著者
鎌田 尚希 大木 あかり 荒井 将太 武田 将太郎 齋藤 杏 大澤 優輝 髙田 茉知 山本 貴士 武川 直樹 青木 良輔
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.4_1-4_8, 2023-03-31 (Released:2023-03-30)
参考文献数
13

畳まれた長傘による歩行時のヒヤリハット事例が日本の行政機関からしばしば報告されているが,長傘の危険な持ち方に関する対策検討が少ない.代表的な危険な持ち方に,長傘を地面に対して水平に持つ横持ちが取り上げられる.その問題に対し,長傘の先端が地面に向かうように持つという持ち方の啓発活動が主な対策である.しかし,横持ち以外の持ち方の危険性や,危険な持ち方に至る人々の心理の探究が少ない.本稿では,2種類の長傘の持ち方調査と,調査結果に基づく3種類のプロトタイプを提案し,その使用感をヒアリングした.持ち方調査から長傘の先端をつけない持ち方を,あるいは周囲への迷惑がないと判断すると本人にとって楽な持ち方を優先する傾向が確認された.この知見に基づいて製作された各プロトタイプのヒアリングから,楽な持ち方に適したものが好まれる傾向があった.
著者
武田 憲昭
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.123, no.6, pp.455-459, 2020-06-20 (Released:2020-07-01)
参考文献数
22

ナローバンド UVB (308~313nm の狭帯域中波紫外線) 光線療法は, 皮膚の免疫アレルギー疾患の治療として保険診療で行われている. (株)日亜化学が 310nm のナローバンド UVB を発光する LED の開発に成功したことにより, ナローバンド UVB を鼻粘膜に照射することが可能になった. 本研究は, ナローバンド UVB を発光する LED を用いたアレルギー性鼻炎の光治療装置の開発を目的としている. HeLa 細胞を用いた in vitro 研究を行い, 低用量のナローバンド UVB (310nm) が DNA 障害を誘導することなく, ヒスタミン H1 受容体遺伝子発現亢進のシグナル伝達経路を抑制し, 波長特異的, 用量依存的, 可逆的に HeLa 細胞のヒスタミン H1 受容体遺伝子発現亢進を抑制することを明らかにした. TDI で感作, 誘発を行うアレルギー性鼻炎モデルラットを用いた in vivo 研究では, アレルギー性鼻炎モデルラットの両側の鼻腔に 310nm のナローバンド UVB を照射し, TDI により誘発されるくしゃみ回数と鼻粘膜のヒスタミン H1 受容体遺伝子発現の亢進に与える影響を検討した. また, 鼻粘膜上皮細胞の DNA 障害についても検討した. その結果, 低用量のナローバンド UVB を鼻腔に照射しておくと, TDI 誘発による鼻粘膜のヒスタミンH1 受容体遺伝子発現の亢進を用量依存的, 可逆的に抑制し, TDI 感作ラットの鼻症状を抑制した. また, 低用量のナローバンド UVB は鼻粘膜上皮細胞の DNA 障害を引き起こさなかった. 以上の結果から, ナローバンド UVB 光線療法はアレルギー性鼻炎の治療に用いることができると考えられ, 安全に実施できると考えられた. そこでナローバンドUVBを用いた光治療装置の試作機を開発し,特許を取得した.平成29~31年度のAMED橋渡し研究戦略的推進プログラム「ナローバンドUVBを発光するLEDを用いたアレルギー性鼻炎の光治療装置の開発」により,非臨床研究を継続するとともに,企業の参画を得てナローバンドUVBを用いた光治療装置のプロトタイプを開発中である.
著者
武田 篤志
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.117-124, 2008-07-17 (Released:2013-12-27)
参考文献数
15

1974年に刊行されたアンリ・ルフェーヴルの主著『空間の生産』は,英訳されたのを機に,1990年代以降,都市論や地理学の分野でひろく再評価がすすんでいる.しかし,この書の第Ⅲ部には「空間の建築術(Architectonique spatiale)」⑴と題される章が設けられているにもかかわらず,また,この「建築」が彼の空間論において要諦をなしているにもかかわらず,『空間の生産』における「建築」の意義について積極的な言及はほとんどみられない⑵.本稿は,ルフェーヴルにおける空間論と建築との理論的関連に焦点を当て,この書の建築理論としての可能性を提起することを目的とする.
著者
鈴木 則子 脇田 晴子 平 雅行 梅澤 ふみ子 久保田 優 武藤 武藤 三枝 暁子 成田 龍一 武田 佐知子 小林 丈広 白杉 悦雄 谷口 美樹 福田 眞人 脇田 修 濱千代 早由美 長 志珠絵 尾鍋 智子 菅谷 文則 山崎 明子 加藤 美恵子 栗山 茂久
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、日本の歴史のなかで女性の周縁化(地位の劣化)が進行していく過程を、女性の身体に対する認識の歴史的変化に着目しつつ、医学・衛生・宗教・地域・出産/月経という主として五つの側面から検討を加えた。伝統的医学と近代医学それぞれの女性身体観、近代衛生政策における女性役割の位置づけ、仏教と神道の女性認識の変遷、血穢などに対する地域社会の対応の形成等について明らかにしえた。
著者
松永 亨 武田 憲昭
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.81, no.8, pp.1095-1120, 1988-08-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
109
被引用文献数
5 2

