著者
石原 司 森 健一 宗像 亮介 森友 紋子
出版者
情報計算化学生物学会
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-18, 2017-03-04 (Released:2017-03-04)
参考文献数
40

本報告では、構造活性相関 (SAR) データベースからのSAR転移、ならびに、引き続く構造推薦に基づく新規医薬候補化合物設計手法について述べる。本法は、1)SAR探索中の化合物群ならびに参照SARデータベースからのMatched Molecular Series (MMS)解析、2)化合物骨格及びSAR類似性に基づく類縁MMSの解析、そして、3)新規化合物の構造発生と協調フィルタリングに基づく活性推算の三段階にて構成される。第二段階では、ネットワーク解析に基づき、直接的あるいは潜在的な類縁MMSの検出が可能となる。本法を血液凝固活性化第十因子阻害剤探索に遡及適用した結果、常法的な定量的構造活性相関手法と比較し、高い精度で化合物活性を推算することが示された。更に、本法により、タンパク-リガンド複合体の構造情報を用いず、SAR情報のみを基に、指定するリガンドの部分構造に代替して同一のタンパクポケット領域を占有する部分構造が推薦されることが示された。
著者
高橋 大介 南條 悠太 大山 淳一 藤井 直紀 福森 香代子 武岡 英隆
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-19, 2010-01-05
被引用文献数
2

四国西岸に位置する法花津湾において2005年から2007年の夏季にビデオモニタリングを行い,湾内表層で形成されるミズクラゲ集群出現頻度の時間変動について調べた。ミズクラゲ集群出現頻度には,8月中旬から増加し,9-10月に減少する長周期変動と,10-15日周期で増減を繰り返す短周期変動が存在した。特に,短周期変動の強弱の経年変化は,四国西岸域で生じる急潮の強弱の経年変化と一致していた。そこで,急潮とミズクラゲ集群出現頻度の短周期変動との関係を明らかにするため,2007年の夏季法花津湾において係留観測と海洋観測を行った。法花津湾へ到達した急潮は湾内に暖水流入を引き起こすとともに,湾スケールの海水交換を励起した。この暖水流入にともなって湾外の既存水塊中にいたミズクラゲが湾内へ輸送され,湾内表層で受動的に集群することによって,夏季法花津湾表層ではミズクラゲ集群出現頻度が10-15日周期で変動していると考えられる。
著者
弘中 和憲 石橋 憲一 小疇 浩 小林 祥則 森 元幸 津田 昌吾 高田 明子
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.9-14, 2005-01-31

3品種の国産加工用ジャガイモを5および12℃で90日間貯蔵し、インベルターゼ、スクロース-6-リン酸シンターゼ(SPS)およびUDP-グルコースピロホスホリラーゼ(UGPase)活性を測定した。この研究の目的は、それらの3酵素に及ぼす貯蔵温度の影響の検討である。5℃貯蔵のジャガイモは12℃に比べ多くの還元糖を蓄積した。さらに、低温(5℃)はインベルターゼおよびSPSは活性を増加させた。これらのことより、加工用ジャガイモの低温における還元糖増加に、この2つの酵素は重要な役割をになっているものと推察された。
著者
那須 將 深町 加津枝 森本 幸裕
出版者
Japanese Institute of Landscape Architecture
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.619-622, 2011
被引用文献数
1

Shinsen are offerings offered at Shinto shrines on the occasion of shrine festivals. We investigated shinsen offerings made at Kyoto's Kamo-wake-ikazuchi-jinja (also known as Kamigamo Shrine) between June 2009 and May 2010. We surveyed all offered items and investigated which biological resources were used, and how and from where they were supplied. We found that totally 2243 items were offered. There were 137 different kinds. 105 kinds of biological resources were used as ingredients. Some of the supply routes for shinsen ingredients were based on ancient customs. The Adogawa region in northern Shiga Prefecture, for example, was a supply area for the shrine based on a system through which the shrine bestowed the region with river fishing rights and rice farming land as a compensation for its supply of ayu fish (Plecoglossus altivelis altivelis) used as items in shinsen offerings. Through shinsen offerings, a great variety of biological resources were used in a sustainable way. We found, however, that some biological resources used in shinsen such as the futabaaoi (Asarum caulescens) are difficult to obtain today.
著者
水谷 泰之 大塚 裕之 森島 大雅 藤塚 宣功 片山 雅貴 石川 英樹
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.785-791, 2013 (Released:2014-01-18)
参考文献数
16
被引用文献数
1 8

