著者
小林 健二
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = National Institure of Japanese Literature (ISSN:18802230)
巻号頁・発行日
no.37, pp.59-92, 2011-03-18

能《源氏供養》は『源氏供養草子』を典拠としていることが指摘されていたが、《源氏供養》は石山寺を供養の舞台とし、また供養の依頼者である紫式部が実は石山の観音であったという大きな相違を有する。本稿では、石山寺という紫式部伝承の磁場に注目し、紫式部が観音の化身であったとする言説や、源氏の間という特殊な宗教空間、崇拝の対象となったであろう紫式部画像、そして歌人達の紫式部を尊崇する文芸行為を通して、石山寺において源氏供養がなされていた可能性を追究し、《源氏供養》が制作された背景の一斑について考察した。Though it has been regarded that the Noh “Genji-kuyo” has its narrative source in “Genji-kuyo-soshi”, it also should be noted that the Noh differs from “Genji-kuyo-soshi” in two significant ways; one is that the site of Genji kuyo service is set at the Ishiyama-dera temple,and the second is that Murasaki Shikibu who requests the service is eventually found out to be Bodhisattva of Ishiyama. Focusing on Ishiyama-dera temple functioned as a sacred site of Murasaki Shikibu legend, this paper will point out, as a background of the Noh “Genji-kuyo production, the possibility that the Genji-kuyo service had actually been performed at Ishiyama-dera temple. I will examine the possibility by taking up the following points: the discourse which recognizes Murasaki Shikibu as an incarnation of Bodhisattva, the existence of Room of Genji in Ishiyama-dera temple as a particular ritual space, the pictorial imagery of Murasaki Shikibu which would have functioned as an object of worship, and the literary practices done by poetsthose who honor Murasaki Shikibu.
著者
周 月霞 吉武 央気 東海林 太郎 森下 祐 小河 健一郎 堀江 隆生 関谷 雄大 中村 洋平 河野 誉仁 林田 寿文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
河川技術論文集 (ISSN:24366714)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.205-210, 2022 (Released:2022-09-01)
参考文献数
11

気候変動における想定最大規模洪水の発生及び環境の単調化を背景に,治水と環境を一体的検討できる3 次元河道設計ツールが益々重要となっている.本検討では,三重県雲出川の直轄区間を対象として,3次元河道設計ツール(iRIC-Nay2DH, EvaTRiP (Pro))を用いて治水・環境の一体的検討を試行し,その有効性の確認・留意点及び課題を抽出することを目的とした.ALB 測量データを用いて構築した水理解析モデル及び河川特徴を反映する環境評価閾値の設定は,治水,環境を一体で予測できることを確認した.また,大河川において3次元ツールを活用するにあたり,地形等の条件設定の留意点,現地調査結果の精度不足や3次元ツールに中長期視点で植生動態を考慮できない等の課題を整理した.
著者
小林 正治 玉乃井 英嗣 井上 智晴 益山 新樹
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 55 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.PosterP-13, 2013 (Released:2018-03-09)

