著者
堀 H. 信三 中森 義輝
出版者
JAIST Press
巻号頁・発行日
pp.1-350, 2010-06-10

updated:17-Aug-2010
著者
森永 正彦 湯川 宏 吉野 正人 小笠原 一禎
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

光通信に用いられている石英系光ファイバーは、1.5μmの波長においてその損失が最も少ない。このため、波長が1.5μm近傍の発光材料の開発が急務である。本研究の目的は、エルビウム(Er)とアルミニウム(Al)を共添加したルチル(TiO_2)からの異常発光のメカニズムを解明し、ルチル系の新しい発光材料の量子材料設計を行うことにある。平成19年度の研究成果は、以下の通りである。1.2B属元素(Zn)添加による1.5μm帯の発光強度の増大昨年度の研究では、フォトルミネッセンス(PL)強度は、3mol%Er-TiO_2に比べて8mo1%A1-3mol%Er-TiO_2では約18倍、14mo1%Ga-3mol%Er-TiO_2では約23倍に増大した。このような異常発光現象は、8mo1%Zn-3mol%Er-TiO_2でも見られ、Ga添加材に匹敵するPL強度が観測された。一方、8mol%Cu-3mol%Er-TiO_2では、そのような現象は見られず、発光スペクトルは3mol%Er-TiO_2とほほ同じでPL強度も弱かったこのような添加元素による違いは、Al、Ga、Znはルチル(TiO_2)相中のTiと置換するのに対して、Cuは置換しないことが考えられる。共添加材の発光は、Erを固溶したルチル(TiO_2)相からのものであることが分かった。2.Erを固溶したルチル(TiO_2)相の中の発光の局所構造モデルの作成電荷補償の観点から、Erイオン周りの局所構造モデルを作成した。すなわち、+3価のErはTiO_2中の侵入型位置に入り、6個の酸化物イオンで囲まれている。添加元素(+3価のGa、A1や+2価のZn)は、Er近傍にある+4価のTiと置換して、電荷のバランスをとっている。例えば、Ga、Alの場合、Er近傍に3個が配置している。3.蛍光EXAFSによるエルビウム近傍の局所構造の決定8mol%Ga-0.5mol%Er-TiO_2を用いて、蛍光EXAFS測定を行った結果、上記のErの侵入型モデルを支持する結果が得られた。4.エルビウム(Er)の4f電子の多重項エネルギーの計算侵入型モデルを用いて、相対論DV-ME法によって、多重項エネルギーの計算を行った。
著者
森田 慎一郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.534-539, 2006-02-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
23
被引用文献数
1

The purpose of this study was to investigate the relation between intention to serve the same company for long years and job satisfaction in Japanese workers. Four hundred eighteen Japanese workers completed a questionnaire to assess intention to serve for long years and job satisfaction. Job satisfaction was measured by two scales. One scale was consisted of the items which were deviced in the preliminary study concerning satisfaction with the company, and the other was consisted of the items based on the Minnesota Satisfaction Questionnaire. A factor analysis on the former scale yielded four factors: fosterage by company, order in company, company's name recognition, and expansibility of company. A factor analysis on the latter yielded four factors: contribution and activity, recognition and benefits, supervision, and discretion on job. The multiple regression analysis showed that “expansibility of company” was the most important predictor of intention to serve for long years.
著者
森本 哲介 高橋 誠 並木 恵祐
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.181-191, 2015
被引用文献数
1

本研究では, 高校生女子の自己形成意識を高めることを目的に, 自己の強みを日常生活の中で活用する自己形成支援プログラムを実施し, その効果を検証した。プログラムは, 第1週目に参加協力者の"性格的な強み(Character Strengths : 以下CSとする)"を測定し, 第2週目に参加協力者自身の中で上位5つのCSを個人毎にフィードバックした。そしてその後1週間の日常生活で, 各参加協力者がフィードバックされたCSを自分なりの新しい方法で活用するよう促す, という手順で行われた。効果検証のために, 「可能性追求」と「努力主義」からなる自己形成意識尺度を測定した。また実験群では, 自己の上位5つの強みについての主観的な感覚を測定した。群(実験群・統制群)×test時点(pre・post)の2要因分散分析の結果, 実験群ではプログラムの前後で可能性追求と努力主義の得点が有意に上昇したが, 統制群では得点に有意な変化はみられなかった。さらに実験群の参加協力者は, 自己の強みをより意識し重要であると感じやすくなり, また自己の強みを活用しているという感覚が有意に高まっていた。これらの結果から, 自己の強みを活用する自己形成支援プログラムが高校生女子の自己形成意識を高めるために有効であることが示された。
著者
都筑 和泰 森山 亮 石本 祐樹 時松 宏治 萩原 直人
出版者
一般社団法人日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.104-110, 2012-02-20

