著者
森下 和広 谷脇 雅史 中畑 新吾 西片 一朗 中尾 和貴 山川 哲生
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

成人T細胞白血病(ATL)のゲノム解析を行い、多数のゲノム異常領域を同定し、白血病関連遺伝子として、TCF8(ZEB1)、NDRG2、TSLC1、BCL11B、EPC1/AXSL2融合遺伝子を同定した。それぞれの機能解析から、TGFbeta抵抗性、細胞接着性の亢進に伴う臓器浸潤、細胞増殖促進等、多彩な性状を同定できた。またTCF8(ZEB1)、NDRG2、TSLC1についてはそれぞれの遺伝子改変マウスがTリンパ腫を中心とした腫瘍発症がみられ、癌遺伝子、癌抑制遺伝子候補として証明できた。HTLV-1感染以降、これらのゲノム異常に依存した多段階発白血病発症機構の端緒が開かれ、新規診断法や治療法の開発につなげることが可能となった。
著者
大山 信義 林 美枝子 森 雅人 玉山 和夫 飯田 俊郎 西脇 裕之
出版者
札幌国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1.〈持続可能な環境〉及び〈コミュニティの創発性〉の条件を探るため平成11年度に引き続き北海道釧路湿原(標茶町・鶴居村・浜中町)、山形県朝日町、宮崎県椎葉村の3地域の調査を実施し、環境保全における地域住民の活動、NPO活動、住民の自然信仰が重要な条件となっていることが明らかになった。2.アイヌ民族の居住地であった釧路湿原では、カムイ伝説や開拓農民のアニミズム信仰が自然環境を保全するうえで重要な意義をもつ。また、自然感性に基づくNPO組織と農民の自主的な活動による保護運動が湿原の生態系を保護する役割を果たしている。3.朝日町ではエコミュージアム建設運動によって地域の歴史的・文化的資源、自然資源の保護するまちづくりを行っている。この運動はナチュラリストの活動と並んでコミュニティが自己組織力を高めながらコミュニティの創発性効果を生み出している。4.椎葉村では過疎化による連帯基盤の弱体化が進んでいるが、山村社会における神木信仰、生活者の土地・環境に対する強いコミットメント(かかわり)が自然環境を守る上で重要な要素となっている。5.地域の環境負荷効果については主観的評価法が有効であり、釧路湿原塘路地区での事例では環境に対する高い価値評価をしている。地元の生活者と観光客とも自然に対する強い共感が価値評価につながっていることが分かった。6.地方のコミュニティは持続的環境を生み出すため生態系保護の要請に応えようとしており、その行動は社会学でいう〈創発的反省〉の精神に立脚しているといえる。
著者
森本 淳平
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

申請者は、生体の翻訳の機能で炭素-炭素結合を形成させることで、多様な構造を有するライブラリの構築およびスクリーニングをmRNAディスプレイ法によって可能とすることを目指した。初年度の前半でこの研究を追求したが達成には至らなかったため、側鎖に特殊な構造を有するアミノ酸が導入されたペプチドライブラリを構築・スクリーニングする、という研究へと方向転換し、初年度の後半および第2年度の研究を通してこれを達成した。本年度は、前年度の研究で得られたヒト脱アセチル化酵素SIRT2の阻害ペプチドをさらに深く評価する研究を行った。まず、SIRT2阻害ペプチドS2iL8およびS2iD7のいくつかの変異型を合成してSIRT2への結合能および阻害能を評価することで、これらペプチドの強力な結合能の構造的基盤を明らかとした。この結果は学術誌へ論文投稿し掲載された。また、本研究の基盤技術となるフレキシザイムというリボザイムについての総説も学術誌に掲載された。また、阻害ペプチドの分子構造の徹底的な改造を行なうことによって、IK^<Tac>TY(K^<Tac>=チオアセチルリシン)というペプチドを創出し、10μMで細胞内のSIRT1を阻害し、p53のアセチル化レベルを亢進させることに成功した。この成果は現在論文投稿準備中である。さらに、東京大学の濡木研究室との共同研究を通してSIRT2阻害ペプチS2iL5とSIRT2との共結晶構造の解明にも成功した。この結果から、in vitroでの活性評価の結果を裏付けるデータだけでなく、SIRT2の基質特異性に関わるような新たな知見も得られた。これら結晶構造解析の成果についても、現在論文投稿準備中である。このように、本年度の研究を通して、一報の論文掲載とさらに二報分の論文の研究成果をあげた。三年間の研究を通じて、当初の目的であった炭素-炭素結合を形成することはできなかったものの、特殊なペプチドライブラリの構築およびスクリーニング技術の発展に貢献し、興味深い構造を有する強力な阻害剤の獲得に成功した。
著者
下川 功 森 亮一 千葉 卓哉
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

