著者
高倉 裕 河辺 達也 森田 日出男
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.37-43, 2000-02-20
被引用文献数
4

水,本みりん,煮切りみりんおよびエタノール溶液に豚肉(ヘレ部)を浸漬した時の浸漬液の成分分析を行い,可溶性成分の溶出抑制効果の解明を行った。さらに,加熱処理後の豚肉切断図を電子顕微鏡で観察し,豚肉の筋線維崩壊抑制効果について解明を行った。(1) 豚肉に含まれる可溶性成分の溶出を抑制する調理効果に寄与する浸漬液中の成分は,エタノール及び糖であるが,エタノールまたは糖単独では可溶性成分溶出抑制効果は低く,本みりんのように両成分を含有する調味料がもっとも豚肉の可溶性成分溶出抑制効果が高かった。(2) 豚肉を加熱する前にあらかじめ浸漬調理を行なうと,浸漬液の成分によっては加熱処理した豚肉の筋線維が崩壊するのを抑制する効果があることが明らかとなった。筋線維崩壊抑制効果は豚肉内部で発現しており,エタノール成分が重要な役割を果たしているものと考えられる。(3) 豚肉の筋線維崩壊抑制に寄与する成分は,エタノール及び糖であるが,エタノールまたは糖単独では筋繊維崩壊抑制効果は低く,本みりんのように両成分を含有する調味料が最も筋繊維崩壊抑制効果が高かった。
著者
小笠 幸子 坂本 雅代 羽山 由美子 荒木 孝治 森川 英子
出版者
大阪府立大学看護学部
雑誌
大阪府立大学看護学部紀要 (ISSN:18807844)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.77-84, 2007

本研究の目的は,患者アドボカシー相談活動における相談者と相談対応者の関わりのなかで,対応者の援助内容と相談者のエンパワメントの形成過程について明らかにすることである。過去48事例の相談記録の中から,対応者が認識したエンパワーされたと考える相談者のポジティブな変化のみられた22事例を対象に内容分析によるカテゴリー抽出を行った。その結果,対応者の"理解・受け止め""問いかけ・振り返り""提案・指示""情報提供""支持""助言・指導"など6つの援助を通して,"相談者自身が気持ちを表出する""気持ちが落ち着く""問題の整理と意識化""問題解決方法を考える""問題解決行動への意思決定"の5つの局面でエンパワメント形成が認められた。
著者
都築 涼香 大森 照夫 山本 光三 岡 紀子 杉山 典正 出口 哲也 仲 美津子 松原 智子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.130-134, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)

本研究は,新市場参入を検討している営業部隊のための効果的な情報分析に関するものである。下町ロボットと名付けられた仮想の会社は高感度加速度センサーを製造販売しており,これを武器に成長が期待される介護・支援ロボット市場へ参入するケースを想定した。加速度センサーの販売先として可能性が高い企業6社を選定し,具体的な営業活動をイメージしながら必要な情報を収集・分析した。本稿では,従前の情報分析の提供先としてあまり馴染みのなかった営業部隊に着目し,営業部隊の営業戦略支援のための具体的な情報提供手法について報告する。
著者
長岡 朋人 安部 みき子 蔦谷 匠 川久保 善智 坂上 和弘 森田 航 米田 穣 宅間 仁美 八尋 亮介 平田 和明 稲原 昭嘉
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.121, no.1, pp.31-48, 2013 (Released:2013-06-21)
参考文献数
57
被引用文献数
3 4

本研究では,兵庫県明石市雲晴寺墓地から出土した明石藩家老親族の人骨1体(ST61)について,形態学,古病理学,同位体食性分析の視点から研究を行った。板碑から人骨は明石藩の家老親族であり,1732年に77歳で亡くなった女性である。本研究の結果,(1)骨から推定された性別は女性で,死亡年齢は50歳以上で,墓誌の記録を裏付けるものであった。(2)頭蓋形態を調べたところ,脳頭蓋最大長が大きく,バジオン・ブレグマ高が小さく,頭蓋長幅示数は75.3で長頭に近い中頭,また上顔部が細長いものの顔面全体が大きく,いずれの特徴も徳川将軍親族,江戸庶民,近代人とは異なっていた。(3)炭素・窒素安定同位体分析の結果,ST61の主要なタンパク質摂取源は,淡水魚,または,陸上食物と海産物の組み合わせと推定された。当時の上流階級の人骨のデータの積み重ねは今後の江戸時代人骨の研究に不可欠であるため,今回一例ではあるが基礎データの報告を行った。

