著者
津久間 秀彦 名田 信之 森本 徳明 天野 秀昭 田中 武志 岩田 則和 野村 祐仁 片山 文善 石川 澄
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.127-135, 2002 (Released:2017-08-14)
参考文献数
2
被引用文献数
1

地域に開かれた病院を目指して,地域医療機関に役立つ支援と,患者に対する直接的な支援を両立させることは,医療情報システムが果たすべき今後の一つの方向性として重要である. この観点から,従来の手作業での院外処方せんのFAX送信サービスのあり方を見直し,患者の利便性向上のためのナビゲーションシステムと,保険薬局での調剤の安全性向上のための院外処方情報の自動FAX送信システムを開発した.本論文では,まずシステムの開発目的と機能の概要を説明する.更に2001年10月より広島大学医学部附属病院で開始した運用の実績に基づいて,本システムの有用性を示す.
著者
古井 良彦 遠藤 桃子 副島 清美 片山 一朗 西岡 清
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.555-558, 1995-06-01 (Released:2011-07-20)
参考文献数
8

I. はじめに: われわれはlidocaineの経口アナログであるmexiletine hydrochlorideを, 帯状疱疹ならびに帯状疱疹後神経痛の疼痛を除去する目的で使用し, 有効であったので報告する。II. 対象ならびに方法: 対象は帯状疱疹患者97名と帯状疱疹後神経痛の患者8名で, 全例を無作為に次の3群に分けた。第1群: 基本処方+mexiletine(150mg/day), 第2群: 基本処方+vidarabine(300mg/day)+alprostadil(60μg/day), 第3群: 基本処方[naproxen(300mg/day)+mecobalamin(1500μg/day)]のみ。III. 結果: 帯状疱疹において, mexiletineを投与した第1群では内服開始の次の日には疼痛が約半分に, 4日目には約1/5に減少した。また全例が約9日で疼痛が消失し, 他群に比し除痛効果が優れており予後も良好であった。他群では疼痛消失までの期間がより長く, 疼痛が残った症例がみられた。帯状疱疹後神経痛についても同様の傾向がみられた。IV. かんがえ: mexiletineの経口投与はiontoforesisと同程度の有効率を示し, 帯状疱疹ならびに帯状疱疹後神経痛に伴う疼痛の治療に有効であると考えられる。
著者
片山 直美
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.163-170, 2016

<p> The cause of vertigo/dizziness varies. We may reduce vertigo/dizziness with a nutritional approach involving the circadian rhythm and chrononutrition. We can avoid hypoglycemia-mediated vertigo/dizziness by modulating the glucose intake. We can prevent anemia-mediated vertigo/dizziness through dietary supplementation with iron, copper, and vitamin C. Supplementary calcium and zinc are effective for the prevention of psychogenic vertigo/dizziness. In addition, it is effective to enforce a low salt diet at breakfast and lunch. The effective intake-time of calcium is about 1.5 hours before sleep. It is necessary to regulate one's lifestyle, and to prevent diabetes, high blood pressure, dyslipidemia and obesity. We can reduce vertigo/dizziness by preventing edema. A genetic investigation in conjunction with obesity is also necessary. A nutritional approach based on the results of a genetic analysis can be effective for prevention of obesity. Controlled eating habits through nutrition/dietetics can help in the prevention of vertigo/dizziness.</p>
著者
坂口 達馬 梶山 徹 三宅 麻文 片山 俊郎
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.43-49, 2022 (Released:2022-04-15)
参考文献数
26
被引用文献数
1