カロリー制限(CR)は、ミトコンドリア機能制御を通して抗老化効果を示すのかもしれない。我々は、CRがミトコンドリアタンパク質Cox6b1(cytochrome c oxidase (Cox)のサブユニット)を増加させることをすでに報告した。本研究は、Cox6b1の役割を明らかにするために、in vitro実験を行なった。結果は、Cox6b1がCoxを含むスーパーコンプレックスを形成することによって、ミトコンドリアの呼吸機能を増強すること、同時に発生する活性酸素は、Nrf2の活性化によって防御されることを示唆した。我々は、Cox6b1の発現にGSK-3βの抑制が関与することも示した。
著者
大森 玲子
出版者
宇都宮大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

成育環境および発達段階を踏まえた食育プログラムを開発するために、食育プログラム実施対象であるモデル施設の子どもの特性を的確に把握する調査研究を実施した。地域特性として、おやつに摂取されるスナック菓子やジュース類の摂取過多が懸念されたため、特に、おやつへの情報を提供できるよう配慮した活動を取り入れた。開発した食育プログラムを通じて、子どものみならず、子どもに関わる大人への波及効果も期待された。
著者
松岡 久和 木南 敦 潮見 佳男 藤原 正則 平田 健治 川角 由和 中田 邦博 森山 浩江 多治川 卓郎 油納 健一 渡邊 力 山岡 真治 廣峰 正子 吉永 一行 瀧久 範 村田 大樹
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

各人がおびただしい数の関連業績を研究成果として挙げ、それを基礎に共同研究として、民商法雑誌に2度の特集を組んだほか、ヨーロッパにおける不当利得法の比較の概観につき飜訳を発表した。こうした比較法の動向の研究をふまえ、日本私法学会第75回大会において、シンポジウム『不当利得法の現状と展望』において、成果を学会に問う形でまとめた。
著者
森中 定治
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.137-148, 1988-07-10

バリ島には,Delias属belisamaグループに属する種として,Delias belisama balina FRUHSTORFER,1908およびD.oraia bratana KALIS,1941の2種が知られている.KALISはその原記載においてbalinaとのサイズや色彩の差による区別,bratana成虫の嗜好などについて簡単に述べている.しかし,両種の混棲状態や習性の相違などの詳細についてはほとんど報告がない.1984年に筆者はバリ島を訪れ,両種を採集する機会に恵まれた.以来,数度にわたってバリ島に旅行し,両種の成虫の採集および生態の観察を行った.その結果,これまでに知られていない若干の生態的知見が得られたので報告する.また,この両種の分類・命名の経緯,およびバリ島において互いに酷似する両種の分布,サイズ,形態の特徴についても実証に基づいて報告する.なお,成虫の形態の差異に関するより詳細な検討については,続報で発表する予定である.
著者
幕内 博康 町村 貴郎 宋 吉男 水谷 郷一 島田 英雄 徳田 裕 杉原 隆 佐々木 哲二 田島 知郎 三富 利夫 大森 泰 三吉 博
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.2599-2603, 1991-10-01
被引用文献数
30

近年,診断技術とくに色素内視鏡の進歩により,食道表在癌はもとより食道粘膜癌も増加してきた.粘膜癌で粘膜筋板に達しないものでは脈管侵襲やリンパ節転移をきたすことも極めてまれである.そこで内視鏡的粘膜切除術の適応を,(1)粘膜筋板に達しない粘膜癌,(2)長径2cm以下,(3)食道全長に多発していないもの,とした.われわれは18例23病巣に内視鏡的粘膜切除術を施行しており,このうち表在癌は15例19症巣であった.手技は,(1)ヨード染色により病巣の範囲を確認し,(2)病巣周囲にマーキングを行い,(3)インジゴカルミン・エピネフリン加生食水を粘膜下に注入し,(4)内視鏡的粘膜切除術を施行して組織を回収し,(5)再度ヨード染色で切除範囲を確認するものである.皮下気腫をきたした1例以外合併症はなく,穿孔例や緊急手術の適応となったものはない.本法の発展普及と食道癌の予後改善を期待する.
著者
森元 庸介
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

