著者
中西 希代子 宮本 文夫 橋本 博之 本郷 猛 林 千恵子 石井 俊靖
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.37-41, 2013-04-22 (Released:2017-01-27)
参考文献数
8

Daily intake of glyphosate in 2010 and 2011 at Chiba prefecture was estimated using total diet samples prepared according to the market basket method. One hundred eighty six and 175 kinds of foods were purchased from supermarket at Chiba in December 2010 and December 2011, respectively. The purchased foods were divided into 14 food groups as total diet samples, and contents of glyphosate in those groups was analysed by high-performance liquid chromatography with fluorescence (HPLC-FL). Glyphosate was detected from second food group (Cereals and potatoes) and 13th food group (Seasonings and spices, other foods) among 14 food groups. Estimated daily intake of glyphosate in all food groups were 24.2μg/day in 2010, and 17.6μg/day in 2011. These estimated daily intake were accounted for 0.064% in 2010, and 0.047% in 2011 of the ADI assuming a body weight of 50 kg. The foods contribute to glyphosate detected from second food group were breads, fu, boiled noodle, macaroni, and that in 13th food group was soy sauce. Glyphosate detected by HPLC-FL method from above two food groups and those foods was identified by liquid chromatography with tandem mass spectrometry. Above these foods were all contained flour. Therefore, it seems to be high possibility that detected glyphosate is originated from flour.
著者
初田 慎弥 大野 真史 泉 知論 孟 林
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 41.27 映像表現&コンピュータグラフィックス (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.25-28, 2017 (Released:2021-08-25)
参考文献数
12

外来生物であるアライグマが国内で繁殖し,農作物や建造物などに被害を及ぼしている.我々は野外カメラ・監視カメラの高度化により,生態や分布の分析,迅速かつ的確な対応に貢献することを目指す.本稿では,監視カメラ等組込みシステム向けの害獣の自動検出手法を検討する.一般的な画像認識手法に倣い,特徴量抽出にはHOG (Histograms of Oriented Gradients) を用い,分類にはSVM (Support Vector Machine)またはNN (Neural Network)を用いる.併せて近年注目されている深層学習の一種であるCNN (Convolutional Neural Network) を用いた特徴量抽出・分類も試行する.飼育施設で撮影したアライグマおよびタヌキの画像を学習・テストデータとし,HOG+SVM では 89.8%, HOG+NN では 88.5%, CNN では94.5% の正答率を得た.PC上での評価では,実行時間はそれぞれ111ms, 0.681ms, 11.9ms であった.
著者
林 哲也
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.145-160, 2022 (Released:2022-11-22)
参考文献数
74

地球上には膨大な数の多様な細菌が存在し,各菌種は様々なレベルの菌種内多様性を示す。このような多様性が出現する背景には,細菌のもつ外来性遺伝子獲得能力の高さと多様な可動性遺伝因子の存在がある。私は最初に緑膿菌サイトトキシンの生化学・遺伝学的解析と本毒素遺伝子をコードするファージのゲノム解析に取り組むなかで,細菌の遺伝的多様性とファージなどの可動性遺伝因子に対する興味が大きく膨らむとともに,ゲノム解析の威力を実感し,これを契機に腸管出血性大腸菌をはじめとする様々な病原細菌,さらには人や動物の常在菌(叢),環境中の微生物集団などをゲノム解析の勃興から次世代シーケンサなどの開発による革命的なゲノム研究の進展という刺激的な流れの中で研究を進めてきた。本稿では,私が行なってきた様々な細菌のゲノム解析の中から,まず緑膿菌ファージに関連した解析と腸管出血性大腸菌関連の解析を紹介し,次に大腸菌などとは極めて対照的なリケッチア科のゲノムの解析,また非常に限られたゲノム変化を捉える必要のある院内感染のゲノム疫学や同一宿主内でのゲノム多様化の解析についても簡単に紹介する。
著者
林 真木子 高見沢 実
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.82-85, 2004-11-28 (Released:2022-09-01)
参考文献数
13

