著者
松本 和浩 加藤 正浩 竹村 圭弘 田辺 賢二 田村 文男
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.339-344, 2010 (Released:2010-07-28)
参考文献数
21
被引用文献数
6 8

秋季の窒素施肥量の違いがニホンナシ‘二十世紀’と‘豊水’の耐寒性と脂質含量に及ぼす影響を調査した.‘豊水’は‘二十世紀’に比べ,多肥による影響を受けやすく,施肥後,樹体内窒素の増加が著しく,耐寒性の上昇が抑制され,春季の生長も阻害された.脂質およびPC含量は‘二十世紀’に比べ‘豊水’で少なかった.両品種とも多肥処理により,脂質およびPC含量の増加が抑制され,脂質の不飽和度の上昇も抑制された.このように,窒素多肥による脂質含量や脂質不飽和度の低下が,耐寒性の低下に影響を及ぼしていると考えられた.
著者
田辺 康二 洲崎 俊男
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.398, 2003 (Released:2004-03-19)

【はじめに】呼吸筋トレーニングにおいて対象となる筋は主に横隔膜であるが、これを除けば呼気筋群あるいは吸気筋群に対してアプローチすることが多く、単独の呼吸補助筋に対して行っている報告はほとんどみられない。 今回、強い運動強度において呼気に活動するという広背筋(以下LD)に着目し、健常人を対象としてLDの筋力・筋持久力の増加が換気に与える影響について検討し、若干の知見を得たので報告する。【対象と方法】計画を説明し同意を得た健常男性20名を対象とした。トレーニングはLDに対してラバーバンドを用い、初回時に測定した30%MVCの負荷で疲労困憊に至る回数を各自行わせ、8週間の筋持久力トレーニングとして行った。トレーニングの前後にはLDの筋力・筋持久力の評価および肺機能検査を実施した。また、LDと同様の呼気筋として働く腹直筋(以下RA)についても筋力・筋持久力の評価を行った。 筋力・筋持久力の評価にはトルクマシーンを用いた。LDは腹臥位で肩関節中間位から伸展方向に最大等尺性収縮を行わせ、ピークトルクとその値の50%まで減衰する時間を測定した。RAには体幹屈伸筋力測定機を用い体幹直立位から屈曲方向に最大等尺性収縮を行わせ、ピークトルクとその値の70%まで減衰する時間を測定した。呼吸機能検査はスパイロメータを用い%肺活量、1秒率、%MVVを測定した。統計学的処理はトレーニング前後の同項目についてt検定を用い、有意水準は1%とした。【結果】トレーンニング実施頻度は平均4.0回/週(遂行率57.3%)であった。LDのピークトルクはトレーニング前0.54、後0.63Nm/kg、筋持久力はそれぞれ14.8、28.1秒であり、各項目に有意な差を認めた。RAはLDのトレーニング前後でピークトルクや筋持久力に有意な差を認めなかった。肺機能検査では%肺活量、1秒率はそれぞれトレーニング前107.6、92.9%、後111.1、91.9%であり、各項目に有意な差は認めなかった。また、%MVVはトレーニング前119.7、後132.2%であり、有意な差を認めた。【考察】トレーニング後にLDの筋力に増加(17%増)がみられたが、呼気筋の瞬発性の要素を含んでいる1秒率を変化させるまでに至らなかったと思われる。 またMVVが増加した理由として、呼気時にRAとともに筋力と筋持久力が増加(90%増)したLDとの同時収縮による活動が影響したと考えられる。これにより筋疲労による経時的な腹腔内圧の減少が抑えられ、横隔膜の挙上や肋骨の引き下げを補助し、呼気量を増すよう作用したと推察される。したがってLDの筋持久力の増加は、努力性の最大換気時に呼気補助筋として有効に作用していると思われる。 呼吸器疾患の症例を対象として考えた場合、呼吸不全の原因として胸郭のポンプ機能不全があげられるが、LD単独の筋持久力の増加は低換気を改善させる可能性が示唆される。

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著者
田辺朔郎 著
出版者
丸善
巻号頁・発行日
1922
著者
小森 憲治郎 池田 学 中川 賀嗣 田辺 敬貴
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.107-118, 2003 (Released:2006-04-21)
参考文献数
21
被引用文献数
6 3