1. はじめに 食用キノコであるヤマブシタケには,アルツハイマー型老年期認知症の中核・周辺症状を改善する効果があることが臨床試験によって認められており[1],最近では,生もの,乾燥体,粉末,錠剤などの様々な形体で健康食品として販売されている。ヤマブシタケの機能性を司る因子の一つとして,子実体に含まれるヘリセノン類の関与が指摘されている。ヘリセノン類は1991年に発見された天然由来としては初の神経成長因子(NGF)合成促進物質であり,間接的にニューロンの分化・成熟・機能維持を助けることにより脳の老化を予防すると考えられている[2]。ヘリセノン類には多数の同族体が存在し,NGF合成促進活性だけでなく血小板凝集抑制活性[3]や小胞体ストレスによる細胞死の抑制活性[4]などの多彩な生物活性が知られている。しかしながら,これらの生物活性は個別の化合物に対して局所的に調べられたものであり,多様な構造を持つヘリセノン類の包括的な構造活性相関については明らかにされていない。活性試験についても,天然物サンプルの量的供給が隘路となり,in vivoでの毒性試験や薬物動態試験まで十分に検討されていない。以上の背景を踏まえ,本研究では,多様な構造を持つヘリセノン類の体系的な構造活性相関と創薬・治療学的応用を目指し,全合成研究を行った。2. 合成計画 ヘリセノン類は大別して,側鎖の5’位が酸化されているものと酸化されていない図1.ヘリセノン関連天然物の体系的全合成戦略(☆は本研究で合成完了した化合物)ものに分けられ,芳香環右辺や左辺側鎖の構造の違いによって系統化できる(図1)。私たちは,側鎖とコアのカップリングによって生成するフタリド1を共通中間体として,非天然型の誘導体も含めて網羅的に合成するルートを計画した。3. コア部の短段階合成[5] ヘリセノン類を効率的に合成するために重要となるのは,多様な官能基を直截的かつ位置選択的に導入することである。私たちは,不飽和エステル3とアセト酢酸エチルのMichael-Claisen反応によりジケトン5を合成し,臭化銅(II)によるワンポット多官能基化反応を経てコア部6を直截的に合成した(図2)。5→6の多官能基化反応では,酸性度の高いジケトンのα位が選択的に臭素化された後 (中間体i),メタノールの付加,HBrの脱離,芳香環化,ラクトン化が連続的に起こり所望のフタリドが生成したと考えられる。以上のように,市販のカルボン酸2から4工程でコア部を合成するルートを見出した5。図2.コア部の短段階合成4. ヘリセノンJおよびヘリセンA-Cの全合成5 続いて,側鎖とのカップリングを検討した。7aは2つのオルト位に電子供与性置換基を持つ反応性の低いアリールブロミドであったが,条件の最適化を行った結果,CsF存在下,(Ph3P)2PdCl2を触媒として80~85 °Cでカップリングを行うことで,目的の1bが単離収率60-87%で生成した(図3)。なお,本過程では7aから誘導したアリール銅試薬のゲラニルブロミドに対する置換反応も検討した(View PDFfor the rest of the abstract.)
著者
佐竹 幸子 小林 冴葉 西川 直子 猫平 千夏
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.124-128, 2005-06-15 (Released:2010-07-21)
参考文献数
8

トイレの手洗い設備に石けんとペーパータオルが設置されていない環境と設置されている環境で, 看護学生の排泄後の手洗い行動に関する観察調査を実施した. その結果, 石けんとペーパータオルの設置により平均手洗い時間が2.7秒 (n=38) から8.1秒 (n=35) と長くなり (p<0.001), 手拭き率も13% (5名/38名) から71% (25名/35名) に上昇した (p<0.001). これらの結果から, 石けんとペーパータオルの設置は手洗いの質向上に効果があったと考える. 排泄後の手洗いに関する看護学生の意識を知るためにアンケート調査を行った結果, 83% (63名/76名) が石けん使用の必要性を認めており, 41% (31名/76名) が実際に石けんを使用すると回答した. しかし, 観察調査で実際に石けんを使用したのは31% (11名/35名) であった. また, 手洗い後に髪に触れる動作が多く観察され (34%) (12名/35名), アンケート調査で50% (38名/76名) が手洗い後に髪に触ると回答した. 手洗い行動について看護学生の注意を喚起するために, この観察結果とアンケート調査結果を看護学生に報告した.
著者
長岡 千香子 古川 雅子 林 正治 孫 媛 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.424-427, 2022-12-18 (Released:2023-01-27)
参考文献数
8