患者は65歳,男性.検診で膵管拡張を指摘され当科受診となった.US,単純および造影CTで主膵管拡張を認め,膵実質内に明らかな腫瘤は指摘出来なかった.EUSで主膵管は体尾部で4mmと著明な拡張を認め,その頭側に境界不明瞭で辺縁不整な低エコー領域を認めた.膵上皮内癌を念頭におきERCPを施行した.主膵管は頭体部移行部で限局性狭窄を来たし,尾側膵管は数珠状拡張を呈していた.膵液細胞診の結果は陰性であった.画像診断で腫瘤の認識は困難であったが,膵管像からは膵癌を強く疑い膵頭十二指腸切除を行った.病理学的所見は,主膵管と分枝膵管に低乳頭状増殖を示し,PanIN1からPanIN3に相当する異型上皮の置換性増殖を認めた.検索の限り明らかな浸潤像は確認されなかった.
著者
森 茂樹 石橋 佑貴也 永野 善己 小川 秀夫
出版者
一般社団法人 日本塑性加工学会
雑誌
塑性と加工 (ISSN:00381586)
巻号頁・発行日
vol.49, no.564, pp.71-75, 2008 (Released:2008-01-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

In the surface finishing of high-hardness materials such as die materials, it is common for a polishing process to be used. If burnishing is feasible for the surface finishing of a die using a CAD/CAM system and a machining center, it will become a useful working method for the following reasons: (1) reduction of the time required to make work arrangements, (2) improvement of the precision of shape and dimensions, and (3) improvement of the mechanical properties of the surfaces. In this paper, the relationships between working conditions and surface roughness are examined when the finish burnishing of a die material is carried out. The burnishing experiments were performed on prehardened steel with a SiC ceramic ball having a 9.525 mm diameter. Under the conditions of a burnishing force of 400 N and a pitch of 0.195 mm, finish burnishing was performed on a milled surface having a roughness of Ra1.4 μm, and a mirror surface having a roughness of Ra0.1 μm was obtained. In addition, in the case of the product having a free curved surface, a good mirror surface was obtained.
著者
鈴木 裕 中里 徹矢 横山 政明 阿部 展次 正木 忠彦 森 俊幸 杉山 政則 土岐 真朗 高橋 信一
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.102-105, 2012 (Released:2012-05-15)
参考文献数
12

急性膵炎の重症化と合併症発生に対する肥満の影響について概説した.肥満の影響を考えるに当たり,多くはBMI(Body mass index)を用いているが,近年はCTを用いて内臓脂肪や皮下脂肪をパラメーターとしている報告も散見される.各報告をみると重症化や合併症発生に肥満は何らかの影響があると予想される.BMIでは,欧米では多くの肥満例が重症化と全身合併症に相関し,全身合併症の多くは呼吸不全である.本邦ではBMIは有意な重症化の危険因子とはならず人種差の可能性はある.しかし,日本人でも内臓脂肪の増加は急性膵炎重症化や合併症の発生に影響する可能性があり,肥満のタイプが重要であると思われる.今後は内臓脂肪面積などを画像診断による肥満のタイプをパラメーターとして詳細な検討を行う必要があると思われた.その際は,可能な限り発症早期の画像を用いるべきであり,理想は膵炎発症直前の測定が望まれる.
著者
森 良和
出版者
玉川大学教育学部
雑誌
論叢 : 玉川大学教育学部紀要 (ISSN:13483331)
巻号頁・発行日
pp.61-80, 2015

1577年,ロンドンで発刊された世界地誌書『東西インド誌』は,イギリスで最初に日本について説明した項目「日本島」を含んでいる。編者のリチャード・ウィルズは大航海時代の諸成果を受けて,ヨーロッパ以外の世界の情勢に関心を持っていた。一時聖職者を目指していたウィルズであるが,多様な新世界情勢を紹介したリチャード・イーデンの仕事を受け継ぎ,アジア地域をも含めた世界地誌書を完成させた。それが『東西インド誌』であるが,内容の多くはイベリア半島からの情報によっている。特に日本についてはザビエルやフロイスをはじめとするイエズス会宣教師からのものであることが「日本島」の文章から読み取れる。本稿は当時の日本がどのようにイギリスに紹介されたのかを具体的に示すとともに,「日本島」の典拠を明らかにするものである。
著者
岸上 秀哉 増渕 美生 内海 透 宮森 高 宮田 操
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4(1987-ARC-069), pp.65-72, 1988-01-21

TX1はTRONCHIP32の仕様に基づく、東芝の32ビットマイクロプロセッサであり、組込み制御を主要な用途としている。TX1の目標性能は5MIPS以上でありこの性能を得るためにTX1では内部を4つのブロックに分割し、それらができるだけ非同期に独自の処理を進めるパイプライン方式となっているのが特長である。TX1の内部構造を評価するために、TX1の機能シミュレータ上で各種ベンチマークプログラムを実行した。本報告ではTX1の内部構造の特長について述べ、シミュレーションによる評価結果について検討する。
著者
森山 満
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア21 (ISSN:13463799)
巻号頁・発行日
no.182, pp.38-40, 2004-12

