著者
森島 義行 芝野 俊郎
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.136, no.2, pp.83-87, 2010 (Released:2010-08-10)
参考文献数
11

血栓症の予防・治療薬として用いられる抗血栓薬の研究戦略および経口血液凝固Xa因子(FXa)阻害薬エドキサバンの薬効薬理について述べる.血栓症とは何らかの原因で血管内の血液が固まり,血管をふさぐことによってその下流の組織に虚血や梗塞が引き起こされる疾患である.血栓には動脈血栓(脳梗塞や心筋梗塞など)と静脈血栓(静脈血栓塞栓症など)の2種類があり,動脈血栓には抗血小板薬が,静脈血栓には抗凝固薬が主に使用される.抗凝固薬の研究戦略として,50年以上臨床で使用されてきたワルファリンやヘパリンの欠点を解消した経口投与可能な抗凝固薬を獲得することを目標に設定した.創薬の標的分子として血液凝固カスケードの中のFXaを選択し,FXaを競合的・選択的に阻害する低分子化合物をスクリーニングした.経口吸収性がテーマ最大の難問であり,サルを用いた経口投与でのPK/PD試験を化合物評価の重点項目として研究を進め,エドキサバンの獲得に至った.エドキサバンはFXaを競合的・選択的に高い阻害活性で抑制した.ラットの病態モデルにおいてエドキサバンは既存の抗凝固薬と同等の抗血栓効果を示すとともに,既存抗凝固薬の欠点の克服が可能なプロフィールを示した.エドキサバンの対象疾患として,心房細動患者における脳塞栓症の予防,整形外科手術後の静脈血栓塞栓症の予防,および静脈血栓塞栓症の再発予防を選択した.整形外科手術後の静脈血栓塞栓症の予防は国内で製造販売承認申請を行い,心房細動患者における脳塞栓症の予防および静脈血栓塞栓症の再発予防は第三相臨床試験を実施中である.エドキサバンはワルファリン以来の日本初の経口抗凝固薬として,今後の医療に大きく貢献できると期待する.
著者
森本 雅和 三好 卓也 藤井 健作
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.7, pp.548-551, 2011-07-01

本論文ではマイナー成分分析を用いてパンの種類を画像から自動識別する手法を提案する.パンは製造工程において発酵や焼成を含むため,個体差が発生しやすい.また,店舗レジへの導入を考えた場合,環境光変化に頑健であることが求められる.本研究では学習用パン画像から様々な特徴を抽出し,主成分分析をもとに特徴の選択を行う.このとき,パンの個体差や環境光変化が固有値の大きな主成分として現れることを考慮し,より分散の小さいマイナーな成分のみを用いて識別を行うことで,通常の部分空間法よりも識別率を改善できることを示す.
著者
杉山 三郎 佐藤 悦夫 植田 信太郎 谷口 智子 渡部 森哉 伊藤 信幸 嘉幡 茂
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は新大陸の古代都市の成立とその変容・盛衰の諸問題を、斬新な技術や方法論を用いながら学際的視点から考察することを目的とする3年計画のプロジェクトである。最初の2年間は古代モニュメントと表象に関する資料を収集し、考古学、歴史学、民族史学、宗教学、人類学また生物化学的視点を織り交ぜ、コンピューター解析、空間分析、統計処理を行った。特にメキシコ政府研究所とテオティワカン「太陽のピラミッド」の発掘調査を行い、貴重な都市形成期の資料を得た。
著者
森 建資
出版者
東京大学経済学会
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.22-91, 2011-01
著者
中山 京子 中牧 弘允 森茂 岳雄 織田 雪江 居城 勝彦 ALISON Muller RONALD Laguana LAWRENCE Cunningham
出版者
帝京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

従来の先住民をテーマとした教育活動について、ポストコロニアルな視点から問題点を示し、先住民学習の意義を検討した。そして、先住民に関する展示をもつ博物館や先住民研究機関との連携のもとに、偏りのない理解を深めるための教材の開発を行った。その際、主にグアムの先住民チャモロをテーマにした試行実践を行った。研究を通して先住民学習の意義を明らかにし、これからの先住民学習の可能性を検討した。
著者
森 浩禎 BARRY L. Wanner
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