2 0 0 0 史籍解説

著者
大森金五郎 編
出版者
三省堂
巻号頁・発行日
1937
著者
藁谷 敏晴 大森 仁
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.9-18, 2009-02-25
被引用文献数
1

In a paper by Waragai and Shidori, a system of paraconsistent logic called PCL1 was proposed and a result showing the relation between PCL1 and the system of Modal Logic S5 was given. Though the classical negation plays an important role in the result, it was treated in an abstract way, so the present paper focuses on the concrete treatment of classical negation in PCL1 and makes the condition to enrich PCL1 with classical negation explicit. For this purpose, strong negation, which is defined by using a bottom particle in PCL1, is introduced and some of its results will be given. Also the notion of "behaving classically" in the extended system will be discussed.
著者
平川 善之 原 道也 藤原 明 花田 弘文 森岡 周
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.23-32, 2013-03-10 (Released:2013-04-04)
参考文献数
29
被引用文献数
2

Total knee arthroplasty (TKA) is a surgical treatment for conditions such as knee osteoarthritis; the treatment aims to relieve knee pain and improve quality of life. Treatment outcomes are stable; however, it has been reported that postoperative pain becomes chronic in 15 - 20% of cases. The aim of this study was to examine the factors involved in the chronicity of postoperative pain by investigating the effects of cognitive and psychological factors on postoperative pain at 3 weeks, 5 weeks, and 4 months post-operation. Subjects were 50 patients who underwent TKA (8 men and 42 women, mean age: 74.8 ± 6.5 years). Cognitive factors in this study comprised an assessment of neglect-like symptoms; such symptoms included decreased “cognitive function regarding the existence of one's own limbs" or “cognitive function regarding the motion perception of one's own limbs." The severity of these symptoms was assessed using the method described by Galar et al. Psychological factors comprised assessments of anxiety and catastrophic thinking about pain. Anxiety was assessed using the state-trait anxiety inventory, while catastrophic thinking about pain was assessed using the pain catastrophizing scale (comprises categories of helplessness, magnification, and rumination). Postoperative pain was assessed using a visual analog scale (VAS). Multiple regression analysis by using VAS as the dependent variable and all other factors as independent variables showed the following factors to be significantly correlated with VAS: neglect-like symptoms at 3 weeks, 5 weeks, and 4 months post-operation and rumination at 3 weeks and 4 months post-operation. Sensory integration becomes difficult because of decreased sensory function in neglect-like symptoms; this is thought to be caused by body image becoming inaccurate. On the basis of these findings, it is considered necessary to approach for the improvement of sensory function in postoperative rehabilitation. In addition, rumination is persistent in pain, which is believed to result in a prognosis of a psychological state of severe anxiety. Therefore, methods for dealing with postoperative pain and giving patients a prognosis that is as precise as possible are thought to be necessary. These measures are thought to be factors in relieving postoperative pain and preventing it from becoming chronic.
著者
大西 真晶 森野 博章 実藤 亨 井上 真杉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.380, pp.93-98, 2010-01-14
被引用文献数
11

現在のデジタルサイネージは地域性に応じた電子広告を街頭において提示するものが主流である。配信される広告の効果を客観的に計測することは効果的な広告配信を行う上で重要であるが,その効果測定手段は提供されていない.そこで本研究では,地域ネットワークを利用して配信広告を見た人々の持つ端末情報をリアルタイムに追跡し,広告による購買効果を広告主が分析可能なデジタルサイネージシステムを提案する.具体的には,携帯端末から嗜好情報と位置情報を地域ネットワークにより自動収集し,最初の広告配信時,店舗サーバ接続時,来店時のそれぞれについて実際の効果を統計的に把握する.本提案システムにより地域の小規模店舗でも地域環境やユーザ特性に応じた広告の効果的な配信が可能となり,地域産業創生と地域活性化への寄与が期待できる.
著者
森山 昭雄 淺井 道広
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.557-573, 1980-09-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

これまでに調べられた多くの河川堆積物は, -2~0φの粒径がヒストグラムの谷となるのに対して,矢作川河床堆積物はおよそ-2φおよび0φの付近にピークが現われる.その原因について,粒径別に礫種・鉱物種の構成比を調べ,さらに流域の大半を占める花醐岩類の造岩鉱物とその風化マサの粒度組成を調べた結果,次の結論を得た.すなわち, -2φおよび0φ付近にピークを持つB・C集団は,それぞれ伊那川・小原岩体の粗粒花歯岩と武節・下山岩体の細粒花歯岩類の造岩鉱物およびその風化マサの粒度組成と密接な関係があり,両岩体の岩石が流送過程で破砕・分解されて鉱物粒子となり,それに風化マサが加わって河床で混合したものであると解した.
著者
江木 盛時 内野 滋彦 森松 博史 後藤 幸子 中 敏夫
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.21-26, 2009-01-01 (Released:2009-07-25)
参考文献数
30
被引用文献数
2 1