本研究では今後必要とされるであろう中心市街地活性化事業における評価手法に着目し、日本における現状・中心市街地活性化の先進事例であるアメリカ・イギリスでの評価手法を調査することにより、今後、わが国において評価手法を本格的に導入する際の一知見となることを目的とする。特に評価手法の活用方法が興味深いイギリスTCMの事例をについて詳しく調査を行った。TCMでは客観的なデータに基づいたKPIs(主要達成度指標)が評価手法として使われている。その導入目的は、資金獲得とマネージメントツールとしての利用の2点である。活用面の特徴としては、データ収集面の重視などが挙げられ、指標自体の特徴としては量だけでなく質も評価できる指標を採用していることなどが挙げられる。
著者
小林 謙一 春成 秀爾 坂本 稔 秋山 浩三
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.139, pp.17-51, 2008-03-31

近畿地方における弥生文化開始期の年代を考える上で,河内地域の弥生前期・中期遺跡群の年代を明らかにする必要性は高い。国立歴史民俗博物館を中心とした年代測定グループでは,大阪府文化財センターおよび東大阪市立埋蔵文化財センターの協力を得て,河内湖(潟)東・南部の遺跡群に関する炭素14年代測定研究を重ねてきた。東大阪市鬼塚遺跡の縄文晩期初めと推定される浅鉢例は前13世紀~11世紀,宮ノ下遺跡の船橋式の可能性がある深鉢例は前800年頃,水走遺跡の2例と宮ノ下遺跡例の長原式土器は前800~550年頃までに較正年代があたる。奈良県唐古・鍵遺跡の長原式または直後例は,いわゆる「2400年問題」の中にあるので絞りにくいが,前550年より新しい。弥生前期については,大阪府八尾市木の本遺跡のⅠ期古~中段階の土器2例,東大阪市瓜生堂遺跡(北東部地域)のⅠ期中段階の土器はすべて「2400年問題」の後半,即ち前550~400年の間に含まれる可能性がある。唐古・鍵遺跡の大和Ⅰ期の土器も同様の年代幅に含まれる。東大阪市水走遺跡および若江北遺跡のⅠ期古~中段階とされる甕の例のみが,「2400年問題」の前半,すなわち前550年よりも古い可能性を示している。河内地域の縄文晩期~弥生前・中期の実年代を暫定的に整理すると,以下の通りとなる。 縄文晩期(滋賀里Ⅱ式~口酒井式・長原式の一部)前13世紀~前8または前7世紀 弥生前期(河内Ⅰ期)前8~前7世紀(前600年代後半か)~前4世紀(前380~前350年頃) 弥生中期(河内Ⅱ~Ⅳ期)前4世紀(前380~前350年頃)~紀元前後頃すなわち,瀬戸内中部から河内地域における弥生前期の始まりは,前750年よりは新しく前550年よりは古い年代の中に求められ,河内地域は前650~前600年頃に若江北遺跡の最古段階の居住関係遺構や水走遺跡の遠賀川系土器が出現すると考えられ,讃良郡条里遺跡の遠賀川系土器はそれよりもやや古いとすれば前7世紀中頃までの可能性が考えられよう。縄文晩期土器とされる長原式・水走式土器は前8世紀から前5世紀にかけて存続していた可能性があり,河内地域では少なくとも弥生前期中頃までは長原式・水走式土器が弥生前期土器に共伴していた可能性が高い。
著者
他田 真理 池内 健 竹林 浩秀 加藤 隆弘 柿田 明美
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

白質の恒常性維持機構のキープレイヤーはミクログリアとアストロサイトである。私たちはミクログリアの分化や機能に必須であるCSF1Rの変異によるAdult-onset leukoencephalopathy with axonal spheroids and pigmented gliaの患者脳に、ミクログリアの異常に加え、アストロサイトの過剰な反応と変性を見出し、ミクログリアの機能不全によるアストロサイトへの制御機構の破綻が白質変性を引き起こすという仮説を得た。本研究では、ミクログリオパチーをモデルとして、ミクログリアによるアストロサイトの制御機構の存在とその白質変性への関与を証明する。
著者
浪平 篤 後藤 眞宏 小林 宏康
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1189-1194, 2008 (Released:2010-08-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

