著者
神保 秀一 林 実樹広 中路 貴彦 儀我 美一 森田 喜久 三上 敏夫 本多 尚文
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

平成9-11年度の期間,非線型偏微分方程式に現れる解の力学系の観点からの研究を行った.本研究組織の得た主たる研究成果は次の通りである.(i)ギンツブルグランダウ方程式の安定解の存在と領域依存性を様々な場合について研究した.また,ボルテックスをもつ安定解の存在についてトポロジカルに多様なものを得る方法を考案した.非一様状況の状況におけるパターンフォーメーションも研究した.(ii)非定常複素ギンツブルグランダウ方程式の周期解の安定性や領域依存性について研究した.(iii)非定常ギンツブルグランダウ方程式の特異極限問題において力学系が有限次元に還元され常微分方程式の有限システムによって表され,さらにその表現公式を得た.(iv)反応拡散方程式に現れるホモクリニック軌道のパラメータによる構造変化(力学系の分岐現象)を研究した.(v)平均曲率流,表面拡散方程式などの曲面発展方程式に現れる力学系を研究し,漸近挙動や幾何学的な特徴を解析した.(vi)システムの非線型波動方程式について成分ごとに伝播速度が異なる場合について大域解の存在を研究した.(vii)急拡散方程式の解の消滅現象を研究した.(viii)ランダム結晶のなす曲率流方程式の定性的な研究.(ix)領域が部分的に退化する特異摂動において,半線型楕円型方程式の解の挙動の特徴付けをおよびラプラシアンの固有値の摂動公式を研究し(ノイマン境界条件),従来から知られている結果を退化次元が一般の場合へと拡張した.
著者
上野 彩夏 千貫 祐子 森田 栄伸
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.407-409, 2022-10-01 (Released:2022-11-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

【背景】α-Gal syndrome は,マダニ咬傷によってマダニ唾液腺中の galactose-α-1,3-galactose(α-Gal)に感作された患者が,獣肉の α-Gal に対してアレルギーを発症する疾患である。α-Gal syndrome 患者は哺乳類肉の他,抗悪性腫瘍薬のセツキシマブやカレイ魚卵にもアレルギーを生じる。対処法として,感作原因であるマダニ咬傷回避の指導が重要である。【目的】マダニ咬傷回避の指導による α-Gal syndrome 患者の予後を解析する。【方法】α-Gal syndrome 患者 13 例(初診時年齢 38~81 歳,平均 66.8 歳,男性 8 例,女性 5 例)について,診断と同時にマダニ咬傷回避の指導を行い,その後定期的に牛肉特異的 IgE 値を測定し,臨床的予後を検討した。【結果】13 例中 9 例が,定期的な経過観察中に牛肉特異的 IgE 値が陰性化した(マダニ咬傷回避の指導開始から牛肉特異的 IgE 陰性化までの期間 11~78 カ月,平均 41.1 カ月)。このうち 5 例が獣肉全般の摂取が可能となり,2 例が豚肉のみ摂取可能となり,2 例が恐怖心から獣肉摂取を回避している。【結論】α-Gal syndrome はマダニ咬傷回避の指導によって多くが治り得る。ほとんどの患者がマダニ咬傷には気付いていないため,日常生活上の徹底的な回避の指導が重要と考える。
著者
藤田 仁 森田 学 草加 勝康
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.707-713, 2008-06-20 (Released:2008-07-19)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

In chest CT images, the dorsal lower lung field often shows an infiltration-like shadow in patients who cannot stop breathing or take a deep breath. The cause of this phenomenon might be due to the effects of gravity. Since we had observed decreased effects of gravity by conducting additional CT scanning for patients in an oblique position (55°) or a nearly lateral position, we conducted a clinical study to investigate this matter. Forty-three patients (23 patients in the normal group and 20 patients in the inflammatory disease group) who underwent additional CT scanning were included in this study. CT values for the region in which infiltration-like shadow was observed in both positions (dorsal position and oblique position) were measured. The ratio of fluctuation in the CT value of the dorsal lower lung field at a positional change from the dorsal to the oblique position was calculated as a coefficient of fluctuation C (%). As a result, the coefficient of fluctuation C (%) was 32.6±13.6 in the normal group and 6.7±6.8 in the inflammatory disease group. The effects of gravity were improved by additional CT scanning in an oblique position (55°) or a nearly lateral position, and this enabled differentiation of the effects of gravity vs. inflammatory diseases.
著者
森田 剛成 軸丸 祥大
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.77-80, 2018-05-31 (Released:2018-09-01)
参考文献数
9
被引用文献数
4 1

