著者
利根川 直樹 浦辺 幸夫 前田 慶明 沼野 崇平 辰巳 廣太郎 橋本 留緒
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>バドミントン競技では,前後左右への機敏なフットワークが要求され,スマッシュなどストローク時に上肢の爆発的な力が必要となる。外傷は捻挫や肉離れなど下肢に多く,障がいは肩・肘関節など上肢に多いといわれているが(村尾,2012),その受傷機転を調査したものは少ない。さらに,競技中は風の影響を避けるため,真夏でも窓を閉め切る必要があり,苛酷な暑熱環境下でのプレーとなる。そのため熱中症発生の危険性が高いが(倉掛,2003),バドミントンの熱中症の発生状況に関する研究は少ない。</p><p></p><p>本研究の目的は,大学生バドミントン選手の傷害とその受傷機転,そして熱中症発生の実態を把握し,今後の予防対策の一助とすることとした。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>中国・四国地方のバドミントン部に所属する大学生577名にインターネットによるアンケートを実施し,有効回答の得られた218名(男子111名,女子107名)を対象とした。アンケート回収率は37.8%であった。</p><p></p><p>調査項目は身長,体重,競技経験年数,練習時間,外傷の有無と部位,外傷名,障がいの有無と部位,障がい名,受傷位置と動作,熱中症の有無・自覚症状・時期とした。熱中症の重症度は,自覚症状の回答から先行研究の判別方法を参考に,I度(軽度),II度(中等度),III度(重度)に分類した(坂手ら,2013)。</p><p></p><p>統計学的解析には,各項目について外傷経験のあり群,なし群の群間比較と,障がい経験のあり群,なし群の群間比較にMann-WhitneyのU検定,χ<sup>2</sup>検定を用いた。いずれも危険率5%未満を有意とした。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>選手218名中のべ75名(男子35名,女子40名)に外傷経験があり,のべ75名(男子44名,女子31名)に障がい経験があった。外傷部位は足関節が51件と最も多く,外傷名は捻挫が43件と最多であった。障がい部位は下腿前面が24件と最も多く,障がい名はシンスプリントが19件と最多であった。コート内の受傷機転は,非利き手側後方での外傷の割合が25.2%と最も高かった。外傷経験あり群は練習時間が有意に長く(p<0.01),外傷経験あり群および障がい経験あり群は,競技経験年数が有意に長かった(p<0.01)。</p><p></p><p>過去1年間の熱中症発生件数は52件であり,7月が最多で20件であった。熱中症経験者のうちI度は10.3%,II度86.2%,III度3.5%であった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>本研究から,大学生バドミントン選手では外傷,障がいともに下肢に多い傾向がみられた。受傷機転では,非利き手側後方での受傷割合が高いことが明らかとなった。非利き手側後方ではオーバーヘッドストローク後に片脚着地となることが多く,傷害リスクの高い動作である可能性が示唆された。</p><p></p><p>大学生のスポーツ活動時の熱中症の調査と比較すると(坂手ら,2013),本研究ではIII度の割合が低値を示したものの,II度の該当率が高く,重症化させないように注意喚起を行う必要がある。</p><p></p><p>本研究によって,大学生バドミントン選手のある程度詳細な調査結果を得られた意義は大きい。</p>
著者
山本 仁志 諏訪 博彦 岡田 勇 鳥海 不二夫 和泉 潔 橋本 康弘
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:13440896)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.33-43, 2011-09

本研究の目的は,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)サイトにおけるコミュニケーション構造の推移に着目し,SNSのライフサイクルにある種の法則性を見出すことである。我々は,SNSにおけるコミュニケーションのされ方の移り変わりに着目し,コミュニケーション関係は固定的に維持されるのか,推移していくのか,コミュニケーション関係はフレンドネットワークと近いのか,無関係なのかといったコミュニケーションの性質を表す因子を抽出している。これらの指標から,コミュニケーション構造の推移を明らかにし,その推移をライフサイクルとみなしSNSを分類している。分類したSNSのネットワーク構造や活性化の度合いを比較し,さらに特徴を分析している。その結果,現実の人間関係がベースとなるSNSは規模が小さく密なコミュニケーションがなされていることを確認している。また,ファンサイトのような対象物を中心としたSNSは,初期に開拓的であるものがより活性化することを確認している。
著者
橋本 公樹 長倉 陽平 橋本 岳
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第54回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.346, 2011 (Released:2012-03-09)

