著者
藤野 英己 祢屋 俊昭 武田 功 菅 弘之
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.292-299, 1998-07-31
参考文献数
11
被引用文献数
1

健常成人, 高齢者および唖下障害者の喉頭運動と呼吸運動をストレインゲージ法で同時に記録して, 瞭下と呼吸の相互連関について検討した。唖下反射は3mlの飲水で誘発した。健常成人では喉頭挙上開始から238±32msec(平均士標準誤差)遅延して唖下呼吸の吸息が開始した。喉頭降下開始から165±29msec遅延して唖下呼吸は呼息相に移行した。この相互連関は高齢者においても同様であった。この相互連関が維持されているときには正常な唖下が観察された。したがって, その相互連関がスムーズな瞭下物の移送に必要不可欠であることが示唆された。一方, 唖下障害者では誤唖が誘発された。この時には唖下発生までに潜時が認められたり, 喉頭挙上に先行して唖下呼吸がみられた。これらの結果から, 相互連関の乱れが誤嘆に関与することが示唆され, 本研究に使用した測定法が唖下障害の定量的評価法として有用であると考えられる。
著者
加我 宏之 田川 圭佑 武田 重昭 増田 昇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.375-380, 2013-10-25 (Released:2013-10-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

本研究では、文献とヒアリング調査から昭和初期に開発された大美野住宅地における計画特性を明らかにし、現在まで受け継がれてきた景観資源を抽出した。写真投影法を通じて、生活者が捉えた大美野らしい景観を明らかにし、現在まで受け継がれてきた景観資源の風景的価値を探った。結果、カイヅカイブキの生垣が連続した景観、大美野会館や福富稲荷神社を背景に中央ロータリーと噴水を中心に捉えた景観は、大美野を代表する景観としての価値が高い。小学校の景や曲線道路の景、趣のある大規模戸建住宅の景、庭木のサクラの景も大美野をよく知る人、最近住み始めた人とともに風景的価値が高いことが明らかとなった。
著者
齋藤 靖弘 成田 拓弥 徳留 章 早坂 敬明 松田 律史 民谷 健太郎 増井 伸高 松田 知倫 武田 清孝 瀧 健治
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.493-498, 2019-06-30 (Released:2019-06-30)
参考文献数
11

救急外来(emergency room;ER)における薬剤師の業務報告は未だ少ない。この原因には診療報酬上の加算がない以上に,ERでの薬剤師業務が明確ではないことが考えられる。 今回,札幌東徳洲会病院(以下,当院)のER専従薬剤師が行っている業務として「持参薬鑑別」を取り上げ,その迅速性・内容・時間の観点から調査・検討を行った。結果として,ER専従薬剤師の施行した持参薬鑑別は救急搬入後2時間以内にほぼ終了していた。また薬剤起因性疾患の原因となり得る薬剤を常用している患者が一定数存在した。さらにER専従薬剤師は救急医の薬歴把握にかかる業務負担を1日当たり1.9時間軽減している可能性が示唆された。 以上の結果より,ERに薬剤師を専従配置することは,迅速な持参薬鑑別をER専従薬剤師が行うことでタスクシフティングによる救急医の負担軽減のみならず,薬剤起因性疾患の早期診断支援につながる可能性がある。
著者
濱 弘道 武田 功 黒木 裕士 角南 昌三 星野 一正 伊藤 一忠 山室 隆夫
出版者
京都大学医療技術短期大学部
雑誌
京都大学医療技術短期大学部紀要 = Annual reports of the College of Medical Technology, Kyoto University (ISSN:02867850)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.8-14, 1984

The purpose of this study was to examine gross anatomy of the suprascapular nerve using 20 cadavers (14 male and 6 female), with special reference to the anomalous branch to the supraspinatus muscle and funicular pattern in the scapular notch. The branch to the supraspinatus muscle did not ramify proximal to the scapular notch, whereas the suprascapular artery passed under the superior transverse scapular ligament in 17.5% of the cadavers. Fourty percent of the scapular notches were type II by the classification of Rengachary. There was no adhesion between the suprascapular nerve and superior transverse scapular ligament which varied in size and toughness; the inferior transverse scapular ligament was, however, thin in 72.5%. Pseudoneuromas found just proximal to the superior transverse scapular ligament had no correlation with supraspinatus and infraspinatus muscle atrophy, which were not remarkable. The branch to the supraspinatus muscle superomedial in the scapular notch were located just below the superior transverse scapular ligament where friction neuritis was said to be occasionally seen. The present findings suggest that infraspinatus muscle atrophy is caused by suprascapular entrapment neuropathy at the spinoglenoid notch rather than at the scapular notch.
著者
山本 俊之 上垣 幸司 岩清水 隆 武田 浩
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.36-41, 2007-11-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
3

