著者
菅森 義晃 桑原 希世子 竹村 静夫
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.533-550, 2023-10-28 (Released:2023-10-28)
参考文献数
110

丹波-篠山地域には超丹波帯のペルム紀-三畳紀中期地質体,丹波帯の三畳紀後期-ジュラ紀地質体および白亜系陸成相の篠山層群等が分布している.篠山地域(兵庫県の丹波市南東部および丹波篠山市西部)の超丹波帯味間層はかつてペルム紀の地層を不整合に覆う中生界と考えられていたが,近年,ペルム紀の地層であることが明らかとなった.青垣地域(丹波市北部)に分布するチャート-砕屑岩シークエンスは,超丹波帯がペルム紀に形成された付加複合体と解釈できる根拠の1つである.また,超丹波帯が篠山層群に不整合で覆われることは,超丹波帯・丹波帯の地質構造を支配する正立褶曲の形成時期を決定する上で極めて重要な事象である.一方,菟原地域(京都府福知山市南東部)の丹波帯にはパンサラッサの遠洋深海相であるペルム系-三畳系境界が存在し,これについて古生物学的検討や地球化学的検討がなされてきた.本巡検において,これらの中・古生界の露頭の一部を紹介し,ペルム紀から白亜紀にわたる地質構造発達史やペルム紀から三畳紀における環境変動について理解を深めたい.
著者
横田 隆徳 仁科 一隆 桑原 宏哉
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.303-306, 2016 (Released:2016-11-10)
参考文献数
22

Two major types of oligonucleotide drugs for gene silencing, short interfering RNA (siRNA) and RNase H active antisense oligonucleotides (ASOs), microRNA (miRNA) and Aptamer are being developed as therapeutic platforms orthogonal to small molecule and protein therapeutic. We outlined these oligonucleotide drugs. Despite progress in the design of new oligonucleotide chemical modifications, methods which improve potency of oligonucleotide drugs in animals are highly desirable. The insufficient delivery, poor cellular uptake and their inefficient access to target RNA during intracellular trafficking are major impediments to in vivo silencing by conventional oligonucleotide drugs. Here we developed a short DNA/RNA heteroduplex oligonucleotide (HDO) with a structure different from siRNA of double–stranded RNA and ASO of single–stranded DNA. When the DNA strand was used as 13–mer locked nucleotide acid (LNA) gapmer ASO and RNA strand was conjugated with vitamin E (α–tocopherol) (Toc–HDO), it achieved the most efficacious gene silencing in yet reported ASOs.
著者
木庭 顕 両角 吉晃 松原 健太郎 原田 央 桑原 朝子 森田 果 金子 敬明 加毛 明 滝澤 紗矢子 岩原 紳作 神作 裕之 太田 匡彦 齋藤 哲志 川村 力
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近代のヨーロッパ・アメリカのみならずギリシャ・ローマ、イスラム、中国、日本の専門家が借財・土地担保・金融等々の社会史的分析をもちより、同時にこれらを(同じく歴史的に多様な)法的な枠組との間の緊張関係にもたらした。そしてそれらをめぐって比較の観点から激しい討論を行った。その結果、現代の信用問題を見る眼と信用問題の歴史を見る眼が共有する或る視座の限界が明らかになった。これは新しい視座の構築方向を示唆する。

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著者
桑原真瑞 著
出版者
霊肉統一団
巻号頁・発行日
1924
著者
桑原 雅夫 井料 美帆
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_493-I_505, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
17

本研究は,古の都である平安京について,人々の移動パターンと貴族の動きを定量的に解析し,考察を加えたものである.平安京については,道路ネットワークの構造や道幅など幾何構造に関することは,よく知られているものの,その中で人々がどこに立地し,どのように移動していたのかについては,ほとんど調査分析が行われていない.本研究では,まず平安京やその前の律令時代の文献に基づいて,平安京の土地利用,身分別の住居の分布を推定した.次に,土地利用や住居分布に基づいてOD交通量を推定して交通量配分を行い,平安京街路の交通量について考察を行った.また,特権階級であった少数の貴族については,一般の庶民や役人の動きとは異なることから,別途に藤原実資の小右記に基づいて再現した.
著者
桑原 圭裕
出版者
関西学院大学
巻号頁・発行日
2012

博士論文
著者
八木 美佑紀 桑原 未来輝 松本 実優 宮澤 未来 落合 和
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第49回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-29S, 2022 (Released:2022-08-25)