【目的】ヒドロモルフォン持続皮下投与法によるタイトレーション(以下,本法)の有効性と安全性を検討した.【方法】2020年2月から2021年10月まで,中等度から高度のがん疼痛に対して本法を適応した症例を後方視的に解析した.【結果】計37例中,オピオイド・ナイーブは1例(2.7%).タイトレーション開始時,完了時のヒドロモルフォン投与量は各1.92 mg/日,2.40 mg/日(いずれも中央値),3日以内のタイトレーション完了は33例(89%).著効(Numerical Rating Scale [NRS]≥66%改善)は33例(89%),有効(NRS≥33%改善)は3例(8.1%),無効(NRS<33%改善)は1例(2.7%)であった.有害事象は眠気が3例(8.1%),血圧低下が1例(2.7%)であった.【考察】本法は簡便かつ安全で,中程度から高度のがん疼痛に迅速かつ効果的な鎮痛が得られた.
著者
矢島 領 今岡 楓太 輪湖 哲也 黒田 裕子 松元 一明 木津 純子 片山 志郎
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.135, no.12, pp.1397-1402, 2015-12-01 (Released:2015-12-01)
参考文献数
18

Stomatitis frequently occurs during chemotherapy and radiotherapy for cancer. Because of its pharmacological properties including anti-inflammatory activity and stimulatory effects on endogenous prostaglandin synthesis, rebamipide has been suggested as a potentially effective treatment against stomatitis. In the present study we tested the stability of oral rebamipide solutions prepared in our hospital pharmacy using sodium alginate as a thickener to increase retention of this agent in the oral cavity, and the addition of different flavoring mixtures intended for use in enteral diets to reduce the bitterness of rebamipide and sodium alginate. Samples of oral rebamipide solution prepared with 13 kinds of flavoring and sodium alginate were evaluated in terms of their appearance, redispersibility, pH, viscosity, and rebamipide content immediately after preparation and 1, 3, 7, and 10 days after storage at room temperature under ambient light or in a cool, dark place. After 10 days of storage, favorable stability was observed in four sample solutions supplemented with green apple, pineapple, yogurt, and tomato flavoring mixtures intended for use in Elental® diets. These oral solutions may have potential clinical application.
著者
渥美 茂明 笠原 恵 市石 博 伊藤 政夫 片山 豪 木村 進 繁戸 克彦 庄島 圭介 白石 直樹 武村 政春 西野 秀昭 福井 智紀 真山 茂樹 向 平和 渡辺 守
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.8-22, 2018 (Released:2019-04-11)
参考文献数
9

平成21年3月に改訂された高等学校学習指導要領で設けられた科目「生物基礎」と「生物」では,科目の大枠を単元構成で,取り上げるべき内容は最低限の例示で示された(文部科学省 2009).その結果,教科書間にページ数や内容の差が生じ,教育現場に混乱をもたらした.日本生物教育学会が設置した生物教育用語検討委員会を引き継ぎ,2015年4月に日本学術振興会の科学研究費による「新学習指導要領に対応した生物教育用語の選定と標準化に関する研究」が組織され,本研究を行った.各社の教科書から,太字で表示された語句,索引語,見出し語,および明らかに生物の用語と見なせる語を用語として抽出した.教科書の単元ごとに用語が出現する代表的な1文,ないし1文節とともに出現ページと出現場所(本文か囲み記事か脚注かなど)の別をデータベースに記録した.用語の使用状況をデータベースにもとづいて分析するとともに,単元ごとの「用語」一覧にもとづいて「用語」の重要度を評価した.生物基礎では1226語(延べ1360語)を収集した.「生物」では1957語(延べ2643語)の「用語」を収集した.「生物基礎」でも「生物」でも1つの単元にしか出現しない「用語」が大半を占めていた.1つの単元で1社の教科書にのみ出現する「用語」も存在し,特に第一学習社の「生物基礎」(初版)では827語中144語が同じ単元で他社の教科書に出現しない「用語」であった.「用語」の重要度は,評価者の属性による差違が際立った.「生物基礎」と「生物」のいずれにおいても,大学教員が多くの「用語」に高校教員よりも高い評価を与える傾向が見られた.特に,「生物」の5つの単元(窒素代謝,バイオテクノロジー,減数分裂と受精,遺伝子と染色体,動物の発生)では大学教員が高校教員よりも高い評価を与える用語が存在した一方,その逆となった「用語」が存在しなかった.これは生物教育用語を選定しようとするとき,選定者の属性によって結果が異なることを示している.さらに,「用語」の表記に多くのゆらぎが見つかった.それらは漢字制限に起因するゆらぎ,略語や同義語,あるいは,視点の違いを反映した表記のゆらぎであった.表記のゆらぎを解消するための「用語」の一覧を作成し提案した.
著者
山崎 文雄 大保 直人 黒田 修一 片山 恒雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.519, pp.211-222, 1995-07-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
25

