著者
吉池 紀子 北端 美紀 武藤佳恭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.99-106, 2001-05-15
参考文献数
15
被引用文献数
4

本論文では,ニューラルコンピューティングの組合せ最適化手法の応用例として,現代語を組み合わせた現代風「いろは歌」の作成方法を紹介する.ここでは,現代風「いろは歌」作成問題を2種類の組合せ最適化問題としてとらえてニューラルコンピューティング手法により解いた.1つ目の制約条件はすべての仮名を重複なく用いるような文節の組を選ぶ問題である.2つ目の制約条件は日本語の係り受け制約に基づいて語順を決める問題である. シミュレーションでは,ツリーサーチによる探索手法とCPU時間による性能の評価を行った.We present a neural computing approach for composing a new version of Iroha-Uta using modern Japanese words and grammar. A new Iroha-Uta is composed by satisfying the following two restrictions. One of restrictions is how to chose words that satisfy the rule of Iroha-Uta and the other is how to order these words for making sentence based on Japanese grammar. In our simulation, the performance of the proposed algorithm is evaluated in terms of the CPU time comparing with the tree search method.
著者
武藤 崇
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.7-23, 2007-06-30
被引用文献数
1

本稿の目的は、従来からなされてきた特別支援教育に対する行動分析学の寄与を普通教育にまで拡大することの必要性を検討することである。そのため、(1)徹底的行動主義の観点から、現状の特別支援・普通教育に対する新たな問題解決の方向性を明示し、(2)その方向性を支持・示唆する欧米の研究動向を概観し、(3)その概観を踏まえた今後の課題を提示する、という3つの部分から構成されている。その新たな問題解決の方向性とは、(a)学校の構成員全体に関係する社会的随伴性、(b)学級内での一斉指導における教授・マネジメント方法、(C)教育サービスの「質」のマネジメント方法、という3つの事項に関する検討である。
著者
武藤 徹一郎 上谷 潤二郎 沢田 俊夫 杉原 健一 草間 悟
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.241-247, 1981-02-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
5

内視鏡的ポリープ摘除によって診断した早期癌(m,sm癌)21病変中7病変の周囲粘膜に内視鏡的に観察しうる白斑を認めた.同時期に観察した良性腺腫には,同様の所見は1例にしか認められなかった. 組織学的には,この白斑はH.E.で淡く染まる顆粒を含有する組織球の,表層上皮直下の粘膜固有層への集簇よりなっており,PAS-alcian blueで淡青色に,Mucicarmine,Toluidine blueで弱陽性に染った.電顕では,electron-densityのない円形顆粒の中に,わずかにdensityのある顆粒が混在して認められた.組織化学的にはこの白斑の性状はMuciphageに最も類似していると考えられた.その本態については,いくつかの可能性が示唆されたが,完全には解明しえなかった。 この所見は,良性腺腫・大腸腺腫症の腺腫の周囲粘膜,潰瘍性大腸炎などにも稀に見出されたが,内視鏡的にポリープ周囲粘膜に白斑を認めた場合には,悪性を強く疑うことができるという点で,臨床的に重要な所見であることを指摘した.
著者
井出 留美 伊藤 喜久治 平山 和宏 武藤 志真子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.205-214, 2005 (Released:2006-08-04)
参考文献数
8
被引用文献数
3 2