側頭葉の限局性萎縮により生じる意味痴呆と呼ばれる病態では,言語・相貌・物品など広範な対象についての意味理解が選択的に障害される。意味痴呆における葉性萎縮のパターンには,通常左右差が認められるが,萎縮の優位側に特異的な認知機能障害については,いまだ十分な合意的見解が得られていない。そこでまずわれわれは,左優位の萎縮例と右優位例の神経心理学的比較検討から,左右側頭葉の役割分化に関する手がかりを得ようと試みた。その結果,典型的な語義失語像を呈した左優位例では,呼称,語産生と,理解に関する項目で右優位例を下回り,知能検査についても言語性検査の成績低下が著明であった。一方右優位例では,総じて語義失語の程度はやや軽度で,代わって熟知相貌の認知障害,物品の認知ならびに使用障害を呈したが,言語の諸機能はまんがの理解を除き左優位例に比べ成績低下が軽度であった。また知能検査では言語性,動作性ともに低下し,何らかの視覚性知能の障害も併存している可能性が示唆された。さらに諺と物品という,それぞれ言語性・視覚性と異なる表象の保存状態を調べる補完課題を用いた比較では,どの意味痴呆患者も何らかの補完課題の障害を認めたが,諺の補完課題での成績低下が著明で物品の補完は比較的保たれる左優位例に対し,おもに物品の補完課題に著しい困難を呈し,諺では補完が比較的保たれる右優位例,という二重乖離が認められた。これらの結果は,左側頭葉前方部が言語性の,また右側頭葉前方部は視覚性の表象を司る神経基盤として重要であることを示唆している。
著者
田辺尚雄 著
出版者
京文社
巻号頁・発行日
1926
著者
橋本 和幸 吉岡 秀晃 長谷川 龍成 上岡 尚代 田辺 達磨
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 = The Bullentin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.14, pp.33-44, 2020

本研究は,先行研究で開発した保育園で行う運動遊びを,保育園を変えて追試を行ったものである.対象となる保育園は,先行研究と比べて,施設が手狭で,運動担当の保育士が不在という条件であった.運動遊びを保育園で継続して実施してもらい,3か月後に再度運動能力調査6種目を行って効果測定を行った.この結果,評点が有意に上昇した種目,有意に下降した種目,変化がなかった種目が2種目ずつに三分された.運動遊びが筋出力の調整とバランスに影響する2種目は成績が向上したと考える.一方,大きく強くジャンプしたり,全速力で走るなどの動きをしたりすることが影響する2種目は,園の施設の手狭さにより,成績が低下したと考える.
著者
長尾 尚 田辺 雅則 横山 和俊 谷口 秀夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J105-D, no.4, pp.259-270, 2022-04-01

サービスを提供するプログラムは,プロセッサ処理と入出力処理を繰り返す.利用者がこれらの処理速度を制御できれば,計算機の利便性を向上できる.そこで,著者らは,プロセッサ性能や入出力性能の調整法を提案した.ここで,入出力性能調整法は,入出力デバイスの処理時間と利用者が指定する性能から一定に保つべき目標の入出力時間を算出し,入出力要求の処理完了後に,理想の入出力時間になるまでOSのスリープ機能を用いて入出力システムコールの終了を遅延させる.近年,入出力デバイスとして普及しているSSDは,短い時間で入出力要求を処理するため,目標の入出力時間と必要な遅延時間も短くなる.これにより,必要な遅延時間がスリープ機能の動作可能な最短時間よりも短くなり,遅延させた入出力時間が目標の入出力時間を超過し,調整精度が低下する.そこで,必要に応じてビジーループによって遅延することで調整精度を向上させる選択的ビジーループ方式を提案する.評価により,提案方式は,入出力要求を短時間に処理する入出力デバイスにおいても入出力時間を精度良く調整できることを示す.
著者
田辺 肇 德山 美知代 福井 義一
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
Journal of Health Psychology Research (ISSN:21898790)
巻号頁・発行日
vol.32, no.Special_issue, pp.99-105, 2020-03-20 (Released:2020-03-20)
参考文献数
35
被引用文献数
1 1