Ceratocystis canker is one of the most serious diseases of figs, Ficus carica, in Japan. Some fungicides, such as triflumizole WP (T) and thiophanate-methyl WP (TM), have been drenched monthly to control the disease. However, these fungicides are not applied during harvest season because of registration restrictions, and losses of soil drench during harvest season were feared. We evaluated effectiveness of control with soil drenches of the newly registered tebuconazole WP (TE), which can be used up to the day before harvest. We planted fig cuttings in the soil contaminated with Ceratocystis ficicola, causal agent of Ceratocystis canker. Treatments were as follows: 1) control, 2) existing treatment (T and TM drenched bimonthly from April to October, except for the harvest period from August to October), 3) existing treatment plus TE at harvest (TE drenched monthly from August to October). Cumulative death rates of plants in each treatment were evaluated for 3 years. More than half of the plants died in the control, and less than half of plants died in the existing treatment. On the contrary, no plants died in the existing treatment plus TE. These results suggest that existing treatment plus TE possess high control effect against the disease.
著者
森田 果 井深 陽子 日引 聡 尾野 嘉邦
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

法学における実証分析の近時の国際的な潮流は,実験によって収集されたデータを利用して実証分析を行うことに移りつつある。実験を行うことで,ランダム化比較対照実験を実現することができ,因果関係を正しく判別することができるからである。しかるに,日本の法学からの実験データを利用した実証分析の国際的な発信はほとんどなされておらず,国際的な実証法学への日本からの貢献は非常に低調である。そこで本研究は,COVID-19の下でも低コストで実施可能なオンライン実験を実施していくことで,消費者法・医事法・環境法の分野を中心に実験データに基づいた実証法学の日本からの国際的な貢献を実現することを目指す。
著者
山元 直道 古賀 誠 村田 雄一 森田 三佳子 松本 俊彦
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.391-397, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
21

筆者らは地域生活を送る,薬物や処方・市販薬の物質使用障害者を対象とした作業療法プログラム「Real生活プログラム(以下,リア活)」を開始した.本研究の目的は,リア活に参加した対象者のケアニーズや生活上の目標をテキストマイニングの手法で分析し,本プログラムの今後の方向性を検討することである.リア活参加者30名の分析の結果,共起ネットワークでは8個のサブグラフが検出され,人とのつながりや社会復帰,薬物への欲求対処,生活の改善・安定,就労準備に分類できた.リア活は,複雑な背景や症状を抱える物質使用障害に対するテーラーメイドの治療の役割を果たし,参加者が新たに人-作業-場所とつながるきっかけとなる.
著者
森田 晃司 平田 伊佐雄 津賀 一弘
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、要介護者の咀嚼能力と腸内細菌叢に着目し、咀嚼能力の向上により腸内環境叢の種類や多様性が変化し短鎖脂肪酸が増加する影響について調査することで要介護者の肥満や便秘以外にも全身状態を改善させる可能性を明らかにすることを目的とする。客観的咀嚼試験による咀嚼能力をはじめとする各種口腔機能、シーケンサーによる腸内細菌叢の測定に加えて短鎖脂肪酸、免疫グロブリン、α―アミラーゼ活性、セロトニン、特異的IgE、経皮水分蒸散量やBMI・便秘・口臭を解析することで咀嚼能力と肥満や便秘など全身状態との関連を観察研究と介入研究から明らかにする。
著者
森田 明夫
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学医学会雑誌 (ISSN:13498975)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.137-145, 2023-04-20 (Released:2023-05-27)
著者
加藤 和子 Yohan YOON Roberto S UMALI Sumalee BOONMAR 峯木 眞知子 森田 幸雄
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.496-502, 2018 (Released:2018-07-28)
参考文献数
15

韓国, フィリピン, タイ, 日本の精米の一般生菌数, 大腸菌群数, セレウス菌数について調査した. 2015年5月から7月まで81検体を収集した. 日本では家に保管している精米と市販されている精米および韓国の市販精米はほぼ同じLog3.6-3.9個/gの一般生菌数であった. フィリピンとタイで市販されている精米は日本や韓国の精米に比べ有意に低くLog2.4-2.8個/gであった. 日本および韓国の精米から大腸菌群が分離された. エンテロトキシン産生セレウリド遺伝子非保有のセレウス菌は日本の農家保有精米1検体, フィリピンの市販精米1検体, タイの市販精米4検体から分離され, これらの陽性検体の菌数はLog2.5–2.9個/gであった. しかし, これらの精米を炊飯する加熱条件である98℃, 20分間加熱処理後の検体からは分離できなかった. これらのことから, 炊飯後のご飯のセレウス菌による食中毒のリスクは低いと思われる. しかしエンテロトキシン産生セレウスが炊飯前の米から分離されている. 食品の調理工程や保管に際して交差汚染を防止することは重要であると思われた.
著者
櫻井 智美 森田 憲司 飯山 知保 渡辺 健哉
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