地球温暖化や原子力発電の危険性からクリーンで安全な太陽光発電が注目を集めている。しかし、太陽光発電は天候によって発電量が左右されてしまう。そこで、太陽光発電の発電量の低下を予測するために雲を三次元計測し、雲の動きを測定する。また、雲の動きに影響を与えている要素を発見する。
著者
山本 和生 橋本 成仁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.I_441-I_448, 2013
被引用文献数
2

高齢化が進み,免許返納者は年々増加しているが,返納後の生活で買い物や通院に苦労している人も少なくない.そこで本研究では,岡山県内の都市部と中山間地域において65歳以上の免許返納者ならびに保有者を対象に行ったアンケート調査の結果を用いて,自動車を運転できない場合にどういった方法で買い物を行い,また医療行為を受けたいのか,意識とその要因について分析した.この結果,買物支援サービスや医療支援サービスの利用意向は,居住地域や身体の衰えなどから返納後の移動に困る場合に高まることが明らかとなった.一方で世帯構成による影響は小さく,返納後の自立した生活をサポートしていくためには,免許返納制度の推進と併せて,特に中山間地域などの不便な地域で生活支援サービスを拡充していくことが重要であると考えられる.
著者
太田 結隆 加藤 勇夫 加藤 瑠人 越島 一郎 橋本 芳宏
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2019 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.458-475, 2019 (Released:2019-05-13)
参考文献数
5

日本社会が抱えている問題の一つに重要インフラを支える制御システムを対象にしたサイバー攻撃のリスクがある。もしこのリスクが発生してしまうと、プラントの安全を確保するためには、OT側が実施すべき安全対応とIT側が実施すべきセキュリティ対応が連携して事態にあたる必要がある。インシデントレスポンスをP2Mの構図で考えると、OT側はSafeプロジェクトを実施主体であり、IT側はSecプロジェクトの実施主体と捉えることができる。この二つのプロジェクトを統括するにはプログラムマネジメントが不可欠である。このため、本稿ではP2Mフレームワークを援用して重要インフラにおけるサイバーインシデントマネジメントを議論する。
著者
川西弘一 橋本和明 林和彦 石田哲也
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2019(札幌)
巻号頁・発行日
2019-06-11

著者らは橋梁コンクリートを対象とし,近接目視及び打音検査実施前に赤外線サーモグラフィ法による非破壊調査を実施することで,点検結果の信頼性向上と点検の効率化について論じてきた。また,既報では蓄積した点検結果より,熱画像による損傷種別の特定法,生存時間解析に基づく劣化リスク評価を示してきた。本論は,赤外線調査で抽出した損傷箇所の温度差と面積の経年変化に着目し,損傷毎の温度差履歴の特性を把握し,実橋調査と生存時間解析による劣化リスク評価から,本法でコンクリートの密実性が評価できる可能性を示した。
著者
山本 忠宏 大塚 英志 石井 岳龍 橋本 英治 泉 政文 Tadahiro YAMAMOTO Eiji OHTSUKA Gakuryu ISHII Eiji HASHIMOTO Masafumi IZUMI
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2012
巻号頁・発行日
2012-11-30

