著者
村田 伸 甲斐 義浩 田中 真一 溝田 勝彦 山崎 先也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.341-344, 2007 (Released:2007-08-18)
参考文献数
12
被引用文献数
8 3

本研究の目的は,健常成人男性15名(左右30肢)と地域在住高齢者男性21名(左右42肢)を対象に,足把持力や足把持力の最大値到達時間などを測定し,その測定値を比較することによって足把持機能の加齢による影響について検討することである。その結果,高齢者の足把持力は健常成人の48.3%,最大値到達時間は214.3%であり,握力は71.2%であった。これらの成績から,足把持力や最大値到達時間などの足把持機能は,握力に比べ加齢の影響を受けやすいことが示唆された。また,高齢者の転倒との関連性が指摘されている足把持力のみならず,最大値到達時間を加味した足把持機能が転倒を引き起こす可能性について,科学的に探究する意義と重要性が示唆された。
著者
田中 真樹
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.337-362, 2010

本論はソビエト後のキューバ,とくに観光経済におけるキューバらしさ,あるいはキューバの特徴にかかわる空間的想像を考察する。観光地における住民の日々の経験は差異との遭遇に満ちており,そのなかで「キューバ人」のカテゴリーは「非キューバ人」との対照において明らかにされる。島を訪れる移動可能な観光客を目の当たりにし,キューバ人であることは移動不可能性であると認識され,キューバらしさの空間的想像を形作る。一方,社会主義と米国の通商禁止がもたらすキューバらしさの移動不可能性は『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の語りに表彰されるように,独自性と純粋さを発見できる素朴な島を想像させる。1990年代末以降,キューバの「伝統」音楽が国際的な商品として人気を博し,卓越した芸術性がキューバ人の特徴とされ,逆説的に多様なレベルのキューバ人ミュージシャンの移動可能性,すなわち海外興行へと導く結果となった。このキューバらしさの移動可能性は,今日のキューバの政治経済において社会主義と資本主義が絡んだ特殊な状況を例証している。
著者
川島 陽子 田中 真一郎 近田 博之 石田 貴志 野中 康弘
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.B_21-B_30, 2018-02-01 (Released:2018-02-01)
参考文献数
9

高速道路の片側 2 車線区間である中央自動車道(下り線)多治見 IC~小牧東 IC 間の登坂車線設置区間において、我が国で初めて付加追越車線の試行運用を実施した。登坂車線運用時と付加追越車線運用時の交通状況を比較分析した結果、付加追越車線運用によってキープレフトが促進され、特に低速の大型車の最外側車線利用が顕著になった。また、相対的に速度が低い車両がより外側車線を利用するようになり、車線間の速度階層が明確になった。さらに、相対的に速度が高い最内側車線において車群形成が抑制されたことで追越行動の自由度が高まり、同時に危険を誘発する恐れのある左側からの追越行動が減少したことなど、付加追越車線運用が望ましい交通状況の実現に寄与できることを確認した。
著者
福間 愛富 土田 修平 西山 奈津美 田中 真一 工藤 亮 幸田 健介 益子 宗 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.313-321, 2021-08-23

新型コロナウイルスの感染拡大で,イベント終了時の混雑緩和は重要な課題となった.本研究では,スマートフォンアプリケーションを通じたイベント終了後の情報提示などによって,無意識での帰宅分散の実現を目指す.そのための事前調査として,スポーツイベント参加者の帰宅行動分析を行い,その結果を踏まえて情報提示用アプリケーション設計指針の策定,提案アプリケーションのデザインを行った.
著者
福間 愛富 土田 修平 西山 奈津美 田中 真一 工藤 亮 幸田 健介 益子 宗 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.305-312, 2021-08-23

新型コロナウイルスの感染拡大で,イベント終了時の混雑緩和は重要な課題となった.本研究では,スマートフォンアプリケーションを通じたイベント終了後の情報提示などによって,無意識での帰宅分散の実現を目指す.そのための事前調査として,コロナ禍におけるリアルイベント参加者に対するアンケート調査を行い,帰宅分散実現に必要な要素の検討を行った.
著者
加藤 澄 斉藤 まなぶ 飯村 龍一 田中 真寿美
出版者
青森中央学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