There is the case to have to make the slope of the fishway steeper than the standard range, according to the geographical features condition. In this research, measurement of flow structure and observation of swimming behavior of Leuciscus hakonensis at the hydraulic model of the pool and weir type fishway with slope 1/5 were conducted. Main results are shown as follows; 1) Ascending rate of this species in TYPE C which has short pools in flowing direction is higher than in TYPE B which has big steps between each pools when the overflow depth equals 5-10 cm, ascending rate of this species over 9-10 cm in TYPE B is higher than in TYPE C when the overflow depth equals 15-20 cm. 2) The difference of flow structure doesn't necessarily greatly influence ascending rate of this species. 3) About this species, it is necessary to select TYPE B or C corresponding to the assumed range of the overflow depth.
著者
林 叢
出版者
日本比較文学会
雑誌
比較文学 (ISSN:04408039)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.35-48, 1990-03-31 (Released:2017-06-17)

“Wild Grasses” by Lu Xun is a collection of prose poems, characterized by their highly symbolical style. Lu Xun took an interest in “The Seventh Night” of “Ten Nights of Dreams” by Soseki Natsume. Its influence can be seen in the work, “A Traveler” in Lu Xun’s book. “A Traveler” and “The Seventh Night” share a similarity in their descriptions of such things as the trip to the West and infinite space. Lu Xun translated Hakuson Kuriyagawa’s comments on literature, which led him again to focus his attention on Soseki and his works. However, “The Seventh Night” elaborates on the anxieties human beings have concerning their existence in modern society, while “A Traveler” describes the will of human beings struggling to find a way of life and a future path for society, in the face of suppression by the old establishment. A difference can be seen here in the two authors’ viewpoints, and Lu Xun’s positive approach can also be seen in his acceptance of Soseki and his works.
著者
林 幸史 藤原 武弘
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.17-31, 2008 (Released:2008-11-14)
参考文献数
63
被引用文献数
3 2

本研究の目的は,日本人海外旅行者の観光動機の構造を明らかにし,訪問地域・旅行形態・年令層による観光動機の違いを比較することである。出国前の日本人旅行者1014名(男性371名,女性643名)を対象に観光動機を調査した。主な結果は以下の通りである。(1)観光動機は「刺激性」「文化見聞」「現地交流」「健康回復」「自然体感」「意外性」「自己拡大」の7因子構造であった。(2)観光動機は,年令を重ねるにつれて新奇性への欲求から本物性への欲求へと変化することが明らかになった。(3)アジアやアフリカ地域への旅行者は,今までにない新しい経験や,訪問国の文化に対する理解を求めて旅行をする。一方,欧米地域への旅行者は,自然に触れる機会を求めて旅行をすることが明らかになった。(4)個人手配旅行者は,見知らぬ土地という不確実性の高い状況を経験することや,現地の人々との交流を求めて旅行をする。一方,主催旅行者は,安全性や快適性を保持したままの旅行で,外国の文化や自然に触れることを求めて旅行をすることが明らかになった。これらの結果を踏まえ,観光行動の心理的機能について考察した。
著者
小林 紀子 臼井 俊博 新井 清一 福田 忠彦
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.36-44, 2002-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

人は種々の肌状態を評価する際に, 顔のどの部分をどのように見て判断しているのであろう。本研究の目的は, スキンケアで重視しなければならない部位や, 美しい肌を演出するために重視すべき部位を明らかにすることである。測定方法は, 「キメの粗さ」「つや」「なめらかさ」「肌の美しさ」など14項目についてモデルの肌を評価し, その際の眼球運動データを測定した。その結果, 頬や鼻は多くの評価項目において注視されることがわかった。「毛穴の目立ち」の評価では鼻の頭や小鼻のあたりに注視がみられ, 主観申告による判断部位と一致していた。また, 「つや」の評価では, 鼻の頭や頬のふくらんだ部分に注視の集中がみられた。このように, 評価する肌項目によって注視される部位が異なっていることが本研究より明らかとなった。さらに, 「肌の美しさ」の評価では, 頬上部から鼻周辺, 口周辺, 頬下部の範囲に注視が分布した。本研究により, 肌を評価する際の眼球運動が定量的に示された。このことは, スキンケアや美容に関するカウンセリングに役立つ情報が得られるだけでなく, 新しい皮膚計測法の開発において, 測定すべき部位を決めるためにも役立つと考えられる。
著者
舟橋 満寿子 長 博雪 鈴木 康之 工藤 英昭 松尾 多希子 許斐 博史 堀口 利之 林田 哲郎 玉川 公子
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.9, pp.647-656, 1993-09-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
14
被引用文献数
10 2