Affect dysregulation is a highly significant construct among transdiagnostic pathological factors. This review first makes a brief introduction to the historical background of research and practice related to child abuse trauma and dissociation. In preceding studies, complex PTSD resulting from chronic and relational trauma was a focal construct and researchers have already adopted transdiagnostic perspectives. Subsequently, the current state of research on affect dysregulation related to child abuse trauma and dissociation are outlined. Moreover, critical commentary, especially regarding the conceptual and terminological variety and inconsistencies in research on affect dysregulation, is provided. Finally, current issues related to this topic are identified for further exploration.
著者
倉林 敦 太田 英利 田辺 秀之 森 哲 米澤 隆弘 松田 洋一
出版者
長浜バイオ大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、ヘビからカエルに水平伝播したLINEレトロトランスポゾン(ここではTE-X表記)について、(1)水平伝播時期と地域の解明、(2)水平伝播遺伝子の視覚化、(3)爬虫類・両生類以外のマダガスカル産脊椎動物にもTE-Xの水平伝播が生じているかの解明、(4)水平伝播を媒介した寄生虫・ウィルスの探索、(5)南アジア原産のブラーミニメクラヘビが、マダガスカルのヘビタイプのTE-Xを持っている理由の解明を目的としている。本年度は、(1)分岐年代推定と水平伝播発生地域の推定を行った。(2)シマヘビと、ネガティブコントロールのツメガエルに対して染色体FISHを行なったところ、前者では強いシグナルが出たが、後者ではシグナルが得られなかった。これにより、FISHによる染色体上のTE-X検出系が確立できた。(4)蛇の体組織からウィルス核酸抽出方の確立を試みた。現在までに行なった実験系では、ウィルス核酸よりも細菌由来核酸の出現率の方が高かった。(5)バングラデシュとスリランカにおいて、現地共同研究者により、メクラヘビの採取が進んでいる。現時点で、バングラデシュでは30個体、スリランカでは19個体のサンプルが得られている。さらに、インドでは、30個体以上のメクラヘビが収集され、そのうち1個体がブラーミニメクラヘビであったが、残りは別種のヘビであった。そのうち1種は、異種間交雑起源のブラーミニメクラヘビの父方系統に属する種である可能性が高いことが分かった。さらに、インドのブラーミニメクラヘビについては、Hi-Seq NGS によりシークエンスが行われ、130 Gbp のアウトプットが得られた。また沖縄産個体について、MinION NGSによるシークエンスを行い、40 Gbpのアウトプットを得た。南アジアにマダガスカルヘビタイプのTE-Xを運んだベクター蛇の可能性が高いスナヘビが収集できた。
著者
岡田 和正 田辺 健雄 鈴木 一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.64, no.515, pp.283-290, 1999
参考文献数
65

Mercantilists formed a close league with free traders by sucking them up to new "Gentleman" class, and ruled England in the interests of the commerce and the Empire. Transformation of the architectural taste was continuously and finely graded as the English social order was. Snobs of free traders, who were looking for an adventurous advance into new worlds, inherited the idea of Palladianism and shared so called "Gentleman Culture". They mix the Palladian and the Gothick taste to make Palladian Gothiek. Rococo was agreeable for free traders who had strong bent for going to the expense of acquiring "surveyable" wealth". Decorated Gothic reminds snobs of a pleasant success story, namely promotion to be "Gentleman" class, of Middle Ages merchants. They mixed the freedom and universality of Rococo, and Englishness of Decorated Gothic to make Rococo Gothick. Then, Palladian / Rococo Gothick became a status symbol for newly born gentlemen of free traders.
著者
田辺 秀之
出版者
日本環境変異原学会
雑誌
環境変異原研究 (ISSN:09100865)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.11-22, 2003 (Released:2005-08-19)
参考文献数
97
被引用文献数
1 1

The individual chromosomes in animal and plant interphase cell nuclei are discretely highly compartmentalized called “chromosome territories” that are visualized by 3D-FISH techniques. The chromosome territories are mutually exclusive without mixing each other, formed in essential components of the higher order chromatin architecture. Here I reviewed historical aspects of studies on the chromosome territory and recent advancement of studies on the chromosome positioning in relation to nuclear architecture. Chromosome positioning in the interphase cell nuclei has been investigated with regard to the following two aspects : radial positioning or relative positioning. It has been generally considered that the former radial positioning of a given chromosome territory is correlated with its size, its gene-density, and replication timing, namely comprehended as non-random distribution. From a series of 3D-FISH studies on the primate and chicken cell nuclei, the topology of the radial positioning of human chromosomes 18 and 19 homologs shows highly evolutionarily conserved during the evolution, but its functional significance is still within the speculation. On the other hand, the relative positioning has much affects to the translocation frequencies between adjacent two chromosomes, that was experimentally indicated by the mouse lymphoma cell nuclei, but in human lymphocytes the majority of reports suggested the random organization without particular patterns except for some clusters formed between homologous chromosomes. In future studies higher order nuclear architecture in relation to chromosome territory will be more elucidated by 3D-FISH techniques combined with living cell (in vivo) approaches by means of visualizing various nuclear molecules.
著者
田辺 大
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
pp.NPR-D-21-00005, (Released:2022-03-10)
参考文献数
35