現在,国内の複数の研究・高等教育機関では,自大学で提供した講義の映像をまとめたOpenCourseWare (OCW),教育用ガイドライン,自学用教材等の学習・教育用コンテンツを,誰でも無償で利用できるOpen Educational Resources(OER)として公開している.これらのOERを公開するためのプラットフォームの種類は多様であるが,その一つの手段として,機関リポジトリ上で公開する試みがみられる.本発表では,日本国内のOER公開に関する取組,機関リポジトリで実際に公開されているOERへのアクセス状況の集計,機関リポジトリ上でOERを公開する際の検討事項等を通じて,OER公開用プラットフォームとしての機関リポジトリの可能性について検討・考察する.
著者
田中 絵理 小林 義治 小島 美里 大野 恵梨 松岡 久美子
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.157-163, 2015 (Released:2016-03-19)
参考文献数
18

【目的】光干渉断層計(optical coherence tomography以下OCT)を用いた上方視神経低形成(Superior segmental optic hypoplasia 以下 SSOH)の視野欠損部位に対応する網膜層構造の検討をすること。【対象と方法】SSOH4例6眼、正常10例20眼[それぞれ平均年齢20.3±1.2歳(平均値±標準偏差)、21.5±3.0歳、平均屈折(等価球面)-3.58±2.3D、-3.46±2.3D]を対象とした。spectral-domain OCTを用いて下方視野欠損部位に対応する上方網膜および上下対称である下方網膜を、中心窩を基点とし30度刻みで7.5mmのラインスキャンを施行した。検討項目は①SSOH群と正常群の神経線維層厚の比較、②SSOH群と正常群のその他網膜層厚(神経節細胞層+内網状層厚および内顆粒層~網膜色素上皮層厚)の比較とした。【結果】①SSOH群と正常群の神経線維層厚の比較では、上方においてSSOH群が正常群に対して有意に菲薄化していた。下方では有意差はみられなかったがSSOH群で薄い傾向にあった。②SSOH群の神経節細胞層+内網状層厚は正常群と比較し薄い傾向にあった。内顆粒層~網膜色素上皮層厚の比較では有意差はみられなかった。【結論】SSOH群の神経線維層の菲薄化は上方および下方に生じていた。神経線維層欠損部の外層の網膜厚に変化はみられなかった。また本測定法で強度近視に影響されず神経線維層欠損を確認することが可能であった。
著者
中林 紘二 兒玉 隆之 松本 典久 山本 裕宣 野見山 通済 福良 剛志 甲斐 悟
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.151-154, 2012 (Released:2012-06-13)
参考文献数
22
被引用文献数
6 1

〔目的〕振動刺激を負荷する部位の違いが骨格筋の筋緊張に及ぼす影響を明らかにする.〔対象〕下肢に神経障害の既往がない健常男性15名.〔方法〕周波数76.6 Hz,振幅2 mmの振動刺激を用いて左下腿三頭筋の腱部あるいは筋腹部に3分間の振動刺激を行った.振動刺激前後のH波とM波の最大振幅の値から算出された最大振幅比(Hmax / Mmax)により,下腿三頭筋の筋緊張の状態を評価した.〔結果〕下腿三頭筋の腱部あるいは筋腹部に振動刺激を負荷すると最大振幅比は低下した.刺激部位で比較すると,腱部に振動刺激を負荷した場合に最大振幅比の低下は大きかった.〔結語〕負荷する部位にかかわらず,振動刺激は骨格筋の筋緊張を抑制し,臨床において振動刺激の適応が拡大することが示唆された.
著者
小林 賢章
出版者
京田辺
雑誌
同志社女子大学学術研究年報 (ISSN:04180038)
巻号頁・発行日
no.62, pp.220-213, 2011

論文 (Article)
著者
林 眞帆
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.52, pp.55-65, 2011-02

ソーシャルワークにおいては,クライエントの「主体性」ということが常に重要視されてきた.主体性の形成は,一方ではパターナリズムからの脱却,他方では近代的市民としての自立・自律に向けて意味をもったものである.しかし,臨床場面ではクライエントの「主体性」を保障できにくい条件が多く,クライエントの「主体性」に価値を置く理論と実践との乖離や葛藤が生じている状況がある.本稿は,ソーシャルワークにおける「主体性」概念をソーシャルワーカーの実践の中で検討することを通して,「主体性」を単に「個の尊重」として捉える従来の考え方を再吟味し,個人が社会的存在であるという点に着目して「主体性」概念の再構築を図ろうとするものである.
著者
小林 忠雄
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
no.67, pp.95-136, 1996-03