佐川美術館樂吉左衛門館は, 展示室・茶室の内外壁面に杉木目を有するブラックコンクリート化粧打放し仕上げを採用している。この高意匠ニーズの実現と美術館に求められる機能を満足するために, 最適なブラックコンクリート調合の選定, アンモニアガス発生量の抑制方法, 最適な杉木目転写仕上げ技術と施工方法等, 数多くの技術的課題について検討し, 種々の実験を経て, 実施工に臨み, 良好なコンクリートの黒味と杉木目の転写を得ることができた。
著者
瀧山 和志 武田 志乃 内川 拓也 小久保 年章 島田 義也
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第40回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.1002024, 2013 (Released:2013-08-14)

【はじめに】原子力発電で利用されるウランは腎毒性物質として知られている。ウランは地殻成分として環境中に広く分布し、原発事故で飛散した多くの放射性核種と同様に、その内部被ばく影響に関心が高まっている。劣化ウラン弾汚染や鉱山乱開発による環境負荷の懸念、あるいは地下水汚染地域での健康調査報告などを背景に、放射線防護の観点から早急な対応が求められている。緑藻の一種であるクロレラは、鉛、カドミウム、メチル水銀といった有害金属の吸着作用あるいは排泄促進作用が報告されている。そこで、本研究ではクロレラのウラン腎臓蓄積低減効果を調べることを目的とし、ウラン吸収および排泄へのクロレラの効果について検討を行った。【実験】動物の処置:Wistar系雄性ラット(10週齢)に胃ゾンデにより酢酸ウラン(天然型)を単独(0.5 mg/kg)あるいはクロレラ(1 g/kg)を併用一回投与した。個別に代謝ケージに移し3日間飼育し、摂食、摂水、尿、および糞量を測定した。ウランの分析:腎臓、血液、尿、糞は高純度硝酸を加えて湿式灰化し、ウラン濃度を誘導結合プラズマ質量分析により測定した。【結果および考察】観察期間中、クロレラ併用群の腎臓中ウラン濃度はウラン単独群に比べ50-60%低値となった。投与後初期の血漿へのウラン移行がクロレラ併用群で減少しており、腸管でのウラン取り込みが低下していたものと考えられた。糞・尿代謝への影響についても併せて報告する。
著者
武田 悠希
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.1-16, 2014-11-15

本稿は、押川春浪の代表作とされる「海底軍艦」シリーズの論点となってきた「武侠」の定義が語られる『武侠の日本』を取り上げ、春浪が本作をどのように作り上げたのかを明らかにしようとするものである。特に、これまでの研究に欠けていた、春浪の創作態度を見るという視点を媒介させることによって、これまでの観念的に措定されたナショナリズムを指摘するにとどまる段階からの脱却をはかりたい。その際に手がかりとして、素材、構造、執筆動機を取り上げ、同時代言説との比較検証に留意することで、春浪が『武侠の日本』の創作にあたって、同時代の中での批判的意識を「面白さ」として加工し、それを小説という媒体に託すことを試みていたことを論証する。
著者
松永 秀俊 山野 薫 上田 周平 村田 伸 吉澤 隆志 武田 功
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.675-678, 2009 (Released:2009-11-25)
参考文献数
16

〔目的〕運動後,伸張強度が筋に与える影響について書かれたものは散見する程度であり,運動療法施行上,核心が無いままで行われているのが現実である。そこで,我々は筋伸張強度と筋の回復効果との関連について検討した。〔方法〕運動負荷後,異なった強度での伸張運動を行い,時間の経過と共に筋硬度および体表温度の変化を計測し,それを基に効果判定を行った。〔結果〕筋伸張強度の違いによる筋の回復効果には一部有意な差を認めた。〔結語〕運動負荷後の筋の回復には強い伸張で行う必要はなく,軽い伸張でも十分効果的である可能性が示唆された。

