著者
森 雄兒
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.274-277, 1993
参考文献数
4

教科書などの交流の単元では,インピーダンスなどの計算の仕方が,詳細に説明されているが,その物理的意味については説明が大変あいまいである。そこで,数式を使うことなく,インピーダンスや位相差などの意味を考えさせる授業を試みたので報告する。
著者
吉川 泰永 森松 正美 落合 和彦 永野 昌志 山根 義久 冨澤 伸行 佐々木 伸雄 橋爪 一善
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.1013-1017, 2005-10-25
参考文献数
32
被引用文献数
13

乳腺腫瘍はヒトの女性および雌イヌでもっとも発症頻度の高い腫瘍である.BRCA2遺伝子は, DNAの修復に関与する巨大タンパク質をコードしており, ヒトではBRCA2が変異すると腫瘍罹患リスクが上昇する.BRCA2タンパク質はガン抑制タンパク質であり, これがヘテロ接合性の消失(LOH)によって不活化すると乳腺腫瘍が発症すると考えられている.本研究では, イヌBRCA2のLOH解析に適当な多型マーカを確立するために, 腫瘍に罹患したイヌ30例と罹患していないイヌ21例についてエキソン27領域のゲノム配列を解析した.これまでにイヌBRCA2遺伝子座で報告されていた多型は10204ins/delAAAだけだったが, この他に新たに4種類の単一ヌクレオチド多型(SNP)を発見した.これらのあわせて5つの多型を解析した結果, 4つのアリル型が存在することが判明した.今回解析した多型の中で10204ins/delAAAの出現頻度がもっとも高かったため, PCR法を応用してこの多型を判別する方法を確立した.この方法は, イヌのBRCA2においてLOHと腫瘍発症との関係を解析するうえで有用と考えられる.
著者
古川 清香 森 智恵子 植野 正之 品田 佳世子 川口 陽子
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.33-43, 2008-01-30
参考文献数
22
被引用文献数
1

口腔疾患が日常生活に障害を引き起こすことが報告されているが,日常生活の障害と喫煙行動との関連については明らかにされていない.また,タバコをとりまく環境が変化している現在,労働者の意識や知識を喫煙対策に反映していく必要もある.そこで,喫煙と日常生活への障害,人々のタバコ対策への意識およびタバコの害への知識を明らかにすること,そして,職域における歯科保健活動における喫煙対策の必要性を探索することを目的として本研究を行った.対象者は,2004〜2005年に,歯科健診および質問票調査に参加した電子機器メーカの事務および技術職の男性従業員855名(平均年齢42.1±6.4歳)である.健診項目は,歯の状況(DMFT),歯周組織の状況(CPI),歯垢の付着,口腔粘膜,咬合・歯列,顎関節の異常の有無,質問内容項目は,歯科保健行動,口腔に関連する日常生活の障害,タバコ関連の質問である.その結果,本研究の対象者は,喫煙者38.7%,過去喫煙者12.9%,非喫煙者48.4%であった.口腔に関連した日常生活の障害は,「見かけが気になる(20.6%)」が最も多く,次に「おいしく食事ができない(13.7%)」,「話しづらく感じる(10.1%)」,「仕事に集中できない(6.1%)」,「よく眠れない(3.5%)」であった.ロジスティック解析において,喫煙習慣と口腔に関連する日常生活の障害のうち3項目について関連がみられた.喫煙者は非喫煙者に比べて1.60倍「見かけ」が気になり,喫煙者は2.03倍,過去喫煙者は1.98倍,非喫煙者に比べて「おいしく食事ができない」と感じ,喫煙者は非喫煙者に比べて4.01倍「よく眠れない」と回答した.会社における禁煙支援が不十分だと回答したのは23.7%,会社における歯科専門家からの禁煙支援が必要だと回答した人は29.3%であった.労働者のタバコ関連疾患の認識は,肺がん95.4%,口腔癌67.1%,歯周病54.6%であった.以上の結果,男性労働者の喫煙行動と口腔に関連する日常生活の障害の間に強い関連があること,労働者は禁煙支援が必要だと考えていること,タバコに関連する情報の提供が必要であることが明らかとなった.それにより,職域における口腔保健活動に禁煙支援活動が必要だと考察された.歯科専門家は職域においても積極的に禁煙支援活動に携わるべきである.
著者
和田 雅人 小森 貞男 松本 省吾
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