史料整理に注力した前2年度の成果に立脚し、今年度は、近世決疑論における藝術の位置づけについて、総括的な考察をおこなうことを主眼とした。その内容と意義は以下のごとくまとめられる。(1)藝術に対する寛解主義と厳格主義の対立は、一義的には道徳上の対立である。だが、この対立は、美学的な見地からするならば、作品を非実効的であるがゆえに安全とみなす「弱い」藝術観と、実効的であるがゆえに危険とみなす「強い」藝術観の対立として翻案される。(2)とりわけ前者、換言するなら藝術を形式主義的な相のもとで理解する態度について、思想史の通念は、それをもっぱら18世紀以降に成立したものとみなしてきたが、16-17世紀に全盛期を仰えた決疑論について精査することで、西洋における藝術観の変遷をめぐる時間的な見取りを再検討する必要を明らかにした。また、一般的には、上記の対立は、理念的には作品の間然することなき理解を前提する検閲という営為の逆説について再考をうながすと同時に、翻っては、表現の自由、さらには思想の自由が抱える消極性について一定の光を投げかけることにもなった。(3)また、本研究は、決疑論が依拠した法学的コーパス(主として教会法の領域)をつうじて、藝術の問題を法制史の文脈に位置づける道筋を実証的に示すとともに、中世に成立した法文書群の近世における持続的な効果を裏づけた点でも意義を有している。前2年の成果と併せ、以上の内容を、学会発表2点をつうじて公表した。
著者
武内 享介 乾 昌樹 森 敏之
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.1443-1449, 1992-11-01
被引用文献数
2

妊娠時のマグネシウム投与のカルシウム代謝に与える影響につき, 切迫早産症例において血清, 尿中ミネラルおよびカルシウム代謝調節ホルモンの動態に着目して検討し, 以下の結果を得た. (1)血清Mg濃度は硫酸マグネシウム投与0.5時間後で著明に増加(1.91±0.06mg/dl→4.6±0.71mg/dl, p<0.01), 以後徐々に低下し2時間後からは3.65〜3.88mg/dlの間を推移した. 尿中Mg排泄量(Mg/Cr ratio)は前値(0.05±0.01)に比べ1時間後には3.18±0.8と明らかに増加した後(p<0.01), 緩徐に低下し最終的には1.97〜2.35の範囲内を推移した. (2)蛋白補正血清Ca濃度は投与前は9.04±0.47mg/dlであったが, 血清Mg濃度の増加に伴つて低下, 投与0.5時間後には8.3±0.27mg/dlとなつた(p<0.01). その後はほぼ一定であったが, 30時間後より徐々に上昇し60時間後には8.52±0.31mg/dlにまで回復した. 尿中Ca排泄量(Ca/Cr ratio)は投与前値(0.06±0.03)に比べ投与0.5時間で1.85±0.16と有意に増加した(p<0.01)が, その後徐々に低下し0.58〜0.92の範囲内を推移した. (3)血清PTH濃度(前値181±76.9pg/ml)は投与1時間後に118±42.2pg/mlへと軽度低下したが, 6時間後には294±121pg/mlへと上昇した(p<0.05). (4)血清1α, 25-(OH)_2 vitamin D_3濃度(前値89.3±44.2pg/ml)は投与24時間後には126±38.7pg/mlと有意に増加した(p<0.05). (5)血清CT濃度には経過中有意な変動を認めなかつた. 以上の知見より, 切迫早産におけるリトドリン治療下では, 硫酸マグネシウム投与は尿中Mg排泄量と尿中Ca排泄量の増加を惹起し, 血清Ca濃度の低下を招来する. その結果, PTH分泌の増加とそれに引き続く1α, 25-(OH)_2 vitamin D_3の産生促進が生じ, 血清Ca濃度は正常化に向かう可能性が示唆された. なお, CTの関与は少ないものと思われた.
著者
砂原 秀樹 藤川 和利 和泉 順子 森島 直人 垣内 正年 島田 秀輝
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

