著者
城下 卓也 本多 一宏 井本 光次郎 細川 浩 林田 洋一 岡村 直樹 宮本 和彦
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.71-75, 2020-03-25 (Released:2020-04-30)
参考文献数
10

C-armガイド下に刺入した腸骨仙骨スクリュー(iliosacral screw)と経腸骨経仙骨スクリュー(transiliac- transsacral screw)の刺入精度と安全性を検討したので報告する.2017年12月から2019年4月の期間に不安定型骨盤骨折に対して,スクリューで後方固定を行った8例(男性5例,女性3例,平均64.8歳),11本(IS 6本,TITS 5本)を対象とした.全例が高エネルギー外傷で,5例にTAEを行った.骨折型はAO/OTA分類61B1:2例,B2:3例,B3:1例,C1:2例であった.Smith分類で正確性の評価を行い,Grade0,1,2,3が,それぞれ9,1,0,1本であり,術後合併症は認めなかった.術後整復位はRommensとHessmannの評価法を使用し,anatomic:3例,nearly anatomic:4例,moderate:1例であった.逸脱率は18.2%とC-armガイド下に安全にスクリューを刺入することが可能であったが,より正確な刺入を行うためには術中ナビゲーションの使用が望ましいと考えられる.
著者
久野 義徳 小林 貴訓 Lam Antony 福田 悠人
出版者
埼玉大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

まばたきはほとんど無意識のうちに行われているが、コミュニケーションの過程との関連が指摘されている。相手の話を理解して聞いているときは、相手のまばたきに同期して聞き手にまばたきが生じる。そこで、人間と円滑にコミュニケーションできるロボットの実現のために、ロボットのまばたきについて検討した。その結果、ロボットが話し手の場合、聞き手の人間は相手が人間のときと同様にまばたきの同期現象を示した。相手のまばたきをカメラ画像から検出して、それに同期してまばたきのできるロボットを開発した。これを用いて、ロボットが聞き手の場合の効果について実験したが、明確な結果は得られなかった。今後さらに検討が必要である。
著者
久米 功一 小林 庸平 及川 景太 曽根 哲郎
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.93-96, 2013 (Released:2014-08-12)
参考文献数
8

本稿では,仮想的な質問で得られた,法人税の増税や減税に対する企業行動の違いについて,リスクシェアリング,調整・取引コスト,法規制,赤字企業,非流動資産比率に着目して探索的に分析した.その結果,企業と従業員はリスクをシェアしており,売上高が大きく,流動資産が低く,赤字であり,労働法制を配慮している企業ほど,法人税の増減に対する対応に非対称性があることがわかった.
著者
福田 恵一 小林 芳夫 半田 俊之介 吉川 勉 内田 博 中村 芳郎
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.1913-1918, 1989-09-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
7

Methicnlin耐性ブドウ球菌 (MRSA) による感染性心内膜炎と, これに伴う大動脈弁閉鎖不全症にCefmetazole (CMZ) とFosfomycin (FOM) の併用療法を行い根治し得た症例を経験した。被検出菌はin vitroにおいてもDisc法及び平板法によりCMZとFOMの相乗効果がみられた。MRSA感染症において感染性心内膜炎のような重症感染症に対してもCMZとFOMの併用が有用であつたとの報告はなく, 両者の併用が相乗効果を持つことが確認できた希有な症例と考えられ報告した。
著者
野田 京花 森脇 睦子 額賀 みのり 佐々木 美樹 山内 和志 林田 賢史 緒方 泰子
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.88-98, 2022-07-31 (Released:2022-07-28)
参考文献数
27

本研究は,誤嚥性肺炎で自宅から入院した高齢患者の自宅外退院に影響する要因を,Diagnosis Procedure Combination(DPC)データを用いて患者要因の視点から検討した。対象は2018年4月から2019年3月に入院した患者23,781例とした。患者背景因子は,χ2検定及びMann-WhitneyのU検定を用いて「自宅/自宅外」で群間比較した。次に看護必要度評価項目の要約のために因子分析を行い,退院先を従属変数,患者背景因子,病院背景因子,看護必要度の各因子の有無を独立変数としてロジスティック回帰分析を行った。自宅外退院に影響する患者要因は「75–84歳」,「85歳以上」,「Activity of Daily Living(ADL)」,「危険行動」,「経管栄養」,「中心静脈栄養」,「A項目因子1: 循環・呼吸の管理」,「ドレナージの管理」,「危険行動×経管栄養」,「循環・呼吸の管理×褥瘡」,「A項目悪化」であった。ADL能力と医療的処置が重要な要因であることが明らかになった。
著者
上林 陽治
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.73-84, 2021-03-30 (Released:2023-03-30)
参考文献数
18

