著者
どど 孝介 高橋 正人 山田 雄次 杉本 芳一 橋本 祐一 白井 隆一
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 42 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.667-672, 2000-10-01 (Released:2017-08-18)

Dysidiolide (1), a novel sesterterpene from the Caribbean marine sponge Dysidea etheria de Laubenfels, inhibits the protein phophatase cdc25A (IC_<50>=9.4μM) that promotes the Gl/S transition of the cell cycle by dephosphorylation of the cyclin/CDK complex. Cdc25A is known to be oncogenic and overexpressed in a number of tumor cell lines. Therefore, cdc25A inhibitor dysidiolide is regarded as a novel candidate agent for the treatment of cancer and other proliferative diseases. Although some groups accomplished total synthesis of dysidiolide, a synthetic approach to its struture-activity relationship has not been reported yet. We developed an efficient synthetic route to dysidiolide and its analogs in order to investigate the structure-activity relationship. The retrosynthetic analysis is shown in scheme 1. The octalin framework was constructed by intermolecular Diels-Alder reaction of the chiral triene (5) with crotonaldehyde (scheme 3). Subsequently, the quaternary center at C6 was created by methylation of the exocyclic enolate (scheme 4). Finally, the γ-hydroxybutenolide residue was introduced by addition of 3-furyllithium to the aldehyde (2) and successive photochemical oxidation of the furan ring. A series of dysidiolide analogs were synthesized according to the same procedures. To investigate the structure-activity relationship of dysidiolide, dysidiolide and its analogs were examined for cdc25A/B inhibitory activity and antiproliferative activity (table1). Searching for simple and strong cdc25A inhibitors, we designed and synthesized novel cdc25A inhibitors using Windaus-Grundmann ketone derived from Vitamin D3 (figure 1, table 2). Finally, to comfirm the effect of cdc25A inhibitors on cell cycle progression, cell cycle analysis was performed (figure 2).
著者
橋本 毅 木村 春夫
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.36, no.412, pp.249-254, 1988-05-05 (Released:2010-12-16)
参考文献数
17

Equations for evaluating the performances of a failure detection system, whose task is to detect changes of some parameters in an object system, are derived as functions of the design parameters in the detection system and a design method of the detection system based on the equations is proposed. This detection system consists of the Kalman filters and the Modified Sequential Probability Ratio Test. The usefulness of this design method is examined by means of numerical simulations for the parameter changes in a second order system and for the failure in an aircraft stability augumentation system.
著者
横内 颯太 橋本 雄一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

1.研究の目的と方法 地理学分野において,日本のスキー観光の動向は呉羽(2009)などで明らかにされており,バブル経済崩壊以降におけるスキー客の減少や観光産業の衰退が述べられている。しかし,この時期に北海道ニセコ地域は,外国人観光客を取り込むことで活性化を図り,近年ではICTを活用して国際的観光地としてのブランド化を進めている。そこで本研究は,ニセコ町におけるスキーリゾート開発におけるICT活用の実態を明らかにし,その課題を検討する。そのために,まずニセコ町におけるICT導入の経緯,次にスキーリゾートに関する具体的なICT活用を明らかにし,最後に,当該地域のICT活用の課題について述べる。 2.ニセコ町国際ICTリゾートタウン化構想 近年のニセコ町では,年間140万人を超える観光客があるが,北海道経済産業局(2009年)「北海道経済産業局北海道の観光産業のグローバル化促進調査事業報告書」で指摘されたように,情報入手に関する満足度が低い。そこで,2012年から「ニセコ町国際ICTリゾートタウン化構想」として,情報入手を容易にし,地域を活性化のための共通基盤となるICT整備が進められた。なお,この事業の一環である「冬季Wi-Fi実証実験」は,ビッグデータをスキーリゾート開発に活用しようという稀な実験である。 3.冬季Wi-Fi実証実験 「冬季Wi-Fi実証実験」(2013年1月~3月)では,道の駅や観光案内所,またスキー場周辺の宿泊施設など,観光の拠点となる場所の公衆無線LANに加え,スキー場を中心としたWi-Fi が整備された。さらに,スキー場利用客のためのスマートフォン用アプリも試験的に導入され,これによってスキー場利用のルール,施設位置,走行ログ,雪崩情報などを確認できるようになった。なお,このアプリは情報をサーバに蓄積してビッグデータを作成するため,これを解析することで,国・地域別利用者の嗜好を考慮した高度なサービスを行えるようにする狙いがあった。 4.ニセコ町におけるICT活用の課題 ニセコ町における上記取り組みには,システム間情報連携に関する技術面での課題や,無料公衆無線LAN設置に関する制度面での課題が確認された。 今後,このICT活用の取り組みは,リゾート開発だけではなく,ニセコ町が2014年から進めている「ICT街づくり推進事業」において続けられる予定である。特に,ビックデータ活用については行政保有データと複合的に連携させて「ニセコスマートコミュニティ共通ICT基盤」を構築することで,除排雪や防災などでの活用が期待されている。これらの動きを含めて,観光関係だけでなく,まちづくり全体での自治体によるICT活用を明らかにすることが,本研究の課題である。
著者
塩崎 大輔 橋本 雄一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