本稿は都市空間の広場に関する共同研究の一つとして、山岳寺院都市を対象に、日本の都市空間の原初形態を抽出したものである。その基本的な山岳寺院都市とは高野山であり、この山中における不思議な空間構成を分析してみると、いわゆる伽藍などが集中する宗教施設ゾーン、院や坊舎など宗教者が居住し、その生活を支える庶民によってつくられたマチ域の日常生活ゾーン、そして高野山が霊山である所以ともなっている墓所の霊園ゾーンの三つの空間(ゾーニング)があることを指摘した。盛時には約二万人を擁した、この密教寺院の都市には、今日で言うところの都市性の要因がいくつも見られる。まず、僧侶とその生活を支える商人や職人と、常時、多くの参詣者を集めていることによって、旅行者を絶えず抱えており、滞留人口がかなりの数にのぼること。次に、密教というか修験道文化がもつところの技術ストックがあり、古代中世の先端技術を推進してきた場であること。それは社会的施設である上下水道設備などにも反映している。さらに参詣者のための名所、旧跡などの見学施設やその他の遊興施設、仕掛けが充実しており、そこには非日常的な色彩表現があって刺激的であること。そして、出入りが激しいことから情報集積の場としても、この山地都市が機能していることなどの都市性を見出すことができる。このような高野山の空間構造と類似の山地都市として、能登の石動山をはじめ、北九州の英彦山や越前の平泉寺などがあげられる。そして、ここでいう山地都市構造は、近世初頭の城下町にも、ゾーニングを踏襲した形跡が見られる。柳田國男は「魂の行くへ」のなかで、江戸の人々が盆に高灯篭をかかげて祖霊を呼び寄せた習俗にちなみ、そこには山を出自とする都市民の精神構造、すなわち山中他界観について触れている。従って、山地都市は近世以降の各地の都市構造の原点として位置づけることができるのではなかろうか。A work of the joint research project dealing with the hiroba (square) of urban space, this paper focuses on mountain temple towns to extract the archetype of the Japanese metropolis. The monastic complex at Mt. Kōya (Kōyasan), Wakayama Prefecture, is the archetypal mountain temple town. An examination of its curious spatial composition shows it to be divided into three different spaces (zones) : the main temple zone where several important temple structures are clustered ; the everyday-life, "town" (machi) zone with living quarters for priests and for the common people working to sustain the priest's livelihood ; and the cemetery zone for which Kōyasan is famous as one of the most sacred mountains in Japan.This esoteric Buddhist temple complex, populated by some 20,000 at its peak, displayed several factors that made it a city in the contemporary sense of the term. First, the number of those living or staying there was―and still is―very large, including priests, merchants and artisans who provided for their daily needs, and many pilgrims. Second, Kōyasan had a rich stock of know-how developed through esoteric Buddhism, or rather the Shugendō (mountain religion) culture, thus promoting the advanced technology of ancient and medieval times, as reflected in social services such as those for water supply and drainage. Kōyasan also had many noted places and historic site ruins, as well as entertainment facilities and other attractions, providing excitement, local color, and a sense of the extraordinary. In addition, with many people (priests, merchants, and pilgrims) coming and going from all over the country, Kōyasan was a place where information was pooled and accumulated, another feature of a city.Other mountain cities with a spatial composition similar to that of Kōyasan are Sekidōzan in Noto (now part of Ishikawa Prefecture) and Hikosan in northern Kyushu and Heisenji in the Echizen province (now Fukui Prefecture). The mountain city composition provided a model of zoning for castle towns at the beginning of the early-modern period. In his "Tamashii no yukue" [The Whereabouts of Souls], folklorist Yanagita Kunio, referring to Edoite's practice during the Bon festival of erecting tall lanterns to welcome the souls of ancestors, talks of the mental makeup of the urban citizens, who originally hailed from mountainous areas, and their belief that the human soul goes to the mountains after death. The present paper argues that the mountain city therefore can be seen as the origin of the urban structure of cities since the early modern period.
著者
紅林 章央 前田 研一 伊東 孝
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究論文集 (ISSN:13495712)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.75-94, 2005-05-15 (Released:2010-06-04)
参考文献数
63
被引用文献数
1