妊娠期には体の不調とともに妊婦の10%程度がうつ病に罹患している。妊婦への向精神薬等の投与は胎児への安全性を考慮し慎重に行う必要がある。そのため、気軽に摂取できるサプリメントの需要が高まっており、その中でもCannabidiol(CBD)という成分が注目されている。CBDは、大麻に含まれる主要なカンナビノイドの一つであり、精神作用がなく、抗不安作用を示すことが報告されている。したがって、今後、妊婦が不安を解消するためにCBDを気軽に摂取することも想定される。しかしながら、妊娠中にCBDを使用する際の胎児への影響については知見が乏しいのが現状である。本研究では、妊娠中にCBDを使用した際の、胎児への安全性について、薬物動態学と神経発生学の観点から解析した。我々はまず、妊娠中期のマウスにCBDを投与した際の胎児とその脳への移行性をLC-MSを用いて解析した。その結果、CBDは速やかに母体から胎児へと移行することに加え、胎児の脳内にも移行がみられた。胎児期の大脳皮質では、神経幹細胞からニューロンへの分化が活発になり、大脳皮質の6層構造が形成されはじめる。したがって、母体から胎児脳へと移行したCBDがこの過程に影響を及ぼすことが危惧される。そこで次に、胎児の神経発生に対するCBDの影響を解析した。本研究の結果から、妊娠中のCBD 使用は、神経幹細胞の増殖を促進し、IV層のニューロンが減少させることで、大脳皮質の層構造に異常をもたらす恐れがあることが示唆された。
著者
桑原 大輔 梅原 拓也 岡田 泰河 木藤 伸宏
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.186-194, 2023-10-20 (Released:2023-10-20)
参考文献数
40

【目的】これまでに,高齢心不全患者の運動耐容能と下肢筋力の改善に適した運動療法について知見は乏しい。本研究の目的は,高齢心不全患者に対する運動療法が運動耐容能と下肢筋力の改善に有効か検証することとした。【方法】本研究のデザインは,システマティックレビューとメタアナリシスとした。2023年1月以前の臨床論文から,5つの電子データベースより,運動耐容能と下肢筋力に対する運動療法の効果を検証したランダム化比較試験を検索した。【結果】8編が対象となった。統合の結果,有意な効果を示したのは,最高酸素摂取量と6分間歩行距離および筋持久力であった。有意な効果を示した論文では,慢性期の心不全患者に中強度以上の有酸素運動とレジスタンストレーニングまたはバランス運動による複数の運動療法を実施していた。【結論】高齢心不全患者の運動耐容能の改善には,複数の運動療法を組み合わせることが有効である可能性が示唆された。
著者
桑原 芳哉
出版者
学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会
雑誌
尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編 (ISSN:21875235)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.15-27, 2015-03-31 (Released:2019-02-16)

本研究では,公立図書館における指定管理者制度導入実態について,網羅的な調査を行い,公立図書館における指定管理者制度の特徴について分析することを目的とする。調査の結果,2014年11月現在,193自治体,469館において指定管理者により管理運営が行われていることが確認できる。2011年度以降は,図書館の管理運営に新たに指定管理者制度を導入する自治体の増加が鈍化する傾向にある。図書館は他の公立社会教育施設と異なり,指定管理者として民間企業が指定される割合が高く,特に図書の納入や書誌データの作成等について実績を有する特定の企業に指定が集中しているという特徴がある。
著者
桑原 和代
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.109-115, 2013-03-20 (Released:2017-03-27)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究は、医療を受ける子どもに対して行うプレパレーションに関する、日本の看護師と米国のチャイルドライフ・スペシャリスト(以下CLS)の介入の違いを明らかにすることを目的に、1980年〜2008年の日本の看護師、または、米国のCLSが著者に含まれるプレパレーションに関する文献を検討した。違いは、プレパレーション過程での子どもへの対応でみられ、アセスメントと情報の伝え方、感情表出への対応、処置/検査中の対応、終了後の対応に分類された。看護師は、子どもに処置や検査の過程をイメージできるように順序立てて伝え、子どもの覚悟を決める力と頑張る力を支援していた。一方CLSは、子どもの処置や検査に関する不安やストレスに注目し、気持ちの表現を促しながら、子ども自身が対処していく過程を遊びを通して支援していた。日本において看護師とCLSが協力してプレパレーションを行う方法を考察した。
著者
吉田 啓子 桑原 礼子
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.75-82, 2004-03-31

