行うことが提唱されてきた.しかし,現在のコンピュータ・システムは教育用には高度で複雑すぎる.そこで,筆者らは,高専や大学において,機械語教育に使用する演習用のマイコンを設計・開発した.開発したマイコンが備える,内部を2 進数で観察できるコンソールパネル,命令セットアーキテクチャ,入出力装置,クロス開発環境は,どれも教育用に配慮がされたものである.また,学生が個人で所有できるように小型・安価に実装した.実際に徳山工業高等専門学校の授業で4 年間使用し,教育効果があることが判明した.To teach students the principle of the von Neumann窶鍍ype computer, the machine language education with a real computer has been advocated conventionally. However, present computer systems are too advanced and complex to educate them. According to the demand for the higher education, the authors have designed and implemented an educational microcomputer system to satisfy the demand. The implemented computer has a console panel, that can be used to observe the inside, a set of instructions, I/O devices and cross development environments that are appropriate for education. Moreover, it has been implemented small size and at a low price so that the student might own it individually. It has been found out that there is a feasible education effect because of the practical usage in some classes for four years at Tokuyama College of Technology.
著者
影山 隆之 小林 敏生
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

交替勤務者に質問紙調査を行った結果、夜勤に従事している間の眠気は、夜勤連続時の「昼間の就寝前」に飲酒する人、及び次の夜勤前に二度寝する人で強く、就寝前にカフェイン摂取を控える人、就寝前に入浴する人、及び健康感が高い人では弱かった。この結果と先行研究に基づき「交替勤務者のための睡眠教育テキスト」と睡眠日誌を作成し、これを使った睡眠教育を交替勤務者に実施した。その結果、2カ月後には、睡眠によい生活習慣の一部で実行率が上昇し、夜勤連続時の不眠症状と夜勤に従事している間の眠気は減少傾向を示した。
著者
高林 敏之
出版者
Japan Association for African Studies
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.76, pp.31-38, 2010

本稿は,日本にとって最も近い隣国でありながら,ほとんど研究がなされていない朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の対アフリカ関係に関する試論である。その特異な国家体制ゆえに,また日本を含む先進諸国との疎遠ないし敵対的な関係ゆえに,北朝鮮は「国際社会において孤立した国家」であるといった安易なイメージで捉えられがちである。しかしながら北朝鮮は,「第三世界」の一員として,国際社会において一定の地位を確保してきた。とりわけ,北朝鮮と最も緊密な関係を築き,同国外交における最有力の基盤であったアフリカとの関係を分析することは,北朝鮮外交をより実際的に理解するうえで有益であろう。しかしながら,北朝鮮の極度に独裁的かつ閉鎖的な体制ゆえに,同国の外交について実証的に研究するのは容易なことではない。本稿ではまず,筆者が2007年および2008年に訪問した,同国妙香山に立地する「国際親善展覧館」における,アフリカ諸国と北朝鮮との関係に関する展示内容について紹介する。その展示内容から,北朝鮮が対アフリカ外交政策において,「新家産主義」的ないし「個人支配」的権威主義体制,さらに民族解放運動との緊密な関係を重視していたことが読み取れよう。次に北朝鮮の対アフリカ関係の発展を4期に区分して概観し,その盛衰の背後にある要因を検証する。
著者
小林 敏孝 篠沢 隆雄
出版者
足利工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