In this study, the authors listed the concrete arch highway bridges that were built in Japan before World War II. And we classified them into the three types of arch bridges, single span, multi span deck types and through type, in addition, arranged chronologically and classified them into the areas, the structures, the designs and the designers. Next we analyzed characteristics of ages, areas, structures and designs of them. Based on this study, we found that those were built in Nagasaki, Kobe, Kyoto and Tokyo City in Meiji Era at first, Aichi and Ehime in Taisho Era, and next, those had made rapid progress though Reconstruction Program in Tokyo after Kanto-Earthquake and Urban Planning in Osaka City, and after that, the techniques of building spread in Kanto and Tohoku. And we made clear that most of spandrel-filled arch bridges were built below about 30m, and about 40 Melan-arches were built, and arch-rib structure as many as arch-ring structure were built, almost arches were built the fixed arch, most arcade-structure of arch-spandrel had been built for 10 years since 1927, and fixed arch-spandrel pediment changed to pasting stones then changed to concrete walls.
著者
濱野 哲敬 山本 敦史 小林 勉 設楽 仁 一ノ瀬 剛 下山 大輔 佐々木 毅志 高岸 憲二 角田 陽平 大澤 敏久
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.810-814, 2014 (Released:2014-11-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1

腱板修復術後の筋萎縮・脂肪浸潤の変化について検討を行った過去の報告は,腱板修復術の手術操作そのものによる影響を考慮しておらず正確な評価がなされていない.本研究の目的は腱板修復術により腱板構成筋群の筋萎縮,脂肪浸潤が改善しうるか,術後早期と術後1年のMRIを用いて検討することである.2010年4月から2012年3月の間に肩腱板断裂の診断にて鏡視下腱板修復術を行った52例52肩を対象とした.筋萎縮の評価はThomazeauらの方法に準じて,棘上筋,棘下筋,肩甲下筋のOccupation ratioを計測し,脂肪浸潤の程度は同じスライスでGoutallier分類に準じて評価した.修復術後2週と1年でのそれぞれの評価を比較検討すると,筋萎縮は棘上筋のみで有意に改善し,この変化は中断裂以下で認められ,脂肪浸潤は棘上筋,棘下筋,肩甲下筋の全てで有意に改善し,この変化は大・広範囲断裂例で認められた.
著者
鞍谷 文保 北林 研人 小川 渉 吉田 達哉 長村 光造 小出 俊雄 文珠 義之 水田 泰次
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.851, pp.17-00110, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
13

Cymbals are percussion instruments that vibrate and radiate sounds when hit with a stick or when used in pairs. The sound radiated from a cymbal depends on its vibration characteristics. Cymbals are made through spin forming, hammering and lathing processes. The spin forming creates the domed shape of cymbals, determining the basic vibration characteristics. The hammering and lathing make specific sound quality adjustments by changing the vibration characteristics. In this paper, we focus on how the hammering affects the cymbal's vibration characteristics. The hammering produces many shallow dents over the cymbal's surface, generating residual stresses in it. These residual stresses change the vibration characteristics. We perform finite element analysis of the hammered cymbal to obtain its vibration characteristics. In the analysis, we use thermal stress analysis to reproduce the stress distribution and then with this stress distribution we perform vibration analysis. The results show that the effects of thermal load (i.e., hammering) vary depending on the mode: an increase or decrease in the natural frequency. As a result, the peak frequencies and their peak values in the frequency response function change.