本論文は,entrepreneurshipの日本語訳,さらにはsocial entrepreneurshipの日本語訳が日本では長年未整理のまま推移し,伴って,日本の起業文化にも影響が及んでいる課題を紹介している.本研究はsocial entrepreneurshipや関連する概念の日本語訳の検討を通じて整理を行い,ひいては日本の起業文化の進化への貢献を目的とする.研究方法の妥当性では,日本語訳の検証の確度を高めるため,対照言語学の視点を用いる.対照言語学は逆翻訳という手法を提供しており,日本語訳が正しかったのかを英語等に訳し直すことで,いわば翻訳の検算が可能になる.entrepreneurshipが「起業家精神」と日本語訳された課題として,起業は一連の過程(process)や仕組みでなく,「起業家は自己責任で孤独にがんばれ」と一個人の精神論に,つい誤解される向きが昭和以来の日本社会では支配的になってしまった.entrepreneurshipを「起業家性」,social entrepreneurshipを「社会起業家性」という日本語訳にする事を,その手法とともに本論文は提案し,日本の起業文化が精神論から脱却する貢献を目指している.
著者
田辺 聡 北村 匡 西元寺 克禮
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.2391-2398, 2004-11-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
56
被引用文献数
6

Argon plasma coagulation(以下APC)は非接触型の高周波凝固装置で,1991年に内視鏡治療の分野に導入された比較的新しいデバイスである.本法は病変に接触せずに広範囲な凝固が可能であり,血管性病変や悪性腫瘍に対する凝固治療,さらに消化管出血に対する止血や静脈瘤に対する地固め治療,Barrett食道に対する焼灼治療など様々な疾患に応用されている.いずれの疾患に対しても短期的な有効性は明らかであり,今後は長期予後の検討が望まれる.特に本邦では,食道,胃,大腸などの早期癌に対する粘膜切除術(EMR)の追加治療あるいは単独治療として用いられている.焼灼深度が浅く安全性の高い治療であるが,合併症として穿孔,壁内気腫の報告があり十分な注意が必要である.各疾患に対する適切な焼灼方法の確立,他の治療との無作為比較試験,長期予後の評価など今後の検討が期待される.
著者
川村 晴美 鈴木 英子 中澤 沙織 田辺 幸子
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.351-360, 2021-10-08 (Released:2022-01-31)
参考文献数
49

急性期病院で認知症高齢者をケアする看護師の困難感とバーンアウトとの関連を明らかにすることを目的として,全国14カ所の国公立系急性期病院の認知症高齢者が入院している病棟に勤務する看護師2032名を対象とした自記式質問紙調査を実施した。質問項目は,日本版Maslach Burnout Inventory- Human Services Survey(MBI-HSS)に準じたバーンアウトに関する22項目,急性期病院で認知症高齢者をケアする看護師の困難感に関する16項目,ワークライフバランスに関する24項目,個人要因18項目,職場環境要因10項目とした。有効回答数は1235名(60.8%)であった。MBI-HSSによるバーンアウト総合得点の平均値は12.6点であり,病院間に有意差は見られなかった。バーンアウト総合得点を目的変数とする重回帰分析の結果,バーンアウトに関連する要因は,標準化偏回帰係数が大きい順に,困難感の総合得点,ワークライフバランスの総合得点,自分の健康を維持する能力,職場に対する満足感であった。認知症看護の困難さを感じている看護師はバーンアウトしやすいことから,このような看護師を対象としたバーンアウトを予防するためのサポートプログラムを構築する必要があると考えられる。
著者
伴野 太平 小森 ゆみ子 鈴木 聡美 田辺 可奈 笠岡 誠一 辨野 義己
出版者
日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.229-235, 2016
被引用文献数
1

<p>さつまいもの一種である紅天使を健康な女子大学生22人に摂取させた。加熱後皮をむいた紅天使の食物繊維は2.9 g/100 gだった。摂取開始前1週間を対照期とし, その後1週間単位で紅天使を1日300 g, 0 g, 100 gとそれぞれ摂取させた。排便のたびに手元にある直方体の木片 (37 cm<sup>3</sup>) と糞便を見比べ便量を目測した。その結果, 対照期には1.8±0.2 (個分/1日平均) だった排便量が, 300 gの紅天使摂取により約1.6倍に, 100 g摂取により約1.5倍に増加した。排便回数も紅天使摂取量の増加に伴い増加した。300 g摂取でお腹の調子は良くなり便が柔らかくなったと評価されたが, 膨満感に有意な変化はなかった。各期の最終日には便の一部を採取し, 腸内常在菌構成を16S rRNA遺伝子を用いたT-RFLP法により解析した結果, 紅天使摂取により酪酸産生菌として知られる<i>Faecalibacterium</i>属を含む分類単位の占有率が有意に増加した。</p>