①日本語話者の自閉症スペクトラム障害(以後ASD)児/者及び定型発達児/者の話し言葉のコーパスを基に、選択体系機能言語学(SFL)の理論的枠組みによる語彙-文法資源の選択網を作成し、ASD児/者が選択する語彙-文法資源と定型発達児/者のそれを対照し、ASD児/者の言語資源の選択網を作成する。②①で得られたシステムネットワーク(選択網)を基に、ASD児/者の言語選択のアルゴリズムを作成し、ASDの言語脳解析及び言語セラピーへの適用を目指す。③①のコーパスに対応する英語話者のASD児/者及び定型発達児/者のコーパスを構築し、選択網の対比マッピングを行い、日英語の語彙-文法資源選択の対照研究を行う。
著者
松村 暢隆 西村 優紀美 小倉 正義 田中 真理 桶谷 文哲 柘植 雅義
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

発達障害/学習困難児者の、得意・興味等の才能面を活かせる支援の体制・方法と、学校間の連携の在り方に関して、多方面の視点から調査、資料収集、プログラム実施を進めた。(1)シアトル市の教育委員会及び公立小中学校を訪問して、2E教育プログラムの実践研究の実態調査を進めた。2E教育として、才能教育と特別(支援)教育担当部署が連携して、家庭環境や障害の多様性のある児童生徒に公正なプログラムが実施されている様子が見て取れた。発達多様性のある「不協和感のある才能(GDF)児者」の特性を把握するために、自己評定「GDFチェックリスト」を開発して、6因子が見出された。(2)富山大学で発達障害のある高校生に向けた大学進学プログラム「チャレンジ・カレッジ」を開催した。「大学の障害学生支援」について説明を行い、発達障害学生から当事者の視点で大学の授業の一端が説明された。大会シンポジウムで、このような大学体験イベントは、支援ニーズのある高校生・保護者が大学に主体的に繋がれる貴重な場であることが共有された。また発達障害のある生徒の中で病弱や精神的な不調により入院・在宅を余儀なくされる生徒とその家族へのインタビューを行った。学習保障とクラスの仲間意識を育てるための取り組みの必要性を感じた。(3)一昨年度から実施してきた徳島県内の高校での教育相談体制・特別支援教育体制、および鳴門教育大学での体制整備・教職員への啓発・学外連携の在り方の検討を継続して行い、進展が見られた。加えて本年度は読み上げソフトなどのICTの通常学級への導入を促進するための研究、およびGDF児者に関する研究を開始し、一定の成果を得た。(4)大学進学を目指す中学生を対象として、自分の障害特性に関する理解とそれに基づいた事例検討を進めた。自己評価、他者に映る自己評価、他者評価との関連の中で、自己理解の様相を把握していくことの意義が示された。
著者
田中 真人 藤川 正毅 儀間 麻衣
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第61回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.88, 2012 (Released:2012-03-28)

本発表では,丸め誤差のない新たな数値微分近似手法として複素数階微分法を提示する.本手法を大変形材料構成則の応力および整合接線剛性の導出に応用した事例を紹介する.ここでは,陰的解法の代表的な汎用FEMソフトウェアであるAbaqus/Standardの材料構成則のユーザサブルーチンUMATを例にとり,その実装方法について示す.また,いくつかの数値計算例を通して,本手法の有効性を示す.
著者
篠田 昌宏 竹村 裕介 蛭川 和也 高岡 千恵 長谷川 康 尾原 秀明 北郷 実 阿部 雄太 八木 洋 松原 健太郎 山田 洋平 堀 周太郎 田中 真之 中野 容 板野 理 黒田 達夫 北川 雄光
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.101-108, 2021-02-01

わが国の肝移植は,かつてない大きな変革を遂げている.2019年,脳死肝移植は全移植数の1/5を数えるようになった.Allocation制度も大きく改変され,model for end-stage liver disease(MELD)制などが実臨床に大きな影響を与えている.ドナー情報を得られる機会が増加し,高MELDなど重症患者の増加も見込まれる中,脳死肝移植ナショナルデータ解析のプロジェクトもすすんでいる.さらに,働き方改革,互助制度,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)など新たな移植のスタイルが成り立とうとしている.
著者
田中 真実 渡辺 毅 打田 悌治 金澤 武道 長内 智宏 奥村 謙
出版者
日本未病システム学会
雑誌
日本未病システム学会雑誌 (ISSN:13475541)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-8, 2006