3 0 0 0 OA 僧侶三罪録

著者
武田徳龍 編輯
出版者
楳原譲
巻号頁・発行日
1884
著者
武田 邦彦
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.12-16, 1998-01-30
参考文献数
14
被引用文献数
4 2

工学備理教育では,(1)近代工学が社会に与えた精神界への打撃,労働の追放,環境の破壊などの事実内容についての講義,(2)工学倫理の自然科学的合理性,工学の社会に対する合目的性,工学の一方向性などの考え方についての講義,及び(3)原子爆弾投下,エイズ問題,遺伝子操作による動物の飼育などの主要な事例研究と演習,さらに(4)工学倫理組合の結成,労働形態の変更など社会生活への働きかけの可否などの講義と討論をもとに構成するのが適当であると考えられる。また,工学的内容を持つ事例の講義とその倫理学的哲学的内容を教授することが必要な工学倫理教育では複数の教育者の共同教育が必要であろう。
著者
船橋 英樹 武田 龍一郎 松尾 寿栄 塩入 重正 荒木 竜二 尾薗 和彦 谷口 浩 三山 吉夫 石田 康
出版者
九州精神神経学会
雑誌
九州神経精神医学 (ISSN:00236144)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.14-21, 2012-04-15 (Released:2013-03-29)
参考文献数
23

慢性期の脳梗塞を有する入院患者4症例において,シロスタゾール100mg/日の投与を行った。いずれの症例も誤嚥性肺炎の頻度は減少し,有害事象は認めなかった。誤嚥性肺炎の予防にはリハビリテーションなどに加えて,シロスタゾールの少量投与が有用であることが示唆された。
著者
水上 雅晴 小幡 敏行 鶴成 久章 名和 敏光 末永 高康 武田 時昌 石井 行雄 近藤 浩之 高田 宗平
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

平成29年度も年号資料の調査と考察を継続するかたわら、研究組織の構成メンバーは、国内外での学会に積極的に参加し、研究報告を行った。特筆すべきは、国立歴史民俗博物館において、三つの大きな行事を実行したことである。それは特集展示「年号と朝廷」、歴博フォーラム「年号と日本文化」、国際シンポジウム「年号と東アジアの思想と文化」である。特集展示を実施するためには、展示物の選定、展示パネル、解説シートや広報用ポスターの作成など多岐にわたる準備が必要であったが、研究組織として十分な協力体制を築くことができたので、研究成果を社会に還元する上で大きな意味を持つ事業を成功させることができた。研究報告がなされた歴博フォーラムと国際シンポジウムにも多くの参加者が集まり、研究成果を可視化し共有する面で大きな進展が見られた。同じく二十名を超える研究者からの報告がなされた国際シンポジウムは、報告者の中から第二回目を実施してほしいと声が挙がってきたばかりか、参加者として会場にいた出版社の編集者から論文集出版に関する相談がなされたほどの盛況であった。そこで、当初の計画には無かったが、次年度にも年号に関する学術会議を開催することに加え、論文集の出版準備も進めることを決めた。これまで三年間準備を進めてきた年号資料の影印出版事業が『日本漢学珍稀文献集成(年号之部)』(上海社会科学出版社)全5冊、5千頁が本年度内に出版されたことで、研究計画を構成する大きな柱の一つが完成した。収録した資料に対する解題を日中二カ国語で記したので、国際的な学術成果の発信も行うことができた。
著者
武田 征士 Hsu Hsiang 濱 利行 山根 敏志 益田 幸治 中野 大樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.3E102, 2018 (Released:2018-07-30)

所望の物性値をもつ新物質をデザインすることは、あらゆる工業分野における重要な課題である。本研究では、既存物質のデータ解析から新物質デザインまでend-to-endで実現する手法を提案する。本手法は、特徴量エンコーディング、回帰モデル、解探索、構造生成のステップからなる。データ駆動特徴量と事前定義特徴量を定義し、それらを用いた分子構造生成手法を提案することで、各ステップが連携的に動作する。本手法により、複数の目標物性値を同時に満たす複雑かつ多様な分子構造を高速にデザイン可能であることを、市販の薬物データを用いて実証する。