網羅的に遺伝的ネットワークを解明することを目的に、2重欠失株作製の系の開発と解析の評価を行った. 2重欠失の為の既存の欠失株ライブラリーにさらにもう1種類の欠失株ライブラリーの構築、単一欠失の接合による2重化のツールの開発、2重化のhighthroughput化、解析システムのそれぞれの開発を行った. 新規欠失株ライブラリーには、20ntのbarcodeを挿入し、創薬等のhighthroughputスクリーニングへの道も開いた.
著者
松沢 哲郎 友永 雅己 田中 正之 林 美里 森村 成樹 大橋 岳
出版者
京都大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2008-06-04

人間の認知機能の発達をそれ以外の霊長類と比較した。進化的に最も近いチンパンジーが主な対象である。チンパンジーの子どもには人間のおとなより優れた瞬間記憶があるという新事実を見つけた。いわばチンパンジーは「いま、ここという世界」を生きているが、人間は生まれる前のことや死んだあとのことに思いをはせ、遠く離れた人に心を寄せる。人間の「想像するちから」はそれ以外の動物には見出しがたいことが明らかになった。
著者
斉藤 奨 大森 康正 松井 繁己 小松原 忠知
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.229-232, 1962

新潟県で採集されたショウジョウバエは2科5属23種であり, そのうち新潟市では2科4属18種が得られた.主な3種, カオジロショウジョウバエ, オオショウジョウバエおよびキハダショウジョウバエの季節的消長をみると, いずれも7月中旬に山を形成したほかオオショウジョウバエは10月下旬に, キハダショウジョウバエは11月上旬に再び山を形成する双峰型の消長を示した.その他の種はほとんど秋季に主として採集された.なおクロショウジョウバエの異常発生が1960年と1961年の2カ年にわたり梅雨明けにみられた.
著者
森東 淳 福元 伸也 大塚 作一 三部 靖夫 田中 宏征 武田 光平 野村 雄司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.470, pp.43-48, 2010-03-08

2次元コードが,広告におけるWebページとの連携を目的として広く利用されている.しかし,デザイン性を損なわないように,2次元コードを小さく表示するのが一般的である.このため情報取得が煩わしく,また取得時間がかかるという問題があった.また,デジタルサイネージにおいては,ディスプレイ解像度の問題も加わるため,デザイン性と機能性の両立がより困難になると予想される.そこで,動物体の接近を感知し,2次元コードを適応的に拡大表示する手法を提案する.また,提案手法の有効性を確認する実験を行なった.その結果,(1)提案手法では取得時間を5秒程度短縮できる可能性があること,(2)2次元コードの適切な拡大時間が250ms程度であること,が示唆された.
著者
森本 浩一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

虚構としての表象・表現は,現実としての表象・表現と「区別」される限りにおいて,固有の認知的役割を演じる。従って虚構論は,現実性の本質を扱う存在論と不可分の関係にある。この点については,過去の補助金研究(「文学的虚構の基本性質に関する研究」(2000〜2001年度)課題番号12610568)においても一定の検討を行ったが,これを踏まえつつ,本研究では,虚構の認知的特性とそれが現実認識との関係において持つ役割について考察した。1 虚構の認知的効果。近年,認知科学において,表象内容が真として妥当する範囲(スコープ)を限定する表象機構,いわゆる「メタ表象」の研究が進んでいるが,虚構は,世界に関する直接的な信念形成からの「分離」を特徴とする点で,メタ表象の典型である。虚構は「分離」のもとでの表象の試行・探索を可能にし,それが美的な報酬感を伴うとも考えられる。虚構のメタ表象的メカニズムとその効果について検討した。2 虚構の社会的機能。現実認知を構成する多くの表象は,百科事典的知識や報道・伝聞に基づく公共的表象であり社会的な信念システムであり,個々の表象は多くの場合,確からしさの程度を伴うスコープ付き表象であり,神話的信念や信憑性に乏しい虚構的なものも混入している。解釈を通じた虚構作品の直接的影響を含め,現実認識の構成において虚構や虚構的なものが果たす役割について検討した。3 虚構の現実性。虚構の本来的な「現実性」は,作品の還元的解釈においてではなく,むしろその「部分」消費の過程においてこそあらわになる。詳細は今後の課題であるが,「レイヤー構造」分析の方法論を提示することで,この問題に関する端緒的な検討を行った。
著者
野田 尚史 小林 隆 尾崎 喜光 日高 水穂 岸江 信介 西尾 純二 高山 善行 森山 由紀子 金澤 裕之 藤原 浩史 高山 善行 森野 崇 森山 由紀子 前田 広幸 三宅 和子 小柳 智一 福田 嘉一郎 青木 博史 米田 達郎 半沢 康 木村 義之
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

