著者
津田 菜摘 武藤 崇
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.167-177, 2020-09-30 (Released:2020-12-23)
参考文献数
27
被引用文献数
1

本研究の目的は、本邦初となるアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)によるスティグマ介入を行い、顕在的・潜在的指標による効果測定を実施することであった。参加者は心理学を専攻する大学生79名であり、実験計画は3(時期:Pre、 Post、 FU)×2(群:ACT、心理教育)×2(体験の回避:高、低)の3要因混合デザインであった。線形混合モデルを用いた解析の結果、潜在的・顕在的指標にかかわらず、体験の回避が強い群、弱い群共に、介入方法による平均値差はみられなかった。また、潜在的・顕在的指標の間に有意な相関関係もみられなかった。これらの結果から、1) ACTと心理教育のうちどちらがスティグマ介入の方法として適しているかは不明であること、2)潜在的・顕在的指標は効果の表れ方は一致するが、異なるスティグマの側面を測定している可能性があることが明らかになった。デザインの改善や介入方法と測定指標の改善など、今後の研究の必要性が示唆された。
著者
阿部 光司 廣瀬 翔子 本田 隆文 安川 久美 武藤 順子 髙梨 潤一
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.110-115, 2022-06-25 (Released:2022-06-25)
参考文献数
12

An 18-month-old boy developed toxic shock syndrome (TSS) after a minor burn. He sustained a second-degree burn (superficial partial thickness) over 4-5% of the total body surface area on the right upper arm and lateral chest. Four days later, he developed a fever and was brought to the emergency room of our hospital. At presentation, he had tachycardia and peripheral coldness despite the fever. There were no signs of infection at the burn site, but diffuse erythema was observed on the left upper arm and lateral chest. He was admitted to the pediatric intensive care unit for suspected TSS and compensated shock. Gradually, his condition stabilized and he was transferred to the general ward on day 4 of hospitalization. On day 7, desquamation away from the wound was observed. Staphylococcus aureus positive for the TSS toxin-1 gene was detected in the wound culture on admission, and we diagnosed probable TSS. Based on the course and physical examination findings, the patient was treated for TSS and had a good outcome without developing hypotension or multiple organ failure. TSS progresses rapidly and can be fatal, so it is important to be aware of TSS when treating febrile children with burns.
著者
武藤 崇 唐岩 正典 岡田 崇宏 小林 重雄
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.31-42, 2000-09-30 (Released:2017-07-28)

本研究は、広汎性発達障害幼児に対する適切な排尿行動の形成を目的とした。そのトイレット・マネイジメント手続きは、短期集中ホーム・デリバリー型の支援形態で実施された。まず、両親に対するインフォームド・コンセント(説明と同意)と、機能アセスメントに基づく援助計画が立案された。次に、その計画に基づいた援助がスタッフと親によって実施された。その結果、マネイジメント援助期において、定時排泄機会の設定間隔を12日間で20分間から50分間まで延ばすことが可能となった。さらにマネイジメント維持期の最終段階で排尿間隔が平均140分まで延び、自発的なトイレへの移動も観察された。また、本援助に対する両親の満足度は非常に高かった。今後は、このような支援形態での援助手続きの伝達方法をさらに検討する必要性が示唆された。
著者
武藤 正義
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.89-104, 2002-06-30 (Released:2009-02-10)
参考文献数
22
被引用文献数
7 13

本稿の目的は、集団において行為者がランダムに繰り返し相手を替えて1回限りの2人囚人のジレンマをプレイしている場合、行為者が僅かな利他性をもつならば、集団は、協力率が高く安定な状態になりうる、ということを示すことにある。分析の結果、相互協力から逸脱する誘因が小さい場合、利他性の平均が低いときでも、その分散を小さくしていくと、突然、協力率が高く安定な均衡が現れ、初発の協力率が高いという条件付だが、集団はその均衡に収束することがわかった。
著者
渡邊 慎一 武藤 将史
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第42回人間-生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.107-110, 2018 (Released:2021-04-23)
参考文献数
5