嚥下・呼吸障害を呈する重度重複障害児者の一部に誤嚥防止を目的として気道・食道の分離を試み,単純気管切開を含め各術式の有効性を比較検討した.その結果,喉頭気管分離術が,下気道感染症の激減,呼吸機能・嚥下機能・栄養状態の改善,経口摂食の獲得,術後合併症の少ないことなど,すべての面で他の術式より優れていた.彼らの生活は受動的になりがちだが,外科的方法も含め呼吸・嚥下という生命の基本のリハビリテーションを適切に行うことで能動的な活動を引き出しえた.ただし術後再閉鎖の可能性は彼らには少ないので,手術的方法を選ぶ場合,十分利点・欠点を検討し,彼らの生活の質の向上をめざすものであるべきと思われる.
著者
桜林 耐 高江洲 義滋 萩野下 丞 竹田 徹朗 宮崎 滋 甲田 豊 湯浅 保子 酒井 信治 鈴木 正司 高橋 幸雄 平沢 由平
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.241-247, 1997-04-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
20
被引用文献数
2

目的: 血液透析の循環血液量 (BV) に対する影響を検索する第一歩として, 除水のない条件で検討した. 方法: クリットラインモニター (IN-LINE DIAGNOSTICS社製) で慢性血液透析10症例の無除水血液透析施行中のヘマトクリットを計測し, BVの変化を算定した. BVの変化 (ΔBV) を, mono-exponential関数: ΔBV(%)=A×〔1-exp(-B×t)〕-C×t, t: time (hour) で近似し, 各係数を臨床指標と比較検討した. 結果: 1) 全症例でBVの増加を認めた. BVの変化は上の近似式と良好に相関した (0.92<r<0.99, p<0.0001). 2) BVの増加率を表わす係数Aは8.66±2.92で, 体外循環充填量 (200ml) と回路回転血液量 (180から200ml/分) との和の全血液量に対する割合に相当した. また係数Aは胸部X写真の心胸比 (CTR) (r=0.88, p=0.0008), 透析開始前血清アルブミン濃度 (r=0.80, p=0.03) と有意に正相関した. 3) BVの増加速度を表わす係数Bは2.02±0.77で, BV増加は2時間で全増加量の99.9%に達した. 4) 係数Cは-1.64から1.06とばらつき, 臨床指標との相関はなかった. 結論: 無除水血液透析ではBVは経時的に増加した. この推移はmono-exponential関数に良好に近似され, その増加量が体外循環に必要な血液量にほぼ等しく, CTRや血清アルブミン濃度に正相関したため, BV増加の機転は体外循環に喪失する血液の補填であると考えられた. 近似式の係数Aは, BV増加の程度を表わし, hydrationやplasma refillingを反映する指標として有用であると考えられた.
著者
大澤 義明 城所 幸弘 栗野 盛光 小林 佑輔 櫻井 一宏 小林 隆史 和田 健太郎 高野 祐一
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

EVシフトが進めば、大幅な税収減となり新たな財源の確保が必要となる。一方で、インフラ維持管理費用が深刻な問題となる。走行距離など移動経路に応じて課税する受益者負担の考え方はわかりやすく身の丈にあったインフラ量を誘導する。道路修繕更新費用の一部が走行税で賄われる受益者負担課金を想定し、地方自治体まちづくりに与える影響を分析し、社会最適化などの理論モデルを構築する。