現代日本語文法, 音韻論, 古典語, 方言, 社会言語学などの各分野から, 述べ19名の研究者の参加し, 古典語など, ほぼ未開拓であった領域を含む対人配慮表現の研究の方法論を次々と開拓することができた。とりわけプロジェクトの集大成である, 社会言語科学会における10周年記念シンポジウムの研究発表では高い評価を得た。その内容が書籍として出版されることが決定している。
著者
西川 精宣 森 隆 狩谷 伸享 池下 和敏
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、racemic ketamineと比べて強い鎮痛作用、睡眠作用を持つS(+)-ketamineの硬膜外投与と全身麻酔薬を同時投与した場合の循環に対する作用の機序を解明することである。Whole animal study(ウサギ)で1%(0.5MAC)イソフルレン麻酔下に racemic ketamine,S(+)-ketamineを0.5mg/kgおよび1.0mg/kg下胸部硬膜外投与すると、ともに動脈圧、心拍数、腎交感神経活動のは有意に低下したが、この投与量の範囲では用量依存性も異性体特異性も支持する結果は得られなかった。また、Muscarine M2受容体やNOの関与も否定的であった。ウサギ定流量ランゲンドルフ標本でracemic ketamineとS(+)-ketamineのdose-response curveを作成した結果では、IC_<50>はともに300μM前後の高濃度であり、2剤間で有意差を認めなかった。両者が持つナトリウムチャンネルの遮断作用が高濃度で神経周囲に分布したため差が出なかった可能性がある。当初、脊髄の中間質外側細胞柱の細胞を培養してパッチクランプ法で検討する予定であったが、分離・培養に難渋した。継代培養したラットのmicroglial cell lineが入手できたので、この細胞でPatch clamp studyでの実験を施行したところ、イオンチャンネル型ATP受容体のP2X7受容体の電流に対しては、臨床濃度のチオペンタールでは増強作用があったが、臨床濃度(100μM)のケタミンでは有意な作用を示さなかった。一方、高感度でリアルタイムに組織のATP濃度を測定できるバイオセンサーを用いて、細胞外伝達物質としてのATPの増減を脊髄で調べ、交感神経活動との伝達機構としてのATPの役割の検討を試みた。低酸素刺激をはじめとした神経障害誘発で脊髄のATP濃度と交感神経活動の変化を測定し、S(+)-ketamineとracemic ketamineの作用の検討を行った。しかしながら、さまざまな神経障害刺激を負荷しても脊髄の細胞外ATP濃度の上昇が観察されず、バイオセンサー自体のATP特異性反応にも疑問が持たれた。
著者
竹森 繁 田澤 賢次
出版者
富山医科薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