穀物を加工して栄養素を強化したシリアルには様々な種類があり, 玄米シリアルのようにビタミン・ミネラルをバランスよく含むものや, 小麦ふすまシリアルのように食物繊維が豊富なものなどがある。過去の研究で, 全粒穀物シリアルを摂取することにより, 肌状態, 特に吹き出物や皮膚の赤みに良い影響を及ぼしたとするものがあるが, シリアルの成分の何が肌状態の改善に寄与しているかは, 明らかになっていない。また, 他の食品成分で肌状態が改善されたとする研究もあるが, タンパク質やカロテノイドに関するものなどであり, ビタミン・ミネラル全般や食物繊維に関する研究は少ない。今回は, シリアルの成分のうち, 2大特長とも言える, (1) ビタミン・ミネラルのバランス, (2) 食物繊維のどちらの要素がより皮膚の健康に寄与するかを検証するため, 朝食欠食の習慣がある22~35歳の女性21名について, それぞれ上記2つの特徴を持つ全粒穀物シリアルの, 皮膚に及ぼす影響について調べた。21名を3群に分け, 1群はコントロール群とし, その他は, ビタミン・ミネラルのバランスに優れた玄米シリアル群と, 食物繊維を豊富に含む小麦ふすまシリアル群とに二分した。実験期間は全部で6週間とした。最初の2週間は, どの群も普段通りの食生活とし, 食物繊維の効果を確認するため, 発酵食品全般や, 供試シリアル以外のシリアルは摂取しないように指導した。次の2週間は, コントロール群は普段通りの食事, それ以外の2群には, 全粒穀物シリアル (玄米シリアル, もしくは小麦ふすまシリアル) 40gを, 朝1回と, 昼か夜どちらかの1回, 計1日に2食のシリアルを毎日摂取させ, それまで摂っていた炭水化物をシリアルに置き換えるよう指導した。最後の2週間は, 3群とも, 発酵食品や食物繊維の多い食品を摂らずに, 普段通りの食生活とし, シリアルは摂取しないよう指導した。 (株) エフシージー総合研究所において, 2週間毎に測定した項目は次の通りである。体重, BMI, 体脂肪率, 皮膚水分量 (電気伝導度型SKICON-200), 皮膚弾力 (キュートメーター), 皮脂量 (透過光比率型セブメーター), 皮膚拡大写真撮影 (メディカルニッコール), 皮膚キメ写真, 排便回数, 美容専門家による視診触診, 皮膚状態・体調に関するアンケート。いずれの顔面皮膚計測も, 同研究室の23℃, 50% Room Humidityの恒温恒湿室にて15分間座位安静後実施した。また, 計42日間の食事記録 (シリアル摂取前14日, 摂取中14日, 摂取中止後14日)。食事記録は, 栄養計算ソフト「Basic4」で解析し集計した。なお, 本試験は, ヘルシンキ宣言に基づきその原則を遵守し, 被験者には試験目的を説明して同意が得られた上で実施した。その結果, 玄米シリアルグループ・小麦ふすまシリアルグループとも, 全期間を通して, 一日一回程度の定期的な排便回数を保った。この間の栄養素摂取状態は, 小麦ふすまシリアルグループは, 食物繊維とビタミンB1, B2と葉酸が非摂取期間に比べて有意に高い値を示した。玄米シリアルグループは, 主にカルシウムと鉄, ビタミンA・B1・B2, C, ナイアシン, ビタミンE, 食物繊維など, バランスよくビタミン・ミネラルと食物繊維の摂取量が有意に増加した。Fig.1と2は, それぞれ右目尻と右頬の水分量の変化を示しており, 玄米シリアル群で, 摂取期間の2-4週に, 水分量が増えていることがわかる。また, Fig.3は, 皮膚の弾力性の変化を示したもので, 有意差はないものの, やはり玄米シリアル群で, 摂取期間である2-4週に, 皮膚の弾力性が増えていることがわかる。Fig.4a~dは玄米シリアルを摂取した30代女性の皮膚のキメ写真である (キメとは, 皮膚の表面に広がる網目のような凹凸のこと。高い部分の “皮丘”, 皮丘の間を溝のように走る “皮溝”, “毛孔” で形づくられる。均一に整った格子状の美しい起伏が続く状態が, キメの細かい皮膚と言うことができる)。Fig.4aはウォッシュアウト前, Fig.4bはシリアル摂取前, Fig.4cはシリアル2週間摂取後, Fig.4dはシリアル摂取中止後2週間で, 摂取2週間後に皮膚のキメ, すなわち皮溝と皮丘の織り成す起伏が整ってきている。以下にシリアルによる今回の試験成績をまとめる。ビタミン・ミネラルと食物繊維のバランスに優れた玄米シリアルは, 肌に問題のある若年女性の肌状態を改善させた。食物繊維の豊富な小麦ふすまシリアルは, 肌状態の改善に寄与しなかった。シリアルは, 若年女性の栄養素摂取状態を良くするのに寄与した。特にカルシウムや鉄, ビタミンA・B1・B2, C, ナイアシン, ビタミンE, 食物繊維など, 皮膚の健康にとって大切な栄養素の摂取増加に寄与した。
著者
西條 文人 武藤 満完 栗原 誠 山田 佳緒里 安倍 淑子 高橋 賢一 澤田 健太郎 徳村 弘実
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.107-113, 2014 (Released:2014-11-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