本研究の目的は、まんがと映画の関係について、実際にまんがを映像化して研究資料自体を制作することと、作成した資料をもとに異なるメディウムである両者について検証を試みることである。すでにまんがと映画の関係については、多くの先行研究により様々な角度から検証が行われているが、それらを踏まえつつ新たな論点を探求することも視野に入れる。本論では、大塚英志原作、藤原カムイ作画『アンラッキーヤングメン』(角川書店、2004~6)の一部を逐語訳的に映像化した上で、すでに一部逐語訳的映像化を行った石ノ森章太郎『龍神沼』(講談社、1961)の映像と適宜比較検証することで特徴を明らかにするとともに、1960 年代と2000 年代の映画的手法における表現の変化についても考察していく。The objective of this case study is to compare and verify the relationship between the manga and the film created with manga as a base. The research about this process is carried out by many researchers previously. So, including the viewpoint of other researchers, I will add my own views to find a new approach to the issue of these studies.In this paper, I am converting the part of manga written by Eiji OHTSUKA and Kamui FUJIWARA titled "UNLUCKY YOUNGMEN" and compare it to the manga based film" RYUJINNUMA" previously converted by myself which was written by Shotaro ISHINOMORI in 1961. Comparing and verifying these two films conversion process will find out the difference between the changes of the method of film in manga from 1960s' to 2000s'.
著者
瀬戸 卓弥 竹内 優志 橋本 正弘 伊藤 惟 市原 直昭 川久保 博文 北川 雄光 宮田 裕章 陣崎 雅弘 榊原 康文
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

食道癌は10年生存率が20%前後の癌であり、膵臓癌や肝細胞癌と並んで致死率の高い癌である。また、食物を運ぶ蠕動運動による狭窄と癌による狭窄の判別が難しく診断の難しい癌であることも知られている。そこで本研究では、過去に食道癌と診断された患者のCT画像を用いて畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と 再帰型ニューラルネットワークの学習を行うことにより、新規のCT画像に食道癌が存在するか否かを判別するシステムの構築を目的とした。結果として、CNNとLSTMを用いた診断支援システムの構築に成功し、80%を超える精度で分類を行うことができた。
著者
橋本 雄一 濱里 正史
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.208-226, 1995
被引用文献数
3

本研究は福昂畢郡山市を事例地域とし, 都市内部で公共交通により形成される近接空間の変化を明らかにすることを目的とする. まず, 1977年と1987年の近接性データに準3相因子分析を行うことにより, 郡山市における近接空間を画定し, その変化について検討した. その特果, 両年次とも, 鉄道や主要道路ごとに近接空間が形成されており, 明確なセクター性が認められた. また, 市中心部においては, 郡山駅西側の市街地内部で強い結びつきが見られるだけではなく. 市街地縁辺の住宅地とも結びついて近接空間を形成していた. 1977年から1987年にかけての隣接空間の変化を見ると, 郡山駅南部の地区間結合が強くなっており, 逆に周辺地区間の強い結合は見られなくなった. 次に, 近接空間を包含する公共交通ネットワーク全体が, いかなる空間構造を有するのか, MDSを用いて検討した. その結果, 1977年には郡山駅を中心として, 等距離に市街地周辺地区の布置が見られたが, 1987年には郡山駅西側および南側の地区が郡山駅の近くに分布し, 市北部の地区は逆に駅から離れた布置となっていた. この変化は, 郡山市西部および南部で人口が急増したことによる公共交通の需要に, 公共交通ネットワークが対応したことによると考えられる. 以上のことから, 当該期間において公共交通ネットワークは, 都市内部のあらゆる部分地区間の移動を確保するものから,部分地区ごとの需要の違いに対応したものに変化したと推察される.
著者
橋本 ルイコ 浅野 勝佳 渡嘉敷 唯章 陰地 義樹 廣瀬(安元) 美奈 高良 亮 豊里 哲也 吉野 敦 池端 真美 劉 瑩 久米田 裕子 横山 耕治 髙橋 治男
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.179-186, 2013-07-31 (Released:2013-12-10)
参考文献数
19
被引用文献数
4 6

最も普遍的に存在するカビのひとつ,A. niger にマイコトキシンの産生性が発見され,食品工業上重要な役割を担う A. niger や沖縄で泡盛の醸造に伝統的に用いられてきた黒麹菌の安全性が問題視されている. また,A. niger とその近縁種である黒麹菌は形態的に類別することは困難であることから,ミトコンドリアチトクローム b DNA 遺伝子などを用いて分子遺伝学的に解析し,これらの菌を正確に分類するとともに,マイコトキシン産生性との関係を明らかにすることによって黒麹菌など実用株の安全性についての検証を行った.