過去に報告された無作為化比較試験(randomized controlled trial, RCT)で有効であるとされた治療法が,その後に行われたRCTで否定されることがある。その原因として,過去のRCTが有意差の得られやすい条件で施行されていることが挙げられる。RCTは,この条件を踏まえた上で考察することが重要である。その三要素として,(1)subgroup analysis, (2)single center open label study, (3)early terminationが挙げられる。(1)Subgroup analysisは,統計学的検討回数を増やすことで,(2)single center open label studyは,ホーソン効果と治療の浸透性により,(3)early terminationは,random highと統計学的検討回数の増加により,偽陽性の確率を高める。これらの手法を用いて得られたRCTの結果は,慎重に吟味する必要がある。
著者
吉田 郁美 竹森 利和 山崎 政人 道広 和美 都築 和代 裏出 良博 吉田 政樹
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.101-106, 2012-11

ミストサウナ入浴が睡眠に与える影響を把握することを目的に、冬季の実生活において被験者実験を実施した。実験は、被験者の自宅において就寝約1.5時間前に40℃10分間の通常入浴とミストサウナ入浴をそれぞれ10日間ずつ連続して実施した。浴室の設定温度、寝室の温湿度ならびに入浴前後の舌下温を10日間測定・記録した。また、1日の活動量(活動量計)、夜間就寝時の脳波(携帯型1チャンネル脳波計)を計測し、睡眠後の眠気(KSS調査票)や温冷感、目覚めの感覚等を記録した。睡眠効率、入眠潜時、および覚醒指数については条件間に有意な差はなかったが、第一周期デルタパワーについてはミストサウナ入浴の方が通常入浴よりも有意に高かった。入浴による舌下温の上昇度についても通常入浴よりミストサウナ入浴の方が有意に高かった。寝室温・湿度に両条件間の差は無かったが、被験者の申告結果からは、ミストサウナ入浴の場合、就床前はより暖かく感じ、起床時には目覚めの爽央感が得られるとの評価が有意に高かった。
著者
山森 邦夫
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.922-923, 2002-11-15
被引用文献数
2
著者
木佐森 健司
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.96-106, 2012-11-30

Technology research has until the present aimed at understanding technology as an artificial matter constituted by physical elements and social elements in order to avoid treating technology as a physical cause of change. However, when technology is perceived as a network formed by different kinds of material as black boxes, the merkmals which characterize technology are vanish, leading to the disappearance of the technology. This article deduces a plan to recover the technology which has been vanished as an object of analysis in technology research by a rereading of the actor-network theory. Under this framework, the path will be found to recover the vanished technology from an analysis of the institutionalization of technical innovation in the making of the NC lathe machine tool market.
著者
木佐森 健司
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.64-75, 2009-01-20
被引用文献数
1

In recent management information studies, actor-network theory (ANT) drew attention as the theoretical framework for understanding the increasingly sophisticated practice of information management that is neither purely technological nor social and to reexamine the dichotomy. However, this paper observes the revival of micro/macro and society/technology dichotomies in management information research based on ANT. In this paper, I shed light on the theoretical reason behind problems and the potential value of ANT in AIS.
著者
中尾 尚史 森屋 圭浩 榎本 武雄 星隈 順一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.I_317-I_328, 2015
被引用文献数
1

本論文は,岩手県宮古市の閉伊川の河口付近に架かる宮古橋付近での津波の状況を基に,その津波に対して宮古橋の上部構造が流出しなかったメカニズムを明らかにすることを目的として,周辺で撮影されていた画像の分析及び数値解析により検討を行った.その結果,宮古橋付近には波先端の水位勾配が非常に小さな波が発生し,その波が徐々に上昇することで宮古橋に作用したことがわかった.また,数値解析からは,津波が上部構造に作用した直後に,床版張出部底面,津波作用側の耳桁,および桁間に生じる圧力により,水平方向の力および鉛直方向の力が最大になるが,それらの力は上部構造を流出させるに必要な値以下であったことがわかった.