1)リンゴ単為結実品種は花器官変異を持っており、花器官形成遺伝子MdPIの発現が欠損していた。しかし本研究で、このMdPI遺伝子の発現組織、発現制御を解析した結果、花器官変異の説明は出来るが単為結実とは直接結びつかないことがわかった。MdPI遺伝子の機能は他の植物のPIホモログのものとよく似ており進化的な保存性が高いことも分かった。2)MdPI遺伝子が転写調節遺伝子のMADS遺伝子ファミリーに属しているためMdPIの発現抑制により発現に影響を受ける遺伝子を探索した。同じ花器官形成遺伝子のホモログMdTM6、MdMADS13のクローニングに成功した。またこのMdMADS13の発現が単為結実品種で減少し、かつ発現組織も結実と関与する子房や胚珠で観察され、単為結実と関与することを示唆した。3)正常品種のMdPI、MdMADS13など単為結実に関与する遺伝子の機能を調べるために、これらの遺伝子発現の抑制、または促進した組み換え体リンゴの作出を行った。これまでのリンゴの形質転換効率は非常に低いものであったが、本研究では形質転換法や転換体の培養法、形質転換に適した品種の選抜を行うことで、これまでより数十倍高い形質転換効率を持つ系を確立することに成功した。4)MdPIのアンチセンス、またはサイレンシングベクターを組込んだ組換えリンゴの作出に成功した。またMdMADS13のアンチセンスベクターを導入した組換え体リンゴ、さらにMdTM6のアンチセンスベクターを導入した組換えリンゴの作出に成功した。5)これら組換えリンゴが開花、結実して初めて導入遺伝子の機能が解析できるため、早期開花組換えリンゴを作出し、2ないし3年で開花することに成功した。
著者
森 裕一
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

○高色素導入型、および高耐久性高分子材料の設計・合成高色素導入型高分子材料として、本研究課題であるハイパーブランチポリマーの更なる高性能化を目指し分子設計・合成に着手した。分子設計の指針として、光学透明性に優れるメチルメタクリレート(MMA)を導入し、色素を化学結合したハイパーブランチポリマーの統計的な合成を行った。具体的には、ハイパーブランチポリマーの主鎖にはメチルメタクリレートとイソシアネート基を有するメチルメタクリレートを導入し、分岐性を持たせるために二つのオレフィン化合物を有する分子設計と合成経路の確立に努めた。その結果、分岐内部のイソシアネートとヒドロキシル基を有する光機能性色素材料を付加反応することで極めて高い非線形光学色素の溶解性と高分解温度特性を得ることができた。汎用的に用いられているホスト材料PMMAの色素溶解性は20wt%であったのに対し、本研究で合成したハイパーブランチポリマーは50wt%と2倍近い導入を確認でき、当該年度達成目標である40wt%を大きく凌駕することができた。○光機能性色素の設計・合成光機能性色素材料として高非線形光学分子に焦点を当てて、分子設計・合成に着手した。分子設計の指針としてπ共役鎖がつながった代表的な非線形光学色素を合成した。具体的には、イソシアネート基と反応しウレタン結合を形成することから分子末端にヒドロキシル基を有するπ電子共役形誘導体を合成した。これらの材料特性評価を行ったところ、合成段階においてイソシアネート基の消失をFT-IR測定で確認でき、DSC測定によって高いガラス転移温度(>140℃)を得ることができた。○光デバイスの作成・評価合成した材料をデバイス化し、物性評価を行うことが、本テーマの役割である。作成した薄膜をデバイス化した後、電気光学定数(r33)を測定した結果、140pm/Vを得ることができた。この結果は、申請書に記載の最終目標として掲げた50pm/V以上の値を大きく超える値であり、昨年度の結果である110pm/Vを超えることに成功した。
著者
宮下 敏恵 北島 正人 森 慶輔 西村 昭徳
出版者
上越教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