H16年度において、睡眠の数学モデルによって、睡眠時間が昼間の行動と密接な関係にあることを推定した。H16年度〜17年度にかけて、15名の被験者に睡眠日誌と行動量計(アクチグラフ)を約2週間記録してもらい、彼らの自覚的な睡眠覚醒リズム(SWR)と活動休止リズムを測定した結果、睡眠時間が6時間以下のshort sleeper (SS)では、昼間の活動量が常に高かかった。これに反して9時間を超えるlong sleeper (LS)の昼間の活動量は変動が大きく、SSに比べて低かった。17年度〜18年度にかけて、企業の中高年(38才〜59才)の会社員に対して、睡眠時間が比較的短い6名を選び、彼らに睡眠ポリソムノグラフ(PSG)等を3夜連続で記録した。その結果、平均睡眠時間が5時間半以下の者はREM睡眠の持続が悪く、精神的なストレスが過多であった。また、性格傾向を質問法(YGテスト)で検討した結果、SS群とLS群の間には大きな差異は認められなかった。しかし、面談による被験者の性格傾向としてSS群は快活、多弁の被験者が多く、LS群は物静かな印象を強く受けた。性格傾向に関しては詳細な検討が必要と考えている。以上の3年間の結果から、short sleeperの行動上特徴として、昼間の活動量が常に高いこと、さらに中高年では精神的なストレス過多にある可能性が高いことが明らかになった。これは、昼間の活動を高める性格に関与する性格遺伝子が睡眠時間を決定している遺伝子の有力な候補の可能性が高いことを意味する。3年間の研究期間においてshort sleeperの精神生理的な特徴の同定に多くの時間を要したために、遺伝子の同定に着手できなった。今後、平均睡眠時間が5時間前後でしかも昼間の活動量が高く昼寝の習慣がない群を選び、昼間の活動が高い性格に関与する遺伝子の同定を試みる。

2 0 0 0 OA 柿澁の化学

著者
中林 敏郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.1149-1154, 1968-11-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

今, 酒屋の店頭には皆テリのよい酒が並んでいる。これは商品として至上命令であるからである。そのオリ下げ法には柿渋を中心とした方法と酵素法などがある。私共は経験的に柿渋法のすぐれていることを知っている。しかし, その効果がどうも一定しないとか, その品質がわからないなど問題も多い。柿渋についての知識を正しくかつ豊富にするためにぜひ一読願いたい。
著者
林 敏昭
出版者
日本膜学会
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.188-191, 2008 (Released:2015-05-23)

Toyobo has developed an electret air filter using our own advanced polymeric fiber production technology and itsstatic electricity permanent electrification technology. This product has been producing and marketing under thetrade mark of Elitolon®. Because the static electricity in the Elitolon®fiber makes it possible to collect atmosphericdust from the air extremely effectively, a high collection efficiency can be realized with a low pressure drop.Elitolon®has been originally classified into three types which are A-type, AA-type and NA-type. A-type, AA-type andNA-type are made by spunbonded fibers, meltblown fibers and film split fibers respectively. Toyobo has developed anew static electricity permanent electrification technology. Using this prominent technology, we lately commercial-ized Elitolon®R-type which contains a considerably greater amount of electric charge than conventional Elitolon®.
著者
中林 敏郎 政野 光秋
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.725-728, 1986-10-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2

先に考案したトリゴネリン(T)とカフェイン(C)の簡易同時定量法を用いて,コーヒー豆焙煎中の両者の含量の変化,および各種の生豆や焙煎豆,ならびにコーヒー製品の両者の含量比(T/C)を検討した.(1) 室温から240℃まで21分間の焙煎中,カフェイン含量は豆の重量減に応じて相対的にわずか増加するが,トリゴネリン含量はメディアムロースト以後急激に分解減少した.(2) コーヒー生豆や焙煎度の異なる豆を分析した結果,そのT/Cの平均値は生豆で0.86,メディアムローストで0.73,フレンチローストで0.55,イタリアンローストで0.15となり,T/C値から豆の焙煎度を推定できることが示唆された.(3) インスタントコーヒーのT/C値にはかなりの幅があるが,それらの平均値は0.43で,原料豆の平均的な焙煎度はフレンチローストよりやや強いと推定さた.(4) 缶詰コーヒー飲料のT/Cの平均値は0.42であるが,個々の値にはかなりの幅がある.しかし大部分のものの原料豆の焙煎度はフレンチロースト付近と推定された.
著者
伊達 修一 寺林 敏 松井 浩平 並木 隆和 藤目 幸擴
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.485-489, 2002-07-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
11
被引用文献数
5 6