医療事故が訴訟に発展するかどうかは、事故処理の進め方次第で変わってくる。数多くの医療訴訟で医療機関側代理人を務めてきた弁護士の森山満氏に、その留意点を解説してもらった。(編集部) 「患者との話し合いがつかない。何とかしてくれないか」—。医療事故発生後、患者側との交渉がこじれ、事態が悪化して初めて私の事務所に相談を持ちかけてくる医療機関は少なくない。
著者
大坂 まどか 富永 孝紀 今西 麻帆 河島 則天 森岡 周
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0387, 2014 (Released:2014-05-09)

【目的】半側空間無視(USN)の回復については,空間無視の存在を認識していない段階から,その存在を認識した上で意識的な注意の制御を行う過程,そして最終的に無意識的に制御するといった段階があるとされている(富永2006)。一方,回復段階においては,どのような視覚情報処理の変化が生じるかについて検証した報告は少ない。本報告では,USN症例における眼球運動と到達運動を行う際の視覚情報処理の変化について評価し,BIT行動性無視検査(BIT)を用いてUSN重症度との関係性を検証した。【方法】対象は,症例1:右中大脳動脈領域の広範な脳梗塞を呈した40歳代男性,症例2:右被殻出血の40歳代女性,症例3:右後頭-頭頂葉出血の70歳代男性,症例4:右中大脳動脈領域の広範な脳梗塞を呈した60歳代男性であった。4症例のBITの点数(通常検査/行動検査)は,症例1から40/7点,69/16点,77/28点,110/54点であり,USNを認めた。視空間処理の評価には,河島ら(2012)によって考案,開発されたアイトラッカー内蔵型タッチパネルPC(Tobii社製)を用いた。PC画面上には35個(縦7列,横5行)のオブジェクトが等間隔に配置され,ランダムな順序で5秒間点滅する。点滅するオブジェクトに対して手指にて接触,または0.5秒間注視することで点滅を解除することが可能であり,オブジェクトごとの点滅開始から解除までに要した時間と点滅解除の可否,課題遂行中の眼球運動の軌跡を記録することが可能である。対象者には,PCの正面に座位姿勢をとり,点滅するオブジェクトに対して,右示指にて接触(課題1)または注視(課題2)し,点滅を解除する課題を実施した。視覚情報処理の分析は,各課題中のオブジェクトの点滅解除の可否,課題2における眼球運動の軌跡を用いて検証した。【説明と同意】本研究は,村田病院臨床研究倫理審査委員会の公認を得て十分な説明を実施し,書面にて同意を得られた症例に行った。【結果】オブジェクトの列の表記は,縦7列のうち,中央の列をS0とし,S0から右側へR1,R2,R3,左側へL1,L2,L3と表す。眼球運動の軌跡は,S0を0cmとし,L3を-13cm,R3を13cmとした範囲で表す。課題1において,症例1はL1,L2,L3に加えてS0が,症例2はL3の抹消ができず,症例3はL3まで到達可能も,L3で2個抹消不可能なオブジェクトが存在した。症例4は全てのオブジェクトの抹消が可能であった。課題2は,症例1はL1,L2,L3に加えてS0が,症例2はL1,L2,L3に加えてS0の4個が抹消不可能であった。症例3はL2,L3に加えてL1に4個抹消不可能なオブジェクトが存在した。症例4はL1,L2,L3に合計5個の抹消不可能なオブジェクトが存在するものの,L3まで到達可能であった。一方,R1,R2,R3における抹消不可能なオブジェクトは症例1,症例2,症例4は5個,症例3は3個であった。課題2遂行中の眼球運動の軌跡中心は,症例1は5.7cm,症例2は5.9cm,症例3は4.0cmと右への偏位を認め,症例4では-0.7cmと左への偏位を認めた。【考察】症例1は,BITにてUSNが重度であり,両課題においても左側への注意の解放が困難なことから,抹消不可能なオブジェクトが存在した。これは,損傷部位が広範であり,特に前頭葉皮質の損傷が左側空間に対する探索に影響した(Verdonら2010)ことが推察された。症例2,3においてもBITでUSNを認め,課題2の結果や眼球運動の軌跡から,左側への注意の解放の困難さが伺える。一方,課題1では症例2,3ともに左側空間の拡大を認めており,到達運動実施による空間性注意の活性化(Ciavarroら2010)が生じた可能性が示唆される。課題2では,注視による注意の持続や,次の点滅刺激への注意の解放が必要となることから,よりUSNや注意の障害の影響により抹消不可能なオブジェクトが存在したと示唆された。症例4はUSNが比較的軽度で,両課題において左側空間への到達が可能であり,眼球運動の軌跡中心は左への偏位を認め,左側空間への意識的な制御が生じていることが考えられた。しかし,右側の末梢不可能なオブジェクトの存在は,左側への偏った意識的な注意の制御によって右側空間に対する視空間情報処理に影響を及ぼした可能性があると考えられた。【理学療法学研究としての意義】今回の評価方法によって,USNの視覚情報処理を分析することが可能である。今後,多数のUSN症例での検証を行っていくことで,損傷部位と視覚情報処理の関連性を特徴づけられる可能性があり,USN改善のための課題設定の一助となるものと考えられる。