<b>1</b><b>.研究目的</b><b></b> <br>日本の積雪寒冷地における代表的な地域開発としてスキーリゾート開発があげられるが、バブル期以降のスキー観光の停滞、衰退が著しいことが指摘されている(呉羽,2009)。こうした状況の中、北海道ニセコ地域では外国人観光客の取り込みを図り、特に北海道ニセコひらふ地区においては外国人向けコンドミニアムの建築など開発が盛んな地域として注目され、小澤ほか(2011)や呉羽(2014)など多くの知見が得られてきた。しかし、これまでのニセコ地域を対象とする研究では、特に開発が盛んであるひらふ地区に着目した研究が多く、ニセコ地域全体の開発に関する蓄積は少ない。そこで本研究は建築計画概要書データを用いてニセコ地域における開発の変化を明らかにすることを目的とする。 <br> <b>2</b><b>.研究方法及び資料</b><b></b> <br>本研究の対象地域は北海道虻田郡倶知安町及びニセコ町である。本研究を行うにあたって、倶知安町及びニセコ町の建築確認申請概要書に記載されている新規建築計画680件の建築確認申請概要書をデータベース化する。このデータベースを用いて新規建築の件数及び面積から開発行動の経年変化を分析し、ニセコ地域全域の開発の実態を明らかにする。次にニセコ地域における新規建築の分布変化をみることにより、ニセコ地域における開発の動向を分析する。最後にこれらの分析結果を総合し、本研究は積雪寒冷地におけるリゾート地域における開発の時系列変化を考察する。 <br> <b>3</b><b>.研究結果</b><b></b> <br>(1)ニセコ地域の新規建築の件数及び面積の時系列変化をみることにより、地方地域の開発行動が景気の影響を受けて変化していることが明らかとなった。2006年以降、ニセコ地域全域の新規建築確認申請件数は119件から174件まで増加した。しかし2009年には107件と2006年の件数を下回った。これはリーマンショック後の世界的な金融危機の影響が表れていると考えられる。 <br>(2)2006年から2010年までのニセコ地域の新規建築物の分布変化をみると、2006年には倶知安町ひらふ地区に開発が集中しており、2008年には樺山地区が新たに開発されるなど開発エリアの拡大がみられた(図1)。また2009年にニセコ町字曽我に大規模な開発計画が存在したが、未だ着工はされていない。ニセコ町アンヌプリスキー場周辺では温泉資源が有効活用されており、より高付加価値を求めた企業がニセコ町において開発計画を立てたが、景気の悪化に伴い計画が中断したと考えられる。 <br>(3)新規建築の建築主に着目してみると、日本以外では特にオーストラリアと中国香港の建築主が多く、そのほとんどがひらふ地区で開発を行うという動向が明らかとなった。またひらふ地区では企業と個人の双方が開発を進めていたが、樺山地区やニセコ町では企業による開発が目立った。これはヒラフ地区がすでに開発され土地も細分化されており、企業がより大きい開発地の一括取得を目指した結果であると考えられる。
著者
尾身 葉子 安田 秀光 橋本 政典 清水 利夫
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.1841-1844, 2005-08-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
21
被引用文献数
1