紫外線の過度な照射は健康被害をもたらすことが指摘されている.本研究は,紫外線防御アイテムである衣 服・帽子・アームカバー・日傘の組合せ条件が,人体各部位および全身の紫外線遮蔽率に及ぼす影響を明らかにす ることを目的とする.24 個の UV センサを取付けた 2 体のマネキンを測定に用いた.実測の結果,以下の知見を 得た.本研究で対象とした紫外線防御アイテムの中で,全身の紫外線防御率が最も高かったのは、条件⑤の「衣服 +アームカバー+日傘」の組合せであり、14:00 において 60.3%であった.帽子およびアームガードは覆う部位の 紫外線をほぼ完全に遮蔽することができるが,効果は局所的である.一方、日傘の紫外線遮蔽効果は頭部だけでな く、肩や胸など広範囲に及ぶ.太陽高度が低くなるにしたがって、日傘および帽子の顔面および全身に対する紫外 線遮蔽率が低下する.
著者
武藤 崇 ヘイズ スティーブン C.
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.482-495, 2008 (Released:2010-02-15)
参考文献数
80
被引用文献数
3

This commentary gave some additional findings and implications for “symmetrical bias (or bidirectional relation)” from a viewpoint of Contextual Behavioral Science, in particular, Relational Frame Theory and Acceptance and Commitment Therapy. The given findings were related with a) the transformation of stimulus function through bidirectional relation in persons with specific phobia or mental disorder, b) the emergence or non-emergence of bidirectional relation influenced by baseline-training reversals or protocols in matching-to-sample procedure, and c) the emergence or non-emergence of bidirectional relation in infants or nonhuman subjects. Furthermore, the given implications were related with d) necessity of balancing between abduction and induction, particularly identifying and cumulating the manipulable variables inductively, e) prevention of confusing explanation with cause through symmetrical biases, and f) clarification of own ”purpose and value”, in pursuing symmetry bias or bidirectional relation as one of most fundamental processes in human cognition.
著者
武藤 芳照
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.202-206, 2002-09-30

水中運動は,浮力により関節への負担を軽くし,全身の余分な緊張を和らげること,水の抵抗のもとでからだを動かすことで,安全にしかも確実に筋力を強化でき,水圧が胸にかかる状態で努力呼吸を行うために呼吸・循環機能を高められ,水による温熱効果あるいは寒冷効果が得られ,骨・関節・筋肉などの血液の流れを改善し,柔軟性を高めることができる.たとえば肉ばなれ・捻挫・骨折などの運動・スポーツで起きやすい傷害は,水中運動ではほとんど起きる危険性がなく,安全である.温水プールでの水中運動の場合には,スポーツ感覚の明るく軽快な雰囲気の中でからだを動かすことを楽しみ,それが結果的にリハビリテーションの効果につながる.このように水中運動は,優れた利点をいくつも有するために,関節痛の運動療法としてきわめて優れている.水中運動の主要な効果には,次のようなものがある.(1)関節の動きを改善する (2)筋力を高める (3)痛みを軽減する (4)リラクゼーション (5)バランス感覚を磨く さらには,関節痛のために,自然に落ち込むことが少なくない中高年にとって,水中運動は解放感を体験でき,自身の上達・改善の様子を理解しやすく,達成感を味わうことができるために,生きる自身と希望をもたらす効果もある.運動中や運動後に,「疲れた!」と感じたり,関節に痛みを感じたりするようならば,それは「やりすぎ!」とみられる.普段地上では思うようにからだの動きができない分だけ,水中で「こんなに動ける!」といううれしさのあまり,つい時間を長くしたり,回数を多くしたりして家に帰ったらへとへとになってしまう例もある.しかし,こうした運動の仕方ではリハビリテーションの効果も得られないばかりか,かえって関節痛を悪化させたり,他の病気・障害を招くことさえある.また,関節痛の水中運動・水泳に適したからだの動きに留意することは,傷害・事故の予防につながる.
著者
川上 恵 北田 徳昭 米澤 淳 岡村 みや子 尾崎 淳子 池見 泰明 中川 俊作 今井 哲司 中川 貴之 土井 恵太郎 秋月 修治 武藤 学 寺田 智祐
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.83-90, 2023-08-31 (Released:2023-09-15)
参考文献数
18