小・中学校教師におけるバーンアウト尺度の因子構造については、小学校、中学校ともに3因子構造が適切ではないかという結果がみられた。小学校、中学校の教諭においては、個人的達成感の後退が著しく進んでおり、脱人格化得点もやや高いという結果が得られた。学校現場においてメンタルヘルスの悪化は深刻だといえるだろう。その中でも小学校よりも中学の教諭の方がバーンアウト得点は高いという結果がみられた。また教職経験年数により、バーンアウトの進行が異なるという可能性が示唆された。若手教師は情緒的消耗感から進行し、脱人格化、個人的達成感の後退というプロセスを進むという結果が示された。中堅以降の教師は個人的達成感の後退がバーンアウトプロセスの始発点になり、脱人格化、情緒的消耗感と進むという結果が示された。バーンアウトの予防を考える際には教職経験年数を考慮に入れたモデルを考える必要があるといえる。バーンアウト予防の介入のためには、教職経験年数に応じて、教師自身が多忙な中で自分自身の状態をチェックし、どう対応したらよいか振り返ることが必要ではないかと考えられる。バーンアウト低減のためにパソコン上で簡単にチェックでき、結果を振り返ることができる予備的プログラムを作成した。本研究は小・中学校のバーンアウト尺度の因子構造を明らかにし、教師におけるバーンアウトのプロセスを明らかにしたという点が画期的である。さらにバーンアウト予防の介入のために、予備的プログラムを作成したことから、今後バーンアウトのプロセスモデルを精緻化していくことによって、バーンアウトの予防が可能になると言える
著者
河崎 善一郎 牛尾 知雄 森本 健志
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

降雨および雷放電をこれまでになく高精度かつ高時空間分解能で観測するシステムを開発した。このシステムは,Ku帯広帯域レーダおよびVHF帯広帯域デジタル干渉計から構成され,時間分解能1分,空間分解能十数メートルで雷嵐の降雨構造および雷放電進展構造を標定することが可能である。さらに本システムを実時間で運用するシステムを開発し,試験観測を行った結果,雷嵐の詳細構造が明らかとなり,有用性が示された。
著者
森 隆司
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

生体の顆頭安定位での骨関節隙を,CT画像から再構築した顎関節の全体について3次元的に計測して,顆頭安定位の形態的な適合性を検討することが本研究の目的である。結果の概要を,以下に示す。1.顎関節骨形態の3次元再構築法:CT画像の下顎窩と下顎頭の形態の2次元座標を計測し,その座標値を3次のスプライン関数で補間する。次いで,形態輪郭線上の1画素ごとに,新たにサンプリングした2次元座標値を積み重ねて上下方向の点列を作成する。この点列を補間して曲線化し,矢状面の骨の輪郭線を描画した後に,曲線の始点から終点までを5画素ごとに2次元座標をサンプリングし,約0.25mm間隔で3次元構築のための構成点の座標値を抽出する。そして,この座標値から顎関節の骨形態を再構築した。2.骨関節隙の計測法:下顎窩を構築する構成点の一つから,すべての下顎頭の構成点への3次元的距離を算出し,その距離が最短となる下顎頭の構成点を選び出して,この距離を選出した構成点での下顎窩-下顎頭間距離とする。そして,骨関節隙の量は隣接する3個の構成点での下顎窩-下顎頭間距離を平均した値とする。骨関節隙の様相は,隣接する3個の構成点で規定される部位の面積の総和を算出することで検討した。3.顆頭安定位での形態的適合性:下顎窩と下顎頭が2mm以内で近接する部位が占める面積の割合の平均は,下顎頭の外側前方部:56.4%,同じく外側後方部:36.0%,中央前方部:45.4%,中央後方部:31.1%,内側前方部:38.7%,内側後方部:18.9%であった。すなわち,外側部では,下顎頭と下顎窩とが2mm以下のわずかな間隙を介して対向している部位が多いことになる。これは,下顎窩と下顎頭の形態は,咬頭嵌合位(中心咬合位)では外側部がより適合していることを意味していて,顆頭安定位での形態的特徴の一つであると考える。
著者
森 信介 山地 治 長尾 眞
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.120, pp.87-94, 1997-12-11
被引用文献数
8