台所で常に利用し、食品や器具類と接する機会の多い洗浄用のスポンジ・たわしは衛生的取扱が難しく、煩雑になりやすいと考えられる。そこで台所用スポンジ・たわしの微生物学的実態調査を行うと共に、Esherichia coli IAM12119^T, Bacillus subtilis IAM12118^T, Pseudomonas fluorescens IAM12022^Tをそれぞれをスポンジに接種し、乾燥させた状態あるいは湿った状態で20℃、30℃と温度を変えて保存しそれぞれの消長を観察し2, 3の知見を得た。
著者
長岡 千賀 小森 政嗣 桑原 知子 吉川 左紀子 大山 泰宏 渡部 幹 畑中 千紘
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.188-197, 2011

本研究は,心理カウンセリングの対話における,カウンセラーがクライエントを望ましい変化へと導くそのプロセスを明らかにするための予備的研究である.長岡・小森(2009)では熟達したカウンセラーが施行した50分間の模擬カウンセリングを収録し,クライエントとカウンセラーの身体動作の同調性,カウンセラーの発話冒頭形式(発話の最初に相槌的表現がついている,など)およびクライエントの長い沈黙に関して定量的分析を行った.その結果,身体動作の同調性は,カウンセラーの発話冒頭形式の時系列的変化,ないしクライエントの沈黙の出現にほぼ同期して変化していたことが示された.本研究ではこれを踏まえ,非言語行動の変化の直前に焦点を置き,その際のクライエントとカウンセラーの発話内容に対する臨床心理学の熟達者による解釈,ならびにクライエントやカウンセラー本人にカウンセリング映像を見せながら報告させた内観を分析した.結果から,非言語行動が変化するのと対応して,クライエントとカウンセラーに心理的変化が生じていることが示された.クライエントの心理的変化に関わるカウンセラーの技能について議論した.
著者
王 麗楊 用稲 栄 寒川 昌平 山田 佐知子 桑原 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.103-107, 2018 (Released:2018-01-28)
参考文献数
16
被引用文献数
3

カルシウム (Ca) の生理学的効果は, イオン化Ca (iCa) 濃度によって決定されるが, iCaは日常的には測定されていない. 日本では血清アルブミン (Alb) 濃度を用いて血清総Ca (tCa) を補正した補正Ca (cCa) が広く用いられている. 今回われわれは, 低Alb血症の血液透析患者で現在用いられている補正式 (Payneの式およびKDOQI-1式, KDOQI-2式) が適切かどうかを検討した. 血液透析患者41名のうち, 血清Alb 3.7g/dL未満であった33名で, iCaとtCa, cCaの相関を比較検討した. AlbはBCP改良法で測定し, 測定値に0.3g/dL加えた値をBCG法の推測値として用いた. cCaとiCaとの相関係数はKDOQI-1式が最も高く, 次いでtCa, KDOQI-2式となり, Payneの式との相関が最も低かった. KDOQI-2式, Payneの式は低Ca血症の見逃しが多く, 偽性高Ca血症も2例認めた. 一方, tCaでは偽性低Ca血症を7例認めた. 低Alb血症患者のiCaに対応したtCaの推定にはKDOQI-1式によるAlb補正Ca濃度評価が勧められる.
著者
濟渡 久美 長谷川 莉子 桑原 明 石川 伸一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.67-78, 2022 (Released:2022-03-04)
参考文献数
30
被引用文献数
1

豆乳および牛乳を用いて, 各種増粘剤 (ゼラチン, キサンタンガム, ɩ-カラギーナン) 添加によるエスプーマの起泡安定性を中心とした物理的特性, および若年層, 高年層による官能特性を検討した. 起泡性は, 豆乳N2Oエスプーマおよび牛乳N2Oエスプーマともに増粘剤添加濃度が高いほど起泡性が低下する傾向がみられた. 泡沫の安定性は, 豆乳N2Oエスプーマおよび牛乳N2Oエスプーマともに増粘剤添加濃度が高いほど増加した. 食材によって, 安定性の向上に適した増粘剤の種類や濃度が異なることが示唆された. 嚥下調整食コード2の食品物性を示したエスプーマは, 2.0%ゼラチン添加牛乳N2Oエスプーマ, 0.2%ɩ-カラギーナン添加豆乳N2Oエスプーマであった. 若年層, 高年層による官能評価の結果豆乳N2Oエスプーマは有意に飲み込みやすいと識別され, 豆乳CO2エスプーマは苦いと識別された. 0.2%ɩ-カラギーナン添加豆乳N2Oエスプーマは若年層において, 最もべたつきやすいと識別された. 増粘剤を添加した豆乳および牛乳エスプーマは, 嚥下調整食の新しい調製方法として期待される.