EPSを裏込めに用いたコンクリート擁壁と近接する重力式コンクリート擁壁において, 地震観測が行われている. 本文では, この地震観測システムを紹介するとともに, 得られた記録について整理し解析を行った. 記録から, EPS部は低振動数で盛土部とほぼ同様の震動性状を示し, アンカーには張力がほとんど作用していないことが明らかになった. また, 擁壁-EPS-盛土から成る系をFEMでモデル化し, 地震応答解析を行った. これらの観測および解析結果に基づいて, EPS擁壁の滑動および転倒に対する安定性を検討した. その結果, 現行の擁壁の安定計算法をEPS擁壁に適用すると, 安全率が極端に小さくなるという矛盾が指摘された.
著者
片山 慎也 菅 愛子 高橋 大志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.BI-013, pp.03, 2019-10-05 (Released:2022-02-03)

The influence of SNS or the impact of influencers is expanding on our society. This studyanalyzes the relationships between tweets and news text of influencers in the Japanese stock market. Roleof social media in the financial market is also examined by extracting the data related to the tweetsinformation.
著者
坂上 昇 片山 訓博
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0669, 2006 (Released:2006-04-29)

【目的】 ゴム素材のバンドやチューブは,スポーツや整形外科領域の理学療法におけるレジスタンス・トレーニングに,また近年では高齢者の転倒予防を目的としたトレーニングにも用いられている.バンドやチューブの抵抗力は販売メーカーから提示されており,対象者への適応に際しての指標としている.しかし,この値は実際の人体の関節運動に適用して算出されたものではない。 そこで本研究は,Thera-BandのExercise Bands(以下 Ex-Bands)を用いて,膝関節伸展運動時に発揮される抵抗力を定量化することを目的とした.【方法】 対象は,健常成人35名(男性19名,女性16名),平均年齢21.0±2.3歳とした.被験者には,研究の目的と方法を十分に説明し,参加に対する同意を得た. Ex-Bandsは,THIN(黄),MEDIUM(赤),HEAVY(緑),EXTRA HEAVY(青),SPECIAL HEAVY(黒),SUPER HEAVY(銀)の6種類とした.Ex-Bandsの抵抗力の測定には,アニマ社製徒手筋力測定器μTas MF-01を使用した.測定肢位は,治療用ベッドの端に腰掛けた端座位とした.筋力計のセンサーユニットを足関節の直上の下腿前面に取り付けた.Ex-Bandsの長さは折り返した状態の一辺が30cmとし,留め金にて固定した.環状となったEx-Bandsを治療用ベッドの支柱に通し,筋力計のセンサーユニット上を通した.測定は,下垂位より30°,45°膝関節伸展位の2条件とし,それぞれの関節角度を保持させた際の筋力計の値を読み取った.各条件の測定は2回実施し,平均値を測定値として採用した.【結果】 各Ex-Bandsの30°と45°の抵抗力は,黄が4.2±0.3kgfと4.7±0.3kgf,赤が4.6±0.3kgfと5.1±0.4kgf,緑が5.7±0.4kgfと6.3±0.4kgf,青が6.7±0.4kgfと7.4±0.5kgf,黒が7.6±0.5kgfと8.5±0.5kgf,銀が11.3±0.6kgfと12.8±0.7 kgfであった.また,各Ex-Bandsの30°と45°の抵抗力を男女別に検討した結果,両群の測定値間に統計学的有意差は認められなかった.【考察】 本研究は,Ex-Bandsの膝関節伸展運動時に発揮される抵抗力を筋力計を用いて定量化した.測定された抵抗力は,販売メーカーから提示される値とは当然ながら異なった.本研究によって得られた値は,レジスタンス・トレーニングにおける抵抗力の指標を提示でき,各々の対象者のために使用するEx-Bandsの適切な選択につながると考える。また,男女間の測定値に有意差が認められなかったことは,個人の最大筋力やレーバーアーム長の影響を受けることがないことを示唆していると考えられ,簡便な筋力測定の指標として活用できる可能性も考えられる.
著者
片山 訓博 大倉 三洋 中屋 久長
雑誌
理学療法 = Journal of physical therapy (ISSN:09100059)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.87-92, 2005-01-15
参考文献数
18
著者
三輪 幸治 別府 万寿博 大野 友則 片山 雅英
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文集 (ISSN:13477560)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.835-840, 2006