【背景と目的】末梢挿入型中心静脈カテーテルは,穿刺時に伴う致命的合併症およびカテーテル感染が少ないとされるが,血栓症閉塞,事故抜去,静脈炎などの留置後合併症を認める.一方,無縫合固定具はこれらカテーテル留置後の合併症を軽減できる報告がある.無縫合で固定可能なSorbaView® SHIELD によるカテーテル留置後の合併症について,本邦における検討報告はない.【対象と方法】2011 年1 月から2013 年3 月に留置されたPICC 症例421 例を対象とした.縫合固定した2011 年1 月から9 月の94 例(縫合群)とSorbaView® SHIELD で固定した2011 年10 月から2013 年3 月の327 例(Sorba群)をカテーテル留置後の合併症について比較検討した.【結果】カテーテル閉塞までの留置期間において,Sorba 群は有意に長かった.その他の合併症に関しては統計的有意差を認めなかった.【結語】SorbaView® SHIELD はカテーテル閉塞までの留置期間を延長させた.
著者
尼岡 邦夫 武藤 文人 三上 敦史
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.109-112, 2001-11-26 (Released:2010-06-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1

In 1993 and 1999, a number of specimens of a poecilid fish collected from a drainage area of the hot spring at Kojyohama, Shiraoi-cho, Shiraoi-gun, southern Hokkaido, Japan was identified as Poecilia sphenops. Identifications were based on males having elongated pelvic-fin tips, in having the dorsal-fin origin posterior to a vertical through the pelvic-fin base, 9-10 dorsal fin rays, no horizontal pigment band and ocellus on the body, no opening of the cephalic sensory canal on the snout, and many tricuspid teeth in the inner row of teeth on the upper jaw. It is believed that small fish were introduced into this area longer than 20 years ago to assist in reducing mosquito populations. At present, high density schools of these small fish were observed swimming throughout the drainages. This report represents the record of habitation and natural breeding of this species in Japan.
著者
鈴木 則子 脇田 晴子 平 雅行 梅澤 ふみ子 久保田 優 武藤 武藤 三枝 暁子 成田 龍一 武田 佐知子 小林 丈広 白杉 悦雄 谷口 美樹 福田 眞人 脇田 修 濱千代 早由美 長 志珠絵 尾鍋 智子 菅谷 文則 山崎 明子 加藤 美恵子 栗山 茂久
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、日本の歴史のなかで女性の周縁化(地位の劣化)が進行していく過程を、女性の身体に対する認識の歴史的変化に着目しつつ、医学・衛生・宗教・地域・出産/月経という主として五つの側面から検討を加えた。伝統的医学と近代医学それぞれの女性身体観、近代衛生政策における女性役割の位置づけ、仏教と神道の女性認識の変遷、血穢などに対する地域社会の対応の形成等について明らかにしえた。
著者
青木 克巳 武藤 浩司 岡永 博夫
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.77, no.775, pp.793-802, 2011 (Released:2011-03-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

The present study clarifies the effects of dimples for drag and lift on a sphere with rotation. The sphere with dimples has 328 arc type dimples on its surface uniformly. The present study measures velocity distribution in wake and pressure distribution on a sphere surface, and visualizes flow around a sphere by the spark tracing method for the case in which Reynolds number Re=0.4×105-1.3×105. For the case of a smooth sphere, separation point on deceleration side shifts downstream remarkably as spin rate ratio (circumferential velocity of a sphere / free stream velocity) increases. The pressure distribution on deceleration side decreases compared to that on acceleration side. The wake becomes small and shifts opposite direction of rotation. Therefore, the drag reduces, and the lift becomes negative. For the case of a sphere with dimples, this phenomenon occurs for the case in which critical Reynolds number Re=0.5×105. The separation point on acceleration side shifts downstream, and the separation point on deceleration side shifts upstream as spin rate ratio increases for the case in which super critical Reynolds number Re=1.3×105. The pressure distribution on acceleration side decreases compared to that on deceleration side. In addition, the pressure distribution on outside dimple decreases compared to that on inside dimple. The wake becomes large and shifts direction of rotation. Therefore, the drag and positive lift increase.
著者
武藤 祥子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.24-27, 2023-02-01 (Released:2023-03-28)
参考文献数
12