現在の温熱療法の主流は誘電加温法であるが,癌局所のみを選択的に加温するのは困難である.一方,電磁誘導加温法では選択的な加温が可能である.過去に磁性体としてDextran Magnetite(DM),Thermosensitive magneto-liposome(TMs)を用いた方法を開発し,その特性・治療効果について報告してきた.TMsは内部に封入した抗癌剤などの薬剤を温度感受性に徐放する性質を有し,選択的温熱化学療法が可能であるが,粒子径が小さく塞栓作用が弱かった.この問題点を解決すべく,新たにDMアルブミンマイクロスフェア(DM-AMs)を開発し,誘導加温法を行い,その特性と新しい温熱治療法について検討した.DM-AMsの粒径は条件を変更することで任意に作製でき,今回の実験には粒径4-6μm,鉄含有量39.6%のものを用いた.前年度の実験で,出力7kW,周波数500KHzの誘導加温装置と,光センサー式温度測定装置を用いた計測では,in vitroではDM-AMsの濃度20mg/mlで6℃/3分,10mg/mlで6℃/7分の温度上昇,in vivoではラットの肝尾状葉に経動脈的に投与し塞栓後,誘導加温を行ったところ,肝尾状葉は43℃に加温された.直腸温は36.7℃であり,投与局所のみ加温された.組織学的所見では,肝尾状葉の類洞,肝動脈は塞栓され,腫瘍内へもDM-AMsが取り込まれていた.塞栓加温後3日目の肝臓の病理組織所見では,辺縁部の腫瘍細胞は粗な配列を示し,他の部分は壊死と繊維化が始まっていた.以上のようにDMアルブミンマイクロスフィアによる塞栓を併用した誘導加温法は,有意に肝実質を加温することが可能であった.抗癌剤を同時に封入することで,薬剤を徐放性に放出する性質を合わせ持つことが期待され,十分量を塞栓することにより腫瘍内組織のみを選択的に加温し,局所の温熱化学療法を行える可能性が示唆された.本研究結果については第14,15回日本ハイパーサーミア学会において発表した.
著者
松澤 孝男 河原 永明 長本 良夫 山本 茂樹 森 信二 添田 孝幸
出版者
茨城工業高等専門学校
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1995

我々の勤務する茨城工業高等専門学校は、日本原子力研究所東海研究所の研究用原子炉群や、日本原子力発電(株)の発電用原子炉、原研大洗研究所の材料試験炉、高温ガス炉、動燃大洗工学センサーの高速増殖試験炉「常陽」、原研那珂研究所の核融合試験炉JT-60に囲まれたひたちなか市に存在する。本校の学生の就職先として、“地場産業"であるこれら原子力関連企業や研究所を選ぶ者も多い。ところが、本校の学生の放射性同位元素や放射能に関する興味・関心は低い。学生及び教職員に環境中の自然放射能の存在と量を認識させることを試みた。CR-39というプラスチック板を固体飛跡検出器とするラドンガスモニター(ラドトラック)を学内の様々な居住空間に吊しラドン農業を測定した。算術平均29.7Bq/m^3、幾何平均21.3Bq/m^3であった。ラドン農業の分布は対数正規分布であった。次に、茨城県全域に点在する本校の学生の自宅178軒の学生の寝室のラドン濃度の測定を同じラドンガスモニターでおこなった。ラドン濃度の分布は学校と同じく対数正規分布であったが、幾何平均10Bq/m^3、幾何標準偏差2で、放医研の全国データや本校の居住空間のデーターのラドン濃度の1/2ないし1/3であった。このようにして自然放射線の存在を実感(認識)させた後、更に学生が自ら進んで放射線や放射能・原子力のことを調べることができるよう助言を与えた。(A)政府機関が情報公開やPAのため無料で公開している次のパソコン接続によるデーターベースへの接続方法の説明と検索結果を示した。[1]JOIS(NUCLEN、原子力情報)[2]アトムネット、(財)(NUDEC)、[3]原子力百科事典ATOMICA(B)学生に、放射線測定機器の無料貸出しの紹介を行なった。シンチレーション式サーベイメーター(はかるくん)、放射線計測協会(C)各種資料館の紹介、[1]茨城原子力センター展示館、[2]動燃展示館(アトムワールド)、[3]日本原電東海発電所展示館(東海テラパーク)、[4]見学バス(D)外国旅行する学生・教職員へ線量計による自然放射能の計測依頼(タイ、中国、南極)(E)RI教育用のビデオテープの購入・視聴(「アイソトープとは」日本アイソトープ協会)(F)新聞・テレビ報道に現れた放射線・原子力関連の事項の紹介と説明(FBR,もんじゅ)
著者
森大 二郎
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.5-6, 1993-09-27