インターネット上にあふれる情報を収集し処理・公開していくシステムとしてセンサネットワークがあるが, これを安全で安心して利用できるようにするためには、大量の情報源からの情報となる。本研究では、多数のセンサが接続されたインターネット基盤において安定したセキュアの取り扱い、信頼性の確保、攻撃からの保護を実現する基盤技術の開発と運用技術の確立が重要なネットワークを構築・連用する、特に相互監視によって故障・侵略センサノードを自律的に検出し切り離す仕組みと、DDoS等のトラフィックを検出し排除する仕組みの研究開発を目的としている。平成20年度に実施した研究成果としては、センサノード同士が相互に監視し合うことで相手の状態を確認し、相手が出力ずる情報の正当性の検証を行った。これは平成19年度に開発した基盤技術を用い実証実験基盤上の実環境において検証した。サンプリングによって収集したトラフィック情報を解析する事で攻撃トラフィックを検知し、それらの攻撃をミットワークから排除する技術の開発においては、前年度までに開発したセンサのステルス機能と組み合わせることでより強固なセンサネットワーク管理技術の実用化を目指した。また、平成19年度に行った想定される脅威等の分析と対策を用いた実証実験において、ノードの配置手順や登録点准、監視体制等を検討した自律的なセンサネットワークの運用管理技術を検討した。これらの実検証および検討に関しては、国際会議および国内研究会等で研究成果発表を行っている
著者
中村 覚 吉川 元 伊勢崎 賢治 高橋 和夫 中西 久枝 澤江 史子 栗栖 薫子 森 伸生 北澤 義之 立山 良司 坂井 一成 泉 淳 小林 正英 細井 長 齊藤 嘉臣 末近 浩太 土佐 弘之 木村 修三 小塚 郁也 福田 安志
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本プロジェクトは、国際関係論、安全保障論、中東地域研究の専門家による協働研究を通じて、日本における中東の安全保障問題に関する本格的な研究の基盤づくりを目的とした。また、中東における武力紛争の傾向や特質に関して論ずるのみではなく、短期的な紛争解決と、中長期的な予防レジームの構築に関する課題と可能性に関して考察した。その際に特に、日本への政策的示唆を生み出す視点を重視した。また当該の研究課題の遂行のために必要とされる国外の研究者とのネットワーク作りと同時に、国外への研究成果の発信で成果を上げた。
著者
森田 真司
出版者
群馬工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

研究目的任天堂社のWiiのリモコンは、加速度センサやCMOSセンサ等を搭載し、ワイヤレスをBluetoothで実現するなど多数の優れた機能を持つ。本研究はこのリモコンを他の分野への応用に関して研究することを目的とした。研究方法本研究ではWii本体の代わりにパソコンを利用しBluetoothで送受信するセンサ情報等のデータを解析し、リモコンの各機能を検証した。画面のポインタ操作のためテレビに設置するセンサバーは自作した。本研究ではセンサバーは固定と限定しない。またリモコン側を固定することも考慮に入れた。研究成果本研究の結果、加速度センサの角度の分解能は約1.4度でリモコンからの距離1mでは約2.4cm離れた2点を区別できる。但しリモコンを固定しなければ分解能以上に区別可能である。加速度は±3Gのレンジがあり分解能は0.23m/s^2である。CMOSセンサによる座標分解能は1024であった。以上を踏まえ、福祉、教育、日常生活、建築、スポーツ、レジャー、交通等様々な分野での応用事例を20案程作成した。但し内10案は加速度マンサやBluetooth等の応用が主で、リモコンそのままではなくリモコンや対象物に赤外線LED、GPS、レーダー、温度センサ等を取り付けて改良を施すことでより実践向きとなる。以下に福祉分野の例を簡単に挙げる。「手に障害を持つ人を対象とし、リモコンを頭に取り付け頭の動きでパソコンを制御する。空間上に仮想キーボードを展開しリモコンの位置でキー判定する。」一方でリモコンの使用には問題もある。最大の問題点はWii本体の代用が必要であることおよびソフトウェア開発で、前者はパソコンでの代用やマイコンの搭載等が考えられる。他にも赤外線の照度や遮蔽物等の各種センサの仕様上の問題がある。但し問題点の幾つかは波長フィルタ、リモコンコード等で対処可能であることが分かった。
著者
冨森 聡子 長屋 祐一 谷山 鉄郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.442-451, 1994-09-05
被引用文献数
3

ゴルフ場で使用される農薬および肥料について1991年6月から1992年5月までの1年間, 降雨直後, 3ゴルフ場6箇所の排水を採水し, 15種類の農薬と窒素, リン, カリウムの分析をした. 結果は次の通りであった. 除草剤のプロピザミド, シマジン, ナプロパミド, 殺菌剤のフルトラニル, イソプロチオラン, キャプタン, トルクロホスメチル, 殺虫剤のダイアジノン, フェニトロチオンの9種農薬が検出された. 検出頻度は各ゴルフ場で差があり, 同一ゴルフ場でも採水地点間で異なった. フルトラニル, イソプロチオラン, キャプタンが高頻度に検出された. 検出された農薬は, 調査期間中では9月が他の月に比べ全般的に高く, また, 高濃度に検出された農薬は, プロピザミド, シマジンであった. 検出された農薬の濃度は約半数が0.1〜1.0μgL^<-1>の範囲であった. ゴルフ場排水の肥料成分は, 周辺の河川水に比べ, 窒素, リン, カリウム共に高濃度であった. その濃度変化は, ゴルフ場の芝草管理のための施肥時期と密接に関係していた.