Radial scarは線維性結合組織からなる中心部分を機軸として乳管が放射状に配列し,その上皮に過形成変化を伴う病変である.癌との鑑別がしばしば困難で,異型過形成を伴う場合は乳癌発生のリスクとなる.その報告例は未だ少ない.今回われわれはradial scarの1例を経験したので報告する.症例は41歳,女性.左乳房痛を認め,当科を受診.左乳房C領域,疼痛部位よりやや内側に硬結を触知した.エコーにて同部位に境界不明瞭な後方エコーの減衰を伴う低エコー領域を認めた.マンモグラフィーではdistortionが認められた.穿刺吸引細胞診を施行したところ二相性の増殖性変化のみられる上皮が採取されClass IIIaであった.針生検では二相性の保たれた乳管上皮の乳頭状増殖が認められ,乳管内乳頭腫が疑われた.悪性の可能性を考慮し,確定診断のため左乳腺腫瘤切除術を施行した.病理組織診断はradial scarであった.
著者
山本 洋子 橋本 明彦 冨樫 きょう子 高塚 純子 伊藤 明子 志村 英樹 伊藤 雅章
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.5, pp.821-826, 2001-04-20
参考文献数
17
被引用文献数
16

掌蹠膿疱症における歯性病巣治療の有効性を調べるために,新潟大学医学部附属病院皮膚科で掌蹠膿疱症と診断した60症例について検討した.本学歯学部附属病院第二補綴科で歯性病巣を検索したところ,54例に慢性根尖病巣または慢性辺縁性歯周炎を認め,歯科治療を開始した.皮疹の経過観察を行い,「治癒」,「著明改善」,「改善」,「軽度改善」,「不変」,「悪化」の6群に分類し,「改善」以上の皮疹の軽快を認めた症例を有効群とした.口腔内アレルゲン金属除去ないし扁桃摘出術を行った症例を除いた31例について,歯性病巣治療の有効性を検討した.有効率は,歯性病巣治療終了群では70.6%,歯性病巣治療途中群では57.1%,両者を合わせた「歯性病巣治療群」では64.5%であり,無治療群の14.3%に比べて有意に有効率が高かった.有効群では歯性病巣治療開始後比較的早期に治療効果を認めること,罹病期間が長期でも治療効果が速やかに現れる症例があることより,歯性病巣は掌蹠膿疱症の主要な発症因子の1つであると考えた.本症では,従来のような扁桃炎などの耳鼻咽候科的な感染病巣および歯科金属アレルギーの検索とともに,自覚症状の有無に関わらず歯性病巣の検索も行い,個々の患者ごとに適切な治療方針を決定することが重要である.
著者
渋野 拓郎 竹内 直子 橋本 博明 具島 健二
出版者
広島大学生物生産学部
雑誌
生物生産学研究 (ISSN:1341691X)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.17-21, 1998-12