水道水を用いて作成した培養液による水耕栽培で, しばしば発生する根部褐変の原因について調査した.サラダナの根部褐変は次亜塩素酸の形態で存在する水道水中の残留塩素とアンモニウムイオンが存在する培養液でのみ発生し, どちらか一方しか存在しない培養液では発生しなかった.また, 次亜塩素酸あるいはアンモニウムイオンどちらかを含む培養液に交互に移植しても根部褐変は発生しなかった.従って, 根部褐変は次亜塩素酸とアンモニウムイオンにより生成するクロラミンにより発生するものと考えられた.さらに培養液中の残留塩素濃度の低下は, 光条件下で鉄イオンの存在により促進された.
著者
中林 敏郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.479-483, 1977-09-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
10
被引用文献数
2

コーヒー豆の遊離糖のほとんどを占め,焙煎コーヒーの風味形成に重要な役割を演じている蔗糖の含量について検討を行なった。(1) コーヒーなどポリフェノールを多く含む試料の単糖類と蔗糖の分離定量に有効な方法として,活性炭カラムクロ々トグラフィーを確立した。(2) コーヒーの蔗糖含量の平均値は,生豆で7.02%,メデイアムで0.33%,イタリアンで0.05%,インスタントコーヒーで0.70%であった。(3) 焙煎中,コーヒー豆の蔗糖含量は,クロロゲン酸の減少や褐色度の増加に先だって,速やかに低下して,遂にはほとんど消失する。(4) コーヒーには遊離の単糖類は含まれないが,それより低分子のカルボニル化合物と考えられる単糖類よう物質が,生豆で0.18%,メデイアムで0.28%,イタリアンで0.13%,インスタントコーヒーで1.98%含まれ,焙煎中わずかに増加した後減少する。
著者
筒井 晃一 小林 敏勝 西沢 宏司 上野 太三郎 景山 洋行
出版者
一般社団法人 日本レオロジー学会
雑誌
日本レオロジー学会誌 (ISSN:03871533)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.267-273, 1997-12-15 (Released:2012-11-20)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

Pigment dispersion technology plays an important role in attaining basic coating qualities such as a ”high quality appearance” and ”high durability”. Authors' experiments have quantitatively proved that a basic principle in pigment dispersion was an ”acid-base interaction between pigment and resin” in either non-aqueous or aqueous mediums, by optical and rheological measurements of pigment dispersions. These dispersions were prepared from pigments, acid-base characteristics of which were measured by a new method developed in our laboratory.A conventional pigment dispersing resin, called an ”amphoteric resin”, was also developed using a new idea that any conventional pigment having a variety of acid-base characteristics must be well dispersed, when a resin containing both acid and base functions was used.Pigments with almost no acid and/or base characteristic could be, however, well dispersed when the pigments were surface modified to have either an acid or base characteristic by plasma surface treatment. This result also supported that the ”acid-base interaction” was important in pigment dispersion.
著者
岡田 ルリ子 松川 寛二 小林 敏生 宮腰 由紀子
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.315-321, 2013-08-01 (Released:2013-08-29)
参考文献数
37
被引用文献数
1

This study aimed to develop a new method of increasing water content in the cutaneous stratum corneum under a dry skin condition. For this purpose, the experiments were performed using 10 healthy women (age: 20 ± 5 years, height: 158 ± 4 cm, weight: 50 ± 6 kg) in winter to ensure the dry condition. The subjects immersed the right hand into a 42˚C bath for 10 min. Skin surface temperature and water content in the stratum corneum of the left forearm were simultaneously measured during and for 1 h after the hand warming. The skin surface temperature began to increase (P<0.05) 15 min after the hand warming and thereafter remained increased for 1 h. Similarly, the water content in the stratum corneum began to increase immediately after the hand warming and remained increased throughout the experiment. The present results suggest that warming of one hand is effective in enhancing skin moisture in the other forearm and thereby maintaining barrier function of the skin.
著者
米谷 雄介 後藤田 中 北原 美里 小野 滋己 青木 有香 八重樫 理人 藤本 憲市 林 敏浩 今井 慈郎 最所 圭三 喜田 弘司
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.112-121, 2019-09-17 (Released:2019-09-17)
参考文献数
5