Mid- and long- term energy balances of Japan were investigated after the Great East Japan Earthquake on the 11th of March, considering fossil fuel imports, environmental constraints, and economy as well as risks revealed by Fukushima nuclear accidents and disasters. It is concluded that i) great uncertainties on technology and economy are apprehensive about renewable energy oriented energy balance, ii) nuclear power is still an indispensable technological option, and iii) fossil fuels are necessary to meet the balance without both renewables as well as nuclear. The "energy best mix" strategy, which had long been the core philosophy in the Japanese energy policy, should not be amended with the severe nuclear accidents after the Earthquake.
著者
池松 弘朗 依田 雄介 大瀬良 省三 今城 眞臣 門田 智裕 加藤 知爾 森本 浩之 小田柿 智之 大野 康寛 矢野 友規 金子 和弘
出版者
医学書院
雑誌
胃と腸 (ISSN:05362180)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.1051-1053, 2014-06-25

はじめに 早期大腸癌の治療方針について,pTis(M)癌はリンパ節転移の報告がないことから,内視鏡的摘除の絶対適応病変とされている.しかし,その一方で,pT1(SM)癌は約10%の割合でリンパ節転移があることが報告1)されており,海外の多くの国ではリンパ節郭清を伴う外科手術が施行されている.また,過去の手術検体を対象にした,pT1癌のリンパ節転移のrisk factorに関する報告も多く認められる2). 本邦では,それらの報告を根拠に,リンパ節転移のriskの少ない病変を内視鏡的摘除の適応病変としている.「大腸癌治療ガイドライン2014年版」3)では,内視鏡的摘除後のpT1癌の経過観察条件として,垂直断端陰性例において,(1) 乳頭腺癌,管状腺癌,(2) 浸潤度<1,000μm,(3) 脈管侵襲陰性,(4) 簇出G1のすべてを満たすものとし,それ以外の病変は郭清を伴う追加腸切除を考慮すると記載されている. 内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)に代表されるような内視鏡治療技術の進歩に伴い,多くの早期大腸癌を内視鏡的に完全摘除することが可能になった4)5).その一方で,内視鏡的に脈管侵襲,簇出を診断することは困難であるため,完全摘除生検としての内視鏡的摘除を先行し,病理所見を確認した後でpT1癌の治療方針を決定したらどうかという意見も存在する.また,さらなる内視鏡的摘除の適応拡大が学会・研究会などで議論されており,今後ますます完全摘除生検としての内視鏡的摘除が議論の的になることが予想される. 本稿では,いくつかの側面から大腸pT1癌に対する内視鏡的完全摘除生検の必要性と問題点を概説し,現時点での筆者らの意見を述べたい.
著者
青木 周司 森本 真司 町田 敏暢 中澤 高清
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究においては、ドームふし氷床コアから空気を抽出し分析することによって、主要な温室効果気体である二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素の過去34万年に及ぶ変動の実態を明らかにし、さらに各気体成分の変動と気候変動との関係を明らかにした。それによれば、二酸化炭素濃度やメタン濃度は、暖候期には高く、寒候期には低くなっており、気温変化に極めて良く対応して変化したことが明らかになった。特に、メタン濃度は氷期・間氷期といった大規模な気候変動や、氷期中の比較的大きな気温変動に対応して変化しているばかりではなく、間氷期においてもヤンガ-ドライアス期やわずかな気候の寒冷化にも敏感に対応して変化していた。このことから、二酸化炭素とメタンが気候変動に正のフィードバック作用を及ぼしていたことが確認された。一方、一酸化二窒素についても氷期に低く間氷期に高いといった基本的な濃度変化が明らかになったが、濃度と気温との相関は比較的低かった。一酸化二窒素濃度が氷期の最寒期には310ppbvを越すような異常に高い値が必ず現れていたことを新たに見出した。このような高濃度は人間活動の影響が顕在化している現在の値よりも高く、氷期に露出した大陸棚での生物活動が関係している可能性が考えられる。また、コアから抽出した試料空気の酸素と窒素の同位体比を測定し、コアの年代決定の有効性およびコアへの大気成分の取り込み過程を検討した。これに関連して、フィルン空気の分析も行っており、その結果をモデルでシュミレートすることにより、空気が氷床に取り込まれる際の大気成分の濃度や同位体比の変化や、コア中の気泡とそれを取り巻く氷の年代差についても評価することができた。その結果、気泡の年代はそれを取り巻く氷の年代より常に若く、間氷期では年代差が約2000年であり、氷期には最大5000年まで拡大することが明らかになった。
著者
中澤 高清 中村 俊夫 吉田 尚弘 巻出 義紘 森本 真司 青木 周司
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