Objective: In patients with specific backgrounds, comprehensive identification of health problems and proactive pharmacist intervention are crucial to providing safe and effective medical care. However, there are insufficient reports on chemotherapy regimen selection and supportive care management in patients taking immunosuppressants. In this study, to circumvent adverse events, pharmacists intervened with a patient administering tacrolimus (TAC) using known information, focusing on multiple factors attributable to the patient in addition to drug interactions.Methods: The patient was a male in their 70s who received palliative chemotherapy for gastric cancer during their dermatomyositis treatment with TAC. Pharmaceutical support for cancer chemotherapy was provided using the following four procedures: (1) Patient information was collected from interviews and electronic medical records to identify patient-specific problems; (2) Basic pharmacological information was collected from tertiary sources, focusing on the interaction between TAC and aprepitant (APR). Furthermore, clinical reports were collected, and the pharmacokinetic drug interaction significance classification system was used for quantitative predictions; (3) The information obtained in steps 1) and 2) was evaluated, and comprehensive proposals linked to the patient information were presented; (4) Adverse events, TAC blood level, and patient outcomes were monitored after treatment initiation.Results: A chemotherapy regimen consisting of S-1/oxaliplatin therapy without APR was selected. The adverse effects were controllable, and the treatment was completed without many adverse events. Meanwhile, TAC adherence was unaffected by cancer chemotherapy, and the TAC blood concentration or dose ratios were controlled within the same range as previously reported.Conclusion: In cancer chemotherapy, for cases with limited evidence or information, comprehensive pharmaceutical support was provided using known patient information, considering multiple patient factors. This report is beneficial as an example of supportive care management by a pharmacist and contributes to providing optimal service in cases with specific backgrounds.
著者
永井 亜貴子 李 怡然 藤澤 空見子 武藤 香織
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.554-567, 2022-07-15 (Released:2022-07-13)
参考文献数
24

目的 厚生労働省は,都道府県と保健所設置市への事務連絡で,新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)を含む感染症法上の一類感染症以外の感染症に関わる情報公表について,「一類感染症が国内で発生した場合における情報の公表に係る基本方針」(以下,基本方針)を踏まえ,適切な情報公表に努めるよう求めているが,自治体が公表した情報を発端として生じた感染者へのスティグマへの懸念が指摘されている。本研究では,都道府県・保健所設置市・特別区におけるCOVID-19の感染者に関する情報公表の実態を明らかにする。方法 47都道府県,保健所設置市(87市),特別区(23区)の公式ウェブサイトで公表されているCOVID-19の感染者に関する情報を収集した。2020年2月27日以前,基本方針に関する事務連絡後(3月1~31日),緊急事態宣言期間中(4月8~30日),8月の各時期で最も早い日にちに公表された情報を分析対象とし,基本方針で公表・非公表とされている情報の有無や,公表内容に感染者の特定につながる可能性がある情報が含まれていないかを確認した。結果 個別の感染者に関して情報公表を行っていたのは,都道府県では全自治体,保健所設置市等では84自治体であった。自治体が公表していた感染者に関する情報は,自治体間で項目や内容にばらつきが見られ,公表時期によっても異なっていた。基本方針で非公表と示されている感染者の国籍,居住市区町村,職業を公表している自治体があり,居住市区町村と職業は,感染拡大初期の1~3月に比べて,4月以降で公表する自治体が増加していた。一部では,感染者の勤務先名称や,感染者の家族の続柄・年代・居住市区町村などの情報が公表されていた。結論 自治体が行ったCOVID-19感染者に関する情報公表を調査した結果,自治体間や公表時期によって情報公表に用いられる様式や公表内容に違いがみられ,一部に感染者の個人特定につながりうる情報が含まれている事例があることが明らかとなった。COVID-19の疾患の特徴や感染経路などが明らかになってきた現状において,感染者の個人情報やプライバシーを保護しつつ,感染症のまん延防止に資する情報公表のあり方について,再検討が必要と考えられる。さらに,再検討を経て決定した情報公表の方法や内容について市民や報道機関に丁寧に説明し,理解を得る必要があると考えられる。
著者
加藤 隆 池田 俊也 武藤 正樹
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.285-294, 2013 (Released:2013-12-25)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本研究は薬剤師による疑義照会を行なわない場合に起こると想定される治療や入院期間に対する影響を推定し,その医療費を推計することで,薬剤師による疑義照会の医療の質への貢献度ならびに経済的影響を評価することを目的とした。 東京都内の1病院にて調査を行い,12週間の調査期間中に薬剤師が行った疑義照会148例を対象とした。疑義照会が行なわれなかったと仮定した場合の治療や入院期間の影響を推定する際にデルファイ法を用いることで評価の精度を高め,医療費の算定に出来高ベースの金額を用いて医療資源削減額を評価した。 その結果,入院期間への影響は入院日数の延長,再入院日数を合わせて43症例,190日であった。また,疑義照会による医療費の回避額は推定75万円∼190万円となった。医療費を用いて疑義照会による貢献度を定量化することができた結果,薬剤師は医療の質ならびに経済面に貢献していることが確認された。
著者
坂野 朝子 武藤 崇 酒井 美枝 井福 正貴
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.123-138, 2016-05-31 (Released:2019-04-27)
参考文献数
35
被引用文献数
2