情報セキュリティマネジメントにおいて,組織および組織を取り巻く環境に適合したセキュリティ対策の状況の確認・有効性の確認は必要不可欠である.本学では,予算・運用形態等の制約の中で,導入したセキュリティ製品の組織への妥当性を点検する試みを行っている.近年の標的型攻撃に重点を置き,本学のファイアウォールで監視されるメール,またWebからのダウンロードファイルを対象に,サンドボックスによる検知マルウェアに対するセキュリティ製品の対応状況を確認している.本研究では,パターンファイルが新種・亜種に対応するまでの期間を調査して,全学レベルで導入したアンチウイルスソフトおよび他社製品群を対象に,その妥当性の点検作業を支援するシステムを開発した.
著者
影山 隆之 小林 敏生 河島 美枝子 金丸 由希子
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.103-114, 2004 (Released:2006-09-21)
参考文献数
62
被引用文献数
30 23

勤労者のコーピング特性(CP)は,職業性ストレス要因から健康問題が発展する過程に大きく影響する.しかしCPに関する既存の質問紙の多くは長すぎて,職域精神保健活動に活用しにくい.本研究で著者らは,わずか18項目から成る,勤労者のCP評価のための新しい自記式質問紙の開発過程と,その信頼性・妥当性・実用性について報告する.予備研究に基づき,コーピング戦略に関する18問6尺度から成るコーピング特性簡易尺度(BSCP)が提案された.これと職業性ストレス簡易評価尺度(BSJS)および抑うつ尺度(CES-D)から成る質問紙を某企業の従業員394名に適用し,328名(83%)から回答を得た.年齢の平均(SD)は40.1(10.0)歳,78%が男性,75%が既婚で,ほとんどがホワイトカラーであった.BSCPの因子分析から抽出された6因子は当初想定した6尺度や先行研究の結果とよく一致した.これらは“積極的問題解決”“解決のための相談”“発想の転換”“気分転換”“他者を巻き込んだ情動発散”“逃避と抑制”と命名された.Cronbachの信頼性係数は0.66~0.75で,十分高い内的一貫性が認められた.どの尺度も性・年齢との関連はなかった.多変量解析の結果,抑うつ度得点の分散の38%がBSJSの“量的負荷”“対人関係の困難”“達成感”およびBSCPの“問題解決”“逃避と抑制”によって説明された.交互作用分析の結果,CPが職業性ストレス要因と抑うつ症状の関係を修飾していることが示唆された;“対人関係の困難”得点が高くかつ“達成感”得点が低い群においてのみ“積極的問題解決”得点は抑うつ度得点と負相関しており,“対人関係の困難”得点が高い群においてのみ“逃避と抑制”得点は抑うつ度得点と正相関していた.以上の結果はBSCPの信頼性・妥当性を支持するとともに,職域精神保健領域における職業性ストレスの自己管理や健康教育の道具としてのBSCPの実用性を支持するものである.今後の研究では,BSCPの再現性や併存的妥当性を確認するとともに,他の集団においてCPが性・年齢・職種あるいは他の職業性ストレスアウトカムと関連しているかどうか確認することが,課題である.
著者
小林 敏夫
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.18-23, 2018 (Released:2019-03-01)
参考文献数
10

2015年,「インターネットの父」の一人と言われるヴィントン・サーフ氏(Google副社長)は,「21世紀は将来の歴史家から忘れ去られるだろう」と述べ,今さまざまな記憶媒体に保存されている文書やデータは,消失する危機にさらされていると警鐘を鳴らした.本稿では,今後記憶媒体の主流になる可能性がある半導体不揮発性メモリの現状について紹介するとともに,超長期保管用メモリを作ることは技術的に可能であることとその必要性を訴えることの重要性について述べる.
著者
衣畑 俊希 三浦 龍 大原 紳司 田頭 佳和 豊嶋 真司 垂水 浩幸 林 敏浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.1-6, 2014-06-28