大学の非常勤講師のみで生計を立てるいわゆる専業非常勤講師は,1995年を境に大学教員における割合を高め,1998年には4万5370人(延べ数)だったものが2016年には9万3145人(延べ数)へと倍増し大学教員の3分の1を占めるに至った。これら専業非常勤講師は,週8コマ程度を受け持たない限り,年収300万円にも届かない高学歴ワーキングプアである。 増大の原因は,1991年から始まった大学院重点化計画による博士課程修了者の増加に見合う正規教員等の職が用意されなかったことにあるが,この問題が放置されたのは,正規「専務教員」が大学院重点化政策の過程で大学院へと移行し,少なくなった学士課程の「専務教員」の隙間を埋めるべく高学歴ワーキングプア層の専業非常勤講師が活用されていったことである。 すなわち大学経営は1990年代以降に政策的に生み出された高学歴ワーキングプアの専業非常勤講師を活用することで成り立っているのである。
著者
竹林 慎治 林 泰之 康本 明吉 籔内 咲 暁 久美子 大野 覚 池田 浩己 三浦 誠
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.65-69, 2015-03-31 (Released:2015-05-21)
参考文献数
17

魚骨異物は日常臨床でしばしば遭遇し, 診断・治療が容易な場合が多いが, 稀に困難な症例も存在する. 我々は, 3例の非典型的な魚骨異物症例を経験したので, 当院での頸部魚骨異物症例の検討を加えて報告する. 症例1は70歳の女性で, 舌筋層内に魚骨迷入し, 発症から受診まで半年を要し, 放線菌感染を伴う膿瘍形成を生じた. 症例2は68歳の女性で, 発症時近医喉頭ファイバースコープ検査で発見できず, 5日後右頸部膿瘍を生じ, 甲状腺右葉背側に迷入した魚骨を外切開により摘出した. 症例3は59歳の男性で, 舌扁桃内に埋没していたが, 経口腔的に摘出できた. 当院で4年半の間に60例頸部魚骨異物摘出術を施行し, CT 検査が有用であった.
著者
鈴木 三男 小林 和貴
出版者
日本植生史学会
雑誌
植生史研究 (ISSN:0915003X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.83-88, 2011 (Released:2021-06-16)

The material plant of a tinny basket excavated from the San’nai-maruyama site (early Jomon period) of Aomori, Aomori Prefecture, was identified as a stem of a monocotyledon in 1993. On the other hand, a further observation of the basket suggested that the studied material did not derive from the basket. Thus, a newly obtained material of the basket was reexamined anatomically and was shown to be the torn inner bark of a Cupressaceae tree. The original material formerly identified as a monocotyledonous stem was re-identified as a petiole of a fern akin to Arachniodes standishii (Dryopteridaceae). Furthermore, a rope excavated from the Sakuramachi site (middle Jomon period) of Oyabe, Toyama Prefecture, was also made of the same material. These results show that the original sample of the basket was a contamination from sedimentary deposits. This is the first report of a basket made of conifer bark and a rope made of fern petioles in the Jomon period of Japan.
著者
長崎 好輝 林 昌希 金子 直史 青木 義満
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.263-268, 2022-03-05 (Released:2022-03-05)
参考文献数
10

In this paper, we propose a new method for audio-visual event localization 1) to find the corresponding segment between audio and visual event. While previous methods use Long Short-Term Memory (LSTM) networks to extract temporal features, recurrent neural networks like LSTM are not able to precisely learn long-term features. Thus, we propose a Temporal Cross-Modal Attention (TCMA) module, which extract temporal features more precisely from the two modalities. Inspired by the success of attention modules in capturing long-term features, we introduce TCMA, which incorporates self-attention. Finally, we were able to localize audio-visual event precisely and achieved a higher accuracy than the previous works.
著者
林 洸太 原 由紀則 星川 慎弥 田尻 康人
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.631-634, 2016 (Released:2016-10-07)
参考文献数
13
被引用文献数
2