本研究の目的は、慢性腰痛患者(40歳代・女性)に対するアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)の治療プログラムの効果を検討することであった。プログラムは全10回であり、ABデザインにより、患者の価値に基づく活動や生活の質に及ぼす効果を調査した。その結果、患者の価値に基づく活動が増加した。また、SF-36の全体的健康感、活力、役割機能(精神)、心の健康の得点がプログラム終了後に増加し(RCI=3.23, 4.84, 2.08, 2.12)、身体機能の得点が4カ月後フォローアップに増加した(RCI=2.89)。さらに、腰痛による生活障害度を測るRDQの得点も減少した(RCI=2.97)。そのほか、痛みに対する破局的思考、不安や抑うつ、ACTのプロセス指標の得点も有意に改善し、4カ月後フォローアップまで維持した。これより、ACTの治療プログラムは、この慢性腰痛患者の痛みや痛みに関する思考・感情が行動に及ぼす影響を低減させ、機能的な活動を増加させることに有効であったと考えられる。
著者
武藤 鉄司
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.117, no.3, pp.172-182, 2011 (Released:2011-07-07)
参考文献数
90
被引用文献数
2

堆積物の輸送が行われているにも関わらず堆積も侵食も実質的に起こらない河川を平衡河川という.平衡河川は河川系における埋積レジムと削剥レジムの境界条件の具現に他ならず,その理解は成因論的層序学の基軸をなす.従来の平衡河川観は下流域沖積系における平衡河川の実現を静止海水準に対する河川系の平衡応答の結果と捉えるが,筆者らによる一連のモデル実験と理論的検討はそれとは異なる理解をもたらした.新しい平衡河川観は次のように要約される.固定境界を持たない下流域沖積系では,(1)平衡河川は海水準が下降するときのみ実現可能であり,(2)平衡河川の実現を許す海水準下降パターンは沖積勾配αと海底基盤勾配φに依存し,(3)平衡河川にはα<φのもと非平衡応答で実現するアロジェニックなものとα=φのもと平衡応答で実現するオートジェニックなものとがある.新しい平衡河川観を織り込んだ成因論的層序学の今後の展開が待たれる.
著者
添田 暢俊 斎藤 拓朗 竹重 俊幸 浅野 宏 武藤 亮 高間 朗 渡部 晶之 遠藤 俊吾 五十畑 則之 三潴 忠通 鈴木 朋子 金子 明代 伊関 千書 関本 信一
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.011-018, 2015-01-31 (Released:2015-05-13)
参考文献数
25

要旨:消化器外科手術後では術後せん妄の併発により重篤な合併症を併発することがある。抑肝散はせん妄に対する効果が報告されているが,経口摂取が困難な時期には使用しにくい。そこで抑肝散の座薬を作成し安全性と効果を検討した。【方法】座薬は漢方薬エキス製剤にホスコH─15を加えて作成し1日4回使用した。消化器外科手術を行った227例を対象とし,せん妄の程度は8時間毎にNEECHAM Confusion Scale(以下,Nスケール)により評価し。治療は抑肝散を第一選択とし8時間後にNスケール20pt以上へ上昇した場合を有効と判定した。【成績】227例中,Nスケール19点以下のせん妄は26例(11.5%)に認めた。この26例中23例に対して抑肝散座薬を使用し,有害事象を認めず,17例(73.9%)で有効であった。【結論】消化器外科手術後のせん妄において,抑肝散座薬は安全に使用可能で73.9%で効果を認めた。
著者
武藤 崇 三田村 仰
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.12, pp.1105-1110, 2011-12-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
22
被引用文献数
4

本稿の目的は,「第3世代」の代表的な認知/行動療法である「アクセプタンス&コミットメント・セラピー」(Acceptance and Commitment Therapy:ACT)」を概観することである.そのため,本稿は,(1)マインドフルネスやアクセプタンスなどが認知/行動療法に組み込まれるようになった背景を「臨床行動分析」に基づいて概観する,(2)「臨床行動分析」(Clinical Behavior Analysis)に基づいて開発されたACTのトリートメント・モデルを紹介する,(3)ACTのエビデンスとその特徴を概観する,(4)その特徴に含まれるACTの新たな提言や展開を明示する,という内容で構成されている.