魚食性魚類に餌として利用されている魚類の分類群とその大きさを明かにするために、南日本の口永良部島の磯において肉食性魚類の消化管内容物を調査した。調査対象種14科31種723個体中、アオヤガラ Fistularia petimba、ワヌケトラギス Parapercis cephalopunctata、アカエソSynodus ulae、ギンガメアジ Caranx sexfasciatus などの14科31種156個体によって合計339個体の魚類が捕食されていた。この中で、表層性のキビナゴ Spratelloides gracilis が最も多く利用されていた。また、口永良部島の磯においては、体長19.0mmから55.0mm、体高4.0mmから8.0mmの魚類に対する捕食圧が高いことが明らかになった。The gut contents of piscivorous fishes (14 families, 31 species, 723 specimens) collected at the reefs of Kuchierabu-jima, southern Japan, were examined to determine the composition and size of their fish prey. One hundred fifty six of predators in 31 species and 14 families, including Fistularia petimba, Parapercis cephalopunctata, Synodus ulae, Caranx seafasciatus, fed on 339 items of prey. Piscivorous fishes at the reefs ate mainly the pelagic fish, Spratelloides gracilis. The feeding pressure was particularly high in fishes with body length 19.0-55.0 mm and body depth 4.0-8.0 mm at these reefs,
著者
石田 弘明 黒田 有寿茂 橋本 佳延 澤田 佳宏 江間 薫 服部 保
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.219-229, 2010-11-30 (Released:2018-02-01)
参考文献数
41
被引用文献数
5

近年、ニホンジカ(以下、シカ)による暖温帯夏緑二次林の食害が多くの地域で認められるようになってきた。本研究では、シカの採食による暖温帯夏緑二次林の種多様性・種組成の変化の特徴について検討するため、兵庫県南東部と大阪府北西部の暖温帯に分布する(1)シカの採食を全くあるいはほとんど受けていない夏緑二次林(以下、無被害林)と(2)シカの採食を強く受けている夏緑二次林(以下、被害林)に100m^2の調査区を合計50個設置して植生調査を行った。シカの採食可能な範囲にある低木層(高さ約2m)と草本層の植被率は被害林の方が無被害林よりも有意に低かった。両階層の落葉植物種数(/100m^2)もこれと同様の傾向を示した。低木層と草本層の落葉植物種数を生活形(高木、低木、草本、藤本)ごとに比較した結果、落葉植物の種多様性は生活形の違いに関わらずシカの採食による負の影響を受けること、また、低木層の種多様性は草本層のそれよりもその影響を受けやすいことが示唆された。低木層と草本層の種組成は森林タイプ間で大きく異なっており、多くの種が無被害林の識別種として区分された。しかし、被害林の識別種は両階層ともにシキミだけであった。以上のことから、シカの採食は暖温帯夏緑二次林の種組成を著しく単純化させると結論した。
著者
山本 明史 藤原 孝幸 橋本 学 舟橋 琢磨 輿水 大和
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.34, pp.73-76, 2009-08-27

本稿では、画像をブロック分割し、それぞれのブロックの画像中における独自性の高さを画素値とするレア度画像を提案する。レア度の計算は局所特徴量の発生頻度分布を基として行い、算出に用いる特徴はディジタル画像におけるもっとも原始的なものとして輝度値、勾配強度、最大勾配方向とした。また、レア度情報を用いることによるパターン情報等の教師を必要としない領域分割手法を提案し、3種のレア度画像それぞれにおける領域分割結果について考察する。
著者
橋本 律夫 上地 桃子 湯村 和子 小森 規代 阿部 晶子
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.837-845, 2016
被引用文献数
7

<p>Card placing test(CPT)は我々が開発した新しい視空間・方向感覚検査である.被験者は3 × 3格子の中央に立ち,周囲の格子に置かれた3種類の図形カードの位置を記憶し,自己身体回転なし(CPT-A)または回転後(CPT-B)にカードを再配置する.自己中心的地誌的見当識障害患者ではCPT-AとCPT-Bのいずれも低得点,道順障害患者ではCPT-A得点は正常範囲でCPT-Bが低得点であった.自己中心的地誌的見当識障害患者では自己中心的空間表象そのものに障害があり,道順障害患者では自己中心的空間表象と自己身体方向変化の情報統合に障害があると考えられた.</p>
著者
長谷川 寿美玲 橋本 郁子
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, 2003-03-18