本論文では、文字 n?gramモデルや形態素 n?gramモデルの予測単位を文字列や形態素列に拡張した連文字 n?gramモデルや連語 n?gramモデルを定義し、予測力という観点でモデルを改善する方法を提案する。モデルの探索における目的関数は、形態素クラスタリングで有効性が示されている平均クロスエントロピーである。これは、削除補間のように、評価用のコーパスとモデルの推定用のコーパスとを別に用意するというアイデアに基づいている。日本語コーパスを用いた実験の結果、クロスエントロピーを計算すると、連文字 n?gramモデルは4.3791であり文字 n?gramモデルの5.4105より低く、連語 n?gramモデルは4.4555であり形態素 n?gramモデルの4.6053より低く、モデルの改善が観測された。In this paper, we define a string-based n-gram model and a phrase-based n-gram mode as expansions of character n-gram model and word-based n-gram model, and we propose a method to improve an n-gram model in terms of prediction. The objective function in model search is the average cross entropy, which is proven to be effective for word clustering. This criterion is, like deleted interpolation, based on the idea of separation of the corpus for evaluation and the corpus for model estimation. As an experimental result on a Japanese corpus, we obtained the entorpeis as follows: the string-based n-gram model had 4.3791, which is less than the character n-gram model's 5.4105, and the phrase-based n-gram mode had 4.4555, which is less than the word-based n-gram model's 4.6053.
著者
森 直樹 鄭 則秀 垣本 健一 原 恒男 小出 卓生
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.343-347, 1999-05
被引用文献数
2

症例1:64歳男.1995年5月食道癌(扁平上皮癌)に対し右開胸開腹食道亜全摘術を施行した.7ヵ月後右腎腫瘍を指摘され,右根治的腎摘除し,転移性扁平上皮癌であった.7ヵ月後死亡した.症例2:63歳男.右気胸に対する手術中,右肺に腫瘍を認め右肺上葉を切除した.腺癌であった.術後,腹部CTで右腎腫瘍を指摘され,右根治的腎摘除術を施行した.組織学的に転移性中分化型腺癌であり,7ヵ月後死亡した.症例3:69歳男,原発性右肺癌に対し右中葉切除,下葉部分切除を行った.腺癌であった.術前後の腹部CT,エコーで左腎嚢胞の増大を認め,開腹生検,転移性腎癌と診断し,右腎摘除術を施行したが,10ヵ月後死亡したSince solitary metastatic renal tumors are not commonly diagnosed before death, the conclusive treatment of the metastatic renal tumor has not been established. We report three cases of metastatic renal tumors and discuss the indication of surgical therapy for metastatic renal tumors. The first case was in a 64-year-old male who underwent esophagectomy for squamous cell carcinoma. Seven months after the operation, a right renal tumor was found. The second case was in a 63-year-old male who underwent right upper pneumonectomy for adenocarcinoma with a right renal tumor, which seemed to be a solitary metastasis. The third case was in a 69-year-old male who underwent right pneumonectomy for adenocarcinoma. One month after the initial operation, a left renal cystic tumor was found. Since, in all cases, the tumors seemed to be solitary metastatic renal tumors without any other metastatic lesions, nephrectomy was performed. Unfortunately, however, the nephrectomy did not improve prognosis and all three patients did within 10 months after the nephrectomy. Nephrectomy may not be recommended in cases of metastatic renal tumors even if no other metastatic lesions can be found by various image examinations.
著者
小林 研二 青木 太郎 西岡 清訓 高地 耕 小森 孝通 畠野 尚典 吉田 恭太郎 林 英二朗
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.28-34, 2011-01-20
参考文献数
20
被引用文献数
2

61歳男性.主訴は嚥下時心窩部痛,胸部中部食道(Mt)の長径3cm,IIc,食道扁平上皮癌で,ESDを施行.切除標本では低分化型扁平上皮癌,sm1,ly1,v1であり,追加治療として化学療法を施行.14カ月後に胸部大動脈周囲リンパ節転移再発にて,手術を行い,組織学的にはリンパ節再発,内分泌細胞癌であった.集学的治療をするも,初回治療から2年1カ月,食道切除から10カ月で原病死した.術前診断困難な悪性度の高い食道癌におけるESD後のリンパ節再発死亡例を報告した.
著者
千葉 由美 山田 律子 市村 久美子 戸原 玄 石田 瞭 平野 浩彦 植田 耕一郎 唐帆 健浩 徳永 友里 植松 宏 森田 定雄
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

摂食・嚥下障害は高齢者をはじめ脳血管疾患、変性疾患、がんなどの発症および治療に伴い発生する症状である。2次合併症の誤嚥性肺炎は、全肺炎の半数以上を占め、死因となる。本プロジェクトでは、評価法や管理システムにおける課題を見出し、改善点を示すことを目的に進めてきた。これまで複数病院における誤嚥性肺炎の発生率を見るとともに、病院管理の在り方について管理者と病棟で実態調査などを行った。現在、最終分析を進めている。