糖尿病の発症は主として膵からのインスリン分泌不足や不十分なインスリン作用によるが, 遺伝因子と生活環境因子との関係も含めて重要である。特に食生活の欧米化に伴い生活習慣, 特に食生活の重要性がクローズアップされている。<BR>そこで, 古来から非常に多くの生理活性物質を含有するとされ, 栄養学的にも優れた食品素材である大豆から, グループAソヤサポニンとグループBソヤサポニンとを分離し, 2型糖尿病マウス (KK-A<SUP>y</SUP>/Ta) に投与し血糖調節作用について検討した。さらに, 粗サポニン画分をヒト被験者に投与し, 血糖値是正効果についても検討した。<BR>雄性2型糖尿病マウスKK-A<SUP>y</SUP>/TaにグループAソヤサポニンとグループBソヤサポニンとを別々に投与した。グループBソヤサポニンに血糖値上昇抑制作用は明らかに認められたが, グループAソヤサポニンにはその作用は認められなかった。試験終了時の血漿インスリン値は, コントロール群とグループAソヤサポニンとでは差はないが, グループBソヤサポニンでは明らかに低値であった。血漿レプチンはコントロール群に比して, グループBソヤサポニン投与群で高値を示した。<BR>次に, 空腹時血糖値111mg/dL以上の被験者に粗サポニン画分を投与した結果, 投与前と比べ投与12週目の空腹時血糖値は明らかに低下した。一方, 試験終了後4週目には血糖値が上昇した。投与前と投与12週目に糖負荷試験を行ったところ, 糖負荷30分後の血糖値は明らかに上昇抑制された。さらに, 投与12週目と投与終了後4週目の糖負荷30分後の血糖値に明らかな亢進が認められた。<BR>粗ソヤサポニン画分は, ヒト血糖ならびに糖負荷試験による血糖上昇に対して抑制効果を有するが, その作用機序にグループBソヤサポニンが関与していると考えられた。また, グループBソヤサポニンを投与するとレプチンの血中濃度が増加し, インスリン抵抗性の改善も示唆された。
著者
田中 真琴
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.122, no.10, pp.1279-1284, 2019-10-20 (Released:2019-11-06)
参考文献数
6
被引用文献数
1

味覚障害患者の訴える症状は, 味覚低下・脱失といった量的味覚異常から, 自発性異常味覚や異味症のような質的味覚異常まで多岐にわたる. その原因は多様で, 単一ではなく複合的な場合も多く, 治療で改善がみられないケースもある. また, 味覚定量検査 (電気味覚検査・濾紙ディスク検査) は, 残念ながら限られた施設でしか行われていないのが現状である. これらの理由から, 味覚障害診療は, 耳鼻咽喉科医でも馴染みの薄い分野であると思われる. 味覚障害は, 60歳以上の高齢者に多い, 生活の質 (QOL) を著しく損なう疾患である. その診療の需要は, 高齢化に伴い今後さらに増加することが予想され, 耳鼻咽喉科の専門性をアピールできる領域と考えている. 味覚障害診療での, 問診, 視診, 臨床検査, 機能検査, 診断, 治療, フォローアップの概略を述べる.
著者
服部 律子 武田 順子 名和 文香 布原 佳奈 松山 久美 田中 真理 小森 春佳 澤田 麻衣子
出版者
岐阜県立看護大学
雑誌
岐阜県立看護大学紀要 = Journal of Gifu College of Nursing (ISSN:13462520)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.63-73, 2019-03

A 県の1 次産科医療機関に勤務する経験7 年目以上の助産師を対象に、助産師が日ごろ感じている「気になる母子」とはどのような母子であるか、また一次医療機関と他機関の連携について明らかにするために質問紙調査を行った。調査内容は助産師が「気になる母子」と感じた経験の有無や具体的な場面、また「気になる母子」への対応、組織やチームの対応、他の医療機関との連携の課題、行政との連携の課題などである。勤務助産師180 名に質問紙を郵送し、そのうち返信があったのは68 名であった。「気になる母子」であると認識したことがある助産師は64 名(94%)であり、気になる場面としては【児の接し方や児への愛着に問題があると思われる場合】【母に精神的な問題があると思われる場合】【夫婦関係や家族関係に問題があると思われる場合】などであった。また「気になる母子」への対応は【地域の保健センターへ連絡する】【母の話を聞くようにする】【スタッフ間で状況を共有し対応を検討する】【母の様子を見守る】などであった。これらは日ごろから妊産婦に寄り添ってケアを行っている助産師が気づく視点であり、助産師はまず妊産婦の話を聞くことで状況を把握したり、問題解決に繋げたりする支援を行い、スタッフ間で状況を共有し対応を検討し保健センターへ連絡していた。 行政の保健師との連携における課題として【保健師と直接的な連携が取れていない】【「母と子の健康サポート支援事業」の依頼基準が不明確であり、緊急性が伝わりにくい】【退院後の保健師のケアの現状が分からない】【保健師との情報共有の場があるといい】などであった。行政の保健師とは、顔の見える関係づくりを進め、お互いの支援について理解を深めることが連携を築くことになると示唆された。「気になる母子」への介入は助産師の気づきを医療施設のチームそして地域へ広げていくことで、母子と家族への支援へ繋げることができると考えられる。