肩関節脱臼により障害される神経として腋窩神経以外の神経麻痺を合併することも稀ではない.今回,低エネルギーでの肩関節脱臼に伴う神経麻痺22例を対象として,麻痺発生頻度と各損傷神経の回復過程を検討した.損傷神経の発生頻度は肩甲上41%,腋窩73%,筋皮41%,橈骨59%,正中73%,尺骨64%であった.麻痺回復期間は,各神経の代表的支配筋間で有意差はなかったが,近位筋(三角筋;腋窩,上腕二頭筋;筋皮,橈側手根伸筋;橈骨)と遠位筋(小指外転筋;尺骨,示指深指屈筋;正中)と定義して比較すると,近位筋が3.6±1.8ヶ月,遠位筋が10.3±8.9ヶ月で,後者の回復が前者より有意に遅れていた.回復期間に影響を及ぼす可能性のある因子の比較において,軸索変性の有無を比較すると,遠位筋麻痺では軸索変性があると有意に回復が遅かった.遠位筋麻痺症例では軸索変性の有無の鑑別により回復時期の判断が可能であり電気生理学的検査を行うことが望ましい.
著者
小林 真貴子 石井 裕泰 藤原 斉郁 笠間 清伸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00246, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
16

セメント改良地盤の品質は地盤の不均質性や固化材の混合性などの影響を受けるため,適切な品質管理が求められる.一軸圧縮試験による現行の品質管理が,サンプリングされた供試体による標本調査に基づく強度把握であるのに対し,一軸圧縮試験では把握できない弱部の有無や連続的な強度分布を確認できる方法として針貫入試験がある.本研究では,針貫入抵抗値から一軸圧縮強さを推定する式に論理性を加えて,針貫入試験による強度推定精度の向上を目指している.本論文では,まず机上型装置での多点測定に基づく新たな推定の考え方を提案し,次にその検証のために,供試体作製法や強度の範囲が異なる種々のセメント改良土を対象に測定を行った.最後にその結果を用いて,具体的な推定式を提示し,提案推定方法の妥当性や推定精度の向上を確認した.
著者
小林 茂 徳井 直生 小林 大祐 図師 雅人 森下 静香 岡部 太郎 藤井 克英 後安 美紀 大井 卓也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4B3GS1104, 2023 (Released:2023-07-10)

障害のある人の文化芸術活動における人工知能技術の活用から見えてきた可能性と課題に関して報告する。奈良市のコミュニティ・アートセンター「たんぽぽの家アートセンターHANA」では、身体障害や知的障害のある人々が絵画、詩、演劇など多様な文化芸術活動を行っている。そうしたアーティストたちに共通する課題が、障害の重度化や加齢などにより心身の状態が悪化していく中における創造的な活動や新たな挑戦の継続である。例えば同施設に在籍していた武田佳子は、徐々に身体機能が失われるにつれ、画材や技法を変えながら制作を継続してきた。ここで着目したのがサポーターである。サポーターはアーティストたちの制作活動を支援する人々で、単なる支援に留まらずアーティストに一体化しているかのように見える場面も多数観察された。作品を素材とする画像生成や自助具的なツール制作などの試行を経て、本プロジェクトでは新たなサポーターとしての人工知能に着目した。DALL·E miniやStable Diffusionなどの画像生成技術を活用して取り組んだ活動から見えてきた「表現活動に寄りそう他者としての人工知能」の可能性と課題について報告する。
著者
矢崎 貴紀 小林 慎一 後藤 芳文 森 研堂 今井 航 渡辺 康孝 中村 大輝
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.669-675, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
16

平成14年度より文部科学省が推進しているスーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業では,学習者が主体的に探究活動に取り組むことが期待されている。本研究では,SSHにおける主体的な探究活動に影響する要因を明らかにすることを目的とした調査を実施した。中学3年生と高校生の計714名を対象とした質問紙調査を分析した結果,SSHにおける主体的な探究活動に影響する要因として「他者からの受容」「達成経験」「自己効力感」の3点が明らかになった。本研究の結果を踏まえれば,受容的な他者に支えられて達成経験を重ねる中で自己効力感を高めていくことが,SSHにおける生徒の主体的な探究活動の生起につながると考えられる。
著者
今出 政明 張 林 飯島 高志 福山 誠司 横川 清志
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.245-250, 2009 (Released:2009-04-01)
参考文献数
22
被引用文献数
12 11