本研究は,剛飛翔体がコンクリート板に高速で衝突した際に生じる局部破壊について,実験および数値解析的に検討を行ったものである。まず実験を行うにあたり,高圧空気式飛翔体発射装置を開発した。この装置を用いて板に対する高速衝突実験を行い,衝突速度や板厚が破壊に及ぼす影響を調べた。次に,実験に対するシミュレーション解析を行い,高速衝突を受ける場合のコンクリート材料のモデル化やひずみ速度効果の影響を検討した。解析と実験結果を比較して,数値シミュレーションの妥当性について検討を行った。
著者
片山 雅史 髙野 吉朗
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.637-643, 2019-10-25 (Released:2019-10-25)
参考文献数
11

近年,主に加齢による筋委縮が原因となって,日常生活に支障が生ずるサルコペニアと呼ばれる症状が問題になっている。本研究では簡易な測定項目でのスクリーニングを目的として,大腿直筋の表面筋電図と筋の超音波像による計測の精度を検証した後,膝伸展時に一定の負荷をかけた時の変化を観察した。大腿直筋のほか,比較対象として外側広筋および内側広筋についても観察した。3筋の筋腹皮膚上にて,安静時,弱負荷時および強負荷時に筋電図を記録した。記録した筋電図は,整流後に積分してその面積を求め,筋放電量として評価に用いた。形状の観察は超音波検査装置を用いて,筋の径と断面積・周囲長および羽状角を計測した。等尺性収縮により,筋放電量は,弱負荷から強負荷と有意に増加した。超音波像による筋の評価では,短軸で断面の観察において,プローブの触圧で変動する項目があり,筋の周囲長を用いることが適切であると考えた。周囲長と羽状角は自重の負荷で上昇したが,さらに追加の負荷をかけても値はほぼ一定で変化は見られなかった。何らかの補正が必要となる可能性はあるが,本法によって筋の評価が可能であることが示唆された。
著者
片山 直美 足土 由里佳 一野 晃代 長坂 恵樹子 加藤 江理 伊藤 えり 太田 陽子 梶川 典子 蟹谷 未香 下林 真知子 恒川 小百合 早川 ちひろ 楪葉 真由 藤本 保志
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.Suppl.2, pp.S125-S132, 2010 (Released:2011-12-01)
参考文献数
6

日本人の食の満足に及ぼす影響が大きい主食である「飯」に注目し、おいしく簡単に炊き上げるための工夫として、一般家庭で用いる炊飯器によって炊飯した飯の 3 種類の水(純水、ミネラル水、水道水)による違いを検討した。さらに選択した水を用いて、嚥下食・介護食に用いることが可能な離水しにくい粥を作製するために 5 種類の増粘剤(トロミパーフェクト、ソフティア、つるりんこ、とろみ名人、スルーキング)を用いて違いを検討した。方法として被験者である健康成人女性 92 名により各飯の「味」、「香り」、「見た目」、「総合」における官能試験を 5 点満点で評価し、物性を硬さ・粘り計(サタケ製)にて「弾力性」、「硬さ」、「粘り」、「バランス」について評価した。結果、無洗米の炊飯の際に用いる水は純水が最も高い評価であり、熱湯で炊飯することで、加水する時間なしで十分に評価の高い飯が炊き上がることが分かった。また離水しにくい粥も同様に熱湯を用いて加水する時間なしで炊き上げ可能であった。増粘剤を用いることで時間が経っても離水せず、軟らかい粥ができるため、嚥下食・介護食に適していることが分かった。