コンピュータの性能の向上とともにコンピュータ将棋は急速に強くなり,対人間戦で善戦するようになった.また,現在ネットワーク上で主に対局を目的とする将棋サービスは盛況となっているが,対局後の感想戦や対局を記録したデータベース,将棋の人工知能等,他のソフトウェアとのインタフェースを持ち,統合して利用できるようにしたものがなかった.そこで我々は統合的な将棋支援をネットワーク上で行うためのシステム SAKURA を開発している.SAKURA の特徴は,大きく分けて 3 つの機能を有し,それらが連携して将棋支援を行っている点である.機能は,コメント付与機能・棋譜のツリー表示機能を持った感想戦支援インタフェース,局面データベースと棋譜データベースを相互連携したデータベース,対局者からの要求によって候補手をアドバイスする人工知能である.本論文では将棋部員によるこれらの機能の評価について述べ,SAKURA の機能の妥当性について示す.Shogi is a very popular board game in Japan, which is the most complex variant of chess-like games. Many strong AI programs to play shogi have been developed. For players, several services are provided to play shogi on the Internet. However, they do not provide any integrated environment, where post-game online discussions are supported, interfaces with other software including AI programs are defined, and records of games and discussions are archived in well-organized databases. We are developing SAKURA: a network shogi environment to provide such an integrated environment on the Internet. This paper describes outline of the project and especially evaluation sessions to validate the system functions.
著者
堤 雅恵 田中 マキ子 原田 秀子 涌井 忠昭 小林 敏生
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学社会福祉学部紀要 (ISSN:1341044X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.65-71, 2007-03-20
被引用文献数
2

近年,高齢者ケアの現場において音楽,ゲーム,園芸などを手段としたアクティビティケアが頻繁に行われているが,その効果については未だ十分な検討が行われていない.本研究では,介護療養型医療施設に在住する認知症高齢者女性10名(平均年齢84.4±7.1歳,Barthel Index平均得点37.0±30.4点,HDS-R平均得点6.4±6.0点)を対象に,アクティビティケアを実施した日と実施しなかった日の9時から17時までの,携帯式行動量測定装置アクティカルを使ったエネルギー消費量測定による活動量およびタイムスタディによる対人交流時間の調査を実施し,アクティビティケアの効果を検討した,その結果,アクティビティケアが実施された日とされなかった日のエネルギー消費量は,それぞれ338.9±70.4kcalおよび344.0±86.4kcalであり,有意差は認められなかった.対人交流時間については,アクティビティケアが実施された日の対人交流時間の合計は137.9±45.0分で,実施されなかった日の対人交流時間96.1±40.4分と比較して有意に多かった(p=0.042).本研究結果から,アクティビティケアの実施が活動量の増加にはつながりにくいものの,対人交流の時間の確保につながることが示唆された.
著者
山田 敬太郎 垂水 浩幸 大黒 孝文 楠 房子 稲垣 成哲 竹中 真希子 林 敏浩 矢野 雅彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.372-382, 2009-01-15
被引用文献数
4

歴史学習を対象としたフィールドワークをGPS携帯電話を用いて支援するシステムの開発と,これを用いた実践授業を行った.学習者は,三次元モデルを元に携帯電話の画面上に再現された過去の世界を訪れ,現在の様子との違いを認識することから学ぶ.昭和13年の阪神大水害の様子を三次元モデルで作成し,中学3年生に対して実践授業を行いその教育効果を検証した.その結果,生徒全員から本システムへの肯定的な反応があり,過去と現在を結び付けながら学んでいる様子が分かった.三次元モデルにより,自由な視点での過去の様子を知ることができる点への評価が高かった.また,携帯電話を用いることにより機器に親しみやすく,生徒の関心を高めることに効果的であることが分かった.これらのことから,本研究のアプローチが有効であることを実証できた.We have developed a system using mobile phones with attached GPS to learn history. This system enables students to do fieldwork with a visit to a virtual world from the corresponding location in the present world. The virtual world designed a 3D model of a past world of 1938, when a landslide occurred. The 14-15-years-old students visited the past world and learned much about it. We have found that the system helped students learn about their local area's history by enabling them to compare the past and the present and to observe the past world from arbitrary viewpoints. Because mobile phones are familiar and portable, students' motivation was enhanced.