地球表層における温室効果気体の変動と循環の実態を明らかにするために、系統的観測や循環モデルの開発を基にした広範にわたる研究を実施した。得られた結果を要約すると以下のようになる。(1)CO_2、CH_4、N_2O,CO,HCFC,HFC、PFC,SF_6などの温室効果気体の濃度と同位体比を、日本上空、太平洋上、シベリア、南極昭和基地、北極スビッツベルゲン島などにおいて組織的に測定し、近年におけるこれらの時間的・空間的変動およびそれらの原因や支配プロセスを明らかにした。N_2Oについては同位体分子種の測定を世界に先駆けて行い、その結果を基にして発生・消滅過程の定量的解析を試みた。また、得られたCO_2濃度とδ^<13>Cの測定結果を同時解析することによって近年の人為起源CO_2の収支を推定するとともに、HCFC,HFC,SF_6の観測結果を南北2ボックスモデルで解析することによりそれらの放出量の時間変化を詳細に検討した。(2)全球三次元大気輸送モデルを開発し、濃度と同位体比を基に近年におけるCO_2およびCH_4の循環を定量化するとともに、高空間分解能の全球生態系モデルを用いて炭素循環における陸上生物圏の役割を解明した。また、全球海洋物質循環モデルを開発し、CO_2交換を基本的に支配する大気-海洋間のCO_2分圧差およびOCMIPプロトコルに基づいた海洋の吸収量を推定した。N_2Oについてはマルチボックスモデルを構築し、過去500年間の大気中濃度の再現を行った。(3)大気-岩石圏における炭素循環の理解を向上させるために、観測に基づいて化学風化に伴う炭素フラックスおよび地下深部から大気へのフラックスの評価を行うとともに、炭素循環におけるサンゴ礁の寄与を検討し、その役割がザンゴ礁によって異なることを明らかにした。
著者
齋藤 ひとみ 三輪 和久 神崎 奈奈 寺井 仁 小島 一晃 中池 竜一 森田 純哉
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.547-558, 2015-05-01 (Released:2015-05-01)
参考文献数
23
被引用文献数
1

Data interpretation based on theory is one of most important skills in scientific discovery learning, but to achieve this process is difficult for learners. In this study, we propose that model construction and execution could support data interpretation based on theory. We used the web-based production system ``DoCoPro'' as an environment for model construction and execution, and we designed and evaluated class practice in cognitive science domain to confirm our ideas. Fifty-three undergraduate students attended the course in Practice 1 in 2012. During class, students constructed a computational model on the process of semantic memory and conducted simulations using their model from which we evaluated any changes in learner interpretation of experimental data from pretest to posttest. The results of comparing pretest with posttest showed that the number of theory-based interpretations increase from pretest to posttest. However, we could not confirm the relationship between students' interpretations and their mental models acquired through learning activities and whether the students could transfer their understanding of theory to other different experimental data. Therefore, we conducted Practice 2 in 2013, in which 39 undergraduate students attended the course. Instruction in Practice 2 was same as in Practice 1. We improved pretest and posttest to assess students' mental model of theory and whether they transfer their understanding to another experiment. Comparing the pretest and posttest results showed that students acquired more sophisticated mental models from pretest to posttest, and they could apply their understanding of theory to their interpretations of near transfer experimental data. The results also indicated that students who shifted their interpretations from non theory-based to theory-based acquired more superior mental models on theory. Finally, we discuss applicability of our findings to scientific education.
著者
神崎 奈奈 三輪 和久 寺井 仁 小島 一晃 中池 竜一 森田 純哉 齋藤 ひとみ
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.536-546, 2015-05-01 (Released:2015-05-01)
参考文献数
25