Motion sickness occurs when man is expected to certain types of real or apparent motion. The signs and symptoms are malaise, pallor, cold sweating, nausea and vomiting. According to the sensory conflict theory, neural mismatch among the actual sensory input from the eyes, the vestibular apparatus and the somatosensory receptors and the signals expected to be received in the central nervous system causes motion sickness.We developed a rat model and examined the roles of histamine, acetylcholine and noradrenaline in the development of motion sickness. We conclude that 1) histamine plays a role in the onset of the disorder; 2) acetylcholine is involved in the sensory conflict mechanisms; 3) noradrenaline modulates the sensory information.Space motion sickness is generally regarded as a variation of the common type of motion sickness. Here, we introduce three hypothese of space motion sickness and explain the results of space vestibular experiments on space motion sickness in the Skylab mission and Spacelab-1 mission.
著者
武田 千絵 中嶋 加央里 能登谷 晶子 砂原 伸行
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.207-215, 2017-09-25 (Released:2017-10-11)
参考文献数
22
被引用文献数
3

Trail Making Test(TMT)は,Halstead-Reitan Batteryの一つとして報告された縦型のTMT(縦版TMT)と鹿島らが作成した横型のTMT(横版TMT)の二つがある.しかし,2つのTMTでは成績が大きく異なり,その原因について詳細な言及はなされていない.今回若年健常者を対象に2つのTMTを実施し,所要時間を比較した.その結果横版TMTが縦版TMTよりも所要時間が延長し,Part A,B間で所要時間に差がなかった.縦版TMTの所要時間はPart Bで延長した.TMT完遂までに引かれる線の長さを除して検討したが,横版TMTが縦版TMTよりも遂行時間が延長した.縦版TMTは線が円を描く軌跡になるのに対し,横版TMTでは線がランダムに重なっていくため,視覚探索が困難となり所要時間の延長につながったと考えられる.
著者
中塚 峻 武田 健一郎 森野 一真
出版者
一般社団法人 日本中毒学会
雑誌
中毒研究 (ISSN:09143777)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.48-50, 2023-03-10 (Released:2023-03-30)
参考文献数
5

An 18-year-old male who abused several over-the-counter (OTC) drugs, mainly diphenhydramine, was admitted to the emergency department. He presented with tachycardia, delirium, tremor, and tonic convulsions. He was treated with diazepam, tracheal intubation, and activated charcoal. His symptoms appeared to be caused by diphenhydramine poisoning. In addition, we suspected that the combined use of diphenhydramine, alcohol, and an anticholinergic agent exacerbated the poisoning symptoms. His symptoms improved with time and he was discharged on day 6.In recent years, the routes for obtaining drugs and information are becoming more diverse. While OTC drugs are often readily available, we need to be aware that certain types of medication can cause serious symptoms.
著者
井川 一樹 福原 知宏 藤井 秀樹 武田 英明
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

電子番組表(EPG)の普及に伴い、テレビ番組のデータを計算機上で処理できるようになった。テレビ番組のEPGと視聴履歴のデータを組み合わせることで、利用者の嗜好に応じた番組推薦が可能となる。 テレビ視聴者の選局行動については以前より研究がなされているが、本研究ではテレビ番組のEPGと視聴履歴を用いた番組推薦システムを構築し、実際の視聴者に対して番組推薦実験を行ったので、その結果を報告する。
著者
山本 豊 笠原 良二 平 雅代 武田 修己 樋口 剛央 山口 能宏 白鳥 誠 佐々木 博
出版者
一般社団法人 日本生薬学会
雑誌
生薬学雑誌 (ISSN:13499114)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.89-105, 2021-08-20 (Released:2022-09-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

The survey on the variety, amount and producing countries of crude drugs for medicinal use was conducted among member companies belonging to Japan Kampo Medicines Manufacturers Association in fiscal 2017 and 2018. The results showed that total amount of use and number of items of crude drugs were 25,326 tons of 263 items in 2017, and 26,391 tons of 264 items in 2018, respectively. Comparing production ratios among countries, Japan, China and the other countries produced 10.0%, 83.2% and 6.8% of total amount of use in 2017, respectively. Similarly, each ratio turned to 10.4%, 83.6% and 6.0% in 2018.
著者
武田 征士
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.95-99, 2013 (Released:2014-09-26)
参考文献数
44