演劇と映画の専門図書館である松竹大谷図書館では、所蔵する竹本鏡太夫使用床本(ゆかほん)について、2015年度に一般社団法人伝統歌舞伎保存会の事業において画像データ及び書誌データの作成を行った。本稿は、この竹本鏡太夫使用床本のデジタル化事業のうち書誌データについて、データの内容や、入力例、入力作業に活用した入力支援表などについて事例を挙げ、歌舞伎の興行資料のデジタルアーカイブの運用に必要なデータについて報告するものである。
著者
高橋 稔 武藤 崇 多田 昌代 杉山 雅彦
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.35-46, 2002-03-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究では、Hayes, Bissett et al。(1999)と同様に、コールド・プレッサー課題の耐性時間の増大に必要なrationale(講義とエクササイズ)の条件について検討することを目的とした。被験者28名を無作為に3群に分け、異なるrationaleを実施し、その効果を比較検討した。その群とは、1)A-A群(Acceptance and Commitment Therapy(以下、 ACTとする)の講義とacceptanceに関するエクササイズ)、2)A-F群(ACTの講義と思考抑制の逆効果に関するエクササイズ(FEARエクササイズ))、3)プラシボ群であった。その結果、ポストテストにおいてA-A群、A-F群ではACTに関する理解度が有意に増加した。また、コールド・プレッサー課題の耐久時間はA-A群のみが有意に増加した。これより、コールド・プレッサー課題の耐性時間を増大するためには、ACTに関する知識だけではなく、acceptanceに関するエクササイズが必要であることが示唆された。最後に、本研究の手続きに関する応用可能性と今後の課題が議論された。
著者
上岡 洋晴 栗田 和弥 鈴木 英悟 渡邉 真也 北湯口 純 鎌田 真光 本多 卓也 森山 翔子 武藤 芳照
出版者
身体教育医学研究編集委員会
雑誌
身体教育医学研究 (ISSN:13456962)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-11, 2010 (Released:2010-04-26)
参考文献数
31

The purposes of this study were to evaluate the evidence of spa therapy, as well as spa effects, on health promotion, and to discuss the proper applications of spa to leisure activities that are focused on fitness. A relatively small number of highly evidence-graded studies, such as randomized controlled trials (RCTs), were identified from a literature search, and many had problems in methodology. Results showed that aquatic exercises conducted in hot water, including hot spa, obviously alleviated pain in locomotorium diseases. However, few RCTs are currently available concerning other diseases, and consequently, there is no evidence on aquatic exercise efficacy in those diseases. An increasing number of people enjoy leisure activities, particularly hot spa bathing, primarily for fitness. Obviously, hot spa has pain-relieving effects on locomotorium diseases, which are prevalent in middle-aged or elderly people. Therefore, hot spa bathing, as well as a change of air, and other complex factors associated with hot spa visits, are expected to promote health. It is hoped that people will learn more about hot spa, and enjoy it as a regular leisure activity.
著者
宮田 潤 阪本 直人 二川 真子 新野 青那 新野 保路 大濱 弘光 鈴木 友輔 武藤 理 此下 尚寛 楠川 加津子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.70-74, 2019-03-20 (Released:2019-03-28)
参考文献数
17

第30回学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナーで,本ワークショップ(WS)を開催した.参加者は,健康情報の信頼性の評価やヘルスリテラシー(HL)に配慮した医療面接などを実践し,「満足した」,「理解できた」などの反応を示した.本邦の医療界ではHLの概念が十分に浸透していないこともあり,このようなWSのニーズは高いと考えられた.本WSで得られた知見をもとに改良を重ね,HLの普及と発展につなげたい.
著者
木下 奈緒子 大月 友 五十嵐 友里 久保 絢子 高橋 稔 嶋田 洋徳 武藤 崇
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.65-75, 2011-05-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

本稿の目的は、精神病理の理解や治療という観点から、人問の言語や認知に対して、今後どのような行動分析的研究が必要とされるか、その方向性を示すことであった。人間の言語や認知に対する現代の行動分析的説明は、関係フレーム理論として体系化されている。関係フレーム理論によれば、派生的刺激関係と刺激機能の変換が、人間の高次な精神活動を説明する上で中核的な現象であるとされている。刺激機能の変換に関する先行研究について概観したところ、関係フレームづけの獲得に関する研究、刺激機能の変換の成立に関する研究、刺激機能の変換に対する文脈制御に関する研究の3種類に分類可能であった。これらの分類は、関係フレーム理論における派生的刺激関係と刺激機能の変換の主要な三つの特徴と対応していた。各領域においてこれまでに実証されている知見を整理し、精神病理の理解や治療という観点から、今後の方向性と課題について考察した。