When people understand an object, they construct a mental model of the object. A mental model is a structural, behavioral, or functional analog representation of a real-world or imaginary situation, event, or process. We conducted a class practice in which newcomers to cognitive science constructed a mental model by implementing and simulating a computational model of cognitive information processing, i.e., a cognitive model. We quantitatively evaluated the learning outcomes of the class. The participants were required to implement a complete cognitive model of subtraction processing. Furthermore, they were required to implement bug models, which are cognitive models with bug rules that cause several types of errors. Pre- and post-tests were performed before and after implementing and using these models, respectively. The results indicate that the class intervention led to the increase of the number of the participants who constructed the correct mental model and promoted more accurate mental simulations. However, the significant effects were confirmed only with participants who correctly completed the bug model, but the effects were limited with those who failed.
著者
藤田 桂英 梶川 裕矢 森 純一郎 坂田 一郎
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.144-149, 2012-05-20

本論文では,重み付き引用ネットワーク解析における新興論文群の発見に対し,どの属性を考慮した重みが有効かを調査した.重み付き引用ネットワークでは出版年など論文の属性情報を解析に用いることが可能である.また,複数の学術領域ごとに重みを考慮した重み付き引用ネットワークを作成し,トポロジカルなクラスタリング手法によりクラスタに分割後,各種類のパフォーマンスをvisibility, speed, topological relevance から評価した.
著者
戸ヶ里 泰典 山崎 喜比古 小手森 麗華 佐藤 みほ 米倉 佑貴 横山 由香里 木村 美也子
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

2008年度、2009年度の、5月、11月、2月に、本調査対象校中央大学附属高等学校の2007年度、2006年度入学生を対象とし、6回の調査を実施した。そこで、2007年に実施したデータと合わせて、1年生の5月から3年生の2月まで計9回にわたり測定されたsense of coherence(SOC)スコア変動および、その変動に及ぼす要因の探索を行った。その結果、中学時代の課題に対する成果、成功経験や、高校生初期の教師との関係、あるいは、教師によって作り出される受容的な環境が、その後のSOCの上昇を大きく左右していること、学校に対する誇りや居場所感とも言えるような学校における所属感覚もまた、大きくSOCの変動を左右していることが明らかとなった。
著者
久保 森 杉村 暢大 中桐 紘治 秋田 求 泉井 桂
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.162-170, 2015-09-01 (Released:2015-09-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

ホルムアルデヒド(HCHO)は重要な産業用化学物質であるが,大気や室内の環境汚染物質でもあり,化学物質過敏症やシックハウス症候群の原因物質の一つとされている.われわれは,先に,HCHOを固定して同化する酵素群の遺伝子をメチロトローフ細菌から取得し,これを導入することによって,植物にHCHOの同化能を付与することに成功した.この方法を観葉植物などに適用して環境浄化(ファイトレメディエーション)に役立てることができるかどうかを検討するためには,遺伝子導入によって付与されたHCHOの吸収能やHCHOへの耐性について,より定量的なデータが必要とされる.本論文においては,一定の湿度を保ちながら,種々の濃度のガス状HCHOに植物を曝露するためのシステムの作成とその性能について報告した.予備試験的に,このシステムを用いてシロイヌナズナの野生型および上記の形質転換体をHCHOに曝露したときの可視的影響を観察した.両植物体ともに,1~2 ppmにて48時間の曝露では葉に可視的な傷害がみられ,14~16 ppmで4日間の曝露では成葉が全面的に褐変した.しかし曝露後通常大気中で栽培をつづけると茎頂から成長が再開され死滅はしていなかった.