従前の石刻研究による基礎データと『全元文』を主に利用し、元は宋・遼・西夏・金の制度をどのように継承したのか、南北に差はあるのか、そして、元の制度はどのように明に引き継がれ、また影響を与えたのか、というような、朝代を越えた制度の関係性を明らかにするために、元代の粛政廉訪司を初めとする監察機関といくつかの地方都市行政組織に注目して、その成立・変遷・解体の様相を明らかにする。
著者
森田 道 曽山 明彦 高槻 光寿 黒木 保 安倍 邦子 林 徳真吉 兼松 隆之 江口 晋
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.483-487, 2013 (Released:2013-08-25)
参考文献数
8
被引用文献数
5 7

59歳,女性.主訴はなし.検診目的の腹部超音波検査で肝腫瘤を指摘され当科紹介となった.腹部造影CTでは肝外側区域から肝外に突出する造影効果に乏しい腫瘤を認めた.肝腫瘍の他,肝胃間膜内発生の悪性リンパ腫や胃GIST,炎症性腫瘤との鑑別が困難であり,診断的意義も含め腹腔鏡下腫瘤摘出術を施行した.術中所見では腫瘤は肝胃間膜内に肝外側区域背側に接するように存在していた.腫瘤と接する肝外側区域を一部合併切除し腫瘤を摘出した.病理組織所見は変性壊死を中心とした好酸球性肉芽腫で,内部にアニサキス虫体を認め消化管外アニサキス症と診断した.アニサキス症の多くは消化管に発生し激烈な腹痛を特徴とするが,初回感染では本症例のように無症状で消化管壁を穿通し消化管外アニサキス症として発見される例の報告もある.発見契機としては,絞扼性イレウス,膵腫瘤などの報告があるが,肝腫瘤として発見された例は国内では5例と稀である.
著者
広田 正之 森田 武 井戸 和彦 遠藤 智紀 水落 秀木 貞広 修
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.27, no.65, pp.265-270, 2021-02-20 (Released:2021-02-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1 2

In this report, the results of performance confirmation of fire-resistant wood members and beam-column joints, and the contents of application cases were reported. The main points are as follows. The refractory sheet was found to have the effect of reducing the temperature of the reinforced gypsum board. It was confirmed that the fire-resistant wood columns, fire-resistant wood beams, fire-resistant wood members, and column-beam joints made of Pc joint members incorporating fire-resistant foam sheets of heat-foamed material have 1 hour of fire resistance without carbonization in the core material.
著者
荒川 武士 石田 茂靖 佐藤 祐 森田 祐二 下川 龍平 煙山 翔子 岡村 唯 新野 直明
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11486, (Released:2018-11-30)
参考文献数
48
被引用文献数
1

【目的】本研究の目的は,脳血管障害者の嚥下障害の関連要因について,おもに運動要因に着目して検討することである。【方法】対象は回復期病棟入院中の脳血管障害者90 名(嚥下障害あり45 名,嚥下障害なし45 名)とした。調査項目は,基本属性の他に上下肢の運動麻痺の程度,歩行自立度,舌圧,舌骨上筋群の筋力,喉頭位置,頸部可動域,脊柱後弯度,体幹機能,呼吸機能,握力などの運動要因を評価した。単変量解析にて有意な差があったものを説明変数とし,嚥下障害の有無を目的変数とした二項ロジスティック回帰分析(尤度比検定:変数減少法)を実施した。【結果】脳血管障害者の嚥下障害に関連する運動要因は,舌骨上筋群の筋力,頸部伸展可動域,脊柱後弯度であることが明らかとなった。【結論】本報告は,理学療法士でも嚥下障害に介入できる可能性を示すものになると考えられ,臨床場面でも応用可能な有益な情報になるものと考えられた。
著者
松岡 由幸 庭野 敦也 森田 敦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.65-72, 2001-01-31 (Released:2017-07-21)
参考文献数
14
被引用文献数
3

座り心地の向上を目的として, 尻滑り力を防止するシートスウィング機構が注目されている.しかしながら, この尻滑り力防止に関する力学的解明がなされていないため, シートスウィング機構は的確な設計が行われておらず, その機能が十分に発揮されていない.そこで, 本研究では, 人体モデルを用いて力学シミュレーションを行い, 導出した設計解をもとにシートスウィング機構の設計を行うことを目的とする.本研究では, まず, 人間工学的, 解剖学的な見地から人体モデルを構築した.つぎに, そのモデルを用いて尻滑り力の推定式を立て, 尻滑り力の力学シミュレーションを実行することで最適なバックアングルとクッションアングルの関係を導出した.その結果, バックアングルが45°付近でクッションアングルが最大値をとる尻滑り防止曲線を導出した.さらに, 導出した尻滑り防止曲線をもとに, シートスウィング機構に対する各構成要素の仕様を決定し, 同機構の設計を行った.