The internal reversible hydrogen embrittlement (IRHE) of the thermally hydrogen-charged iron-based superalloy of SUH660 and austenitic stainless steels of SUS 304, 316, 316L, 316LN and 310S was investigated in the temperature range from 300K to 80 K. Hydrogen showed a marked effect on the tensile properties of SUH660 and SUS 304, a minimal effect on those of SUS316 and SUS316LN, and no effect on those of SUS 310S and 316L at room temperature. Although the IRHE of SUH660 decreased with decreasing temperature, those of SUS304, 316 and 316LN increased with decreasing temperature, reached a maximum at around 200 K, and decreased rapidly with decreasing temperature down to 80 K. It was observed that hydrogen caused transgranular fracture along the slip plane in the iron-based superalloy and brittle transgranular fracture along the strain-induced martensite lath in the austenitic stainless steels, respectively. It was suggested that IRHE of the SUH660 depended on the diffusion of hydrogen, and that IRHE of the austenitic stainless steels from 300 K to the maximum IRHE temperature depended on the transformation of strain-induced martensite and the behavior below the maximum IRHE temperature depended on the diffusion of hydrogen.
著者
小林 清治
巻号頁・発行日
no.25, 1972
著者
多田野 康太 諸江 雄太 長嶺 圭祐 廣嶋 俊 戸塚 亮 乃美 証 鷺坂 彰吾 山下 智幸 林 宗博
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.151-153, 2022-12-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
9

症例は20代, 男性。都内駅構内で何者かに突然液体をかけられ受傷した。現場で脱衣, 少量の流水で洗浄し日本赤十字社医療センターへ搬送された。現場で活動中の消防隊により液体はオキシ硫酸バナジウムと判明した。硫酸による化学熱傷と診断し, 来院時に多量の流水で洗浄し外用薬剤治療を開始した。受傷後約1週間後に上記受傷部を計10%程度のSDB~DDB相当と診断し, その後も軟膏による保存的治療を行った。さらに両側の角膜損傷も認めたため, 生理食塩液で眼球洗浄を行った。角膜損傷は両側角膜上皮欠損と診断され, ステロイドの内服と羊膜移植の後に, 治療用ソフトコンタクトレンズを使用した。皮膚, 角膜ともに良好な上皮化を得て, 受傷後約1カ月で退院した。その後外来治療を継続し, DDB相当の受傷部位は一部ケロイド瘢痕化, その他の部位は色素沈着となった。アシッドアタックによる化学熱傷は初期の十分な洗浄が重要である。
著者
梅木 茂宣 橋口 浩二 沖本 二郎 副島 林造
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.126-131, 1991-02-28 (Released:2017-02-10)

過去9年間に当科に入院した気管支喘息患者249例のうち, 原発性肺癌を合併した8例(扁平上皮癌5例, 腺癌2例, 小細胞癌1例, 3.2%;同期間の原発性肺癌例465例の1.7%) (A群) と肺外悪性腫瘍合併例8例 (胃癌3例, 悪性リンパ腫2例, 膀胱癌1例, 喉頭癌1例, 前立腺癌1例) (B群) について, それぞれの臨床像を比較検討した. A群では, 平均喘息罹患年数が19年で, 全例が感染関与型であり, 3例が軽症型喘息, 他の5例が中等症型喘息であった. B群では, 平均喘息罹患年数が20年で, 全例が感染関与型であり, 5例が軽症型喘息, 他の3例が中等症型喘息であった. 喫煙については, A群の平均BI値1194は, 肺癌非合併例 (241例) の同166およびB群の同169に対して有意に高かった. A群の平均生存期間26ヵ月以上はB群の同77ヵ月に対して有意に低かった. 以上の結果より, 肺癌合併気管支喘息では成人発症の感染型が多く, 原発性肺癌の発症には喫煙と加齢による影響の大きいことが示唆された.
著者
林 祥子 児嶋 秀晃 水野 潔道 保浦 慶之 清水 麗子 茅田 洋之 井坂 光宏 庭川 要 大出 泰久
出版者
一般社団法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.394-399, 2019-05-15 (Released:2019-05-15)
参考文献数
27

腎細胞癌(以下,腎癌とする)は血行性転移を来たしやすく転移部位として肺が最も多い.2002年9月~2015年3月に,腎癌根治術後に当科で切除した腎癌肺転移症例23例の治療成績と予後因子を検討した.5年無再発生存率は38.4%,5年生存率は91.3%であった.予後因子の解析では,区域切除または楔状切除症例は肺葉切除症例に比べて有意に予後良好であった(5年生存率100.0%/60.0%,P=0.01).腫瘍の主座では,末梢症例が中枢症例に比べ(5年生存率100.0%/77.8%,P=0.10),またDisease-free intervalでは24ヵ月以上の症例で予後良好な傾向を認めた(5年生存率100.0%/81.3%,P=0.11).腎癌肺転移は内科治療では根治が期待できないため,少数であるが無再発長期生存が期待できること,非担癌期間が得られることより,外科的切除の意義は高いと思われる.