脳血管障害後に運転したい患者は多いが,身体的,高次脳機能,社会的な問題がある.AT車,左へのアクセルの変更に不慣れで事故をおこしやすい.問題のあった5症例を紹介し,通院に自分で運転している患者12名のアンケートで問題点を検討した.2002年6月から道交法の改正で適性検査や診断書の提出などが求められるようになったが,左側失認,痴呆など高次脳機能障害について医療からの情報が公安委員会や教習所に必要と考える.
著者
橋本 佳奈 山村 省吾 冨田 裕之 泉 有希子 川村 洋介 野々垣 比路史
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.95-99, 2013

新生児における頭蓋骨陥没骨折の発生はまれであるが,その大部分は妊娠・分娩中の外傷に起因し,外傷既往のない先天性頭蓋骨陥没骨折の発生は4000~10,000分娩と極めてまれである.今回われわれは,受傷機転の明らかでない妊娠および分娩経過を経て出生した児に,右前頭骨陥没骨折を認めた1症例を経験した.26歳,1経産,身長149cmと低身長であるが狭骨盤や扁平仙骨は認めない.妊娠中の外傷既往はなく,妊娠39週5日に自然陣痛発来し,11時間31分の分娩時間を経て自然経腟分娩に至った.吸引・鉗子分娩やクリステレル圧出は行っていない.新生児は2640gの女児,Apgar scoreは1分値9点/5分値10点であった.出生時,右前頭部に3×4.5cm大の陥没を認め,頭部単純X線,CTを施行した.右冠状縫合に沿って右前頭骨の陥没を認めたが,頭蓋内病変は伴わず,明らかな神経学的症状も認めなかった.入院中,頭蓋内圧上昇や神経学的症状は出現せず.退院後も数週間の経過観察を行ったが,陥没骨折の改善傾向を認めなかったため,日齢28に頭蓋形成術を施行し,術後経過は良好である.非外傷性の新生児頭蓋骨陥没骨折の要因は,母体因子として子宮筋腫,子宮奇形,狭骨盤,および正常骨盤における第5腰椎,岬角,坐骨棘など,胎児因子として患児自身や多胎における他児の身体による圧迫などが挙げられる.しかし,出生前に頭蓋骨陥没骨折を予測,診断することは困難で,出生時に初めて診断されることがほとんどである.頭蓋内病変や神経学的合併症の多い外傷性陥没骨折と異なり,非外傷性の場合は出生時に合併症を伴わないことが多く,また自然治癒例もあり,その長期的予後は良好である.よって出生時に合併症を認めない非外傷性陥没骨折においては,まず経過観察を選択し,その間に外科的介入の必要性や時期,手法を検討することが可能であると考える.〔産婦の進歩65(1):95-99,2013(平成25年2月)〕
著者
橋本,剛
出版者
日本教育心理学協会
雑誌
教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, 2000-03-30

教育場面においても対人関係の否定的側面が精神的健康に及ぼす影響は重大な問題であると考えられる。本研究では(1)社会的スキルと対人ストレスイベント(ストレッサーとなり得る対人関係上の出来事)の関連, (2)対人方略(他者との関わり方/スタイル)と対人ストレスイベントの関連, (3)対人方略と社会的スキルの関連, を検討することを目的とした。分析対象は大学生計200名(男性105名, 女性95名, 平均年齢19.38歳)であった。分析の結果, 社会的スキルは対人劣等とは負の関連を持つという仮説は支持されたが, 対人摩耗とは正の相関を示すという仮説は必ずしも支持されなかった。また, 社会的スキルの対人ストレス緩衝効果は示されず, 部分的に直接効果が示された。対人方略と対人ストレスイベントの関連については, 内省傾向が否定的影響力をもつことが確認された。対人方略と社会的スキルの関連については, 対人関係の深化を回避する傾向が社会的スキルと負の関連を持つことが確認された。最後にこれらの知見を受けて, 今後の課題などが議論された。
著者
橋本宗彦 著
出版者
橋本宗一
巻号頁・発行日
vol.上, 1898