植物にとって,花は次世代へ遺伝情報を伝える重要な生殖器官である.雄しべと雌しべは生殖そのものに関わる一方,萼(がく)は花器官を外環境から守り,花びらは虫や鳥などの花粉の運び屋を惹き付ける.花びらはこの役割を果たすため,最も多様性に富む植物器官に進化してきている.モデル植物のシロイヌナズナの研究を中心に,花器官作りのメカニズムが遺伝子レベルで明らかにされてきた.最近の報告を含め,植物にとって重要な「花びら作り」に関わる遺伝子とメカニズムについて述べる.
著者
武田 光志 荒井 裕一朗 長井 友子 安原 一 山下 衛
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.12-21, 2006-02-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
17

乳幼児がボタン型アルカリ電池やコイン型リチウム電池を誤飲する事故がしばしば発生する.その電池が消化管に停滞し, 消化管壊死を起す.その原因は電池が接触する組織の消化管分泌液や電解質液に電気が流れ, 電気分解が起こり水酸化ナトリウム等のアルカリが生成される.単位時間に流れる電気容量に比例し, アルカリの量は生成するため, 電池の電圧を低下させることが消化管壊死の程度を軽減すると考えた.電池を伝導性に富む素材でショートさせると, 電圧が低下することに着目し, イヌの食道にコイン型リチウム電池を留置し伝導性に富む黒鉛を用いて食道壊死の程度を検討した.6頭の犬を食道に電池を留置した群 (電池留置群, n=3) と留置した電池の周囲に5%黒鉛生食懸濁液を注入した群 (黒鉛処置群, n=3) に分けた.黒鉛処置群はさらに電池の挿入と同時に5%黒鉛生食懸濁液を注入した場合 (n=1) と電池挿入後1分後に5%黒鉛生食懸濁液を注入した場合 (n=2) とし, それぞれ電池留置60分後に食道組織を肉眼的および顕微鏡学的に観察した.電池留置群は肉眼的に, 電池との接触部分で組織の炭化が観察された.顕微鏡学的所見としては粘膜上皮から筋層深部の外縦筋層に至るまでに変性壊死が認められた.黒鉛処置群のうち電池の留置と同時に5%黒鉛生食懸濁液を注人した場合は, 肉眼的には電池外周部と接した組織の一部に充血が見られた.それ以外の部分に色調の変化は認められなかった.顕微鏡的所見では粘膜上皮から外縦筋層までに変性壊死は認められなかった.電池留置1分後に5%黒鉛生食懸濁液を注入し場合は, 電池の外周部が接触した組織で部分的に糜爛と潰瘍が肉眼的に観察された.顕微鏡学的には電池外周部が接触した組織では粘膜の消失が観察された.粘膜から筋層まで変性が見られたが電池留置群に比し, その程度は軽度であった.以上のことから, 5%黒鉛生食懸濁液を電池の周囲に注入し電池をショートさせると, 電池による食道壊死に対して組織保護効果があることが明らかとなった.ボタン型アルカリ電池やコイン型リチウム電池の誤飲時に起こる食道組織の壊死に対し, 黒鉛粉末懸濁液の投与が電池を除去するまでの対処法として有効な手段であることが示唆された.
著者
小松原 秀紀 武田 大介 藤林 淳子 古森 孝英
出版者
日本口腔診断学会
雑誌
日本口腔診断学会雑誌 (ISSN:09149694)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.18-22, 2017-02-20 (Released:2017-05-23)
参考文献数
27

We have occasionally experienced cases with aberrant foreign bodies, such as fish bones or metal fragments of dental materials, in the oral region. Recently, there have been cases of serious injury due to piercing of the nose, lips, and other body parts. We report the case of a 49-year-old man with a needle in the floor of his mouth that had been used to pierce the tongue.The patient visited our department because of difficulty in swallowing and speaking. Macroscopically, only a slight redness on the right side of the oral floor was seen; the foreign body could not be felt on palpation. Panoramic radiography and computed tomography showed a sharp, straight metallic object extending from the floor of the mouth to the submental region. The object was located in the deep submucosal layer of the oral floor into the right suprahyoid muscles and was surgically removed from the inside of the right anterior belly of the digastric muscle using an extraoral approach. We chose to use general anesthesia because of the risk of bleeding and airway obstruction. The object was a metal needle 5 mm in diameter and 50 mm in length. The postoperative course until 1 year was uneventful.
著者
金山 博 武田 浩一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.840-849, 2011-06-15

2011年2月14日〜16日、米国のTVクイズ番組においてIBM の質問応答システムWatsonと当番組の2人のクイズ・チャンピオンとの対戦が実現し、Watson が勝利を収めた。本システムの成功には長年の質問応答技術の研究、インターネット上などにある膨大なデジタル情報の蓄積、並列処理と機械学習を利用して解答とその確信度を計算する新たな手法などが寄与している。また、高い相互運用性をもつ自然言語処理のプラットフォームの採用や、米国の8大学との共同研究なども効果をあげた。本稿では、問題の設定、研究開発の過程、その結果と将来の展望を追う形式で、挑戦の概要と技術的内容の両面を紹介していく。