クラスを持たず,委譲によって状態や振舞いの共有を行うプロトタイプベースのオブジェクトシステムに,オブジェクトの外部インタフェース(シグネチャ)としての型を付与し,個々のスロットに強い型付けを課した。これにより,オブジェクトの振舞いの把握が困難になりがちであるというプロトタイプシステムの問題点が緩和され,データ抽象に基づくプログラミングが行える.また,オブジェクトにアドホックにビユーを付与する際の指針を規定することができる.
著者
中澤 高清 青木 周司 菅原 敏 川村 賢二 遠嶋 康徳 パトラ プラビール 森本 真司 青木 周司 花輪 公雄 石戸谷 重之 菅原 敏 森本 真司 町田 敏暢 遠嶋 康徳 マクシュートフ シャミル 佐伯 田鶴 パトラ プラビール 石島 健太郎 豊田 栄
出版者
東北大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2005

大気中のCO_2、CH_4、N_2Oの濃度や同位体比およびO_2濃度を、地上基地や航空機、船舶、大気球を利用して広域にわたって測定し、全球におよぶ時間空間変動の実態を明らかにした。また、全球3次元大気輸送モデルを開発し、観測から得られた結果を解析して、変動の原因を究明すると同時に、近年における温室効果気体の循環を明らかにした。さらに、南極ドームふじ深層氷床コアを分析し、過去70万年にわたる温室効果気体の変動を復元し、その変動を解釈した。
著者
森田 健 大中 忠勝 上野 智子 山本 昭子
出版者
福岡女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

ヒトの生体機能が季節により変動することはよく知られているが、原因がはっきりしている例は少ない。また、生体リズムの季節変動についても報告が少ない。季節により生体リズムが変化する機序としては、日長の変化によるリズム同調の変化が考えられる。このことから本研究では、緯度が異なる3地域(高・中・低緯度)及び季節(春・夏・秋・冬)において人々が日常生活の中で受ける光の量及び質の違いを把握し、ヒトはその環境にどのように適応しているのかという環境適応能の観点から分析を行った。その結果、自然の光環境が気候や季節及び緯度により大きく異なることが明らかになった一方、被験者の受光量や活動量は季節や緯度との関係性は低く、むしろ個人の生活スタイルや過ごす場所に依存している可能性も示唆された。しかし生体リズムの指標となるメラトニンリズムには、季節変動及び地域差における特徴が明確に表れた。特に中緯度:日本の秋において、高いメラトニン分泌量及び位相後退の特異的季節変動が認められたが、これが外部の光刺激変化によるのか、また冬に備える内分泌機能の働きによるものなのなど、その原因を明確にすることはできなかった。本研究における調査は、フィールド調査であり、生体リズムに影響する様々な因子の厳密な制御は行っていない。しかし、日常生活における実際の光環境下で確認した本成果は、今後の光環境計画を考える上での基礎的知見を提供するものと考えている。
著者
吉岡 基 幸島 司郎 天野 雅男 天野 雅男 荒井 一利 内田 詮三 大谷 誠司 小木 万布 酒井 麻衣 白木原 美紀 関口 雄祐 早野 あづさ 森 恭一 森阪 匡通
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ミナミハンドウイルカの保全のために必要な基礎情報を得るため,分布や移動経路の把握,地域個体群間の関係に関する検討,行動解析,繁殖生理値の収集を行った.その結果,(1)伊豆鳥島周辺に本種が分布し,その個体群は小笠原や御蔵島の個体群との間に関係を有すること,(2)奄美大島での調査により,本種が同島周辺を生活圏とすること,(3)御蔵島個体群の社会行動の分析から,その頻度が性や成長段階によって異なること,(4)飼育個体の性ホルモン分析から,オスの精子形成は春~秋により活発になることなどが明らかになった.